ブログ記事2,194件
#ギイタクパラレル両性具有いつか来るお別れは「お前、実習もう終わるだろ」意外に早くに来た。医師の顔をした山桜桃に、まるで仕事のシフトを告げられるように。有無を言わせない口調に、琉惺は機械的にうなずく。「はい」「じゃあ、もう接点は無いな」山桜桃の声は冷たかった。ヒヤリとした琉惺が、顔を上げる。「え、やだ」ボロッと本音を言ってしまって、琉惺は気まずそうに顔を伏せる。「はい。ですね。ごめんなさい」ワガママを言わないお兄ちゃんなのだろう、琉惺は。接点がない、ではなく、山
#ギイタクパラレル両性具有駆け出したら、手に出来ると言って誘なうのは、遠い遠いあの声『山桜桃』…拓きみと、見た空は眩し過ぎてきみの手を握って求めるほど青い青いあの空。きみの痕跡を、辿り追い続けてくよ…琉惺がすれ違い様、頭を下げた。「崎先生」山桜桃は、すい、と隣を通り過ぎようとする。「お疲れ様、長谷川くん」琉惺が山桜桃の白衣の裾を捕まえてむくれる。「呼び方はぁ、仕事中だから分かりますけど、何ですか、その、何の関係もありませんよ的態度」山桜桃は、琉惺を見なかった。「
#ギイタクパラレル両性具有それは何か、不思議な感覚。琉惺の見下ろしてくる眼差し。髪を撫でる指先。山桜桃は、目を細めて琉惺を見上げる。「長谷川…お前、何」琉惺は、何のことかと首を傾げた。「何、って。看護実習生ですよ」「じゃなくて…琉惺って男だよな?」わずかに、琉惺の目が泳いだ。「…ですよ?どうかしましたか?」?何だ?今の間。「いや…だよな。ごめん。変なこと言って」確かに、決して女の子に見えるってわけじゃないんだけど。何だ?あれ…、何か、雰囲気が託生と似てるんだ。
#ギイタクパラレル両性具有飛翔いたら、戻らないと言って…目指したのは蒼い蒼いあの空。「崎先生、具合悪くないですか?」看護実習生に覗き込まれて、山桜桃は振り返る。正直、分娩が長引いて、疲れ果ててはいた。「具合は悪くないよ」ぺこ、と実習生が頭を下げる。「お疲れ様でした。長かったですね」山桜桃は、額の汗をタオルで拭う。「ああ」でも、母子共に元気だ。良かった…生きてる。良かった。ホッとしたら、力が抜けた。山桜桃は、そのまま床に座り込む。実習生が驚いた。「うわ。
#ギイタクif君これ好きなら、好きって言わなくちゃでも、叶わなかったら、怖いよね…勇気ないよね。だから言いたくないの…。もっと甘えたかったのでも、甘え方が分からなかった気に入られようと必死だった。今さら、どうやって甘えたらいい?こんないい歳して…。だから甘えるの怖いの。好きが無いのに、するのは嫌でも、見捨てられたくないから、しろって言われたら、従う。だからって、するだけの間柄は本当は嫌。好きな人としてみたい。…本当はね。それって浅ましいかな…。身分不相応かな。
#ギイタクif君これ最近、託生が混乱をする。「ギイお兄ちゃ、抱っこ」幼稚園児のたくみちゃん、かと安心して抱っこしてたら、いきなり突き飛ばされたりして「あ、や、ごめん!」託生?か、ヨンジュになってたりする。基本、人格交代が起こっている時、お互いの人格を把握出来ない。人格を行き来する時、記憶が保持出来ないものなのだ。どの託生も、残念ながらギイは愛している。切ないヨンジュも、あどけないたくみちゃんも、普段の高校生の無気力な託生も。どの人格で生きていくのだろう?と思うけど、どの子も
#ギイタクif君これ『言える時に、言いたいことを伝えなければいけないわ』と、残した沈花。嫌なことを、嫌と言えずに泣く、たくみちゃん。『身体だけでは、嫌だ』と、愛情を欲しがるヨンジュ。人格の交代を繰り返し、託生はその実、一番望んでいた自分に近い人格をそれぞれ表現しているのかもしれない。「ねぇ、ギイはセックスしたことある?」こういう色っぽい話を持ちかけるのは、ヨンジュだ。「…何で、そんなこと聞く?」「んー、セックス出来る相手なら好きってこと?好きな人とセックスしたい?」「
#ギイタクif君これ雨音は…懐かしい記憶の調べ。忌まわしい記憶が、きみが救ってくれた記憶にすり替わる…魔法の音。託生は、また雨音を聴いて『たくみちゃん』になって。「ママー、おにいちゃんー、どうしてたくみを見てくれないの?たくみ、そんなに悪い子なの?ごめんなさいー、もう悪いことしないから、ママこっち向いてー」幼稚園児の『たくみちゃん』は、泣きじゃくって、ギイにしがみついたまま、泣き疲れて眠った。「ママ…ママ…」そう、うわ言のようにつぶやきながら。夜中、雨は止んで、今
#ギイタクif君これ雨降り。案の定、託生は『たくみちゃん』になる。幼稚園児の、たくみちゃん。たくみちゃんが、ギイの袖を引っ張る。「ギイお兄ちゃ、あのね」ギイは、なるべく優しくうなずく。「うん?」「幼稚園で、まなちゃんから『たくみくん、おっきくなったら、けっこんしよ』て、言われたの」「そう。まなちゃんて、たくみちゃんの好きな子なの?」たくみちゃんは、ふるふると頭を振る。「ちがうの。だから、『しないよ』て言ったら、まなちゃん泣き出しちゃって、幼稚園の先生から、『女の子泣
#ギイタクif君これこれ、を何と呼ぼうとも後悔ありし、過去の事にしてはならない。…誰が言う。傍にいたい恋しい愛してる。isitlove?それとも?きみは『これ』を何と呼ぶのだろう?「ねえ、ギイ?好きな人は、いる?」どうも、託生の人格は、今ヨンジュらしい。色っぽくて、唐沢の愚行を恨む。「他の人でいいなら、僕は要らないじゃん」ふてくされる託生…ヨンジュ。ギイは、託生の頭を撫でる。「オレなら、託…ヨンジュがいれば、もう人生、他に恋なんてしないけどな」託生がギ
#ギイタクif綺麗あたし、あなたに会えて本当に嬉しいのに当たり前のようにそれら全てが悲しいんだ今痛いくらい幸せな思い出がいつか来るお別れを育てて歩くから…今まで、必ず大事な人とはお別れが来ました。皆んな僕の元から去ってゆきます。あなたともいつかお別れしなきゃいけないのでしょうか?でも会わなければ良かった、とは今回は悔やみません。だって…託生の目は、日に日に見えるようになった。託生の新しい目に、ギイはとても眩しい。「ギイ、僕汚いけど…これから綺麗になっていくに
#ギイタクif綺麗託生が、ぼんやり窓の外を見る。「ギイ…」唇は、忘れられない人の名前を紡ぎ出す。季節は、託生の学年が変わるところまで来てしまっていた。主治医は、託生に声をかける。「葉山さん?」託生の目は、外の何かを見詰めたままだ。「先生、ギイに会いたいです」ギイ?いつも話に出て来る子かな?「面会?まだ、僕の見てるところでね」「それでもいい。会いたいです」やっと託生は主治医の方へ向いた。「ギイの顔が見たい」主治医はうなずいた。「そう、良かったね」託生が首を傾げる
#ギイタクif綺麗診察の合間に、看護師が医師の机の上に手を置いた。「先生、例の患者さん、外科では診れません!」看護師の悲痛な訴え。正直、外科の主治医にもお手上げだった。医師はため息をつく。今や、身体拘束は、ほぼしないのが主流。なのに『例の患者さん』は、何を取り上げても、自分を凶器にしてまでも、繰り返し自傷行為をあきらめない。「やだ!内臓全部取り替えて!目も要らない!耳も…何も聞きたくない見たくない!」想像するだに、ゾッとすることを口にするのだ。看護師が、医師を見上げる。
#ギイタクif綺麗行為の記憶がほぼ飛んでいる託生。肩に羽織らせた程度のパジャマに、昨夜の記憶を総合させようとして、託生は自身を見回す。「あの、ギイ、僕?」ギイは、肘を付いて昨夜のことを思い出すように、託生を見詰める。「ん?すっごく、すっごく可愛かったよ。んで、オレをめちゃくちゃ気持ち良くしてくれた」託生が、パジャマの前を合わせて、隙間に顔をうずめる。「あ、や、そういうの恥ずかしいので、言わないで」ギイは、まつ毛を伏せた。「うん。託生は、覚えてなくていいよ」「ギイ」
#ギイタクif綺麗託生が、ガタガタと震えながら自分の肩をきつく抱きしめる。「どうしようどうしようギイ。また汚れた、汚い、僕」ギイは、託生を毛布でくるんで、その上から抱きしめる。「大丈夫だよ、託生。託生には何も着いてない。心配しないで」毛布の中から、託生が見上げる。「ギイ、お願い。上書きして」ギイは首を傾げた。「上書き?」「ギイで、上書き…。僕は汚いけど、僕に触れたところ、ギイが後から洗ってアルコール消毒して」「え、何?託生触っていいの?…あ、いや、調子に
#ギイタクパラレルあのねギイの手が、託生の肩を抱き寄せる。「託生、託生したい。抱かせて」僕は黙って首を横に振る。やだ、これ以上、僕の中にきみを残さないで…。それは、きみがいなくなったら、痛みに変わる。ずっと残る痛みになる。僕は、ぼんやりとギイの裸の上半身を見上げる。「やだ、って言ったのに」ギイは、僕の拒絶の言葉に、切なく眉を寄せる。「…ごめん。そんな気分じゃなかった?」僕は、ピローの端を指でもてあそぶ。「気分とか、そんなんじゃないけど」「けど?」もう…ギイ
#ギイタクパラレルあのね好き好き大好き一緒にいたい。でもきみの「好きだよ」…は、僕には分からない。分からない?…信じられない、のかな。ずっと、僕の身近になかったもの、だから。ギイが壁伝いに、なんとか歩いて僕に近付いて来る。「託生?どうしたの?」ギイが、捕まりながらなら歩けるようになった。毎日必死でリハビリしてる。…どこかへ、行ってしまわないだろうか。不安そうな僕にギイが、コツ、と額をぶつける。「…オレが、一度お前を置いて行ったから?不安にさせてる?」…
#ギイタクパラレルあのねギイが、リハビリを始めた。別れへのカウントダウンだ。理学療法室で、汗だくの彼を見てそれは綺麗な姿だったけど「託生」僕に気付いて笑う彼は凛として誇らしかったけど僕は泣き出してしまった。ギイが、は行しながら僕に近付いて来る。そして人前なのに、僕を胸に抱きしめた。「ちょ、ギイ」「ありがとう。託生のおかげだ。自分の足で立てる、ってすごいね。まだ、歩き方が分からないけど。どうやって今まで歩いてたんだろう?」僕は必死に涙を手の甲でぬぐう。「…
#ギイタクパラレルあのねもう、『あーん』出来なくなって残念だけど、ギイはフォークとスプーンで食事が出来るようになっていた。また、ぞくん、と背中に冷たいものが這い上がる。やだな。ギイには嬉しいことだろうに。ギイには、一生手足が必要であって欲しい。そしてその手足が自分でありたい。ギイが器用にフォークで、ジャガイモをつぶさずすくい上げる。ゆでたジャガイモに、肉のショウガ、ネギ、醤油、砂糖で味付けたものを絡ませる。「お前、料理上手いなぁ」僕は麦茶をグラスに注いだ。「一般家庭料理し
#ギイタクパラレルあのね…あのね喜ぶべきことだけど、僕には淋しさがひとつ募ることが増えた。あのねきみが、言葉を取り戻したんだよ。喜ばしいことだけど…これでひとつ、きみとの別れが近付いた。それはきみの回復を示すのに本来なら喜ばしいことなのに悲しい切ないそんなこと考える自分が嫌いだ。僕は、部屋のカーテンを開く。「ギイ、いいお天気だよ」ギイが窓の外へ目を遣る。「ホントだ」僕は首を傾げる。何だろう、この地に足が着かない感じ。「ギイ?」「いや。妻とそんな話したこと
#ギイタクパラレルあのね怖かったけど聞いた。「奥さんとはうまくいってる?」あなたが曖昧にうなずく。僕はキズつく。あなたが幸せな方がいいのに、嫌な僕。あなたが口を動かす。『でも』そして動く左手の人差し指を立てて、右手の人差し指に交差する。それは『×』だ。そしてあなたは首を振る。そうか。こうなったからかな。×、なのは。奥さんなら、ギイとセックスもしたはずなのに、何で生活を面倒みない?「奥さん…どこ」あなたは首をフイと、外へ向ける。唇が動く。『もう、いない』「
#ギイタクパラレルあのねまだ僕が彼の介護に慣れない頃だった。ギイが、そわそわと車椅子を上手く使えず、でもどこかへ行きたそうにしている。僕は察せずに、彼の顔を覗き込んだ。「ギイ?」それが余計いけなかったらしい。ギイは部屋からぎこちなく車椅子を動かして、出て行った。僕は慌てて彼を追って廊下へ…彼のうなだれた姿がそこにあった。「ギイ?」唯一動く左手が、車椅子の肘置きを硬く握りしめている。それで気付いた。あとは彼の名誉の為に伏せるけど、彼は僕に『それ』を頼りたくなくて、『間に合
#ギイタクパラレルあのねまさか君とまた過ごせる日が来るとは思ってなかった。きみは、あれから幸せな結婚をして、実家の会社を継いで、順風満帆な人生そのものだったじゃないか。僕が敢えて知ろうとしなくても、耳に入ってくるくらいにはきみは有名だったよ。…でも、こんな新聞沙汰になる有名は考えてもみなかったし、まさかこんな形で再会をするとはね。きみの秘書が僕に頭を下げる。「葉山様、申し訳ございません」きみは僕の声は聞いているようだったけど、顔は上げなかった。きみならいくらでも、優秀な介護士を
かちゃり…と小さく音を立てて鍵が開いた本来だったら一緒に過ごすはずだった。時刻はもう、12時を過ぎてしまった。なのに…「…起きてたのか?」「お帰り、ギイ」五線譜を横に置いて、タクミは微笑んだ。「ちょうど出来上がったところ。佐智さんのサマースクールに提出された生徒の課題曲なんだけどね、添削依頼受けちゃって」コーヒー飲む?そう言って笑って立ち上がったタクミを背後からふわり、抱きしめた。「ギイ?」驚くタクミの首筋に顔を埋めるタクミの匂い「…来年は一緒に祝おうね、ギイ。遅くなっち
タクミくんシリーズ、気に入ったこともあったし、ブログを書くためもあって、FODプレミアムで各話何回も見た。それが、配信期間がこの9月で終わるとなっている。期間は更新されるかもしれないが、もしまた見たくなったときに、GEOとかで借りないといけなくなったら見づらいな。大体、買っちゃうと安心してあまり見なくなる傾向があるけど、いっそのこと買っちゃおうかな。まだ見たことのないメイキング映像も本編と別に売られていたみたいだし、DVDじゃなくてブルーレイなら一枚に本編とメイキング両方入っているし。
そうか…今日は七夕か。7/4は独立記念日でこの国は大騒ぎになる。あちこちで花火が上がり、そしてその逆の銃によるものも。だが、今の俺には独立記念日だろうがキリストの誕生日だろうが何ら変わりがない。どうでもいい。誰がどうなろうと…。それこそ、Fグループが傾いたって知ったこっちゃない。俺からタクミを引き離した時点で世界は終わりを告げたんだ。そんな変わらない日々を過ごしていた今朝、研究所に置かれていたもの。「ギイ、日本からこれを取り寄せたらしいぞ」それは申し訳程度に数本。
街のあちこちでキラキラと光が舞う今日。楽譜用紙を買いに出掛けた先の商店街で巨大な笹を見つけ、祠堂のロビーを思い出す。『毎日、お前を思っておやすみを…』短冊に願いを書いたあの日。数ヶ月後に消えるなんて思いもしなかった。ギイは今、どうしてるんだろうか。【離れても一緒に…】ぼくのあの願い事は叶ってる?「葉山、買い物は終わったのか?」スラリと姿勢の良い同級生が笹の後ろから姿を覗かせ、『ほいよ』と油性マジックを手渡してきた。「このマジック、どーしたの?」店名がしっかりと貼られたマッキ
『タクミくんシリーズ5あの、晴れた青空』(タクミくんシリーズ5あのはれたあおぞら)は、2011年8月20日にシアター・イメージフォーラムにてレイトショー公開。その後、大阪・シネヌーヴォX、名古屋・シネマスコーレにて順次公開された。また、福岡と仙台でも上映会が行われた。本作をもって主演の浜尾京介と渡辺大輔はこのシリーズから卒業した。2012年1月18日に発売された本編DVDは、1月17日付オリコンデイリーランキングDVD映画部門で第1位、1月30日付オリコン週間ラ
今日は、ファミリーを撮影したくて(*´ω`*)牡丹桜の公園にo((*^▽^*))oすっかり葉桜でした(◠‿◕)でも今日は、藤棚がお目当て\(๑╹◡╹๑)ノ♬強風で房ごと散ってて(^~^;)ゞでも…まだまだ満開でした(.❛ᴗ❛.)この下⬇ドールの画像が出てきます。苦手な方は、ここで終りにして下さいね😅私がとても癒やされます🤭💖
朦朧とした意識の中、誰かに呼ばれた声にうっすらと重たい瞼をあげて目を開ける。「薬、飲めますか?」「・・・・」都合の良い夢を見てるみたいだ。「先生?飲める?」「・・・・」熱でボーッとしてかけられた声に反応ができない。「自力じゃダメそうだね・・嫌だろうけど我慢して・・・」声の主は水と薬を口に含み僕の唇をこじ開け薬と水を流し込んだ。僕は訳もわからずに入ってきた水と薬を喉の奥へと送った。「もう一度・・・」と言って声の主は水を口に含み僕へと飲ます。「先生、少し寝て下さい。オレ、職員棟