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〝お兄さまのお荷物はそのままロランヴィエル邸に送るよう手配をしておきましたから、ちゃんと届いているはずですわ。今日はロランヴィエル公と一緒に舞踏会に参加して、そのままロランヴィエル邸に帰ってくださいね。大丈夫、もうノーウォルト本邸に戻る必要はございませんわ〟そう言って楽しそうに笑いながら、フィアナは部屋を出ていった。おそらく舞踏会の為に着替えをするのだろう。王妃たる彼女は、本来このようにアシェルと話ができるほど時間の余裕はないのだ。だが、アシェルを説得するためにあえてこの時間を用意したのだろ
目の前にその女生徒が立ったとき、隼世には何の感慨も浮かんで来なかった。「同じクラスだったなんて信じられない。存在消すの上手いね。わたし槇村夏音。聞いたよ演劇部にいるんだって。私も幽霊部員。昨日は橋の上で演技の練習でもしていたの?」「演技は無駄なことなんだ。川の音は石の沈黙の上に成りたってる。本当の言葉は石が語る沈黙のモノローグだよ」「えっ、何。何て言った?」隼世は返事を返してよこさなかった。「ねえナツネ。今言った幽霊部員って、もしかして入ってくれる気になったの」そんな気は無かっ
こちらが一年前に書いていた話になりますタイトルも微妙に違いました悲しいというよりどこかほのぼのとした空気が漂うのは今話の主役である早さんにとって大切な存在であるふたりのおかげだと思いますそれでは別Ver.のお話どうぞお楽しみください~あ拝~『早とのどかと桜と』~1:桜~「――桜、桜、か」足元に落ちていた、それがいずれサクランボ独特のVの形になるであろう数輪で房になった桜の花を拾って、つまん
今日は土曜日。久しぶりの休日だ。私は軽い足取りで街に向かう。街には商店街が並んでいる。傍に会った店に入って私はあるところで足を止めた。見えない重力に私の体は引っ張られたのである。それは所謂玩具コーナー。子どものころ、誰もが憧れたことがあるであろうヒーローたちが並んでいる。男の子向けのものから女の子向けのものまで。それを見て、何故だかとても懐かしい感じがして胸騒ぎを覚えた。懐かしい?過去の記憶を持たぬ私がなぜこのような感覚に浸っているのだろうか。
※Kindle本小説(amazon)販売中!1冊100円★5月6(月)、下記作品が無料購読できます小説短編集【69】すれ違いのダイアリー(原稿用紙30枚)※琉生は赤坂一ツ木通りを赤坂見附駅に向かって歩いていた。今から10年前20歳の琉生は、この通りをバンドのメンバーたちと一緒に期待に胸を膨らませて歩いていた。あの日琉生と一緒に歩いていたバンドのメンバーたちの姿は、もう消え去っていた。今、琉生の頭の中では、夢と言う初め光り輝き後に色あせた正体不明な存在が曖昧な存在となりつつあ
※Kindle本小説(amazon)販売中!1冊100円★5月4日(土)5(日)、下記作品が無料購読できます小説短編集【70】永遠の噓だったなんて(原稿用紙30枚)※智樹が小説の動機付けに繋がるダイアリーを書き始めてから、智樹の本棚に何冊のダイアリーが積み上げられただろう。それこそ初めて智樹がダイアリーを綴り始めたのは高校生の時だった。もっともダイアリーと言っても使わなくなったノートに、退屈な授業の合間に悪戯書きを自由気ままに綴り出したのが切っ掛けだった。今25歳になって
★書き上げた非公開短編説のあらすじを紹介したいと思います。《ピアノのある喫茶店~原稿用紙30枚》書き出し悠馬がピアノ調律師のスキルを身につけようと、今の専門学校へ入学してから早くも2年が経とうしていた。今から2年前悠馬の同級生たちのほとんどが大学へ進学していく中で、悠馬だけが専門学校へ進学していた。悠馬的には特別な出来事とは思えなかったが、学校側は少しだけ動揺していた。それというのも悠馬が中学生の時に一生懸命に受験勉強に取り組んで進学した高校は、東京郊外の男子校の中では名のある進学
恭子が川名に話してくれた。『私、ここでお父さんの仕事を見ていてもいいかしら?』『見ていても面白いものでもないけど、こっちは構わないよ』『絵里、今日はダメよ!これから東京に行かなければならないでしょ。古書の引き取りは明日まで掛かるらしいから、明日ゆっくりとお話をさせてもらいなさい。昼食や晩御飯はこちらで用意するから・・・』恭子がそこまで話し掛けた時、川名は口を挟んだ。『仕事以外は気を使わないでくれ。仕事が済んだら、ホテルに戻るから・・・』『分かったわ。私と絵里は帰りが夜になると思うから
胸から込み上げてくる、この気持ちの悪いものは何だろう。目の前にいるのは愛しい、大切な妹であるはずなのに、その妹に怒鳴り散らしてしまいたくなる。それを必死に抑え込むが、車椅子のひじ掛けを掴む手は赤を通り越して真っ白になっていた。「お兄さま」紅茶で喉を潤して、フィアナは真っ直ぐに兄を見つめる。頑固で融通の利かない兄は、きっと納得できないだろうことは予想していた。だから、優しく微笑む。「聞き分けの無いことを言わないでくださいな。ロランヴィエル公が望み、陛下をはじめお父さまもお兄さまたちも私も
~6:梅下美人~話は再び現在の白井町の梅園に戻って――。「ひなたちゃん。もしかして、ナーニィちゃんは私に気をつかってくれたのかしらね」「どどど、どうなんでしょう??」紫音に柔らかく微笑まれて、わたわたあわてまくるひなたの肩にのどかが手を掛けて、「ナーニィは早と同じでぇ、ああいうところはすごく気をまわすんだぞぉ~♪」「あ、やっぱりそうなんですか、のどかさん?」「うん~♪ナーニィってば、ほんとにいい子な
どうも皆さん、おこんばん羽〜( ̄▽ ̄)動画を撮った後に、BGM(とか声)が入ってしまっていることに気が付く一羽です🪶普段動画撮らないから、撮らなきゃ!という気持ちが優先されがちになってます💦さて、毎週土曜の夜更新している、オリジナル小説『ヒカリノハコ』スケッチブック二冊目を使い切りましたーーーーーーヽ(´▽`)/ひゃっふーー(笑)いっさつめ『ヒカリノート〜いっさつめ』どうも皆さん、おこんばん羽〜( ̄▽ ̄)自分の作品をなん度も見返していることのある一羽です🪶思い出とか、浸るとか、そ
そして恭子の前で川名が小説を書くことが出来ないことで苛々していたことが、恭子には許すことが出来なくなって来ていた。そんな2人が互いを責め合って、酒蔵の仕事で忙殺されている中での細やかな個人的な時間までギスギスした時間となるまでにそれほどの時間を必要としなかった。それでも絵里と言う子供がいることもあったので、何度も何度も修復を図ろうと川名も恭子も努力した。だがそうしようと一生懸命になればなるほど、川名と恭子の心は次第に離れていくようになっていた。そしてそんな安らぎの無い日々が5年も続いた後、35
人は簡単に嘘をつく。否、本当の事を口にする方が珍しいと言った方が良いか。そんな中で、ルイの言葉を真正面から信じることなどできない。そんな疑心に満ちた兄を見て、フィアナは紅茶を飲むフリをして瞼を伏せた。「お兄さまは難しく考えすぎなのですわ。この世の中、利益だけで結ばれる愛ばかりではございませんのよ?」確かに表面上は政略結婚であったが、フィアナとラージェンの間には確かに愛がある。それをアシェルは知っているはずなのに、自分のこととなると途端に信じられなくなるらしい。「愛だ何だを議論する気は無
こんばんは(。・_・。)ノ今日も息子を保育園に送り、私は買い物をしてから帰宅しました。特に家の事でしなきゃいけない事もなかったので思う存分、自分の趣味の時間にしました。明日からは息子も旦那もいるし、なんなら明日は福岡の義実家へお泊まりに行く予定ですから、今のうちにって感じで。GWが終わればまた保育園が始まり、私も仕事が再開されます。平日は予定がなければフルで出勤なので、こんなにもゆっくり創作活動が出来る時間は少ないかと思われます。ってな訳で、落書きしたり、ネタ考えたりしてました。
ここは、とある星の国の1つ「ナンデモアーリ国」この国は、豊かな自然、食材、ともかく、色々なものに恵まれている大地にある国。そんな国にアーリ歴PAN2年から始まった歴史あるとある大会がある。「美術鑑定大会」と名付けられたこの大会は大会が開かれるごとに選ばれた1つの美術品をいかに評価できるかを競う大会で表現力、審査員との共感力の項目で1番評価の高い者が優秀賞を獲得する美的センスを試される大会なのだ。その大会では、鑑定時間5分、評価時間5分の長いようで短いような1人の持ち時間で美術
★書き上げた非公開短編説のあらすじを紹介したいと思います。《君の名前が消えたエンドロール~原稿用紙30枚》書き出し亮太が20歳で映画専門学校を出てから半年が経とうとしていた。亮太は学校で特殊機械操作の操作について、2年間学んだ。専門学校の中では、極めて生徒数の少ないクラスだった。そもそも亮太が映画の撮影現場で利用されている特殊機械に興味を持ったのは、亮太の父親がマンンション建築現場での大型クレーン操作中の事故で亡くなってしまったことがきっかけだった。亮太は高校を卒業してクレーン免許
「フィアナ、謀ったな」王や父、更にはノーウォルトを離れた次兄にまで手を回し、大勢の前で自分だけ知りませんでしたということは高すぎる矜持が邪魔をして絶対に口にしない長兄の性格を利用した。そんなことを企てるのは、フィアナしかいない。「あら、図っただなんて人聞きが悪いですわ、お兄さま。私はお父様と一緒に、お兄さまに寄せられる縁談話の中でより良い方を選んだだけですのに」兄が自分を害することなどあり得ないという絶対的な自信がそうさせるのか、アシェルに睨まれようとフィアナはまったく動じず、むしろ何
「四月の川はよしといたほうがいいよ。か」へんなやつだったなあ。舘石隼世は先ほどの状況を思い出しながら歩いていた。大通りを三本外れた道沿いの古いアパートに母と一緒に住んでいる。母は隼世が小五のとき父と離婚し、姿を隠すように引っ越しすることになった。アパートは大通りを外れた路地にある。周りには一戸建て住宅が建ち並び、南側には道路がある。その道路を東へ進むと水路に突き当たるT字路になっている。南に右折すると和古川、しずく橋へと至る。隼世が通う明成高校はさらにその先にあった。行き帰りに和古川を渡
どうも皆さん、おこんにち羽〜( ̄▽ ̄)水筆の水分量の調整が下手な一羽です🪶出てなかったり、ドバッと出てしまったり、、ら微調整ってレベルですらない(笑)さて、オリジナル小説『ヒカリノハコ』前回の『ここは?』『透明なハコ?』『夜空に舞う』『とけーとお』『リセット』『カゲナシの影?』『甘い果汁と苦い果肉』『小さなヒトの箱庭?』『おもひでぽろぽろ』『おおいそがし』『あ…ameblo.jp下書きとかです(^^)/はい!今回ので二冊目のスケッチブックを描き終えました^-^一度、現在出
ごきげんよう、うにょです文学フリマ東京38まで残すところ一ヶ月を切りました!でも大丈夫!準備は殆ど終わってます(`・ω・´)ゞ東京のイベントが終わったら文学フリマ岩手9の準備だね。ポップとかつくりかえたり、かな。結構作業はゆるゆるなのです。配布するものはもう出来上がっているので。で、8月のコミティアに申し込んだのでそこで小説の新刊、ではなくイラスト集を配布しようと思っていたのですが…なんとなくネットみてたらコミティアって入金後に当落が決まる
絵里は高校卒業後、単身でアメリカの大学に留学した。大学卒業後もアメリカの大学に残り、MBA経営管理修士の資格を取得して日本に戻って来ていた。『頼もしいね。絵里の行動的な性格は恭子によく似ているね』『私も本当にそう思う。父親が病気で倒れてから実質上は現場を全て任されたけど、正直どうしたいいのか私はさっぱり分からなかったわ。地方都市の酒蔵なんて、ほとんど没落していくばっかりだったからね。絵里がアメリカから返って来てから、様々なアイデアを出してくれて本当に助かったわ。そのアイデアと言うのが、何故か
「あなたを生涯愛し、守ると誓いましょう。私と結婚して良かったと、心の底から思っていただけるように。ですからゆっくりと、ロランヴィエルで私との時間を知ってください。――さて、陛下」もはやアシェルの言葉など聞く気はないのか、それとも無言は肯定などと恐ろしい思考回路でもしているのか、ルイはもう一度アシェルの手に口づけを落とすと、優しい眼差しで見守っていた王に向き直った。「陛下は此度の任務の褒美を下さると仰ってくださいました。第一連隊隊長ルイ・フォン・ロランヴィエルは、恐れながら陛下にお願い申し上
★書き上げた非公開短編説のあらすじを紹介したいと思います。《歌えないラヴソング~原稿用紙30枚》書き出し琴美は今夜も独りで、もう十分には動けなくなっていた祖父母を先に寝かせておいて店の掃除をしていた。琴美が祖父母が神田神保町で長年続けていた喫茶店の手伝いをし始めたのは、琴美が幼い頃に両親が交通事故で亡くなって祖父母の店舗兼住宅に同居するようになってからだった。当時小学生だった琴美は祖父母の家で、じっとしていることが出来なかった。とにかく祖父母が用意してくれたベッドに入ったら疲れて、
ネットではピンポイントで簡潔に捜し出すことが出来るが、偶然の出会いがない事が最大のネックだと思っていた。ふと立ち寄った古本屋で手にした古本のページに、以前の持ち主による書き込みをあちらこちらに目にすることがある。その行に興味を魅かれた以前の持ち主の想いを探るのも、川名には結構な楽しみであった。そんな中で川名には40歳から今の古本屋で働きながら、店主にお願いして取り組んで来ていたことがった。自分自身が強く関心を持ち続けていた音楽関係の書籍のコーナーを、川名は売り場の一角に設けさせてもらっていた。
「さて、アシェル殿。あなたが懸念することはすべて問題ないと申し上げましたし、こうして陛下も王妃殿下も、お父上も兄君もお認めくださいました。ですから安心して我がロランヴィエルにお越しください。私の求婚、受けてくださいますよね?」どうか、とアシェルの手に口づけが落とされる。キャァッと、どこかで黄色い悲鳴が上がった。なんならこの場所を替わってくれても良いよ?なんて思考を別の方へ向けようとするが上手くいかない。「……それ、逃がす気あります?」受けてくださいではなく、受けてくださいますよね?
二、出会いのしずく橋いつか過去と冷静に向き合えるのだろうか。立石隼世は橋の上で自問した。父と母は離婚したが離婚してからも父はやってきた。警察沙汰になったこともある。遠く離れたこの町へ来て安心できるようになったが、心の奥深くではまだ冷たい慄きが木枯らしのように吹いている。母さんはどうなのだろう。いつか母は父をかばうように言ったことがある。昔はそうでなかったと。しかし僕にその頃の思い出はない。父の失業の事情は知らないし、たとえ知ったとしても刻まれた痛みは忘れることはない。母に対する仕
~1:桜、桜~「――桜、桜、か」それがサクランボの形になるであろう、数輪で束になって足元に落ちていた桜の花を拾って、つまんだままくるくる回すと彼女――近藤早はそう呟いた。見上げると頭上にはあまりにも見事な一本桜が咲いているが、昨日の野暮な雨と風のせいだろうか。残念ながらもうかなり散っていて、早が拾ったのもそんな一つだった。「――桜、桜、か」もう一度つぶやいた早は摘まんだ桜の花を鼻に近づけた。かすかに花のにおいがする
それからしばらくして、渡辺綱太郎の予想通りに雨が降り出した。次第に雨が強くなり、掘立て小屋の屋根を叩く。雨漏りも数カ所みられる。そんな時、渡辺綱太郎の腹の虫が鳴り始めた。「そういや、朝食べた後何も口にしていなかったな」そう思っていると、何処からか、良い匂いがしてきた。↓押してくれたら嬉しいです↓にほんブログ村
編笠で隠されていた山本蓮之介の顔が顕になった。色白で、端正な顔つき。編笠で隠れていた、その長く美しい黒髪は後ろに束ねても、肩には届く程だ。そして、よく見ると男ではなさそうだ。すかさず、編笠を拾い上げ、軽く叩いた、山本蓮之介。その一連の流れを見ていた未だうずくまる三人の浪人で、兄貴と言われていた浪人は、「お、お前…もしかしたら女…か?」と、声を絞り出した。↓押してくれたら嬉しいです↓にほんブログ村