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この記事を読んでくださる方は、申し訳ありませんが、ひとつ前のものからお読みになってください。前記事に掲載の「ときめき物語」、文字数がいっぱいになったので、その続きです。ーーーーーー続きさて、少し日を飛ばします。もちろん、僕と彼女は仲良く、朝の電車でラブノートを交換して、そのときにさりげなく手を触れあって微笑みあう日々が続いてる。W大学の入学試験は2月10日、彼女はそこ一本にかけると言う。不合格だったら、一浪まではして再挑戦したいそうだ。そのため、冬
前の投稿で、また心瑞々しくときめくような小説を書きたいものだと書きました。以前書いた自分の小説、2017年の2月から3月にかけて22回にわたって載せた約2万1千字の『ときめき物語』というものがあります。昔の1967年から1968年を舞台にした青春恋愛小説です。自分で創作したものを改めて読んでみて、わくわくしてきました。人生、何才になっても、「わくわく」と「心ときめく」ことは元気の源、意欲の源であると僕は信じています。ときめきのない人生は、寂しいと思いませんか?ときめきとい
昨日まで22日間、ときめき物語を連載しました。10代に戻った気分で書いていて、楽しかったです。この物語についてちょっと語ってみたいと思います。自分に筆力がないことは、自分で承知しています。でも、物語を創作するってことは、僕にとって楽しいことなのです。“ときめき”とは、意欲の源だと僕は思っています。ときめきのない人生は、つまらないと思いませんか?ときめきというと、男女関係のことがまず頭に浮かぶと思いますが、そうじゃないです。“ときめく“とは、「喜びや期待などで胸が
私立大学は2月上旬までは願書の提出、中旬は試験、下旬は合否発表、3月初めごろまでには入学手続きという日取りである。ゆみちゃんは、W大学文学部日本文学科、あと滑り止めにM大学へ、僕は、残念ながらいまだ合格の見込み薄のW大学理工学部建築学科と、うまくいけばは入れそうなM大学と、滑り止めとしてH大学へ願書を提出した。結果は、ほぼ模擬テストの合格確率通りの結果となった。ゆみちゃんは、第一志望のW大学文学部日本文学科に合格、M大学も合格である。僕は、悲しくも予想通りにW大学不合格、
予備校の冬期講習はあっという間に終わり、僕は3学期が始まり、ゆみちゃんは、予備校の普通授業が始まった。試験までは、ほぼあと1ヶ月、不得意科目の底上げに全力を尽くすのみ。最後の模擬テストでは、僕は英語と国語はトップランクだが、相変わらず数学と理科は中の上ランクで伸び悩んでいた。ゆみちゃんは、文系科目すべてにわたって上位ランクで、W大文学部の合格可能性は80%以上という成績になっていた。予備校の講習の最終日、僕たちはロビーで待ちあわせて、冬の陽が落ちた屋上へ行った。誰もい
ときが過ぎるのはあっという間だ。夏休みの予備校が終わり、暑かった日々が涼しくなって、そして寒くなる。その間、何回か、ゆみちゃんとデートしたよ。そして、早くももうすぐ冬休みだ。来年の元旦を除いて、12月25日から1月7日まで、僕にとっては最後の予備校講習だし、これで予備校とは縁を切りたいと思っている。夏休みの夏期講習を真面目にやり抜き、その後もこれまで一生懸命やってきたおかげで、僕の成績は、全体としては飛躍的に伸びていた。模擬テストは一応5教科受けていたが、英語は、ゆみ
夏期特別徹底講習会ということで、7月21日から8月20日までのまる1ヶ月間、日曜を除き授業がある。僕たちは、土曜日以外は、ほとんどの日、9時から昼休みをはさんで5時頃まで予備校にいた。本来的には、午前部、午後部、夜間部に分かれていて、授業は、9時から10時半、10時45分から12時15分、1時15分から2時45分、3時から4時半、4時45分から6時15分、6時半から8時となっている。僕たちは午前部は、2時45分までなのだが、席が空いていれば、それ以降の授業にも出ていいことにな
5月5日に会ってから、7月21日まで、2ヶ月以上もある。僕たちは、数日おきに手紙を交わした。僕は、どうということのない日常のこと、中間テストのこと、模擬テストでは第一志望のW大学理工学部の合格可能性は最悪だったけど、冗談で書いた第二志望の文学部なら合格可能性50%だったことなど、他愛もないことを書いた。彼女の方も、予備校に入ってから友だちができたことや、朝の国鉄は混み過ぎていて嫌だとか、そういうことを書いてきていた。7月20日で一学期が終わり、いよいよ明日からは僕にとっても
5日は、ゆみちゃんの希望で、上野の西洋美術館のレンブラント展に行くことになった。僕は、詩が好きだ、絵が好きだと言っていたけど知らないことばかりで、彼女にたくさんのことを教えてもらった。レンブラントだって、彼女に教えられるまで知らなかったのだ。重厚で写実的な絵、僕は好きになった。彼女が好きなものは僕も好きになる。それまでは、絵を見て作者が分かるのはピカソとルノワールくらいだったけれど、そこにレンブラントが加わった。館内では、一つ一つの絵について、ゆみちゃんが説明してくれた。一
よく晴れた春らしい心地よい日だなあ。こんな日は、ボート乗り場混んでいるだろうなあと思いつつ、僕たちはレモンを出て千鳥ヶ淵に向かう。お茶の水駅から二つ目のの飯田橋駅まで行き、法政大学がある方の出口に出た。改札口を出て、左方向へ道なりに十数分歩いて、九段下まで行く。もちろん、僕とゆみちゃんは手をつないで歩く。ときどき、つないだ僕の左手の甲が、ゆみちゃんのミニスカートの腿に触れてそのたびにどきっとする。途中に民芸品店があったので入ってみた。昔風の雰囲気の店で、凧、駒、紙人
5月3日、暖かくて穏やかな日だった。僕たちは国鉄Y駅で待合わせ、僕は少し早めに着いて、改札を出て近くのビルのそばに立った。ゆみちゃんが来たら、驚かそうというわけだ。すぐに、大通りの向こうから、ゆみちゃんがこちらに向かって歩いて来るのが見えた。遠くからでも分かる明るい青色のセーターに紺色のミニスカート、そして僕の大好きなショートブーツの可愛い子。近づくにつれ顔の表情も分かる。僕の大好きなゆみちゃんの顔、左の口角を少しだけ上げて微笑みながら改札口に着いた。まわりをひととおり見
※最後の行、訂正しました。4月から水道橋にあるK学館という予備校に通う⇒4月から御茶ノ水駅聖橋側出口にある予備校に通う残念ながら、彼女はW大学の入学試験は不合格だった。男子、女子ともに一浪くらいは当たり前の時代だし、最初からW大がだめだったら浪人すると決めていたので、不合格でも大したショックはなかったようだ。そしてまた、毎朝の“見つめあう恋5分間”が始まった。とは言え、卒業式は2月末なのでこれもあと10回ほどのことだ。そんなことを思うと寂しい気分にもなってくるが、ゆっく
さて、少し日を飛ばします。もちろん、僕と彼女は仲良く、朝の電車でラブノートを交換して、そのときにさりげなく手を触れあって微笑みあう日々が続いてる。W大学の入学試験は2月10日、彼女はそこ一本にかけると言う。不合格だったら、一浪まではして再挑戦したいそうだ。そのため、冬休みは予備校の冬期講習で一日中勉強、残り1ヶ月の半分は学校を休んで、家で受験勉強をするということになった。したがって、1月の車内5分間デートはは、せいぜい10回くらいしかできない。電話をすることも控えるこ
陽が落ちた公園は、岸壁沿いの通路に等間隔で街灯があるがけっこう暗かった。岸壁の太い手摺りに寄りかかるようにして海を眺める。さっき船内を見学した氷川丸には、きれいに灯がともり、遠くには船の灯りや岸辺に立つ建物の灯りが赤く見える。もう、家族連れは帰ってしまい、賑やかだった山下公園にいるのは恋人たちばかりだ。僕たちは、広い通路沿いに海に向かって並んでいるベンチに腰かけた。「きれいだね!」「夢みたい。遠くの灯りを見ているとなぜか懐かしいような気持になるなぁ」「何で
※一回読んだ方、すみません。一部訂正して出し直しました。並んで歩いていて気付いた。由美子さんは、176cmの僕より20cmくらい低いかな、156cmくらいかな。「由美子さん、身長156cmくらい?」「えっ!ずばりぴったりあたり」そっかー、僕より由美子さんはちょうど20cm低いんだ。近くで話すときいつも少し上向いているもんね。もうすぐ廃線になるという高架の貨物路線をくぐると山下公園だ。高架沿いに、いろいろな出店が並んでいる。「昼ごはん、簡単だけどここでいい
会ったあとのことは、昨日のうちによく考えて調べておいたのだ。会いました、話ができました、さて、ではこれからどうしましょうかじゃ男じゃないもんね。それこそ、ただの下級生になってしまう。由美子さんは、年下年上関係ないと言ってくれたし、自信ないとか言うなって言っていた。僕がリードしなくちゃだめだと思ったのだ。まずは、東京駅まで行った。さっき、喫茶店を出てからずっと手をつないでいる。僕の手の甲が、ときどき由美子さんの太腿に触れるたびにどきっとする。東京駅から東海道線で横浜
何にするか、由美子さんに聞いたら、山中君は何にするのと聞いてきた。クリームソーダ・・・あ、私もそれにする。「僕があの手紙を渡してから何日経ったかなあ」「私が山中くんを気になるようになって見つめだしてから何か月経ったかなあ」笑顔で返してきた。「いやあ、まいったな、僕だって気にはしていたんだよ。でもどう思われているか分からなかったし、自信ないもん」「ほら、また、そういう自信ないとかは言っちゃだめよ」「あ、うん、でもこうしてここで話しているなんて夢みたいだよ」「わたしだっておん
いよいよ日曜日の朝が来た。何を着ていくべきか、昨日から悩んでいる。K女子学院はお嬢さん学校だから、由美子さんもきっと良家の娘なんだろうなと思う。となると、清楚な服装で来るかなあ・・・それとも、ううむ分からない。僕は、どうしよう・・・まさか、1着だけ持っているアイビースーツを着て行くのもバカみたいだしな・・・結局、赤・青チェックのボタンダウンのシャツに茶系のセーターを着て、コットンパンツにスリッポンで行くことにした。もうすぐ12月なので、ラングラーのショートジャケットも手に
金曜日のきょうも、由美子さんは、僕のいる場所に乗って来た。僕たちは目を合わす。由美子さんは、微笑む。唇の左側の口角を少し上げて、首をちょっとだけ左に曲げながら微笑むのが癖のようだ。僕も微笑んでうなづく。まわりは喧噪、気づかれないように彼女のそばに行く。たったの二駅、私鉄の二駅なんて5分もない。話さない、見つめ合うだけだ。まるで、ハーマンズハーミッツの「見つめあう恋」みたいだなと思う。僕は、降りるとき、彼女にしか聞こえない声で、「昨日はありがとう」と言った。僕と由美
「わたしですよ」と言ったその声、言い方、すごく優しかった。まるで、年上の優しいおねえさんが弟に言っているような優しさを僕は感じた。「あ、あの・・・今、大丈夫?」「大丈夫よ、みんなテレビに夢中になっているから」僕は、準備しておいた言葉からスタートさせた。「きょうも屋上で会えたね、どうもありがとう」「きょうは、双眼鏡、持ってきてたのね、おかしくて笑っちゃった」「うん、だって、村上さんであること確認したかったし、顔をよく見たかったんだもん」「山中くん、わたし、もう10日く