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こんばんは。今回から、第48回試験の実技2に入ります。事例は2016年の4月9日~11日を採りあげています。問1(1)では、気象衛星画像の判読、全般海上警報の知識、300hPa強風軸の解析、寒冷渦の知識を問う穴埋め問題となっています。単なる穴埋め問題と考えるのではなく、これまでの知識の蓄積を確認する意味でいい問題ではないかと思います。※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの許可を頂いて使用しています。考察編は18日23時更新予定です。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・一般知識(a)「一般気象学」p183の「温帯低気圧の発達の模式図」を見ながら考えてみることにします。図の上段が500hPa面天気図、下段が地上天気図を表わしており、また図の左側から、発達の初期段階を「第1期」、中央の発達期を「第2期」、右側の発達過程が終了した段階を「第3期」として表わしています。また図中において、塗りつぶしで表している範囲を寒気、ドットで表している範囲を暖気、500hPa面の低気圧と地上低気圧
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第60回試験・一般知識まず、図について問題文の冒頭に説明があり、「北半球中緯度において水平方向にも高度方向にも一様な西風が吹く場があり、ある波動がこの場に重なった状況を考える。」とし、さらに「図は、そのような状態における東西方向の鉛直断面図で、等圧面pおよびp+Δp(Δp>0)の高度を細い実戦で、気圧の谷の軸を太い実線で示している。」とあります。ここで、pとp+Δp(Δp>0)がわかりにくい方は、例えば、p=500、Δp=200
こんばんは。前回の続きを考えてみたいと思います。(2)図3(上)の500hPaの高度・渦度解析図に基づき、図1で日本海にある低気圧の地上中心の上空500hPa面における正渦度移流の方向を16方位で答えなさい、ということですが、正直、「えっ?」っていう感じですね。「正渦度移流の方向」を求める問題はこれまでなかったような気がします。でも、落ち着いて考えますと、まず地上の低気圧の中心を図3に写しますと、ほぼ、正渦度の極大値、+240(×10-6/s)付近になります。次に正
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第50回試験・実技2・問2初期時刻の2日21時から4日9時にかけての日本海西部の低気圧とトラフTの動きを、低気圧中心は青の×、トラフTを赤の線で示してみました。この4枚の図を追跡ながら見てみますと、トラフTは、2日21時には、低気圧から北西に離れていたところ、時間が経過するにつれて次第に南下しながら4日9時には低気圧のすぐ西側に接近していることがわかります。したがって、今回の問題は、トラフ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第50回試験・実技2・問2(1)まず、4日21時に予想される低気圧に伴う寒冷前線に対応する等温線ついて考えてみます。前線の解析には、等温線集中帯に暖気側(南縁)に着目して決めることが重要な要素の一つになっています。そこで、図9(右下)の図を見てみますと、等温線が3℃ごとに引かれていることに留意して、特に東経140°付近では9℃の等温線の北西側は等温線が相対的に混み合っているのに対して、9℃と12℃の等温線の間隔は広いことから
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。(a)(b)まず、気温について考えてみます。二つの等圧面間の高度差のことを層厚(そうこう)とよんでいるんですが、実は単位面積あたりの気柱で考えた場合、Aの等圧面間の気柱の重さとBの等圧面間の気柱の重さは同じになります。それでは、AとBの気柱の重さは同じなのに高度差、つまり層厚に差が生じる原因は何かといいますと、気温の違いによるものです。A付近では層間の空気密度が小さい、つまり空気を構成する気体の分子が活発に飛び交
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第57回試験・実技試験1・問1今回は、初期時刻(14日21時)の12時間前にあたる14日09時の地上低気圧の位置の緯度・経度を図1の情報に基づいて求めよ、という内容です。12時間前の地上低気圧の位置を求める方法を上図に示してみました。問1(1)①で触れましたように、地上低気圧は東北東に20ノットで移動しています。まず、12時間前の位置を求めるにあたって、このノット(KT)がどういう単位なのかを押さえておく必要があります。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第50回試験・専門知識(a)(第37回試験・専門知識・問11より)降雪量とは、ある時間内に地表面に積もった雪の深さのことをいいます。降雪の予報において降雪量を直接予測することは難しいですので、初めに降水量を予測して、それを降雪の深さに変換するという方法がとられています。厳密には、図のように、地上の気温と雪水比(降雪量の降水量に対する比率)の関係から降雪量の予測値を求めることができますが、簡易的に変換する方法とし
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第57回試験・実技試験1今回は、穴埋め問題ということで、本文の段落ごとに読んでいきながら考えてみます。(第1段落)まず、「地上天気図(図1)によると、九州の南西海上に中心気圧(①)hPaの低気圧があって、東北東に(②)ノットで進んでおり、低気圧から前線がのびている。」とあります。図1を見ますと、北緯30°東経128°付近にある、前線を伴った温帯低気圧がこれに該当します。地上天気図において等圧線は4hPaごとに実線で引か
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)まず本文では、日本海北部の低気圧に伴う雲域について、「中心付近には中下層の雲渦がみられ、その北側にはバルジ状の厚い雲域がある。」とあります。文の後半にある「バルジ状の厚い雲域」が存在していることから、日本海北部の低気圧は発達期またはそれ以降の閉塞期(最盛期)のいずれかに絞られてきます。さらに、今度は水蒸気画像に着目しますとわかりやすいのですが、低気圧の中心に向かってその後面から暗域が入り込ん
こんばんは。今回は、図5の名瀬または鹿児島のエマグラム(状態曲線)が初期時刻(6月14日21時)の12時間前の6月14日09時の観測の者であることに関連して、初期時刻に九州の南西海上にある温帯低気圧が12時間前にどの位置にあったか、を割り出す内容の問題です。図1の情報を基にどのように求めるか、次回一緒に考えてみたいと思います。第57回試験・実技試験1・問1(3)問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。15日分の考察編は次回更新の予
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第50回試験・実技2・問2(1)それでは、順にaから求めていきます。a:緯度10°は600海里ですので、これを図上で測りますと,微妙な個人差はあるかもしれませんが、僕の場合は32mmとなりました。2日21時すなわち初期時刻までの24時間の移動距離を図上で測ってみますと、1日21時~2日9時は13mm、2日9時~2日21時は14mmで計27mmとなります。したがって、600×27÷32=506.25、50の倍数での解
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第52回試験・実技1今回は、問題文がややこしいので、問題文の内容を改めて整理してみます。本問で対象となっているのは日本海に予想されている低気圧、すなわち問1で初期時刻に本州付近にある台風です。この台風が温帯低気圧に変化しつつある状況であることを示唆する特徴を図6を用いて・500hPaでは-6℃および-9℃の等温線に着目し中心付近の気温の変化について35字程度・700hPaでは乾燥域に着目して中心付近の湿数の
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問3今回は、図7(上)の地上気圧・降水量・風12時間予想図について低気圧の進行方向前面にあたる関東地方の、地上気圧の分布の特徴およびその分布と関連する大気下層の気温分布の特徴を図8(上)850hPa面、図9の925hPa面に着目して述べよ、という問題です。この問題では、2つの「特徴」について40字程度で解答しなければなりませんので、どちらについても過不足ないよう解答に盛り込む必要があります。そこで問われてい
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第61回試験・専門知識(a)(b)まず、「一般気象学」p192、図7.24『冷気が暖気の下にもぐりこみ、位置のエネルギーが減ることを示す模式図』を見ながら考えてみます。温帯低気圧の発生・発達に結びつく約数千km規模の偏西風帯の波動のことを「傾圧不安定波」とよんでいます。この傾圧不安定波がもしも起こらないとしますと、ジェット気流を挟んで赤道側では吸収する太陽放射エネルギーが宇宙空間へ出ていく地球放射エネルギーよりも大きく
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第50回試験・実技2・問2(2)(図9右下より、6℃の等温線に沿って解析した前線)図9の4日21時に予想される低気圧の中心位置を基に850hPaの前線を6℃の等温線および風向も参考にしながら解析してみました。次に問題文にあります通り、北海道付近の走向に着目しますと、前線は、16方位でほぼ南‐北の走向となっていることがわかります。よって、走向は南‐北(北‐南)ということになります。では。
こんばんは。今回は、図6の500hPa気温・700hPa湿数の12時間予想図と36時間予想図を用いて、500hPaの気温と、700hPaの湿数のそれぞれにおいて、台風が温帯低気圧に変化する状況を示唆する特徴を解答するという問題です。問題文が少しややこしいですが、ここで慌てず、要点を整理して解答に臨むという意識で演習してみましょう。次回、一緒に考えてみたいと思います。第52回試験・実技1※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。(小倉義光「一般気象学」東京大学出版会p183より)寒冷前線と温暖前線に挟まれた温度の高いところを暖域と呼んでいます。地上付近の温度が高いわけですから、上空に寒気が入りますと、大気の成層が不安定になるため、暖域内で降水が起こりやすいわけです。したがって、②の下線部が誤りということになります。(小倉義光「一般気象学」東京大学出版会p184より)②の下線部を「成層の鉛直安定度が悪く、天気が不安定であ
こんばんは。今回の専門知識は、北半球の偏西風帯における、東進する発達中の温帯低気圧についての問題です。発達中の温帯低気圧や、それに伴う温暖前線と寒冷前線の仕組みについて、次回一緒に考えてみたいと思います。第61回試験・専門知識問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。14日分の考察編は次回更新の予定です。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識(a)温暖前線の模式図とある任意の地点Aにおけるエマグラム(状態曲線)を載せてみました。温暖前線では、寒気の上を暖気が滑昇している構造をしていますが、寒気の上にいきなり暖気があるわけではなく、接している部分には転移層(遷移層)という部分があります。この部分の温度分布はどうなっているかを右側の地点Aにおけるエマグラムで見ますと、下層では寒気、上層では暖気がありますので、高度が高くなるにつれて温度が高くなっ
こんばんは。(一財)気象業務支援センターから、第55回試験の合格発表がありました。受験者数2,616名のうち、合格者数が146名、合格率5.6%という結果でした。この度合格されました皆様、合格おめでとうございます。今はコロナ禍で難しいですが、同じ気象予報士としていつかお会いできる機会がありましたら、その節はよろしくお願いします。当ブログをご覧の方で、これから次回の8月の試験に向けて、「次回こそは合格」という気概ですでに始められている方が多くいらっしゃるかと思います。時間はあります
こんばんは。早速ですが考えてみたいと思います。(1)問題の冒頭では解答に際し、細かく指示されていますので、見落とさないように注意が必要です。マーカーペンなどで忘れないよう、チェックするなどで習慣付けましょう。①まず図1の気象衛星画像を見てみます。中国大陸から日本の東海上に延びている帯状の雲域ですが(1)の冒頭にあります通り、10の倍数で解答することに注意しますと、「北緯30°に沿って」ということになります。①30②南西諸島付近に着目しますと、可視画像・赤外画像と
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・一般知識(a)「一般気象学」p183の図7.4の『温帯低気圧の発達の模式図を見ながら考えてみます。温帯低気圧の発生・発達に結びつく約数千km規模の偏西風帯の波動のことを「傾圧不安定波」とよんでいます。この傾圧不安定波がもしも起こらないとしますと、ジェット気流を挟んで赤道側では吸収する太陽放射エネルギーが宇宙空間へ出ていく地球放射エネルギーよりも大きくなるため大気の温度が上昇しようとする一方、極側では逆になり大気の温度
こんばんは。今回の専門知識は気象衛星画像の解析についての問題です。問題では、同日・同時刻の可視画像・赤外画像・水蒸気画像がありこれらから読み取れる現象について述べた本文の空欄を穴埋めする形になっています。では空欄を埋めるにはどのように読み取ればよいのか、次回一緒に考えてみたいと思います。第55回試験・専門知識※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。18日分の考察編は次回更新の予定です。
こんばんは。西日本を中心に大きな被害をもたらした台風5号(ノルー)。上陸してからも日本海側をノロノロ北上して、明日(9日)夜に温帯低気圧に変わるようです。昨年夏、幾つかの台風が東北や北海道に接近或いは上陸し大きな被害を与えると言う、今までとは違ったパターンの台風が現れたのは記憶に新しい所ですが、今回の台風も発生から約半月も生き延びると言う長寿ぶり、且つ本州に上陸してからもスピードを上げる事無く北上すると言う、昨年とは違った意味であまりお目にかかれない台風でした。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第56回試験・一般知識今回は、北半球における発達期の温帯低気圧について、温帯低気圧の構造、どういう状況で発達するのか、また温帯低気圧の発達による熱の輸送などを述べた文の正誤を「一般気象学」p183の図7.14『温帯低気圧の発達の模式図』、およびp185の図7.16『発達中の地上低気圧と500hPaの気圧の谷の相互位置』を見ながら(a)から考えてみます。(a)図7.16をご覧いただきますとわかりやすいですが、本文の「低気
こんばんは。沖縄付近で「猛烈な」レベルだった台風は北上と共に急速に衰えて温帯低気圧に変わったようですが、我が家付近(東京の外れ)では先ほどから時折強い風が吹いているようです。台風から温帯低気圧に変わりましたが、雨も風もまだ油断は出来ませんね。そして明日(6日)も暑いとか。いつになったら衣替え出来るのやら・・・。さて、我が家には中学生と小学生の子供がいますが今回は中学生の上の子に関するお話を・・・。小学校同様、中学校でも様々な行事があります。今月は校内合唱コンクー
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第59回試験・専門知識(a)(気象庁HP:知識・解説>気象衛星・気象観測>ウィンドプロファイラ「データの見方の例前線の通過」より)上図の2015年5月12日の市来(鹿児島県)のウィンドプロファイラの観測と12時の地上天気図の例を使って考えてみます。12時の地上天気図では薩摩半島にある市来はすでに寒冷前線が通過した後であることがわかります。そこで、寒冷前線が市来をいつ通過したのか、ウィンドプロファイラの観測で見てみますと、