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「お邪魔しまーす。」周りを伺いながら足を踏み入れる雅紀を招き入れ途中寄ったスーパーの買い物袋をダイニングキッチンのテーブルに置いた。3週間前に引っ越した先は大学がある駅の1つ先の駅で築10年の2DKの中古マンション。シャワー風呂もウォシュレット付きトイレも完備だし学生の一人暮らしには妥当だ。いやこのご時世贅沢過ぎるかもしれない。コンビニはもちろんスーパーも飲食店もコインランドリーだって徒歩圏内。何より嬉しいのは雅紀の通う大学の最寄り駅だ。「築10年とは言え今風にリノベーションされてる
雅紀は今朝は早く出ていったから顔は合わしていないのだけど、ドラマの最終回は途中から見れた。雅紀も今頃見終わってホッとしてるだろうか。俺は生放送に向けて、もう1度資料に目を通し内容を完璧に頭に叩き込み、自分の言葉で発言出来るよう整理する。すっかり日付けが変わったと言うのに、明るい街中を家へと向かいながら思いにふけっていた。今も当たり前のように、雅紀の所に帰ろうとしているが、何故雅紀だったんだろう。雅紀も何故、俺だったんだろう。理由何て分からない。気がつけば雅紀の存在が特別になっていて、
しょーちゃんがセリフを覚えてる横で俺は洗濯物を畳んでいた。しょーちゃんのTシャツ……。しょーちゃんが台本を閉じたのを見計らって声をかけた。「しょーちゃん…このTシャツの首のとこ穴開いてるから捨てていい?」「ん……あっ!ダメだって。まだまだ着るの!」「何で?Tシャツいっぱい持ってるでしょ?」「覚えてないのか?このTシャツは雅紀が初めて選んでくれたやつだぞ。」「え~そうだっけ?」「空き時間に一緒に買い物行った事あるだろ?あの時、雅紀が選んでくれたんだよ。」しょーちゃんは物をとっても