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「お邪魔しまーす。」周りを伺いながら足を踏み入れる雅紀を招き入れ途中寄ったスーパーの買い物袋をダイニングキッチンのテーブルに置いた。3週間前に引っ越した先は大学がある駅の1つ先の駅で築10年の2DKの中古マンション。シャワー風呂もウォシュレット付きトイレも完備だし学生の一人暮らしには妥当だ。いやこのご時世贅沢過ぎるかもしれない。コンビニはもちろんスーパーも飲食店もコインランドリーだって徒歩圏内。何より嬉しいのは雅紀の通う大学の最寄り駅だ。「築10年とは言え今風にリノベーションされてる
アメ限だけど一応前回の話S‐sideそれから俺たちは風呂に入り2人でお茶を飲んでいると不意に雅紀の携帯が鳴った。「ごめんね。お父さんからだから・・・」「ほら、気にしなくていいから早く出ないと。」申し訳なさそうに電話に出てる雅紀を横目で見ながらそう言えば雅紀の親父さんって何の仕事やってるのだろうって思っていた時だった。「今日はいいよ。友達来てるし。えっ?もう近くまで来てる?そんなの友達も予定があるかも・・・」そう言って困ってる様子に、俺は肩を叩きO
前回の話M‐side今日は久しぶりに大輔さんに会った。向こうは俺の事言いように思ってないから仕方ないけどいつにも増して嫌味ったらしかった。そんなのはもう慣れてるから適当に作り笑いで誤魔化してたらお父さんがしょーちゃんのお父さんに仕事で会った事を聞いた。「父さんはやけに雅紀の友達の事気にしてるみたいだけど、お前らそんな関係なわけ?」軽蔑の色を隠そうともしない大輔さんと話などしたくなかったけど、しょーちゃんの事を悪く思われるのは嫌だ。「そんな関係って意味がわかりません
前回の話M-sideしょーちゃんから思いがけず漏れた引っ越し……。もうあの人の事忘れようと思っていた時に後押しされるようにしょーちゃんとまた再会した。この部屋もあの人と少しだけだったけど暮らした部屋だったから、その方がいい。しょーちゃんは忙しいのに色々調べてくれていて、僕ん家に来た時、ピックアップした部屋を見せてくれた。「うわぁありがとう。どれにしたらいいか迷うね。」「今度一緒に不動産屋に行って実際見せて貰おうか。」「そうだね。しょーちゃん忙しいのにありがとう。」「そんなの、俺
前回の話Mーsideしょーちゃんからの真っ直ぐな告白は本当に嬉しくて、幸せだった。暫く恋愛はいいかなって思ってたから何かまだ夢みたいだった。今日は初めてしょーちゃん家に行く。めったにない一緒の休みだから前の日からしょーちゃん家に行く事になっていた。最寄駅に降りるとしょーちゃんはもう待ってくれていた。「しょーちゃんお待たせ。」「買い物行くんだろ?」「うん。しょーちゃん食べたい物ある?」「それなんだけどさ…ちょっと問題があるんだ。」日が暮れてもまだまだムッとする暑さの中しょーちゃ
前回の話M-side今日は僕は休みで引越しの荷造りをしていた。この部屋であの人の事を待っていた事が遠い昔に感じられるぐらい今はしょーちゃんでいっぱいだった。そろそろお昼にしようかなって思ってたらしょーちゃんからの連絡。『あっ、雅紀。今日さ早く仕事終われそうだからそっち行っていい?』「うん。じゃあ夕飯作って待ってるね。リクエストある?」『雅紀が作る物はどれも美味いから何でもいいよ。』「分かった。じゃあまた後で。」『うん、また会社出たら連絡する。』昼休みに掛けてきてくれたんだろう
前回の話J‐side大学からの帰り道車から降りてきた櫻井翔を見かけた。初めて見た車だったが・・恐らくあの車の主は。「車に何睨み付けているんだよ。」「あぁ?あ・・松本か。」「さっきの車に乗ってたのってまさか・・・」「雅紀の親父さんだよ」「やっぱり・・・で、何て?」そう言うと自重気味に笑いながら言った。「雅紀とは会うなだってさ。親に雅紀を紹介出来るかとか言いやがって。」「へぇ~でも何でそんなに目の敵にされてるんだよ。」「分かんね-よ。そんな頻繁に雅紀に会
前回の話Sーsideあれから何事もなかったように相葉くんからは連絡はなく自分からすればいいのにちっぽけなプライドが邪魔してそれも出来ずにいた。ある時偶然学食で松本に会ったって言うか学部は同じだから同じ講義を受けてる事はあるけど、何となくお互い距離を取っていた。だが、今日は何故か松本が俺たちの所にやって来て前にどっかり座った。喋る前から戦闘モードじゃねーか。上等だ負けるかよ。「あのさ、この間何でまーの居場所わかったんだよ。」「前に一緒に行ったから、そこしか浮かばなかったしもしかしたら
前回の話Sーside個室に案内されたそこは鰻屋だった。メニューを見る事なくいつものって言ってそこは店員さんも心得てるのかすぐに部屋を後にした。「さっきの話だけど、櫻井くんは何か目標でもあるの?」「目標ってほどでもありませんが…外交官を目指してます。」「ほう。しっかり将来も考えて素晴らしい。雅紀もいい友達を持ったね。」俺もだから雅紀は尚更だろう。珍しく不機嫌な顔をしていた。「お父さん、もうしょーちゃんの事はいいでしょ。俺はしょーちゃんがどんな道に進もうと関係ないし。」「何言って
前回の話翌朝、目が覚めるともう雅紀はキッチンにいた。何か新婚みたいでくすぐったいような気持ちになる。「雅紀おはよう。」「あっしょーちゃんおはよう。もう出来るから顔洗って来て。」「うん。」鏡で自分を見たら見事にニヤケていた。リビングに戻るとサンドイッチとコーヒーが置かれていてそれだけで幸せな気分になる。「うまそー。」「早く食べないと映画の時間に遅れちゃうよ。」「そうだな。いただきます。」「どう?」「うまい!」「良かった~。」手作りの朝食なんていつぶりだ、って思い出せな