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インターネットを検索していたときに、平安時代に関するコラムを偶然目にしました。砕けた文体で書いておられますが、最後に参考文献、つまりは出典を明記しておられたのが目に留まりました。信頼に値する書き手の方だと納得しました。私のような仕事の場合、プログラムの曲目解説ぐらい字数があると、出典を明記しやすいですが、短くなってくると「音楽学者〇〇の論考によれば」と記すのがやっとです。放送原稿の場合は、それすらも出来ないことが多い。どうしても、時間的な制約があるからです。でも、工夫して、一回でも参考文
人によって、経験値の幅が違います。自分が経験したこと以上の経験を積んでおられる方に対して、自分が出来ることは、創造力を駆使して理解しようとする「姿勢」を保つのみです。自分が経験していないことを経験しておられる方に、自分の経験の閾値のなかで、何か言うとしたら、それはすべて想像の世界になってしまいます。出来る限り、想像力を高めることは勿論なのですが。そういう場合、意見を言うよりも、共感する、もしくは気に留めずに置くことの方が、未来へとつながるように思います。昨日読んだ記事で、「数学の天才少
NHK-FMの『オペラ・ファンタスティカ』を聴いて下さった皆様、本当に有難うございました。この番組枠では、たまに、バロックものの担当が回ってきます。私も自宅でエアチェック(死語なのかも)しながら、一般社団法人の決算資料を作っていたのですが、番組が無事終わって夕食の準備をしていた時、ふと、パソコンの画面に映った動画に目が釘付けになりました。アトピーのとても酷い症状を患っていた青年が、症状改善に成功したという短いものでした。映し出される傷というか、アトピーの症状がとても痛そうで、観ていて本当
チェレスタといえば、チャイコフスキーの《くるみ割り人形》。有名な〈金平糖の精の踊り〉で使われますが、第2幕のフィナーレでもちょっとだけ出てきます。そこではハープと絡んで本当に壮麗に響く。生の舞台で観ていると、ちょっと目頭を熱くさせるような音楽です。ちなみに、良く似た音色のグロッケンシュピール(鉄琴)も、《くるみ割り人形》の第1幕でよく聴こえてきます。このグロッケンシュピールは、マレットで叩く平面のものと、鍵盤がついたものがあります。モーツァルトのオペラ《魔笛》のパパゲーノ自殺の場で、それを
先日、放送原稿を書いていて、最終チェックのために、10年以上前に読んだ日本語の本(翻訳書です)を再確認しようと思いました。すると、無い。捨てる筈も誰かに貸すはずもない珍しい本です。でも、日本語の本はリスト化していないので、「ひょっとしたら図書館で借りたんだっけ?」とも自問自答。しかし、「いやいや、戦前の翻訳書だよ。どこの図書館で借りられたんだよ」とも思い直す。結果、古本屋さんのサイトを検索して、しょうがないのでまた同じ一冊を買うことに。期限まで一週間以上あるからその間に届けば大丈夫。価
秋にも咲いて春にも咲いて・・・よく働く薔薇の木です。「マリア・カラス」というブランド名です。ほかにも蕾が幾つも付いています。日常に彩りを添えてくれるのが本当に有難いです。苗を下さった方にも感謝しきりです。★★北陸地方の震災の義援金について、新しいお知らせが出ていました。https://www.jrc.or.jp/domestic_rescue/2024notoearthquake.html★★★WCARS(一般社団法人国際総合芸術研究会)のブログです。ご参考まで。htt
以前、パリのプチ・パレで「オペラ・コミック座の歴史展」が開催されていて、偶然、その時期に滞在していたので、行って、図録も買ってきました。ビゼー、ドビュッシー、ブリュノーなどの自筆譜を眺められたのは、本当に貴重な体験でした。ビゼーは読みやすかったです。かっちり書いてありました(が、赤鉛筆でばっさり消したりも)。手書きの譜面といっても、「作曲者の自筆稿」と「コピイストの書写の譜面」があります。コピイストの書写の譜面の一例を、手持ちの資料からご紹介。こちらは、以前、日生劇場さんから頼まれた曲目
500円玉が財布にあると恐怖を感じます(!)なぜなら、自動販売機で使えないことが多いから。切符もジュースも買えません。何のための硬貨なのだろう?と思います。誰がどういう風に理由を説明してくださっても、「使いづらい貨幣」には困惑します。最近、考え付いたのは、小銭入れに500円玉を見つけたら、郵便局に行って切手を1枚買うことです。いつか必ず使うし。しかし今日、東京都美術館で開かれるコンサート批評前に喉が渇いたから飲み物を買おうと思い、財布を開けると500円玉しか入っていませんでした。はあー
――2014年8月25日投稿―――2024年4月23日更新――アヴェ・マリアは、ラテン語で”こんにちは、マリア”とか、”おめでとう、マリア”という意味があります。また、この言葉で始まるキリスト教の聖母マリアへお祈りは、さまざまな作曲家によってメロディが付けられています。シューベルト、グノー(バッハ)、カッチーニのものが、世界三大アヴェ・マリアと言われていますが、中でもシューベルトのアヴェ・マリアが一番有名でしょうね。この曲は、もともと宗教曲として作曲されたものではなく、イギリ
その昔、ジャン=ブレーズ・マルタン(1768-1837)という名歌手が居ました。バリトンにしては高い音が出せる。テノールにしては低い音が出せる。バリトンにしては声が細く、テノールにしては声が太い・・・といった声音の持ち主であったようです。それで「バリトン・マルタン」という声種が生まれました。主に、オペラ・コミックやオペレッタ(フランス語でオペレット)のジャンルで、このBarytonMartinという声種指定の役柄がみられます。彼自身が初演した役柄は、例えばメユール、ダレラック、ボーエルデュ
講演会でちょっとだけ(20秒ほど)ピアノを弾くことになり、そのパッセージを練習する羽目になりました。といっても、たった20秒ですが。オペラのヴォーカル・スコアを観て、左手で出来る限り伴奏部全体を再現して、右手では歌のパートを弾いて伝えるようにするというだけのことですが、それでもまあ、練習はやっておいた方がよいですね。講演会でピアノを弾くことは実は結構ありますが、大抵の場合は、解説中に「弾いた方が皆さんに分かり易いかな」と思って、その場でさっと弾いて終わるだけなのです。だから演奏時間は5秒ほど
この3つのソロ・ナンバー(イタリア語ならアリアですが、フランス語の曲ばかりなので、アリアとは書けず、また、楽譜通りに書くとスタイル名がバラバラになります)は、すべて、同じ「声種」に充てて書かれたものです。しかも、その声種の名称が「人名」なのです。フランス・オペラ特有の「際立つ個性を持った歌手の名前を遺して、その人の声の個性を後代に伝えたい」という考え方から生まれた声種の一つ。1番目の曲は、「その声種のもとになった大歌手のために書かれた曲」です。2番目の曲は、「声種のもとになった大歌手の声を実
フランスの文豪フロベールが生み出した架空の人物、サランボー。古代のカルタゴを守る巫女さんです。敵の首領マトーと恋仲になるが、最後は悲劇で終わります。ちなみに、あの将軍ハンニバルの父親が、彼女の実父という設定です。となると、サランボーはハンニバルの姉か妹になりますが(異母きょうだいかも)、ハンニバルは実在の勇将。サランボーはフローベルの筆から生まれたキャラクターです。このサランボーの物語は、何回かオペラ化されています。ムソルグスキーも未完の作品を遺していますが、有名なのはエルネスト・レイエ