ブログ記事3,574件
非定型精神病は典型的には更年期以降に診られる精神疾患で女性が多いが、患者数はかなり少ない。過去ログにも記載しているが、「私は非定型精神病の患者さんは診たことがありません」と言う経験豊かな精神科医は、たぶん非定型精神病を双極性障害かパーキンソン病か統合失調症と診断している(と思う)。非定型精神病とは診断していないだけである。経験的には非定型精神病はリーマスで改善することが多いので、確率の高い治療薬の視点で双極性障害と診断する人の診断感覚は悪くない。個人的にはコアな非定型精神病の患
10年前のカルテを見ると、長期間いろいろな治療を行っているがうまくいっていない。抗精神病薬については、内服、注射を含め高用量を使っても効果は乏しかった。それは今回も同様である。今回の緊張病症候群の重さと抗精神病薬の効果の乏しさを考えると十分に悲観できる状況だった。その理由の1つは年齢的に10年前よりリスクが増していること。前回と同じだけ治療に時間がかかるのも良くない。これはECTも視野に入れるべきと思われたので家族を呼び本人の病状を見せECT実施の承諾を得た。その数日前から、治療につ
後半とあるが、前回の記事とは直接関係はない。今回はリーマスの少量で驚くほど効果が出る話。ある時、入院中のパーキンソン病の婦人の妄想の治療について相談を受けた。それは身近な人との妄想であるものの、真の統合失調症の妄想ではなく、また真の器質性妄想とも言えなかった。(「統合失調症っぽくない妄想」参照)過去ログでは中核的な統合失調症の妄想は登場人物にありえない人が出てくるので、すぐに妄想とわかると記載している。一方、器質性疾患では身近な人との関係妄想が多く、無関係な人たちが出てこないため、詳
先日、「人間の秘めたるエネルギーと治癒の謎」の記事に以下のようなコメントがあった。この患者さん、すごく自分に似ています。が乳幼児よりアトピーと言われ、内服外用含めステロイドを使用してきた自分のターニングポイントは、イトラコナゾールの内服でした。真菌つまりカビの治療をしたところ、ひどい皮膚症状も、メンタル面も大きく変化があったのですが、処方した皮膚科医すら「わけがわからない」と言い、メンタル医も皮膚症状以外の改善については深く言及してくれません。しかし、自分では妄想気分がなくなり、頭の中
一般に、抗精神病薬は用量の増加により線形に効果が発現する。しかし一定の量を超えると、もはや効果の上昇は望めず副作用が増えるだけになる。このようなことから少量域で線形だが、大量域では頭打ちになるので完全な線形にはなってはいない。これは定型抗精神病薬でよくみられる。非定型抗精神病薬のうちレセプターにタイトに結びつくタイプ、リスパダールなども概ねこのパターンである。しかし、エビリファイはそうなっていない。エビリファイは必ずしも用量増加に線形に効果が強くなるとは言えない。エビリファイはドパミ
今日はある事例を紹介します。現在46歳になる鈴木さん(仮名)という女性の話です。鈴木さんは平成20年3月(35歳の時)に幻聴、被害妄想、思路障害といった症状が出現し、ある大学病院の精神科を受診したところ、統合失調症と診断されました。そして3か月間の入院生活。その後、病状は一進一退し、投薬も長期にわたりました。再発したこともありましたが、その後安定。しかし、症状がなくなっても服薬は続きました。服薬中はずっと副作用に苦しみましたが、医師からは「統合失調症は一生薬を飲まなければならない」と言
うつ病って心の病ではなく脳の病気らしい。私は非定型精神病だけどやはりそれも脳の病気になるのだろうか。でも私は心の病って言ったほうがしっくり来るしそう呼びたい。本当は脳の病気っていわなくてはいけないとしても。私は心の病になってやはり心を病んでいる感じしかしないからだ。だから脳の病気と言われてもなんだかピンとこない。良い一日をお過ごしください。
レキサルティは服用後、表情を改善させるなど何も会話しなくても善し悪しがわかりやすい。特に表情の険しさが弱まり、笑顔も出てくるとその人には合っている可能性が高い。この変化が顕れるのは2~3日目くらいである。また不眠などの良くない副作用が出るのも比較的早い。当初よさそうに見えても、その後、やはり良くないこともある。不眠などがなくても、過敏性が出て妄想が惹起することもあるからである。最初の数日で不眠が改善した人は有望である。レキサルティは不眠になる人と、不眠が改善する人がおり、変更する前薬