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10.会での勝手の手の内を考えるここからは、さらに細かな部分の射技の疑問について仮説をたて、妥当性の検証を行っていきたいと思います。勝手の手の内の機能を考えてみましょう。①矢こぼれしないように、矢を保持する。②引き分けのとき、暴発させないように取り懸けをロックする。③軽妙な離れを生む。④弦をブレ無く送り出す。これら、的中に直結する複数の機能を果たさなければなりません。弦を握って離せば良いといった単純なものではないということです。①②③については、これまでに説
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>つづきさてここで、会での力の釣り合いを式に表すと、以下のようになります。弓力=骨格に加わる力+骨格を支える筋力+α(両腕を残身まで開く力)引き分けが終わった状態では、このαは、ほぼ0です。会の中でこのαを生み出していく、この力の変換を行うことが張り合いということにもなります。αをできるだけ大きくすることによって、鋭い大離れを生むことができるわけです。では、具体的にどうすればいいのか?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?今回は、押し手で大事なポイントの話をします。押し手で大事なことは、押し手の手の内と弓との十文字です。押す力をまっすぐに弓に伝えるための形です。弓の力を支えているのは筋力ではありません。骨格です。これは、疑う余地も無い事実です。筋力は弓の力を支えている骨格をサポートしているだけなのです。したがって、弓を引くときには、支える骨格の形が大事なポイントとなり、重要な部位の十文字を守るよう教えられます。三重十文字や五重十文字
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?学生の時は、最初は高校からの経験者に早く追いつこうと、やみくもに練習をしていたように思います。それから、よく中る先輩のようになりたいとか、試合で勝ちたいとか、少しづつレベルアップしてモチベーションUpにはことかかなかったと思います。でも今はそういったきっかけも少なく、どうやれば集中力、モチベーションを下げない練習ができるのか、私が工夫してやっている方法を紹介しますので、参考にしてください。<仮説14>集中力、モチベ
12.取り懸けで親指を押える位置は?取り懸けで、親指の先端は中指のどこの位置にするのが良いのでしょうか?この質問もよくされます。取り懸けの方法は流派によって違いがあるようですが、ここでは、私が教えられてきたものに、物理的な解釈を加えた方法を説明します。<仮説3>勝手の親指を押さえる位置は中指の第1関節真下が良い?<検証>結論から言います。取り懸けた時の親指の先端は、中指の第1関節真下でないと、軽妙な離れは生まれません。会での取り懸けは、3つの指をほぼ平行に近
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>張り合いを単純に表現するならば、離れるまで、以下の3つの方向の力をかけ続けている状態となります。これら以外の力が働くと、押し手や勝手がブレて矢は的付け通りには飛び出しません。せっかく整えた的付けを、わざわざズラして離すことになるのです。張り≒押し手で矢軸線上に真っ直ぐ押そうとする力+矢軸線上に勝手を残身の位置まで真っ直ぐに開こうとする力+取り懸けを解こうとする親指を中心としたカケ解きと弦捻り
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについてさて今回は、いただいた質問に答えることにいたします。10.会での勝手の手の内を考えるの中での「勝手の中指で親指の腹を押し出す」ということを、もう少し具体的に説明したいと思います。<仮説20>勝手の中指で親指の腹を押し出すについて<検証>引き分けの時は暴発しないように、勝手の中指と親指は第1関節部分で押えあっていることでしょう(写真①)。取り懸けを薄くするには、写真に示すように中指と親指の第2関節部分で押し合うようにしなけれ
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)手を開いて(緩めて)離す。初心者はこうしなければ離れられないので初めは仕方がありません。一番簡単な離し方なのですが、的中も出ないし、弊害だらけです。初心者の域から抜け出すなら、手を開いて(緩めて)離すことの弊害を理解し、取り懸けを解いて離れる方法を身に着けて、上達への道へ踏み出しましょう。離れだけでなく、残身での味わいや心地良さも変わってくると思います。①弦で耳や頭や腕をはらう。矢をほおに付ける
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>つづきでは、どうやって取り懸けを解いて離れるのでしょうか?親指と中指をクロスさせた状態で、取り懸けはどうやって解けるのでしょうか。これは難解な知恵の輪を解くことと似ています。暴発させてはいけないが、ブレのない軽い離れでなければならない。完全に相反して矛盾しています。なので、多くの人は、握り込んで暴発を防ぎ、手を開いて離す、となるのは仕方がないと思います。取り懸けを解く離れを生むためにやれるこ
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~<張り合い>つづき勝手の親指はそらすの?親指の付け根の関節(三つ目の関節)は手首の近くにあります。押し手で角見に弓力がかかったとき弓と押し手の手の内の十文字ができていなければ、弓力に負けてこの関節で折れてベタ押しになります。ベタ押しでは弓の姿勢をコントロールできないので、親指の付け根の関節から先を弓に真っ直ぐ押せるように、角見部分の皮を握りに巻き込み親指の爪を上に向けるようにして反らす。手のひらの中心が十文字に
6.詰め合いについてここからは、取り懸けを解いて離れる具体的な方法について説明したいと思います。ここからを読むと、おそらく、今までとは違った自分の射技との向き合い方が、できるようになると思います。離れに導くために、会では、詰め合い、張り合い、伸び合いが大切と言います。詰め合い、張り合い、伸び合いとはいったい何なのだろうか?誰しもが持つ疑問なのですが、具体的に表現する人は少なく、感覚論、精神論、伝承などで表すわけです。私は、誰もが体験できるように、できる限り具体的に表現して説
48.スランプの原因を物理的に考察する弓道場の臨時休館で稽古不足となり衰えてしまった筋力もやっと回復してきました。また、低周波治療器のおかげで左肩関節痛も治ってきましたが、どうも矢所が収束しません。スランプと言っていいでしょう。最近は、弓道場の休館、部活休止、受験などで練習不足となり、再開して元の様に引けるようにはなったものの的中が戻らない。この時期、そういう人が多いようにも思えます。こういう時に役に立つのが、自分の射で最も的中が出せるように修正を加えられた現役時代に使っていた
32.的中率を上げるためにやれることいよいよ今回は射技の核心、「的中率を上げるためにやれること」について、お話ししたいと思います。これまで1年間、弓道の的中(射技)の物理的考察で説明してきた一つ一つの因子の的中への影響度を確認し、もっとも相関のある因子を検証し、ある程度の確証を得るに至りました。そのことを説明します。<仮説24>的中率を上げるためには、弓道の的中(射技)の物理的考察で説明してきたことがやれていることを前提として、①胸弦をしっかり付けて、弓を安定させ弓
44.「矢に学ぶ」④矢引き普通、私たちは「弓を引く」と言います。確かに実際には、弓手で弓を押し、馬手で弓(弦)を引きます。しかし、よく考えてみると、一射の中でのインプットは矢であり、アウトプットは矢所であって、主役は矢であるということに気付かなければなりません。「矢に学ぶ」という考え方は、矢を主体に、矢を正しくコントロールするには自分がどのようにしていかなければならないのかを考えさせてくれます。例えば、打起した時に、教本の射法八節図解に示すように矢は水平で体に平行な位置
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較さて、今回は弓道のことだけに凝り固まらずに考えることにします。和弓と違って、アーチェリーは実に合理的にできています。的に中るのが当たり前、つまり必中が前提であって、いかに中心に中てられるかを競います。弓道をやっている人の中では、中て射のことをアーチェリーをやっていると揶揄する場合がありますが、これはアーチェリーに失礼過ぎます。和弓より、アーチェリーの方が性能が優れているのは事実なのですから。謙虚に比較し参考になる点に気付
4.離れについて概ね、弓道の離れは以下の3つのパターンに分けられます。①手を「開いて」離す。②手の力を「緩めて」離す。③取り懸けを「解いて」離れる。もっとも多く見られるのは、①です。残身で手が開くのですぐ解ります。私も長い間、この離し方しかできていなかった。②はたまに見かけます。アーチェリーに近い離し方なので、的中が出る場合もありますが、離れで押し手の手首が上がったり、肘が緩んだり、頭や手を弦ではらったりすることが多いようです。全身に力を入れている状態で、指先だ
54.「角見で押して離れる」という弓道の謎弓道を始めると、ほとんどの人は押し手の「角見で押して離れる」と教わると思います。私もそうでした。しかし、勝手(馬手)で弦をつかんでいるのに、押し手の角見で押して離れるという矛盾に最初は疑問を持つものの、いつの間にかその矛盾を受け入れてしまい、自分も後輩には、当然、そのように指導するようになっていました。そして、押し手の角見で弓を押しながら勝手を開いて離すという動作を身につけて納得してしまいます。タイミングが合っているうちはこれでも良く中りま
27.弦捻りの誤解弦捻りを効かせることに懐疑的な人もいると思います。それはおそらく、下の写真①のような残身になってしまうことをイメージしているか、ちょっとやってみて、①のようになってしまって諦めてしまったかと思います。しかし、それは、誤解であるし、やり方が間違っているからなので、そのことを今回は検証して行きます。<仮説19>弦捻りの誤解<検証>弦捻りを効かせると、残身で親指が①のように下になり手の甲が上になるのではないか、と誤解している方がいるかもしれません(初心者に多
38.的中のための本当のねらいとはねらいが整っていなければ、矢が的に中ることはありません。弓道でねらいと言うと、射法八節図解では第一から四のねらいで示されているもの、そして、的付けと口割りと考えるのが普通です。しかし、これらは表面的な形の上でのねらいであって、ねらいの核心ではありません。<仮説29>的中のための本当のねらいとは、離れ(張り)の方向を矢軸線にまっすぐに合わせること。<検証>結論から説明します。会の中で、両腕の離れ(張り)の方向を、矢軸線方向に精度よく
45.「矢に学ぶ」⑤矢の離れ口初心者で、最初の立ちに入った時は、矢をつがえ、弓を引いて、握った弦をどうやって離したらいいのか?みんなこのような状態であったことでしょう。しかし、稽古を重ねていくと、引き分けから会に入って早々に、押しと勝手のタイミングを合わせて離すことを覚えてしまいます。それだけで、結構、中りが出ます。練習量の多い学生の時にはこれでもいいのですが、社会人になってくると、ぐっと練習できる回数は減って、週に数度、数十射かといった具合になってきます。そうすると、離
50.取り懸けをミクロに考察してみる(大切な補足編)この時期、大会などで、結果が出せた人、出せなくて悔しい思いをした人、また、メンバーに入れずガッカリした人もいるでしょう。それには、そうなるに至った原因があります。それに向きうかどうかで、これから先の進化を左右します。そういう人たちにこそ、弓道の的中(射技)の物理的考察が参考になれば、幸いに思います。さて前前回、48.スランプの原因を物理的に考察するで弽帽子の首折れを修正できたことに端を発し、49.取り懸けをミクロに
26.既製のカケは親指で選ぶ初心者や学生の皆さんは、最初は安価な既製のカケを買うことになると思います。安価と言っても1~2万円以上はしますので、決して安い買い物ではありません。カケが自分の手に合っていなければ、軽妙な離れは出せませんし、的中もなかなか出せません。射形にも悪影響が出てきます。弓道の的中(射技)の物理的考察の記事で説明してきた内容は、多少はカケがフィットしていない場合でも、軽妙な離れで的中を出せるロバスト性のある方法を説明していますが、フィットしている方が的中精度は
34.かけほどきを身につけよう部活の中止や弓道場の臨時休館で稽古が出来ない。こんな時には、イメージトレーニングをやってみましょう。まずは、自分の射を撮ったビデオを見て修正すべき部分を指摘して、治った自分を想像していくことは、モチベーションも上がって有効だと思います。そして、この機会にぜひ、手を開く「離す」から取り懸けを解いて「離れる」かけほどきを身につけて、自分の射のレベルアップに踏みだしてみてはどうでしょうか。そこで今回は、かけほどきのイメージトレーニングの方法を紹介し
11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くかはじめにの部分で、射技の中で最も重要な課題は、指を交差させた取り懸け方をどう解くかにあります。これは、難解な知恵の輪を解くことに似ています。力づくで解くか、スムーズに解くか、離れの理屈が解れば迷いは無くなり、残身に思いを向けることが出来るようになります。と書きました。そして、会での張り合いの説明の中で、取り懸けの解き方についても説明してきました。もう少し細かく考察を加えることで、みなさんの取り懸けの解き方への疑問を解消し
0.弓道の再開~正射必中への物理的アプローチを始める~私は、5年ほど前に学生時代にやっていた弓道を再開しました。五十肩になったのがきっかけで、何か運動をせねばとふと思い、たしなみのあった弓道をまた始める事にしました。現役当時(@伊勢神宮弓道場)始めて2年目の頃35年ほど前に買った道具(弓、矢、カケ、道着)が健在だったのですが、さすがに現役時代に使っていた17.5kgの弓をいきなり引けはしないだろうと、近くの弓具店で15kgの弓と既製品のカケを買って、市の弓道場で自主練を開始し
3.的中について弓道においては的中が全てではありませんが、めざすは正射必中。中らない練習をいくらやっても上達はしません。的中は「的付け通りに矢を飛ばす」という実に単純な物理現象で生み出せます。「的付け通りに矢を飛ばす」ために不可欠な物理的条件は、以下となります。①正しい的付けができていること。②(矢が乗っている)押し手の親指と(弦を番えている)勝手の親指が、動かない状態(会のまま)で、離れの瞬間を迎えること。会~離れこれらの条件が実現できなければ、いくら精神論を語られ
こんにちは~早速、今日の慣用句ですが、가슴이찢어지다(胸が張り裂ける)カスミチジョジダ実は、「찢어지다」は紙などが破れるの意味です。しかし、物理的に胸が破れる訳ないですよね?つまり、「胸が破れる」ほ悲しすぎることがあった!ということです。。。それから、胸とは人の心とか気持ちを意味する言葉として非常によく使われています。日本語もそうですよね~例えば、「친구가갑자기교통사고로죽어서가슴이찢어질것같다.」「友達が急に交通事故で死んで、胸が張り
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件弓道は中らない。確かに弓道で的中を出すのは難しいです。では、なぜ中らないのでしょうか?3.的中についてで「的付け通りに矢を飛ばす」ために不可欠な物理的条件について説明しました。しかし、押し手と勝手のブレ量を0で離れることは不可能です。では、どのくらいのブレ量であれば的中できるのでしょうか?<仮説8>正射必中に必要な幾何学的な必須条件がある。<検証>近的の的は直径360mm。的枠の内径を直径350mmとすると、的までの距離が2
21.会では見えない動作がある?動と静、動中の静・静中の動、などといった味わいの深い日本語があります。これをどう感じるかは人それぞれですが、弓道の”会”では、それを実感することができます。<仮説12>会では見えない動作がある?<検証>引き分けから会では、腕を折りたたむ方向から腕を残身へ向かう方向へと、そして、取り懸けを弦が外れないようにロックしている方向から取り懸けが解ける方へと、これら二つの力の方向の変換が必須となります。11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう
18.細かい話にはなりますが16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較でアーチェリーとの比較をしました。アーチェリーは的中精度を極限まで求めるので、道具も大事にしています。その点弓道はと言いますと、かなり無頓着です。がしかし、自分の努力の結果となって的へ飛んで行ってくれる矢くらいは、少しは大事に扱いましょう。と言うことで・・・。<仮説9>細かい話にはなりますが・・・?取り懸けの時、矢羽根の扱いは大事にしましょう。<検証>的中にこだわるには、取り懸けの時の矢羽根