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朝刊を開けて訃報に気づきました。主人は若い時から泰淳さんのファンで、本もいっぱいありました。私は恥ずかしながら高校教師時代に現国の授業で扱ったことがありましたが、好きになるというほどではありませんでした。子供を連れて図書館に通っていた時代に百合子さんの「ことばの食卓」を読んで虜に。以後著作7つすべて文庫本で買い揃えました。ロシア紀行「犬が星見た」も面白いですが、「富士日記」は僭越ながら学者の家庭の暮らしにも少し似ていて、何度も読み返しています。その中で、花さんは小学生
『煙突やニワトリ』(武田花/筑摩書房/1992.6.15初版)「あとがき」にこうある。「『エッセイなんて、それがどうしたと言われりゃ何でもないもんだ』と母は言います。こんな何でもない本を出してしまいました」この母というのは、武田百合子。百合子については、すでに何度も書いた。まだまだ書くだろう(笑)。百合子の娘の武田花は、写真家として知られているから、そちらのほうでご存じのかたが多いはず。モノクロで、朽ちかけたような風景のなかに、ぽつんと猫がすわっている…そんな、写真を撮る。このエッセイ
過日、中野坂上の裏町をうろついていて、こんな写真を撮った。なんだか武田花の写真みたいだなあ、と思った。その花の訃報に接したのは、翌日であったろうか。武田花は写真家として知られるが、私はまず母・武田百合子のエッセイに心酔して、父・泰淳の文業に触れた。花のエッセイはその流れで読むこととなった。以前、紹介したレビューをいちばん下にリブログしておく。これが花の猫写真。あれま、花さんは「ボロい東京」の先駆者でもあったか。これはあらためて見返す必要がありそうだ。ところで数年前、百合子が出版を禁