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㊟成均館スキャンダルの登場人物による現代パラレル。ご注意ください。ジェシンがもだえながらもバイクを操っている。その最初のうちは、ユニはジェシンにしがみついているだけで必死だった。座っている座面から響いてくるようなエンジンの重低音。足下に感じる熱く機械が稼働している熱気。それら全てが初めての経験。曲がるとき、傾く車体。停まったときにジェシンが足を下につくその行動さえ、どんなに揺れが少なくても怖く感じた。けれどしばらくするとその怖さにも慣れ、元々横向きに背中に押しつけていた
㊟完全なお遊びです。苦手な方、お嫌いな方は回れ右してください。「いや~!驚いたよ!あまり家にいない儂がた・ま・た・ま休日の時に、二歩!二歩歩いたんだよ!感激だったねえ!」父さん。あなた、そんなキャラでしたか?「二歩どころか、玄関先でよちよちと出迎えてくれたのには驚きましたよ!」ヨリム先輩・・・話し相手をして下さるのは大変ありがたいんですが、調子に乗らせないで下さいね。先輩、得意でしょ、おだてるの。
㊟フォロワー様500名記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。彼らの旅立ちの日、私は都外れでムン夫妻を待った。武官有志で贖った菓子・・・日持ちして軽いものと言えば干菓子だが、これがそこそこ値が張るので皆で出し合ったのだが・・・を旅の慰めに持って行ってもらおうという魂胆だ。ムン武官にではない。われらの任務に協力し、危険を冒してくれたかわいらしい奥方への餞別だった。ムン武官は・・・もう武官ではないがこう呼ばせてもらう・・・予想通り奥
㊟完全なお遊びです。お嫌いな方、苦手な方は回れ右してください。「ジェシン君のところは、誰がプレゼント用意するの?!うちはねえ、奥さんが子供達に欲しいものきいて、僕が買いに行くんだ~~!」確か所長が今パソコンで仕上げている書類の案件って、連続殺人事件の容疑者のやつだよな。弁護士なんかつける家のやつじゃ無かったから、当然国選弁護士なわけで。この情状酌量のかけらもないといわれたやつの弁護を飄々と引き受けてきた所長もすごいけど。「別に刑を軽く
㊟完全なお遊びです。苦手な方、お嫌いな方は回れ右してください。大体ユチョンへの態度を見て分かっていたはずだったんだけれど。講義の前に見たメールの内容にため息をついてしまった。いけないいけない。私情を学生の前で晒すなんて言語道断だ。仕事仕事。ちゃんと自分の使命を全うしなきゃ。でも、父さんはあんな人だっただろうか。俺は確かに大事に育てて貰ったし、教育もきちんと受けさせて貰った。留学だって反対もされなかったし、大学を選ぶに当たっても何も言われなかった。ちょっと嬉しそう
㊟フォロワー様500名記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ため息をつく主人を見て、トック爺もため息をつきたい。日が経つごとにため息の数が増え、鬱陶しいことこの上ないからだ。「さっさとお仕事を終わらせてお帰りになったらいいんじゃないですかい?」「それができれば苦労はないんだってば!」はいはい、といささか気持ちはわかるトック爺は、それでも相手をするのは面倒なので、さっさと部屋の隅の布団にまるまることにした。
庭からはしゃぐ声が聞こえてくる。二人の息子が走り回って遊んでいるのだ。ほぼ一年しか違わない年齢差であるムン家の長子と次男は中々に活発だ。子供用に特別に作らせた木の剣で打ち合いをし、父親のまねをして弓も引き始めている。ようやく長子が齢十に達したばかり。そしてそれぞれが7つを迎えたときから学堂に通い始めて、年齢のわりに父親に会えない日々が続いている。ユニの夫、子供たちの父親ジェシンは忙しい人だ。官吏となって10年を過ぎたあたりからメキメキと官位を上げ、朝廷の朝議に連なること
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。懐かしい夢を見た。ユニはくるりくるりと首をあちこちにひねらせた。静まりかえる緑の木々に囲まれた庭。見覚えのある建物。ここは、成均館。そう思って自分を見下ろすと、かつて毎日着ていた儒生服が白く輝いていた。時刻は夜半過ぎだろうか。何しろ静かすぎる暗闇の中、淡い月灯りだけがユニの視界の助けだ。そして知っている場所だという心強さ。けれど胸はなぜか激しく動き、何かを教えている。くるりくるり。ユニはまた首をあ
㊟完全なお遊びです。お嫌いな方、苦手な方は回れ右してください。アインとヨンシンの誕生日の間を取った日に、二人の一歳の誕生会をした。シクとカランは驚いたろう。うちのアインのことは、ユニが手紙で、妊娠も出産も報告していたし、休暇でうちにミニョンに会いに来たときに生まれたばかりのアインも抱いた。しかし、ちょっと事情のあるヨンシンの誕生は、本人を見るまで知らなかったのだから。その事情の為に、ヨンシンはこの一年近く、ほぼ半分の時間をうち
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。二日後から出仕を再開したジェシンは、ユニとの婚儀をあちこちで祝われ、挨拶に疲れて不機嫌だった。贅沢だよなあ、とヨンハが笑い、ソンジュンも苦笑する。ユンシクは実姉の嫁入り故当事者だ。こちらも祝われているが、ジェシンよりはだいぶ少ない。南人の官吏が少ないからでもあるし、新人官吏故知り合いも少ない。だから半分は他人ごとのようで、ソンジュンと並んで苦笑していた。「うるせえよ・・・どうせ親父に伝えてほしいだけだ。」
帰宅したとき、妻の出迎えがなかった。めったにないこと。頭を下げている父の執事に、ユニは、と聞いたジェシンは、答えを聞いた途端に内棟へ駆けだした。若奥様は、昼過ぎに眩暈を訴えられてお部屋でお休みです。お医師にもご診察いただきました。安静にされるよう言われたそうです。靴を脱ぐのももどかしく内棟へあがる。すでに脱げかけていた帽子(サモ)は内棟の前に投げ捨てられていた。「ユニ!」と声を上げかけて喉をぐっとおさえると、ジェシ
㊟完全なお遊びです。苦手な方、お嫌いな方は回れ右してください。「おお・・・!」リビングで珍しく父さんが声を上げている。と思いながら入ると、ユチョンが足を踏ん張ってゆらゆらと揺れていた。そっと入ったつもりだったが俺をめざとく見つけて、どん、と座り込むとさっと四つん這いになり超高速でハイハイをして足下に来る。「・・・お前は大学で何を教わったんだ?急に顔を見せたら赤ん坊が喜んでそちらに興味を持つのはわかりきった
㊟完全なお遊びです。お嫌いな方、苦手な方は回れ右してください。ゼミの合宿って真面目なんだあ・・・。一日目。合宿所に移動とグループ分け。テーマ決めと早速の勉強会。二日目。一日勉強会。教授と助教授のアドバイスを受けながら、学会調の論文発表形式の資料作り。質疑応答の予想と解答例の作成。疲れた。一日半で、5人がかりとは言え、短い論文を一本仕上げるようなもんだし。とりあえず、全グループ仕上げはできたらしく、夜の10時過ぎには、皆ハイになって
自分の伴侶が高く評価されているからだと分かってはいる。有能だから、賢く立ち回れるから、そして王様への忠誠心が認められているからだと理解はしている。その上での任務、それがアメンオサだ。ユニの夫ムン・ジェシンは、官吏になった一年目からアメンオサに派遣されるという、出世する者の義務であるかのようにこの任務に定期的に任命される。地方の行政や役人の不正、交易に絡む癒着など、中央がはっきり掴むことのできない状態をその目で確認し、証拠、証人を確保し、そして捕縛する権限をもって出立するのだ。そ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。その頃、来賓である王様は、他の高官と共に茶菓をふるまわれていた。学問の府成均館であるから、本当にささやかな饗応。しかし、若き儒生たちの振る舞いが本来の饗応であると王様は何の不満もなく、楽し気にその場にいた。話題はどうしてもその日活躍している儒生に及ぶ。目立つのはやはり弓の上手。ソンジュンやジェシン、そしてカン・ムや日頃は目立たない儒生にも、負けたとはいえ、その組に貢献した目覚ましい腕前を見せるものもあり、王様
㊟完全なお遊びです。お嫌いな方、苦手な方は回れ右してください。休講分の単位をレポートでってイ助教授も鬼畜だよな~~。でも助教授、学会でまた論文を発表したって聞いたし。すごいよな~~。俺、このたった3枚のレポート書くのに一週間以上掛かったんだけど。ああ、あいつもレポート出して帰ってきたんだな。おい、助教授の研究室でいいんだよな?え?助教授お昼を食べてた?いいのかな~?でも午後一の講義もあるし・・・。失礼して提出させて貰おう。
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。それからのソンジュンの行動の速いこと、速いこと。ソンジュンが用意した養女先がユンシクのところでなく庵主の家で、それも現当主の妹、つまり庵主の娘として縁を結び実家とする、などという、娘のない両班が他家と縁続きになるために親戚の娘などを養女にして嫁がせるという手段に驚き、驚いている間に、少しでも実家としての役割をということで迎えがきたり、ついでだから久しぶりにと庵主もついてきてくれたりと、ユニがあわあわとしている
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。弓の対抗戦である手射礼は、両班の男子としては教養の一つである弓の腕前の競技大会だ。基本部屋ごとの対抗戦になるが、ヨンハのように贅沢に一人部屋にいる者は、他の部屋のものと組んで三人組になって参加する。ジェシンは昨年までは一人でのうのうと部屋を占拠していて、この大会には面倒がって出なかった。今年も面倒は面倒だが、出ないわけにはいかなくなった。ユンシクが喧嘩を買ったのだ。吹っ掛けられた喧嘩。ハ・インスから。この競技
㊟100万hit記念リクエスト成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。杖打以来、西掌議達からのちょっかいは目に見えて減った。掌議ハ・インスが謹慎と掌議の権限の期限付き停止を言い渡されたせいもある。ただ、それと同時にソンジュンの様子が少しおかしくなった。相変わらず真面目ではあるのだが、ユンシクに対して、一緒にいようとする意志はあって常に側にいるのに、態度が硬いのだ。「・・・僕、酔っ払って何かした?」とユ
㊟完全なお遊びです。苦手な方、お嫌いな方は回れ右して下さい。よお、今日は講義昼からか?あ、昼からが暇なのか。そうだよな、もう午後イチの講義、始まってるし。だからこんなにカフェテリアすいてんだな。ああ、座れよ。ん?暇だけどさ、あそこにイ助教授座ってるじゃん?チョン教授と楽しそうにしゃべってるから、何話してるんだろ~って聞き耳立ててた。え?何をしゃべってたって?それはさ・・・。「そうか。落ち着いたんだね、ユニさん。」
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。そのことに気づいたのはヨンハだった。何しろ、まだ静まり返っている早朝の成均館に朝帰りしてきて、ふらりふらりと自分の部屋ではなく中二坊に突撃して来るのだ。その時間には、ソンジュンは日課の読書を片隅で姿勢よく行っている。ジェシンは寝起きが悪いので勿論寝ているし、ユニも起寝の鐘が鳴らされて起床の合図があるまでぐっすりだ。楽し気に扉を開けるヨンハを、静かに見上げたソンジュンに、唇に指を立てたヨンハは、あはは、と笑いながら一番
㊟100万hit記念リクエスト成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。家同士では話が進んでいるのかも知れない。そう思うのは、ソンジュンに届くヒョウンの手紙が途切れることがないからだ。いくら甘やかされて育ったお嬢様でも、目に余れば親が制する。けれど、どちらかと言えば応援されているのだろう。それほど文通は頻繁だった。ソンジュン本人は興味なさげだ。分かっているだろうに。この様に大っぴらに交流が男女間である事はほぼ既
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ソンジュンも正念場に来ていた。伝えていたとはいえ、最後の砦はまだ立ちはだかっているのだ。二つ。その一つが父だった。明らかな反対はなかった。だが歓迎している風でも賛成とも言われていない。だからあとは行動報告をするしかなかった。決めたことを報告して、いや宣言して実行するのだ。反対は受け付けないと。イ家の長老である父だが、実権はすでにソンジュンのものだ。そうは思っても、筋金入りの父の発言は怖い。ソン
㊟100万hit記念リクエスト成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「・・・サヨン・・・どうして・・・ここに・・・?」そりゃ、お前にも言えることだけどな、とジェシンがにやりとした表情を浮かべ続けられずに顔を歪めたとたん、ユンシクはジェシンの異変に気づいた。気づいて当たり前だ。黒ずくめの衣装、顔半分を覆っていた布、上がったままの息。それに。「・・・怪我してる?!」血のにおい。矢傷は思ってい
㊟フォロワー様500名記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ヨンハがわあわあと言いながらも、命じられた探索を商人の形で行っているころ、ユニは都でじっと待っている・・・訳がなかった。これには伏線がある。ヨンハは大商団の家で育った跡取りであるが、一人の官吏でもある。毎日王宮に上がり、国のための仕事をしているのだ。これは両班という階級のものにだけ許される職務で、両班という身分を自分の代で買い取ったヨンハの父にとっての夢だった
㊟100万hit記念リクエスト成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。広いムン家の中庭に用意された鮮やかに朱に塗られた婚礼卓。それを遠巻きに囲んでいるのは近い縁戚の者と、特別に招待された客。そのまた外側を、ムン家の下人達が、一番の晴れ着を着て嬉しそうに取り囲んでいる。花婿が挨拶に窺いに出たとき、ほぼ同時に花嫁は庭へと導いてこられた。薄明るい朝の光が空気を白く変え始める中、赤の花嫁衣装を重たげに纏い、輝くよ
㊟100万hit記念リクエスト成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。部屋に戻ってみると、すでにソンジュンはそこにいた。ジェシンは一旦中二房を離れたのだ。酔いつぶれたユンシクを寝かせてから。そっと床の上に転がし、布団を整えてからその上に移してやった。寝苦しかろう、と下心なく触れた胸元。けれど、触れてから思い出した。ユンシクは女人だと。このあわせを緩めたらいけないのだ、と。慌てて布団をかけ直し、小さ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「キム・ユンシクは体も頑健になってきたと見える。」「王様の御聖断により整えました薬房より、きちんと薬も服用していると聞いております。」続くキム・ユンシクについての会話に、ハ・インスの父親は身が竦むようだった。ムン・ジェシンの父親は知らぬふりをしている。彼にとっては都合など全く悪くないのだから。「ハ大監様のご子息の組も勝ち上がってきておりますから、決勝で当たるかもしれません。」会話に入れ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「今日、観覧が解放されていたら俺も君の姉上にご挨拶できたのに。」一人ユニと面識のないソンジュンが少しだけ不満そうな声を出した。網巾に手を当てている。皺ひとつなく額を覆う紫色は、白皙といっていいソンジュンの肌に良く似合っていた。「ヨンハと会っちまったのは事故だ。」じこォ?!と声を裏返すヨンハに、事故だ事故、と繰り返してやって、ジェシンも網巾に手をやった。縫物の苦手なユニ。本を読むのも美しい字を書
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「得体のしれないものは怖いもんだ!仕方がない!」ドヒャンは笑いながらも慰めてはくれた。けれどユニはすっかり拗ねてしまった。その顔を見て、ユニに甘い親父儒生のドヒャンは、「いいか、テムル。皆隠しているが、それぞれに怖いものはあるんだぜ。」とさらに言葉を継いだ「じゃあ、兄上の怖いものって何なの?」ふくれっ面のままのユニが聞くと、ドヒャンは顔を真面目なものに戻し、腕を組んで天を仰いだ