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㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。月末、成均館では試験が行われる。必ずだ。高度な講義、元から持っていなければならない基礎知識の上に行われるものだから、試験内容も高度だ。イ・ソンジュンは小科壮元の何恥じず、今までの講義で一位を譲った事はない。ユニは成績自体は上位で、二位を取ったこともあるが、ソンジュンのように毎回の好成績を保っていられるわけはない。成均館は優秀な儒生の集団なのだ。言葉選びひとつ、回答文の構成一つの違いで点数が変わる。ジェ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「・・・そうか、盲点だったね。」また次の5のつく日の夜更け、ユニは迷いはしたものの、行かないという考えは起こさなかった。迷ったのは着ていく服だ。ただ、夜中にきっちりした儒生服でうろつくのもヘンだし、誰かに見とがめられたときに、寝付けないから散歩をしている体で、寝床から出てきただけ、という格好が一番安全ではある。ただユニは、他の儒生のように肌着だけで寝ているわけではない。ソンジュンとジェシンという男二人と一緒に
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。鐘は今夜も鳴る。誰の耳にも、同じように聞こえるはずだ、鐘は一つしかないのだから。けれど、とジェシンは床の中で温かなユニの体を抱きしめながら聞く。あんなに何の感動もなく聞いていたただの時を知らせるだけの音が、今、こんなにも美しく聴こえるものなのか、と思いながら。婚儀を挙げてから時は経ち、間もなくジェシンは王様から指名された仲間たちと共に清に留学する。王様に期待されている若き才能の一人として誉れある指名だ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。手射礼は勝ち抜き戦だ。上手く組み合わせたのは誰なのか、ハ・インスの属する組とジェシン達中二坊組は、対戦するならば決勝でしか当たらない組み合わせだった。勿論インスは開会の時に煽りに来た。わざわざ。対戦できるといいが、と。傍に立つカン・ムは無言で、もう一人、下斎生が胸を張って後ろに立っていた。イ何某というその青年は弓の腕前を見込まれてのことなのだろう。インスがこちらをあざ笑えば、一緒になって声を立てて笑い、にやにやと追随
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「よくも・・・恥をかかせてくれたな・・・。」掌議室から下斎生達達は追い出された。そう、恥だ。縁談の一つや二つ、という事にはならない。話が公になる時点で、家同士では話が付いてるものなのだ、両班の縁談というものは。今回は、親同士で話しがまとまる前に、インスの父親が吹聴して回り、ソンジュンがはっきり断った時点で、まるで『破談』になったような形になってしまったのだ。けれどそれはまだ老論の中での話に収まっていた。やはり
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ただユニは、普段と同じように見えて少し違うとジェシンとソンジュンはすぐに気づいた。ぼうっとしているのだ。普通に立っているし歩ける。返事もするし、ソンジュンが見つけた時に泣いても取り乱してもいなかった。服も何度も見直したが、汚れても乱れてもいない。それに時間的には四半刻ぐらいだったろうから、長い時間閉じ込められていたわけでもないだろうに。「気が付いたらあそこに立ってた。」とばかり言うのだ。勿論、ユニを無
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。こんな歴史ある儒学の学び舎になるとさ、勿論ここにいる間に儚くなってしまった儒生だっているわけ。ん?あからさまな病気だったらさ、勿論親元へ返すだろうよ。だけどさ、大科に向けて猛勉強しすぎて、ちょっと頭がおかしくなってるとかさ、何日も寝てないんじゃないか、って周りが心配していた矢先に冷たくなって部屋で倒れてたりとかさ、あるんだよ。勿論・・・自ら命を絶った奴だっているって聞いたよ・・・。でさ、そのうちのどの人かは知らないん
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。男とユニはあの晩、短い時間だが少し話をした。学堂に行っておらず今まで独学だったため、博士から学ぶことのできる環境がうれしい。厳しいけれど楽しい。機会を下さった王様に感謝してここにいることを頑張っている、と。そう言うと、男は暗い中でも分かるぐらい優しくほほ笑んだ。「素晴らしい儒生だ、君は。そうだね。君にはご褒美が必要だ。どうだろう。私はね、儒学に関しては・・・特にこの成均館での学びに関しては一家言あるのだよ・・
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。呪い、成均館に居つく儒生の亡霊が呪った、という噂が走った。博士たちは、何を馬鹿なことを、と取り付く島もないが、儒生たちは半分は真剣に、半分は面白がって噂した。当事者となった三人の儒生とユニは、じろじろと見られる羽目になったが、ユニがいつも忙しそうに講義に臨み、課題のために書物をもって歩き、筆写の仕事で家族の生活のための金を稼ぐ暮らしの中に、呪いなどという行為をする暇がないことなどまるわかりだった。大体呪いの知識だって
㊟成均館スキャンダルの登場人物による現代パラレル。ご注意ください。ヨンハは断れない状況があると言うことを熟知しているのだろう。ソンジュンは悪目立ちすることは苦手だし嫌いだ。ユニだって無用の騒ぎの中に自分がいるのは厭だろう。つまり、オープンキャンパスという人の多い場で、高校時代の先輩後輩という立場を最大限に利用して、先輩が自ら案内してやろうという親切な申し出を、人前でソンジュンが断ることはないとヨンハは踏んでいるのだ。大声で叫んでいるわけではないし(ジェシンが耳を引っ張っ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ジェシンとユニの第三子は女児で、7つになったころから似たような年頃の娘と交流することも増えた。どうしても同じ派閥の家の娘と、になる。ムン家に相手が遊びに来ることもあるし、二人の娘・・・ミニョンという名だが・・・が遊びに招待されることもあった。そうなると、要らぬうわさ話も吹き込まれてくる。特に、ムン家の夫婦は、派閥違いの婚姻で結ばれていることもあり、物見高く夫婦仲などをミニョンに聞こうとしたり、わざわざジェシン
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。屋敷に寄ってから、ジェシンはハ・インスが幽閉されているハ家の屋敷の前にやってきた。屋敷に寄ったのは、父に会えるかと思ったからであって、忙しい父は結局いなかったため、ユニと母に顔を見せただけの短い滞在だった。母が小さく首を振ったので、ユニはまだハ家のことは知らされていないらしい。キム家が崩壊する原因を作ったハ大監だったからそれは知っていた。しかし今回は外出を止められているだけでその理由は父の職務のせいだとしか教えられて
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。その後、ユニは朝まで眠り続けた。三人の儒生はジェシンの手によってボロボロのまま中二坊から放り出され、這う這うの体で二人は同じ部屋に、一人は自分の部屋に戻った。頭はぶつけ合って痛い、顔は床を引きずられたときに擦れてしまいこれも痛い、帯で締めあげられた腹には青く赤く筋が走り、その前に殴られた頭は更に痛んだ。けれど恐ろしいのは、キム・ユンシクが眠り込む前に呟いた言葉だ。キム・ユンシクは俺たちの名を、あの建物でキム・ユンシク
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。東斎の門を出て、取り囲む低い塀沿いにゆっくりと歩く。砂利の部分もあるし、草取りが間に合わず、少し伸びた青々とした場所もある。頓着なく塀沿いに行くと、通路として整備されている敷地内の小道を行くよりも思ったより近く、霊廟と呼ばれる建物に行きつく。そこは成均館に貢献した王宮の関係者や博士の魂が祀られているのだ。勿論お骨があり墓になっているわけではない。名や階級が祀られ、生前の功績が認められたものが供えられている。めったに入
㊟100万hit記念リクエスト成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「・・・ありがとう・・・ソンジュン。」気の抜けた顔で礼を言ったユンシク。一緒にいたヨンハは、ソンジュンの肩をバンバンと叩いた。いざとなったら口を出そうとはしていたが、先ほどのソンジュンの様に一度に斎会の空気を変えることはできなかっただろう。これがこの男の怖いところだ、とヨンハは思った。発する言葉に力と正しさがある。たとえ間違ったことを言っていた
㊟100万hit記念リクエスト成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「・・・お兄ちゃん・・・病気なの・・・?」「・・・いや・・・腹が減ってもう動きたくねえだけだ・・・。」そういう会話が川の側で交わされていた。川の畔に衣服を洗いに来た子どもが石の上にうずくまる二人の人間を見つけたのだ。一人は大人になっているが若く、一人は細くてまだ少年の体つき。答えたのは年上の方。少年はぐったりと年上の青年の膝の上で丸まっている。
㊟100万hit記念リクエスト成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「俺さあ、働き始めたころのテムル、たぶん見たことあるんだよなあ・・・。」ポツリとつぶやいたヨンハに、グリン、と四つの瞳が動いた。一人は目を見張って、一人は目をすがめてそのまま頬杖を突くヨンハを見ている。おお、怖い、と全く実感のこもらないつぶやきを口にしたヨンハは、にやりと笑った。「もうさ、ばかばかしくなってさ。俺たち、同じこ
㊟100万hit記念リクエスト成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。それから数日、ジェシンはヨンハの部屋で過ごした。屋敷に帰って養生する、という手もあった。けれど、兄が死んでから心も体も弱った母親をまた心配させる事になるし、父親はどうもジェシンの行為を把握しているらしく一旦帰れば出して貰えるかどうか分からなかった。だからヨンハの部屋に居座ったのだが。ユンシクは来なかった。ヨンハによれば無理もない、というこ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ユニは考えたのだ。考え続けて今日の日を迎えた。庵主に決断をすることの大切さを諭され、考えようとしている間思い出すのは昔々のこと。少女の時、ユニが考えようがどうしようがなくなっていく家の金、治らないユンシクの体、日に日に気弱になる母。考えるどころか切羽詰まって引き受けた替え玉受験。手に入れた金を投げつけたときには頭は燃え尽きる寸前まで沸騰していた。怒りと、悲しみと。だが、ユニが考え続けたことが無駄にはならな
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。言われなくとも!ようようわかっております!父の捨て台詞にソンジュンの胸は煮える。身に染みて知っているのだそんなことは。清から帰ってきて、ユンシクの青ざめた顔を呆然と眺めた日に。自分にとって最も大切なものは、すぐに手を打って手に入れねばならない。それを知ったのがあの最悪の日。そしてその後、世俗にまみれる中で、仕事という形で『機』というものの大切さを思い知らされてきた。機を逃せば成せることも成せないことが
㊟フォロワー様500名記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。なあんにも後始末すること、残ってなかったんだけど、とぼやくように言う主人に、よかったじゃないですかい、と返すトック爺。五日の休暇を貰い、二日目には店の帳簿と首っ引きになっていたヨンハの前にやってきたとき、二人とも留守中に起こった出来事をすべて把握していた。「大旦那様がですねえ、あすこはもう駄目だからこれ以上叩く必要なんかないっておっしゃってましたよう。」働きの
先日ご報告させていただいた強烈ファンタジー史劇の「ホンチョンギ」『「ホンチョンギ」1-2話感想あらすじマジで騒然作品!ソンガンの蝶問題が解けた!笑』昨今の歴史歪曲問題の為時代設定を「タン王朝」という完全仮想時代に変更し役名も変更されてやっとこさの放送となったこの作品!アンヒョソプ、キムユジョン、コンミョン…ameblo.jpあの後もファンタジー感凄かったんですがamiのキスシタン事務局@ami88210085そしてバンドマンが虎と戦うファンタジーMVへ爆#ホ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による現代パラレル。ご注意ください。ソンジュンがストーカーまがいにユニを観察していた期間で分ったとおりに、ユニは週明けの二日はほぼ図書館には来ない。働いている母親の残業が必ずと言っていいほどある日なのだそうだ。この二日間は、高校から真っ直ぐに帰って家事をするらしい。大した事はしていないのよ、とユニは言うが、学校との往復しかしないソンジュンにとっては、ユニこそ二足のわらじを履く立派な人間にしか思えない。それに、時折聞くのが弟の話。最初にユ
㊟フォロワー様500名記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。やっとやっと俺だけのものになる。そう思えたのが、清への留学を命じられた時。隊長に呼び出され、武官を解く期日を告げられた時、ジェシンは思わず目をつぶった。本当は文官として大科に受かり、従事官として、まだ男でいなければならないユニを守る予定だった。だが、王様から直々に命じられた。大科に受かった後は、武官としての経験を積むように、と。当然文官に戻るのが前提であるとは言ってく
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。拍子抜けするほど、今まで通りの二人の姿がムン家にはあった。婚約は既に調い、ジェシンは最終の席次決定はまだとはいえ、官吏になることが決まっている。おめでたい事ばかりだ。殿試の結果発表が終れば親戚や小論の者たちが祝いを述べにやってくるのが分かっているが、今のところ平穏だった。ジェシンは多少自室を整理し、ユニはいつも通り屋敷内で暮らしている。今までより母のやっていた役割を代わりにやっているぐらいが変わったことで、屋敷の者た
「・・・太ってしまったのでしょうか・・・。」と小さく呟いたユニ。ここ最近、ジェシンが王様の命で少しばかり距離のある地方への視察に赴いていた時の事だった。座る膝元には長男のヨンシンがヨタヨタと歩いてきてはポテン、と尻餅をついている。それに手を貸して立ち上がらせると、また嬉しそうに歩き出し、祖母であるジェシンの母の元へと向かうことを繰り返していた。ヨンシンのきゃ、きゃ、と笑う声が響く中、由仁の小さなつぶやきを拾った義母は、いい
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ユンシクは、周囲の期待と裏腹に、勝った賭けを回収しようとしなかった。西斎の者たちが口をつぐんでいるのはおかしなことではないが、東斎の者がこそこそと促すようなことを言っても、ユンシクはまた今度ね、というばかりだった。ハ・インスは堂々と成均館での日々を今まで通り過ごしていたし、カン・ムが傍に居ることも変わりはなかったが、追従するように彼らの後ろに従い群がっていた下斎生の幾人かの姿は見えなくなっていた。あの手射礼で切られる
イケメン大学生ソン・ジュンギが、今はアジアの女神こと“ソン・へギョの男”になった。デビュー、いやその前から素敵だった彼の魅力は変わらない。ソン・ジュンギはデビュー前から有名だった。成均館(ソンギュングァン)大学在学時代から“オルチャン(ハンサムな顔)”、“男神”という称号がつけられたソン・ジュンギ。学生の時から校内、そして外でも名前を知らせた。この知名度でMnet「恥辱!イケメンアロンサテ」に出演し、放送に入門した。俳優を始めたソン・ジュンギ。彼は映画「霜花店(サンファジョム)-運命、その
ジェシンの妻であるユニは自分のものを欲しがらない。元々物欲の少ない質なのだろうが、この家に嫁いできて、なんの不自由もない、という持論を曲げない女人でもあるから夫のジェシンは中々ものを買ってやる機会がない。その上、とジェシンは腕を組んでユニの内棟の部屋を眺めた。今ユニは、半月後に着る服を選んでいる。第一子である長男を産んで数ヶ月。親戚の祝い事に若夫婦で招かれていて、その外出着を選んでいるのだが。ジェシンは新しく作ればいい、といっ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ジェシンが一口に口に放り込んだ餅を、王様は流石に上品に小さめにかじった。少しだけ伸びてから噛み千切られ、王様の口が咀嚼に動く。円形に平たい餅は軽くあぶってあり、醒めていても香ばしかったから、王様の口にも合わない事はないだろう、とジェシンは腹をくくった。王様の召し上がりものは、水刺間という王族の食事を用意する部署がある。そこのものだって、王様の御前に到着するまでに毒見が入るのに、とはジェシンだって知っているのだ