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㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ムン家はめでたい空気に包まれ、そしてその中でジェシンの官吏としての生活は始まるはずだった。しかし、短い休暇の間、親戚や小論の者たちが祝いに駆け付け、ついでのように縁談をほのめかしていく。父はできるだけ丁寧に断っているようだが、時に、息子にはもう婚約者がいると言っている、という声も聞こえた。大体そのようなものは、第二夫人・・・花妻に自分の娘を候補にいれよと言うのだ。埒が明かないからさっさと婚儀を挙げろ、と父の方からジェ
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ユニは出立の日を思い出していた。振り返って見た祖国。今までの出来事を思い、置いてきた母を思い、そして待っていてくれる人を思った。ユニは王様から賜った雌馬に乗っていた。ユンシクはソンジュンが貸してくれている。馬になどほとんど乗ったことのない二人。小柄でおとなしい馬を用意してくれたのは、そのためだろう。ユニは旅の行き帰りは男装だった。
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「あの・・・体の調子はいかがですか?」ユニはおずおずと聞いてみた。三人の儒生について冷たく語るその目の力は強いが、なぜか顔色は悪く思えたのだ。もし彼を幽鬼と見間違えた人がいるなら、それも頷けるぐらいに、男の顔色に血の気は少なかった。「ははは・・・心配してくれるのかな。気持ちの優しい人だね、君は。」男は冷徹な視線を納めて、穏やかな微笑みをユニに向けた。「そう言えば、テムル様はお優しい、西
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。年が改まり、一年後には大科が行われると発表されると、ジェシンの両親は動いた。ジェシンは二十歳を超えるし、ユニも十分婚儀の適齢期に入る17を迎える。両親は落ち着いて話を進めた。当然、キム家のユニとユンシクの母親にまず相談が行った。丁寧に、けれど熱を込めてユニをジェシンの妻として迎えたい、そう願った。理由などいろいろ考えられる。第一に、自分たちがユニを手放したくないという想いがあることも正直に伝えた上、一番大事な
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。探花、三位という成績の者には、ある役目がある。放榜礼で、王様に従い、大科合格者たちに、オサファという飾り花を付けて回るのだ。王様は、今回、この探花がムン・ジェシンだったことに最終的に感謝した。はっきり言って、最も花が似合わない男。そう睨んだ通り、武骨な手は不器用で、本当に花を帽子の横に挿していけるのか王様が心配になったほど。花を持って
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。その日、何とジェシンの父は昼過ぎに屋敷に戻ってきた。非番だ、とは言っていたが、非番の日ですら王宮に向かうことの多いひとなのだから、彼にとっても大事な日なのだろう。ユニはジェシンと話をしてから落ち着いたようで、戻ってきた父にも明るく挨拶をし、自ら茶を出し、少し甘えていたようだった。ジェシンが母に挨拶をしたのは、ユニがジェシンと入れ替わりに父のところへ茶を持っていた時だった。流石に父の帰宅時には出迎えに立たなけれ
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。任せよとおっしゃっても・・・心配するな、とおっしゃっても・・・ユニは王様の膝の上にのせられている。ユニの緋色のチマが王様の足を覆い、まるで二人が一つになったように思えて、王様は目を細めた。それなのに、ユニの心細そうな表情はなかなか晴れない。そなたが一年余から離れている間に、すべて下ごしらえをする。チェ・ジェゴンにそなたの後ろ盾をさせる。こ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。考えた。成均館にいることを許されている、それは個人の力でできる可能性は少ない。考えないようにしていたが、そういう事だ、と納得させられるしかなかった、あの茶碗を見たから。落第者を淡々と出す博士たちのことを考えたって分かるはずだ。あの人は、成均館に守られている。守って彼をここで生きさせるよう、誰かが決めて実行した。それができる人など数えるほどしかいない。「名前も知らないんだった・・・。」薬を胸に抱
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。どうしてここに?声にならないユニの戸惑いに、王様はユニを導きながら答えた。「そなたの顔を見たくなって参った。夜更け故、そなたの眠る家だけでも眺めて帰ろうと思っていたが・・・。」物干し台や井戸のある庭には、物を置いたり、干したりする作業台がある。そこへユニを連れて行った王様はユニを座らせ、自らも腰を下ろした。ユニは急に恥ずかしくなっ
㊟一周年記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「それならば・・・余の願いを教えてやろう・・・。」頬を包まれたユニは、涙の溜まった瞳で王様を見上げた。睨みつけるような強い光の瞳に、王様は吸い寄せられるように顔を寄せる。「余の願いは・・・ただ一つの願いは・・・そなたを今すぐ連れて帰り、余の側から離さぬことだ・・・!」息を呑んだユニ。しかしユニの目の光は消えなかった。「
㊟成均館スキャンダルのパラレルです。本筋とは全く関係ありません。その日、ジェシンは珍しく自炊をした。いつもはコメは炊く。他のおかずに当たるものは何も作らないことが多い。買ってきた惣菜や、キムチなどをご飯に載せて、ただかきこむだけだ。ユニを送った後、高揚した気持ちで、まっすぐ家に帰ってきたジェシン。一人暮らしのマンションの一室で、ジェシンはパソコンを開きながら、パスタを茹で始めた。もちろんパスタソースはレトルトだが、まっす
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「得体のしれないものは怖いもんだ!仕方がない!」ドヒャンは笑いながらも慰めてはくれた。けれどユニはすっかり拗ねてしまった。その顔を見て、ユニに甘い親父儒生のドヒャンは、「いいか、テムル。皆隠しているが、それぞれに怖いものはあるんだぜ。」とさらに言葉を継いだ「じゃあ、兄上の怖いものって何なの?」ふくれっ面のままのユニが聞くと、ドヒャンは顔を真面目なものに戻し、腕を組んで天を仰いだ
Netflixで少し前に「ロギワン」を観てこ、これ、、ソン・ジュンギ?って思うくらい役になりきるジュンギ氏内容は…ん?でしたが悲壮感と貧相さはお見事『成均館スキャンダル』の時から注目していた俳優さん「ヴィンチェンツォ」パート2やらないのかなぁ(この写真は先日購入してもらった雑誌から)さておはようございます😊今日のダウンタイム状況目の淵の内出血、少し薄くなったような気がします過去の記事はこちら↓『左目
㊟フォロワー様500名記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。そして成均館でユニが経験した最大の事件。それは赤壁書であるという疑いでソンジュンが兵曹判書に連行されたことだ。ジェシンが赤壁書という義賊だと知っているのは、ヨンハとユニの二人だった。ユニはジェシンが追われて負傷したときにそれを知ったが、だからと言って彼を怖がることにはならなかった。どこか納得していたのだ、ジェシンがそうやって行動することを。ユニにはできないだけで。ユニ
㊟フォロワー様500名記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ジェシンは荒れていた。荒れる心のままに、ヨンハ曰くの『八つ当たり』をして、体だけはすっきりとしたが、心は騒いだままだ。余計なことを言いふらし、ユニを侮辱した下斎生たちの口をひねりあげ、耳を引っ張って引きずり倒し、中身のない頭の脳天にゲンコツを送り込んで、講堂裏に置き去りにして足早に東斎に戻る。自分が情けない。怪我をして心が弱っていたから。感情を隠す努力をしなか
敦義門(トニムン)博物館村から次へ向かう途中ソウル歴史博物館で興味深い展示を見つけました成均館とパンチョン娘に聞くと「座って待っているからゆっくり見ておいで~」と嬉しい返事では遠慮なく行ってきます!!成均館は朝鮮時代の最高教育機関国を担う人材を育成する国の機関でパンチョンはその成均館のための村でした村民は成均館の公的な奴婢であり学生に対してはもちろん受験者にも宿を提供し世話をします村民は他に移り住むことは出来ずまた官軍も立ち入ることが出来ないなど特異な治外法権地域だ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。黙り込むジェシンに、ユニは深く首をうなだれた。わがままを言っているのは分かっている。けれど、ずっと、そうずっと一緒にいるのが当たり前だと思ってきたのだ。今は成均館に寄宿していて毎日屋敷にいるわけではないが、それは学ぶためであり、引き離されているわけではないし、ユニのことでも何でも、すぐに戻ってきてくれる。ユニの顔を見て、どうしたのだ、と案じてくれる。ああ、と思った。ユニは養父母には心配をかけないように、といい
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「・・・そうか、盲点だったね。」また次の5のつく日の夜更け、ユニは迷いはしたものの、行かないという考えは起こさなかった。迷ったのは着ていく服だ。ただ、夜中にきっちりした儒生服でうろつくのもヘンだし、誰かに見とがめられたときに、寝付けないから散歩をしている体で、寝床から出てきただけ、という格好が一番安全ではある。ただユニは、他の儒生のように肌着だけで寝ているわけではない。ソンジュンとジェシンという男二人と一緒に
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。鐘は今夜も鳴る。誰の耳にも、同じように聞こえるはずだ、鐘は一つしかないのだから。けれど、とジェシンは床の中で温かなユニの体を抱きしめながら聞く。あんなに何の感動もなく聞いていたただの時を知らせるだけの音が、今、こんなにも美しく聴こえるものなのか、と思いながら。婚儀を挙げてから時は経ち、間もなくジェシンは王様から指名された仲間たちと共に清に留学する。王様に期待されている若き才能の一人として誉れある指名だ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。講義ばかりで同じ毎日を送っている儒生たちにとって、『呪い』『呪い返し』などいい娯楽のようなものだ。自分には関係ないと思っているからだ。別にキム・ユンシクが高熱で苦しんでいようと、たいして心配などしない。皆若い。自分と同じ年のものが病で亡くなるなど、あまり身近にあるものではないから、どこかの遠い話のようなものなのだ。それは、キム・ユンシクを目の敵にしているハ・インスにとってもおなじだったようで、面白いことになっ
ソン・ウェイロン中心の勝手なつぶやきあらすじ語る気なし毒吐く独白ややバレ『トキメキ☆雲上学堂スキャンダル~漂亮書生~』期待を裏切らないトキメキ⭐︎女の子臭全開え?まだ秘密だったの?え?バレて無いと?それは…匂わせでえ?なに押さえてるの!げっ最終回まで期待を裏切らない女臭さ🎉はい!お幸せにコイツ尻に引かれるべ㊗️最後のルイチャン定番の屋根に居ます報われない2番枠をやり遂げました👏🙈ご訪問に感謝して追加『54おもいでのばんび〜漂亮書生・4月アクセ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。西掌義ハ・インスの父親の断罪が決定し、うわさ話も熱を失いつつある。人など薄情なものだと思いながらも、元から何ができるわけでもないジェシン達は、成均館での学問の日々に忙しくしていた。インスの抜けた老論側の西斎では、新たに掌義が決められ、勢力図が変わった。人など替わりがいくらでもいるのだ、という証のようだったが、淡々と日々を過ごしているように見えるカン・ムを見ると少し切なくなる、とヨンハなどはこぼし、ジェシンも否定はしな
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。膳を片付けに来た下女と入れ替わりに、ユニは部屋に入ってきた。湯の入った鉄瓶を持ってきた奥付きの下女は心配そうにユニとジェシン、そしてユンシクを見比べたが、ありがとう、というユニに促されるように扉を閉めた。沈黙の中、ユニが茶の支度をする音だけが部屋に響く。ユンシクはユニの姿を凝視していた。口を一文字に結んで、必死に。大きな瞳をさらに見開いて。ユニとユンシクの最も似ているところはその瞳だろう。形も大きさも
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。機嫌は悪くなかった。結果待ちとはいえ、力を出し切った四人は、緊張しすぎのユンシクがいるとは言えども、落ち着いて放榜礼に臨んだ。最初に呼ばれるのは丙科。合格者の中でも順位の低いものからだ。その中に、四人の名はなかった。ユンシクが驚いているのが分かり、ジェシンは温かな気分になった。そんなに自分を過小評価することはないと、いつもユンシクには思っていた。彼は、成均館が初めて見た世間で、自分がもの知らずだという事に打ち
㊟フォロワー様500名記念リクエスト。成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。あの時、ユニの母親に言うこともできた。本当は大学生で、アルバイトをしているんです、父は公務員、母は主婦のいたって普通の家庭で育った男です。と。彼女の母親が、いわゆる大学に行っていない、正規の仕事に就けない青年と自分を判じているのは分かっていた。面倒だから仕事用の作業服上下のままバイクに乗っていた。バイトに入る週末は、大学に行く必要がなかったからだ。言い訳はできた。だが、それは
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。ジェシンの書いた詩たちは、そのままユニの部屋へと運ばれていった。いくつかジェシンの前で読んだユニは、じいっとジェシンの顔を見つめ、そして順番に並べて、と命じてきた。書いた順、ということだろう、とジェシンは覚えている限り順に紙を積み重ねた。ただ、書いては机の中に放り込んでいったから、机の引き出しにあったものはしたから順に古いとはっきりしている。本に挟まっていたものをその間にいれればおしまいだったし、ジェシンは書いたとき
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。しばらく経ってからある、毎月恒例の試験では、何人もの落第者が出た。そのうち、明らかに不正な試験の受け方・・・回答を試験中に共有したり、試験範囲に当たる文言をいくつも書き連ねた紙を隠し持っていたりしたのを現場で押さえられたものは退学処分となった。上斎生にも下斎生にもそれらの行為を行ったものはいて、厳しく詰問された彼らは、今までも同じようなことを繰り返していて、まさか見つかるとは思っていなかった、と白状した。逆に、今にな
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。体が温まるのは本当で、ユニはその生薬を頂いた晩は布団にもぐるなりぐっすりと眠れた。睡眠時間はいつもより短くなっているはずなのに、いつもより調子よく目が覚めるほどぐっすりと。しかしある日、その生薬の味が濃い日があった。そして茶碗の香りを嗅いで口を付けるのをためらっているユニに、男は申し訳なさそうにほほ笑んだ。「すまないね、少し配合を変えられたのだよ。体を毒するものではないけれど味は変わるからね。一口試し
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。殿試が終れば、もう成均館にいる意味はなくなる。会試合格の時点で官吏になることは決定しているからだ。長い試験の一日が終ったその夜、四人はそれぞれの持ち物を粛々と片付けた。中二坊三人は荷自体が少ない。着替え数枚と自前の書物数冊。くるんでしまえば部屋に残るのは元からある小机人数分と、今夜使用する夜具だけだ。ヨンハの部屋は荷が多くばったんばったん音がするけれど、どうせ使用人が片付けに来るのが分かっているので放っておけ
㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。ご注意ください。「・・・で・・・言い訳は聞かなくていいな・・・。」ヨンハは震えた。いきなり殴られた方が良かった。扉があいたと思ったら、帰宅日に戻っていた屋敷から帰ってきただろう親友の姿。すっかり夜になった成均館の庭を背景に、ゆらりと立つジェシンの顔が室内の灯に下から照らされて陰影が揺れる。それが恐ろしいほどに無表情の顔を、更に冷酷に見せたものだから、ヨンハは悟ったのだ。あ、ばれた。「・・・い・・・言い訳は聞いてくれ