菅原道真公の御在世当時、道真公のお気に入りの人に松木白太夫という人がいました。慎み深く誠実で誰からもその人柄を高く買われていたそうです。その白太夫は、若い頃から神秘の力が開け、不思議な神界の様子を拝むことが出来たそうです。しかし、そういうことは今は昔も同様で、みだりに人に語っても信用されず、却って自分をけがすだけなので、きびしく口を閉ざしていました。それでも、自分の家族にだけは、真実のことを伝えておきたかったとみえ、つねづね次のような話をしていたそうです。『自分は二十五歳の春ごろ、三、四日ほどの