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「中川君、日本側でやるべきことは全て終わったよ」「そうですか」「あれだけ騒いでいたマスコミも、1ヶ月経った今では我々のことを全くとりあげない」「世間にはもっと刺激的なニュースが溢れてますからね」「我々の件も十分に刺激的だったがな」電話口の向こうにいる本社の部長は、そう軽口をたたいた。自宅リビングにいる私はテーブルに置いたスマホを見つめ、ウイスキーをゆっくり舐めた。「君もいろいろと大変だっただろう、中川君。大使館とのやりとりとか」「全くおもいがけない
「奥さん、さあ、こちらのテーブルへ」サバンナの真ん中、コテージ形式の小さなレストランに私たちは腰を落ち着けた。草原の彼方には、象の家族がゆっくり歩いているのが見える。だが、連中は依然として動物にはまるで興味がないようだ。「私、また皆さんと一緒なんですか?」「当たり前じゃないですか、奥さん。さあ、冷えたビールが並んでますよ」妻の細い腰にいやらしく手を回し、橋口が強引に引き寄せる。「もう、橋口さん、エッチなんだから」美尻を撫でる男の手を軽く叩き、妻は3
桔梗の細い肢体を抱きしめ、疾風は彼女の唇を吸った。「あんっ・・・・」妻は自分から舌を伸ばし、息を乱していく。「桔梗、脱ぐんだ」「いいわ・・・」若妻の肢体には、いつも以上に淫らな気配が漂っていた。露わにされていく白い肌、そして美しく盛り上がった胸の丘陵が闇に妖しく光る。下半身を隠していた服も剥ぎ取り、疾風は桔梗を生まれたままの姿にした。自分も全ての服を脱ぎ、妻の美しい躰を抱きしめる。「はんっ・・・・」声を漏らし、妻は彼の腰に自分から美脚を
昼間、あれほどに高かった波が、今は穏やかな調子で岸壁に寄せてくる。森に豪雨をもたらした雨雲もとうに消え去り、二人の頭上には満点の星空が広がっていた。「疾風、大丈夫?」慶次との格闘の記憶が、疾風の若い肉体にまだ深く刻み込まれている。だが、若者は血を滲ませた腕、そして足を気にする素振りも見せず、しっかりとした足取りで崖に向かって歩いている。「平気さ、あれくらい」「信じてたよ、疾風」「えっ」手を繋いだまま、疾風は桔梗の横顔を見つめた。幼さを僅かに残
「ここまで来いよ、桔梗!」「ねえ、疾風、待ってったら!」戦国の黎明期、天文年間。尾張の国では、後の歴史を大きく塗り替えることになる武将、織田信長がまもなく誕生しようとしている。だが、ここははるか遠く離れた、海の孤島。南国特有の眩しい日差しの下、走り回る少年と少女は、迫り来る戦国の騒乱など無縁の世界にいる。「今日の海はいつも以上に綺麗だぜ、桔梗!」粗末な小袖を身に纏った少年、疾風。疾風(はやて)、と名付けてくれた両親はもうこの世にはいない。彼が
「待たせたな。楽にせい」二人の前に遂に姿を現した男は、一段高くなった上座から高慢な口調で言い放った。伏せたままの吉蔵に対し、疾風は物怖じすることなく、顔をあげた。妻を奪い、その体を好きなように貪りつくそうとする男、隆景がそこにいる。「ほう。お前が桔梗の夫か」自身を睨みつける若者に、彼は興味深い視線を注いだ。「妻を返してもらおうか」遠慮のないその言い方に、隆景の脇にいた一人の武士が立ち上がる。今にも刀を抜きそうな気配の配下に、殿が穏やかな口調
桔梗は夢中で走った。膝丈の着物で懸命に肢体を隠しながら、息を切らして獣から逃げた。森の中に逃げ込めば、時間が稼げる。そうすれば、海から戻った疾風がきっと助けにきてくれるはず。「雨・・・・」雲行きが怪しい上空から、ぽつりぽつりと水滴が落ち、走り続ける桔梗の頬を濡らす。遠くに森が見えてきた。そこを突き抜ければ草原が広がる崖の上に続く道。桔梗は森の暗闇に身を隠すつもりだった。だが、そんな桔梗の計画を嘲笑うように、背後から慶次の声が届く。「桔梗
「桔梗、どこでそんなこと覚えたんだよ」草むらの中、疾風は大胆な桔梗をからかうようにささやいた。こんな風な戯れを、2人は少し前から重ねている。「ふふふ、内緒だよ」同い年で祝言をあげる連中が、既に島内には何人かいる。桔梗がそんな知識をいつの間にか得ていても、それは不思議なことではなかった。「もうこんなになってるわよ、疾風」彼の腰に滑り込ませた右手で、桔梗はそこにあるたくましいものを握りしめた。「駄目だよ、桔梗・・・・」「いいから黙ってて」ゆ
「桔梗、いくぜ・・・・」よだれを垂らさんばかりの表情で、慶次は自身の腰を一気に桔梗の秘密に突き立てようとした。桔梗が唇を噛み、全てを覚悟した時。「ううっ・・・・・・」上にいる慶次が、突然後頭部を抑え、傍の地面に倒れ込んだ。こぶしくらいの大きさの固い石が、表面に血を滲ませて転がっている。「桔梗、大丈夫か!」すんでのところで慶次の毒牙から逃げることができた桔梗は、素早く立ち上がり、石が飛んできた方向を見た。「疾風!」腹ばいでうごめく慶次に唾を吐き
「大丈夫だったかい、佐和子?」その夜、私たちは歓迎会が開かれたホテルの部屋に泊まった。この国での自宅が決まるまで、この部屋にしばらく滞在する予定だ。部屋に戻るなり、妻はシャワーを浴びたいと言って浴室に飛び込んだ。久しぶりのアルコールのせいか、あるいは別の理由からか、その表情はほの赤く染まっている。「あなた、ごめんなさい。少し飲みすぎたみたい、私」濡れた髪をドライヤーで乾かしながら、妻は鏡に映る私に言った。「謝ることなんかないさ」いろいろと言いたいこ
1ヶ月前に公開した断髪小説~千夏の髪・続~の5ページを1ページにまとめました。普段は1日500PVぐらいですがこちらを公開した時は1500PVほどいき、たくさんの方に読まれて本当にうれしかったです。重ね重ねになりますが、お読みいただいた方、本当にありがとうございます!内容は全く一緒ですのでご了承ください(読みやすさのためだけに1ページにしました)*************************こちらの話の続編です断髪小説〜千夏の髪〜『断髪小
「Boss,Wegottagetoutofthisplacenow!!」車から飛び出してきたハネスが、コテージのバルコニーにいた私たちに叫んだ。サバンナの地平線についに陽は沈み、周囲は闇が濃くなっている。恐怖と興奮、更には罪を犯したものだけが感じるであろう焦燥感。汗を浮かべた彼の顔には、そんな複雑な感情が入り混じっていた。「さあ、早く!」椅子から立ち上がったものの、呆然としていた私、ジム、そして佐和子の目を覚ますように、ハネスがもう一度叫ん
「じい!」じっと身を伏せていた疾風は思わず上体を起こし、声をあげた。だが、現実は冷酷だった。隆景まであと数歩という距離に近づいた吉蔵に、一人の武士が声をあげて刀を振り下ろした。「ひ、ひい・・・・」周囲にいた島の住民たちが、恐れをなして一斉に後退りする。「ううっ・・・・」振り下ろされた刀は、老人の肩から全身を鋭く切りつけた。うめき声をもらし、彼は浜にばたりと倒れ込んだ。鮮血が白い浜を無惨に染めていく。「皆のもの、見たか。無礼は最後まで許さ
「ハネスのやつ、やりやがる・・・・」寝室にまでカメラを設置したドライバーの働きに、私はある種の感動さえ覚えた。だが、そこに記録された現実は、私には残酷なものであった。「佐和子・・・・」4人の時間は、寝室の外の窓が明るくなる頃まで続いた。「奥さん、口でお願いしますよ」ベッドルームに連れ込んだ妻に、3人がそんなリクエストを投げかける。「ゴルフ場では手でしてもらいましたけど。今日はもっと大胆にお願いします」「でも、主人にもそんなこと、私・・・・」「
映像は想像以上に鮮明だった。「ハネスのやつ、いい仕事しやがって」強いウイスキーを舐めながら、私は画面の中で繰り広げられる映像を凝視した。それは、私が出張に出発した日の夜だった。午後9時を回った頃。記録されているのは自宅のリビングルームだ。ハネスが密かに設置した複数のカメラが上方、或いはサイドからリビングの様子を捉えている。「凄く美味しかったです」リビングに姿を現した妻が、背後にいる誰かにそんな声をかけた。私が知らない膝丈のワンピース姿の妻。
「すげえや、これは」船の中、小さな部屋に案内された疾風は、見たことのないもので溢れかえったその空間に圧倒された。壁には、大男と同じように金色の髪の毛を持った美しい女を描いた絵が飾られている。その女は一糸もまとわず、生まれたままの姿を曝け出していた。白く透き通った肌、豊満な胸元、そして下腹部に広がる妖しげな茂み。男を誘うような女の視線に、疾風はごくりと唾を飲み込んだ。「綺麗なおなごじゃ」吉蔵が思わずつぶやく。部屋の中央には巨大な台、四本の長い脚を備え
「えっと、小沢君だったね」「は、はい・・・」高層ビルの30階だか40階だか、という随分高いフロアにある会議室。大きな窓の向こうには、新宿方面のビル群、そしてどこまでも広がる大東京の風景が広がっている。だが、もちろん僕は、課長と一緒に東京見物を楽しんでいるわけでなはい。大切な新規取引先候補、その役員会を相手にしたプレゼンで、僕はなんとか新製品の取り扱いの合意を得ようと奮闘していた。「今度のプレゼンは小沢くんに任せるわ。いいわね」課長からそんな指示を受けたの
「ここで、ですか?」予想外の要求に、妻は戸惑いを隠せない様子で宮野を見つめた。「エッチなリクエストですけど。まずはじっくり見て楽しみたいんです、奥さんを」「そんな・・・・」「奥さんの裸を毎晩想像してるんですよ、一人寂しく」「もう、エッチなんですから、皆さん・・・・」駄々っ子たちの望みに呆れるような視線で、妻が3人を見つめる。その表情には、男たちの求めに応じる自分を想像し、興奮を深めている色が浮かんでいた。「たまには楽しみたいんです、俺たちも」
荒れる波は最後まで穏やかになることはなかった。その日、疾風は吉蔵と一緒にどうにか船を操り、浜にまでたどり着くことができた。「ふう。なんとか戻ったな、じい」「疾風、ようやった」「波は高かったが、今日は大漁だ」吉蔵と一緒に、疾風は獲れた魚でいっぱいのびくを砂浜におろした。中を覗けば、数えきれないほどのアジ、そしてカワハギが跳ね回っている。「桔梗も喜ぶじゃろう」吉蔵はそう言いながら、ふと上空を見上げる。「疾風、雲行きが怪しいな」「ああ」
「吉報じゃな、我らにとっては」隆景の一行が遂に離島するという情報を慶次がもたらした夜から、一月あまり。運命の日は、いよいよ明日に迫っていた。「でも隆景はどうしてそんな選択をしたんだろうね」漁で使う網だろうか、何やら巨大な網状の太い紐を手元で編みながら、弥太郎は吉蔵、そして疾風に声をかけた。夕食を終えた佐助は、既に大人たちの会話の意味がわかる年齢だが、それに気付かぬ様子で一人、土間の片隅に木片を積み上げて遊んでいる。「俺に見せつけるためだろう」手に抱えた冷
ゴルフ場はダウンタウンから車で1時間ほどの郊外にあった。アフリカのイメージとはかけ離れ、綺麗に整備された広いコース。南国の太陽、そして眩しいほどの青空の下、これ以上ないほどに濃い緑が広がっている。「少し先にはサファリパークがありますよ」私と一緒に回る現地のスタッフがそんなことを教えてくれた。「猛獣がうろついてますから、気をつけてください」そんな忠告は、私にアフリカにいるという現実を改めて教えてくれる。少しばかりゴルフ経験がある私は、本来であれば今日は存分
「来ないで!」狭い台所、桔梗は後ずさりして慶次から離れようとした。だが、彼女の腰に固いかまどが触れ、それ以上の逃げ場がないことを教える。「こんなちっぽけな家に逃げ場所なんかないことは、桔梗、お前が一番知ってるだろう」男の太い腕が桔梗の肩を撫でるように伸びてくる。「触らないで・・・・」きつい視線でにらみつけながら、桔梗は背後で手をまさぐった。「今日も疾風はおやじと海にいるんだろう」「・・・・」「波が高いな、今日は。無事に帰ってこれるかな、やろう
「あなた、私、どうすればいいのかしら」レストランに残されたのは私、妻、そして運転手のジム、その3人だった。大胆なドレスに着替えると言われた妻。どこか恥ずかしげに、また不安げな様子で、私にそう聞いてきた。「慌てることはないさ、佐和子。ゆっくりここで待つとしようか」「待つって、あなた、何を?」「ハネスさ。そのうちハネスはここに舞い戻ってくるはずさ」「皆さんを残して?」「ああ」「どれくらい待つの?」「そうだな。かなり遅くなるかもしれない」
いったん引いたその手を、橋口が再びテーブルの下に伸ばす。「もう、橋口さんってば」うまくあしらうようにビールを注ぎながら、妻は妥協するように彼と指先を絡めた。誰も見ていないテーブルの下で、妻の指が上司の手に好きなようにいじめられている。「奥さん、俺たちとも仲良くしてくださいよ」妻と接するほどの距離にまで椅子を近づけながら、北原が赤ら顔で声をかける。さりげなく妻の背に置いた手を動かしながら、彼は宮野に目配せするような仕草を見せた。「奥さんはゴルフとかしな
「えっ、海外駐在?!」その知らせを聞いた妻は、舞い上がった様子で声を弾ませた。海外旅行が好きな彼女にとって、駐在員の妻になることはある意味で夢だったのだろう。「でも行き先がとんでもない場所だぜ」「どこなの?」「アフリカのここだよ」私は妻に国名を教えた。子供の頃、社会の授業で地図帳を眺めていたときの記憶が一瞬よぎった。名前は聞いたことがあるが、正確にはそれがどこにあるのかわからない。そんな国なのだ。だが、妻は困惑する様子を見せることな
「女だ!女はどこじゃ!」息の根を止められた慶次を囲む武士たちはなおも数十人はいるだろうか。次々にかしらの武士を殺され、彼らは皆、狂気に取り憑かれているようだ。「あそこじゃ!」一人の武士が、浜の端にまで逃げた人妻の姿を見つける。どうやら男と一緒にいるようだ。「あれは女の旦那だぜ」「奪還しようってことかい。そうはさせまい」口々に言いながら、武士たちが再び走り始めた。彼らだけでなく、それまで呆然とした様子で見守っていた他の武士たちも、声をあげて一
「なんと・・・・」星がいつも以上に綺麗な夜だった。だが、そこにいる男たちには、夜空に輝く無数の星の美しさに浸っている余裕はないようだ。島の南端。疾風、そして佐助が住む粗末な家。そこにいるべき妻の姿はない。既に寝息を立てている佐助のそばで、男たちが囲炉裏を囲んでいる。疾風、吉蔵、弥太郎。そして、今夜、はるばる島の北からやってきた一人の武士。秘密の会談は彼が持ちかけたものだった。「殿は島を出るつもりだ」「・・・・」「桔梗を連れて
妻の服がはだけ、薄手の生地の下に隠された肉体が露わにされていく。「惚れ惚れする体じゃ」目の前に夫がいることに構う様子もなく、隆景は桔梗の服を広げ、上半身を剥き出しにした。「堪忍してっ・・・・」「したいんだろう、お前も」「・・・・」男の口が、妻の胸に吸い付いた。「あんっ・・・・」彼の頭を抱え込むような格好で、人妻は妖しく悶えた。広大な屋敷があるこの高台から、島を取り囲む海が見える。強い日差しが降り注ぐ昼間にもかかわらず、隆景は激しい興奮を
「ボス、いいんですか、このままで」出張から1ヶ月が経過した。あの映像の記憶は私の胸から消え去るどころか、時間が経つにつれて濃厚に蘇ってくる。自らの困惑を忘れようと、私はあれから妻を何回か抱いた。「あなた、今夜は駄目・・・・」彼らとの記憶を自分の体に留めておきたいのだろうか。妻はそんな風に私を拒絶することが多かった。だが、私はそんなときでも妻を強引に抱いた。「いやっ・・・・、あなた、駄目っ・・・・、あっ・・・・・・」一層敏感に、感じやすくなった
「お前こそ生きているのかい」突然姿を現した慶次に対し、疾風は挑発するような言葉を投げた。旧友と言えなくもない、昔から続く彼との関係。だが、武士になると言って島を飛び出したこの男は、今はもう別の世界にいる。話すことなどない。「思ったより元気よさそうじゃないか、疾風」ようやく様になってきた武士の装いのまま、彼はずかずかと疾風の家に入り込んできた。来客を歓迎するように、佐助が声をあげて彼に飛びつく。「大きくなったな・・・」慶次は一瞬表情を崩し、足元