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PGT-Aについては、自身の施設で実施していないと生殖医療に携わる医師や培養士の方々もよく分かっていない部分があると思います。そこで、今日は、PGT-Aはどのような方に対して効果があるのか、ということを解説したいと思います。大前提として、単にふんわりと、PGT-Aは妊娠率を上げるとか上げないとか、生産率が上昇するとかしないとか、流産率を下げるとか下げないとか、色々言ったたりするわけですが、こうした場合は母集団や検査の目的を定めない議論に何の意味もないです。大切なのはどういう方のどういう場合
本論文は、PRP卵巣注入の効果をランダム化試験により検討したものです。HumReprod2024;39:760(スペイン)doi:10.1093/humrep/deae038要約:POSEIDON分類3&4のPOR女性60名(30~42歳)を対象に、卵巣内PRP注入の有効性と安全性を検討するため、最初の採卵時にPRPあるいはプラセボのいずれかを投与し、3回連続で卵巣刺激と採卵を実施するランダム化試験(二重盲検法)を行いました。なお、採卵①②では卵子凍結を行い、採卵③の実施時に
Q第一子を貴院で授かり2020年10月、40歳で元気な男の子を出産しました。41歳になり第二子治療をスタートしておりますが、先生のご意見が伺いたく質問している次第です。第一子治療時、採卵を繰り返すも全く胚盤胞にならず移植にたどり着けなかったため、貴院に転院。転院後凍結できたのは下記です。38歳採卵(全て体外受精由来):9G2、9G3、4AB、4AB39歳採卵(顕微由来):4AA、6日目3BC移植14AA(第一子治療時移植hCG0.8で陰性)移植24AB(ホルモン補充、G-C
QBT10でhCG50台という低hCG値により、1週間後に再判定となりました。以前に稽留流産を経験していることもあり、どうしても心配で、同じ状況だった方々のブログをついつい検索してしまいます。私がいくつか見たブログでは、判定日に低hCG値でもその後妊娠継続できている方は、年齢が若い人達で、40代では見つけられませんでした。毎日たくさんの患者さんに接しておられる松林先生の感覚で、40代で判定日に低hCG値でもその後妊娠継続して出産されている方の割合はどれくらいですか。せっかくの陽性判定とはいえ
Qリプロ大阪にて通院中です。エストロゲン補充は妊娠8週頃まで、黄体ホルモン補充は妊娠9週までと言われました。松林先生の過去ブログでは、2週間程度余裕をもって補充していますと投稿されていたので、上記の処方で正しいのか不安になっています。A保険適応になってから、薬剤の添付文書が改訂されました。エストロゲン製剤は「妊娠8週まで」と記載され、黄体ホルモン製剤は「妊娠9週まで」と記載されていますので、保険適応では上記の通りになります。なお、自費の方は、妊娠8週台で減量し、妊娠9週末
Q地方在住、41歳一人目も体外受精で妊娠出産し、現在二人目希望で通院中です。一人目のときから胚盤胞は得られやすいのですが、グレードのいい胚を移植してもなかなか妊娠しないという現状があります。子宮鏡検査や、血栓関連、自己抗体などは調べ、原因不明と言われています。一人目は何度か移植して、原因は特定できてないもののプレドニンとアスピリンを処方され、妊娠しました。二人目の治療はこれまで、2つの病院で5日目胚盤胞を計5回移植しました。そのうち3回は市販の妊娠検査薬(感度50mlU)でBT5〜10くら
胚盤胞でしか移植・凍結しないクリニックでは、良くも悪くもこういう悩みはないのですが、初期胚でも凍結できる、あるいは自分で選択可能となると、なかなか決められない命題が、「胚盤胞まで培養するか、初期胚で移植・凍結するか」です。胚盤胞でしか移植・凍結しないクリニックの言い分は、「胚盤胞のほうが妊娠率がいいから」ということなんですが、確率なんて誰にでも当てはまるものではありません。例えば、大学受験予備校でA塾とB塾があったとして、仮にA塾のほうが合格率が高い、みたいなデータがあったとしましょ
胚移植のスケジュールにおいて、一度決定している移植日程を、あとから別の日に変更したい、というご希望や、あとから変更することはできるのか、というご相談を時々いただきます。今日はこれについてお話したいと思います。【ホルモン補充周期の場合】ホルモン補充周期の場合、移植日は、月経から〇日目、ということではなく、黄体ホルモン製剤(当院の場合はルトラールやウトロゲスタン等)を始めてから、初期胚なら3日後、胚盤胞なら5日後になります(紛らわしいので着床の窓がズレているケースはここでは触れませんが、各論
リプロダクションクリニック「大阪」「東京」は毎日診療をいたしております。5月の松林の診察日については、下表をご覧下さい。診察日を記載していますので、お間違いないようお願いいたします。当院は、高度な診療を行うため、常勤と非常勤を合わせて、現在生殖医療専門医が23名おります。当院は松林、竹内、土信田、大原を中心に議論を重ね、一貫したリプロダクションクリニックの治療方針を徹底しておりますので、松林が不在の日にも不都合がないようになっております。土日月曜日と祝日の診療開始時間はA
本論文は、細菌叢(フローラ)と流産の関連についてのレビューです。HumReprod2024;39:638(英国)doi:10.1093/humrep/dead274要約:ヒトの子宮内膜は、母体〜胎児の相互作用を仲介する極めて重要な組織です。半同種移植片である胎児は、この相互作用が崩れると流産に至ります。流産のリスク因子として母体の加齢と過去の流産回数は揺るぎもない事実ですが、流産は多因子性であるため、子宮内膜の微小環境の関与は否定できません。近年、子宮内フローラがこれに関与する
Q以前相談させていただきました。色々検査した方が良いとの事でしたので検査した結果、先生のおっしゃる通り慢性子宮内膜炎+4→ビブラマイシン2週間再検査なしホルモン補充周期でERPeak+1.0日子宮線筋症疑い(子宮収縮なし)が発覚しました。良好胚4AB、4BBなど自然周期で移植HCG1桁ERPeak結果を踏まえてホルモン補充周期+1日で移植4CC→HCG1桁内膜は8mm、採血は黄体ホルモン投与前のみ、胚融解は移植日当日プロテインSC12因子、NK細胞、Th1
俗にいう「遺残卵胞」に関する記事、第5弾です。すでに過去記事で何度も述べていますが、「遺残卵胞」というのは、俗称通称の類であって、正式な専門用語ではありません。以下の5種を中心とした月経中に18~25mm程度の卵胞のような所見が見える様々な状態場合を、十把一絡げにまとめて総称してしまったものが「遺残卵胞」です。5種類の内訳は、①黄体遺残②黄体化未破裂卵胞③単純性嚢胞(simplecyst)④機能性嚢胞(functionalcyst)⑤本物の卵胞となります
こんにちは(¨̮)実は3日前から軽く出血してまして今日はドキドキの診察です…今日のリプロは私がみた中で1番混んでました(Ꙭ)!それやからかめっちゃ待ち時間長かったでも、内診診察は過去一短かったですw10:55チェックイン11:22内診12:05診察(3分w)12:32看護師説明(5分)12:40会計約2時間滞在(´-`).。oO本日のミッション5w3d(BT19)胎嚢確認結果から言うと....胎嚢確認確認できました(*´`*)♥︎二人目▶
Q低AMH(37歳時:0.44)不妊治療クリニックに通っているのですが、月経時ホルモン検査で何度かプロラクチン高値が出ています。100を超えた時は脳のMRIを撮りましたが異常なしでした。胃薬や精神薬も飲んでいません。甲状腺も少しTSHが高い気もしますが(20.1~2.3程度)投薬の必要はないとのことです。自分で高プロラクチンに思い当たる要因としては、妊活や彼との関係や仕事での大きなストレス、酷い不眠に心当たりがあります。不眠は12時前にはベッドに入るも寝つきが悪かったり、夜中にトイレで中
Q第二子治療中、39歳第一子は人工授精2回目で出産(36歳)第二子では人工授精5回でかすりもせず、その後胚盤胞移植を3回し、3回とも化学流産でした。初回移植で化学流産となった後、リプロ東京にて子宮鏡検査とERPeak検査以外の着床障害・不育症の検査をしたところ、抗CL-IgG抗体が27と高く、2回目・3回目は移植後からヘパリン注射を行いましたが、その後も化学流産でした。化学流産が続いたことから、子宮鏡検査と着床の窓の検査をしたかったのですが、前院では対応できなかったので転院しました
Q二段階移植を予定したダクチル服用についてリプロでは移植日から飲むことになっているようですが、通院先では二段階移植ということもあってか黄体ホルモンの開始日から飲むようにと言われています。①そこまで早くから飲んだ方がいいのか、それとも移植日2、3日前からとか当日からとかいつから飲んだ方がいいのいうのはあるのでしょうか。②リプロでは二段階移植の場合は、初期胚移植日から飲むのでしょうか。③もし黄体ホルモン開始日など早めから飲んだ場合、移植結果にマイナスに影響することはあるのでしょうか。以
本論文は、不妊治療ではなく、不妊症であること(妊娠しないこと)自体がADHD(注意欠如・多動症)のリスク因子であることを示しています。HumReprod2022;37:2126(カナダ)doi:10.1093/humrep/deac129要約:2006〜2014年にカナダオンタリオ州で妊娠24週以降で出産した925,488名を対象に、4歳以降最長8歳までのADHDの有無を2020年まで人口疾病統計で調査しました(ICES、OHIP、BORNデータベース)。内訳は、自然妊娠805
透明帯(zona)とは卵子の周囲の殻のようなものです。移植直前に、アシステッドハッチング(AHA)を行うなどと聞いたことがあると思いますが、これは、透明帯に穴をあけるもので、あまり日本語は使いませんがAHAの日本語訳は「透明帯孵化補助法」です。卵子は、透明帯に守られています。例えば自然妊娠や体外受精で精子が2個以上入らないのは透明帯の機能のお陰です(何度か書いていますが、精子は生き物ではなくて細胞ですので、〇匹ではなく〇個と数えるのが正式です。かわいいので?、つい精子〇匹って言っちゃいます
本論文は、モザイク胚および異常胚のTE細胞は高頻度でアポトーシスが生じていることを示しています。HumReprod2024;39:709(スペイン)doi:10.1093/humrep/deae009要約:2019〜2022年にPGT-A(NGS+SNP)を行った43組の夫婦から提供していただいた64個の胚盤胞(うちモザイク胚27個)を対象に、総細胞(DAPI+)、TE細胞(GATA3+)、ICM細胞(GATA3-/NANOG+)、アポトーシス細胞(カスパーゼ3+orTU
当院では、採卵において、無麻酔、局所麻酔、静脈麻酔(全身麻酔)を使い分けておりますが、無麻酔しかしないとか、原則静脈麻酔とか、医師の考え方によって一部の麻酔方法しかしないクリニックも多いようです。無麻酔しかしない自然周期系のクリニックは、「痛みが少ない極細の針で採卵しております」とか、逆に静脈麻酔メインのクリニックは、「無麻酔なんて信じられない、患者様の痛み緩和を最重視」とか、色々なことを書いたり言ったりします。もちろん、思っていないことは言わないでしょうけれども、採卵の麻酔については、ク
Q2022.11.11「Q&A347745歳、採卵3回の結果について」の記事でご回答いただきまして、ありがとうございました。その後、今年の2月に自然周期で3個初期杯(8G3、7G4、4G2)を移植したのですが、残念ながら陰性でした。残るはあと3つの初期杯(7G4、7G4、4G4)です。周囲の話を聞くと、とくに身体的な要因がない場合、妊活を諦めたタイミングでポコっとできた、という話をよく耳にします。それはおそらく、ストレスからの解放などが影響しているのかな、と思いますが、私も自営業なので気の
Q以前は移植についての回答頂きありがとうございます。今回は転院について検討しています。現在33歳、4年間で7回陽性判定をもらえたのですが、経過が全て上手くいかなかったです。採卵はPPOS法が多く、だいたい20個程度取れて、15個以上受精しますが凍結まで至りません。今まで、アンタゴニスト法、PPOS法、簡易法?をやったことがあります。2023年はPPOS法4回、1〜2回目凍結ゼロ、3回目凍結2個、4回目凍結ゼロという結果でした。初期胚移植は陽性になった事がないので、全て胚盤胞を目指してい
夫婦の染色体検査に続き、今夜は絨毛染色体検査についてお話します。絨毛染色体検査とは流産した時の胎児の染色体に異常があったのかなかったのかを検査するものです。異常があれば、胎児の染色体異常が原因で流産したことになり、また胎児が正常であれば、それ以外の原因で流産したことになりますので、流産の原因を突き止める決定的な検査となります。ところで、夫婦の染色体検査は、血液(中の主にリンパ球)の染色体を調べます。採血ですので、必要なだけの生きた細胞を得ることができますので、検査としては比較的容易です
本論文は、AMHとビタミンDの関係ついての横断研究です。FertilSteril2024;121:642(米国)doi:10.1016/j.fertnstert.2023.12.023要約:2010〜2012年に23〜35歳の子宮筋腫のないアフリカ系アメリカ人あるいは黒人1,593名の女性を対象に、25OHビタミンD濃度とAMH値測定を行い、その関連性を検討しました(SELFスタディ、theStudyofEnvironment,LifestyleandFibroid
コメントに直接お返事しようかと思ったのですが、1つの記事になりそうですので、書いてみようと思います。採卵時の痛みに関する記事にこのようなコメントをいただきました。「まさに痛みへの恐怖から体外受精に進めません。皆、頑張ってやってるのになんでこんなに弱いんだろうと自分を責めてしまいます...」恐怖がある場合の1つの解決方法は逃避、つまり体外受精をしないという選択であり、体外受精をする選択を持たなければ恐怖を感じる必要はなくなります。しかし、体外受精を考えてはいるのだが、恐怖心が出てきて困
【速報】不妊治療ミスで流産夫婦が医療機関を提訴診療も一方的に拒否されたと訴え大阪地裁(読売テレビ)-Yahoo!ニュース大阪市内の不妊治療専門の医療機関で、ミスによって流産を強いられた上、その後の診療も一方的に拒否されたなどとして、神奈川県横浜市に住む夫婦が医療機関に対し、1000万円あまりの支払いを求める訴えを7news.yahoo.co.jp報道の概要としては、夫は精索静脈瘤を伴う無精子症、さらに相互転座ありで、妻が37歳の時に治療開始(2019年)。着床前診断
Q夫婦とも38歳良好な胚盤胞移植が2回とも着床しませんでした。次回グレードが劣る残りの胚盤胞2個を同時に移植予定ですが、ERA検査を勧められました。また、7月頃に夫が2ヶ月ほど海外に出張になり帰ってくるのは9月頃です。そこでご相談ですが、下記のどちらにしようか非常に悩んでいます。①5月移植はスルーしてERA検査→移植→ダメなら採卵(夫がいないので次の採卵は早くて9月)②5月移植→ダメなら採卵→ERA検査→再度移植(夫の出張前に採卵、夫の不在時に検査からの移植)採卵するなら少しでも