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「少し、昔話をしようか…」ユチョンは静かな口調で話し始めた。「俺はまだガキの頃、ジュンスを手放しちまった事がある。俺がバカだったから気付けなかったんだ。そのせいでジュンスを守れなかった。俺の力が足りないばっかりに、ジュンスに一生消えない傷を負わせた」「え…?消えない傷って…まさか…」「あいつはアルファに売られた経験がある」ジュンスはいつも笑っていた。同じオメガであるジェジュンにいつだって優しくしてくれて、守ってくれた。そんなジュンスに、辛い過去があったなんて考えた事
語り部アロマが紡ぐ「象る」聞いていかれませんか。2023年春韓国ユノside――――ユノとジェジュンの愛の巣であるマンションのリビング「ジェジュァ―。ただいま!やっと休みだ。やっと帰ってこられた。ほんとにドラマの撮影ってなんでこんなに詰め込みでやるんだろ。体力バカと言われる俺でも、ん?寝ている・・な」180㎝越えの男が横になっても手足が伸ばせるほどの大きな白いソファーに横たわり静かな寝息を立てている麗人。ユノは床に胡坐をかいて座面に手を当て、その上に顎をのせてじっく
皆様、明けましておめでとうございます!8日に3周年を迎えるキョウルでっす。今年も頑張って書きますので、よろしくお願いします!それでは初の時代劇で緊張しておりますが。「君がため」です。どうぞよろしくですー<(__)>ここは東宮。広い王宮内の東に位置する、世子(セジャ)の住まい。四季折々の木や花を植え、前庭から中庭に抜ける小道にも珍しい草花が揃っている。蝶や鳥が飛び交い、枝にとまった鳥たちがおしゃべりをしているように声を上げている。一年中何かの花が咲いてい
いつの間にか日は暮れて、ほの暗い街灯に照らされたまま、ジェジュンはベンチに座っていた。動けなかったと言った方がいいだろう。体は冷え切って、手は氷の様に冷たいのに、震える事すら忘れていた。目の前に、キッと高級車が止まる。中から、焦ったユノが下りてくるのが見えた。「ジェジュン!どうした?大丈夫か?」ジェジュンはぼんやりユノを見上げた。大好きなユノが来たのに、ジェジュンの心に怒りの炎が灯った。「なんで…ここが?…あ~…GPS?なるほどね…」「ジェジュン…?」ジェ
ジェジュン達のノロケにも慣れてきて、時々ふるまわれる日本食につられ、今日もジェジュン家を訪れていた。何でも、ジェジュンの弟と、ユノの従弟が今度バルセロナに遊びに来るらしい。「その時は、優もおいでよ。俺、いっぱい料理作るからー」ジェジュンは韓国でカフェを経営しているだけあって、本当に料理が上手い。日本食や、韓国料理はもちろんの事、市場のおばさんに教えて貰ったというスペインの家庭料理や、イタリア人のクラスメイトに聞いたというイタリアンもめちゃくちゃ美味しかった。「料理上手の恋人
ヒチョルはモデルになり、その世界に向いていたのかファッション誌を賑わせている。ジェジュン程ではないが、その世界ではヒチョルも有名人になり、忙しいのか最近はあまり会わなくなった。ただ、ジェジュンの仕事をサポートするという、最初のミッションは確実に、やり遂げてくれた。ユノは売るつもりだったベンツを格安でヒチョルに譲り、ヒチョルは飛び上がって喜んだ。「ヒョン、また肉っすか?チャンミンが好きだからってぇ…俺、もっとあっさりしたやつ食いたい」「贅沢言うなユチョン!いちいち別メニューな
YJLBのXジェジュンのコンサートに元メンの名前をアピールすること自体が馬鹿げてるとは思わないのか?禁止と書かれてなくても持ち込まないのが常識でしょ誰のコンサートに来てんだつーの!!😡👎馬鹿げてるのはどっちだちゅーの!!そんなの持って来なきゃスムーズにはいれたんじゃないのか!あんたらのせいだろ!!屁理屈も大概にしろ!!ジェジュンが問題にしてないんじゃなくて車からの動画だからそんなのに気づいてもないと思うけどね自己正当化も大概にしろや!!👎主催者側も大
生死をさ迷う高熱に浮かされるジェジュンを見舞い、王様はすぐさま腹心である都承旨(トスンジ:官房長官)を呼んだ。王様は約束通り、領議政の調べを、今度は自分の側近を使いもう一度調べ直した。これは、領議政の面子を潰すという事だ。何が何でも領議政の調べが間違っていたという証拠を掴まなければならない。領議政もまさか王様が調べ直すとは思っていなかったので焦ったが、そこは領議政にまで上りつめた抜かりのない男。証拠探しは困難を極めた。しかし王様の側近、右議政(ウィジョン:副総理)の調べのおか
ユノに時間をとって欲しいと言われ、午後に指定された場所に向かう。そこは江南にある、まだ建設中のアパートメントだった。門から建物の距離や決して外から見られない構造、強固なセキュリティー、広いエントランスなど、建設中とはいえ、高級アパートメントというのはすぐ分かった。「ユノ?ここは何?」養生だらけの廊下を歩き、専用のエレベータで最上階に向かうと、そこには部屋が一つあるだけ。ユノがドアを開けると、まだ工事中の部屋がそこにあった。しかし、大きな窓ガラスから見える眺望は最高で、漢江がキ
チョンユンホは子供のころから体も大きく、武道に長けた子供だった。親は左議政(チャイジョン:副総理)であり、両班の中でも最高級に位の高い家柄であったから不自由はなかったが、父親からは厳しく育てられた。父が王様の右腕だったので子供のころから王様にお目通りが叶い、王様にも可愛がられ、同じ年であるジェジュンと学友として育ち、父と同じように将来ジェジュンの右腕になる様にと期待された。父の期待は大きく、勉学にも武道にも励むよう言われたし、ユノ自体もそれに迷いも疑いも持たなかった。心からジェジュン
「まぁまぁやっと私の所にも来てくれたのね、世子」「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。大妃媽媽(テビママ)」大妃(テビ)は現王の母であり、ジェジュンの祖母。現在は宮中奥の大妃殿で、ひっそりと暮らしている。話せないジェジュンとスヨンに代わり、シンドンが通訳のようにジェジュンの言葉を伝える。「この方が世子嬪のスヨンね」スヨンとジェジュンは、大妃に正式にお辞儀をし、挨拶をした。「まぁ落ち着いた世子嬪ですこと!来てくれて嬉しいわ。待ち遠しかったのよ」「私も大妃媽媽にお会いできてう
ジュンスさんに、部屋の外で待つように言われたけど…落ち着かない。この家に住めるよう、このお屋敷の主人であり、CYグループのトップに掛け合ってくれるという。初めてこのお屋敷に入ったけど…家というより、高級ホテルみたいな洗練された建物。廊下には絨毯が敷き詰められて、部屋もいくつもあって、絵画やオブジェが飾られている。家に入る前も、壁がどこまでも続いていて、どこまでがこの家の敷地か分かんなかったもん。はぁ…お金ってのは、ある所にはたくさんあるんだなぁ。僕には全く関係のない世界って感
ヒチョルが約束の場所、日本式料亭に着くと個室にはもうチャンミンが待っていた。「すみません、遅れまして」「いいえ、キム室長。私もちょうど今来た所です」チャンミンは、血の気のないヒチョルの顔色を見て驚いた。さすがにここ数日、寝る間も惜しんで奔走していたか…。ヒチョルは席に着くと、料理に手を付ける前に話し始めた。「もうご存じかと思いますので、単刀直入に申し上げます。是非チョン家のお力を貸していただいて、マスコミの報道を押さえて頂きたい」「キム室長、分かっていると思いますが…そ
バスの窓から、懐かしい景色が見えてきた。たった6年しか過ぎていないのに、随分懐かしい気がした。バスを降り病院に着くと、ジェジュンは緊張しながら中へ入った。「爺ちゃん、ジェジュンが来てくれたよ」じーちゃんは頬がこけるほど痩せこけ、土色の顔色をしており、素人ながらもう長くないんだと分かった。ジェジュンに気が付くと、ベッドを起こし、にっこりと笑ってジェジュンの手を取った。「よく来たな…。死ぬ前に会えてよかったよ」「じーちゃん、ごめんなさい。僕知らなくて…。お見舞いにも来ないで
ジェジュンがみんなのアイドルであったのは事実だが。中には、そういった空気が嫌いな奴もいる。あからさまにジェジュンを嫌い、何かと因縁をつけてくるヤツもいた。料理やお菓子作りが好きなジェジュンは、時々学校に手作りのクッキーなどを焼いて持って来ていた。性欲と食欲が旺盛だった俺たちは、こぞってジェジュンのクッキーを欲しがった。(何に使うかはそれぞれだったが)その日もジェジュンが大量の手作りクッキーを小分けにし、みんなに配っていた。「お前、男のクセにクッキーとか焼いて来てるんじゃ
学校に行き、クラス分けの紙を見ていると、なんとユノ、ジェジュン、チャンミン、ユチョン、ジュンスは同じクラスだった。「えーこんな偶然あるんだ」ジェジュンが驚いていると、横からチャンミンが声を掛けた。「寮生はスポーツ組が多いから、どうしても同じクラスになりますよ。因みに3年はクラス替えはありませんから、卒業まで同じクラスです」「そーなんだ。じゃこれからよろしく!」始業式が終わり、ホームルームを済ませると、ジェジュンは職員室に呼ばれた。新しい教科書などを受け取り、校則や注意事項、提出す
バタンと玄関が閉まると、ユチョンがはぁ~~~っと大きな息を吐いた。「ユノ兄…凄かったっすね…」ユノはフンと鼻を鳴らした。「でも…なんで叔父さんが借金してた金融屋を知ってるの?」「あ?あれか…。ハナファイナンスで番頭やってる奴と、幼馴染でな。シムドンジンを知らないかと聞いたらビンゴだった。ほかの金融屋でもちょこちょこ摘まんでたから、一本化させた」「え?ヤクザと知り合いなの…?」「バカ、ヤクザじゃねーよ。…一歩手前ってとこだ」「はぁ…でもどうやって返すんだろ?」
―――出会った時から惹かれ合い、決して誰にも引きはがせない。どうしようもなく求め合い、本能のままに抱き合う魂の片割れ。人はそれを「運命の番」と呼ぶ――――うららかな春の日差しの中、真新しい制服に身を包んだ学生たちが、楽しそうに歩いている。少し大きめの制服、後ろには嬉しそうな母親たち。親と歩くのが少し恥ずかしい年頃で、少し離れて歩きながらも、何かと世話を焼かれている。今日、キムジェジュンは中学生になった。スラリと背が伸びたが、細身の体はそのままで、遠くから見ると女の子
叔父さんには自分が会う、そうユノ兄が言った。ユチョンは一抹の不安がよぎったが、ここは大人のユノに頼ることにした。ユノ兄の希望で、場所はこの家、ジェジュンには知らせない事を約束し、ユノ兄のいい時間に叔父を呼び出した。「叔父さん、たまには晩御飯でもどうですか」ユチョンの誘いに、叔父は、疑うことなくやって来た。「あぁ、叔父さん、お久しぶりです」「なんなんだ、わざわざ呼び出しやがって。俺も忙しいんだぞ」よく言うよ、呼んでもないのにしょっちゅう来るくせして。