脚本家が物語を効率よく語るために工夫を凝らした結果、その語り方を別の人が別の作品においても踏襲する場合がある。そして、いつの間にか、その語り方をその作品名で呼ぶようになる。一つの場所に集まった人々をそれぞれ点描して、最後に一堂に会するような群衆劇の形式を「グランド・ホテル」形式と呼ぶようになったのは、同名の映画(1932年)がそのような語り方で作られたからである。この映画の形式を借りた映画は枚挙に暇がなく「ポセイドン・アドベンチャー」も、「タワーリング・インフェルノ」も「ラブ・アクチュアリー」も