在宅医

在宅医療は高度な専門性より広く浅く色々な医療知識が求められます。しかし知識は自分で勉強する事である程度は会得する事が出来ますが、経験はそういうわけにはいきません。在宅医療で求められることに自宅でのお看取りがあるのですが、半分以上はがん末期の看取りです。がん患者とその家族にどう接すればいいかは経験が相当大きなウェイトをしめます。臨床医として経験を積んできた医者でもがん緩和医療の経験が豊富な人はさほど多くはありません。がん末期で死期がせまった患者さん家族をサポートするのは大変に難しいことです。病状に

今日ある施設の看護師さんからカテーテル管理についての相談を受けました。どうやら他の在宅医の担当患者さんのカテーテルが抜けてしまったようで施設の管理体制を問われたそうです。私は常々思っているのですが、点滴類やドレナージチューブや胃ろうに尿道バルンなど体の外から人為的に入れたものは必ず抜けるものだと思っています。自然抜去、自己抜去、不可抗力で抜けるなど理由は色々ですが、どれだけ管理したところで抜けるものは抜けます。その患者さんはPICCという腕から太い静脈に留置してある点滴の管が入っていたようで

「親の看取りは自宅で…」に“落とし穴”！医師が教える、選んではいけない「在宅医」の見分け方（週刊女性PRIME）-Yahoo!ニュースhttps://news.yahoo.co.jp/articles/ce2165a1c174db89003b84f82200d45641614503?page=3

当院では尿道バルン留置が必要な方の管理も数多く行なっております。在宅医の中にはあまり尿道バルンの挿入が得意でない医師もいるため、尿道バルン管理だけを依頼されることもあります。そんな中でカテーテルや蓄尿バッグが青紫色に変色する人をみかけます。この現象はそのままなのですが紫色蓄尿バッグ症候群と言います。これは尿中のインジカンという物質が尿中の細菌と反応してインジゴブルーとインジルピンという色素に分解され、これらの色素がカテーテルやバッグに沈着することで紫色になるのです。紫色蓄尿バッグ症候群は便秘

今週は新規の患者さんがとても多い週です。特に今日は以前に挨拶に行った施設から往診の依頼を4人いただきました。再診の方とは違い新患は事務的な処理が多いので大変なのですが、以前にもお話しした通り診察を依頼された時は断らないをモットーにしているので頑張って診察していきたいです。さて、今日頼まれた方の中に爪白癬の方がみえました。白癬とはいわゆる水虫の事ですが、皮膚の白癬と比べて爪の白癬はなかなか治らないしつこい病気です。皮膚であれば塗り薬がメインとなるのですが、爪の場合だと抗真菌薬の内服をメインに行い

今日は午後から10人の往診がありました。いずれも再診の患者さんだったのですが、在宅診療を始めた頃は日に5人でも結構大変だったのが、10人程度なら余裕でこなせれるようになって来ました。嘱託の施設の診察の日なんかは多いと30人以上診察する事もざらにあります。それでも業務の効率化でなんとかなっています。4月からは非常勤先も減るのでさらに在宅診療に注力出来るようになります。時間的な余裕ができれば今までだと臨時だと夜遅くにしか行けなかったところにより早くに訪問出来ると思います。当院を信頼して診察を頼んで

あと数分で日付が変わってしまう直前でブログを更新していない事に気付きました。危うく3度目の更新忘れになるところでした。今週も無事に終わる事が出来て良かったと思いますが、最近忘れ物が少なくなって来た気がします。いつも数個の往診カバンを持って行くのですが、何があってもいいように色々なカバンに道具を分けて入れるようになったこともいいのもしれません。忘れ物をすると信頼も薄らいでしまう気がするので気をつけてはいるのですが、急いでいたり患者さんの数が多いと焦ってしまっていけません。私は医療は良い質が必

今日は午前から晩までガッツリ診察が入っていて、出かけたっきり一度も事務所に戻れませんでした。採血5件・尿検査1件あり当院としては検査件数も多く、忙しいながらに充実した1日でした。在宅医療で診察する人は平均寿命が長いせいか女性が多いのですが、高齢でも女性はいつまで経っても女性で、私が診察に行くととても喜んでくれる人がたくさんいます。特に今日はそういう患者さんが多く、みなさん先生に会えるだけで元気が出るわと言ってくれます。ほんと薬を出してるくらいであとはお話しするだけなんですが、私が診察に行く事

今月のレセプトチェックも何とか終わり、あとは提出するだけになりました。当院は月末締めで自己負担のある人はまとめて一ヶ月分を請求するのですが、あとは請求書の封入郵送作業が残っています。こういった事務作業は診療が終わった後や合間に行うのですが、最近は患者さんの状態が落ち着いていて予定通り診察が進むのでとても助かっています。在宅医療は患者さんの状態が悪いと往診回数が増えたり、状態に合わせた機器や薬剤の手配などやらなければいけない事が増えていきます。また新患が多いとどうしても患者さんに関わる事務作業も

在宅医療で診療する高齢の方の中には骨粗鬆症で治療を受けている方が多くみえます。継続で投薬治療を行う事も多いのですが、治療の効果判定には骨密度を測る必要があります。レントゲンを撮る事が出来ればそのデータを用いて骨密度の評価をする事もできるのですが、在宅医療のレントゲン装置は小型とはいえ簡単に持ち歩くのは中々大変なので当院では導入していません。もう一つはエコーを使って踵で骨密度を測る装置があります。試しに卸さんにその機器の見積もりを出してもらいました。すると、定価で300万円から高いもので900

以前にもご紹介しましたが当院の往診車はミニクーパーです。スタイルもですが、大きさも往診にちょうどよく、中身はBMWなのでよく走ります。在宅医療は事務所から半径16kmまでを走り回るので、走りが楽しいのもとても大切です。MINIは昨年輸入車の中で最も販売台数が多かったそうで、自分で乗っていて人気があるのもよくわかります。そんなMINIですが、1日過ぎてしまいましたが昨日3月2日はMINIの日だったそうです。毎年ディーラーさんではイベントなんかもやっています。私は仕事で行けませんでしたがね。ちな

2月が終わったという事は、2月分のレセプト作成をしなければなりません。患者さんが増えた分、チェックする量も増えておりなかなか終わりません。最小人数で運営している当院では、診療報酬の算定を毎日自分で入力し、月が終わったらもう一度見直して算定漏れがないかや病名が適切についているかを目を皿にしてチェックします。最後に請求書と明細書を印刷する際にもう一度チェックします。開業して一年経っているのでずいぶんこの作業にも慣れてはきましたが、やはりチェック漏れは無くなりません。返戻となると再度レセプトを提出す

すごく身にしみて分かるブログがあったので、リブログさせていただきました(*ᴗᴗ)⁾⁾「治らないんだから、むくみについては連絡不要」この症状(むくみ)は治らないから、医者の仕事ではないと判断したのか、何なのか。じゃあ、このMという医者が治せる症状って、一体何なのか。急性期病院でもない限り、手術だの薬がよく効いて治るってのはあんまり聞かない。在宅療養に関して言うならば、圧倒的に「治らない」疾患や症状が多いと思うよ。在宅医としてのM医師の価値とは、これいかに。

今年は2月が29日まである閏年ですね。前回4年前の閏年は東京オリンピックがコロナ禍で延期になった年でしたね。あの時は勤務医で給料をもらっていたのでそんなに気にしていなかったのですが、今の様な在宅医でコロナ禍を迎えたらどれだけ大変であったろうかと考えると恐ろしいです。あの頃は飲食店が早く閉まったり、外でお酒の提供がなかったりと今思うと大変な時期でした。マスクも義務化されていたり、不要不急の外出はするなとかえらいことでしたね。そう思うと今は平静を取り戻して楽しく暮らせています。いつも通りに普通に

在宅医療は呼ばれて診療に行ってなんぼです。当院は移動は往診車を使っているので車が無ければ仕事になりません。車が走るためにはもちろんガソリンが必要です。本当は昨日給油しなければいけないくらいだったのですが、何とかなるだろうと思っていたら今日の夕方にはだいぶ空に近くなってしまいました。そんな時に限って臨時往診の依頼があるものです。しかも急ぎの案件で、給油している暇が無さそうでとても焦りました。結局その件は救急搬送になって無くなったので良かったのですが。どんな時でもガソリンには余裕を持たせ無ければ

在宅医療においては寝たきりの患者さんが多く褥瘡管理はとても大切な事のひとつです。私は病院勤務時代に一般外科として働いていたので、わりと褥瘡治療に関わってはいましたが、専門的にトレーニングを受けたわけではなく経験的に治療を行ってきました。しかし在宅を始めてからは褥瘡で診察する患者さんの数も多くなり状態も多岐にわたるようになって、独学の治療では限界だと感じていました。そこで系統的に褥瘡管理を勉強し直そうと思い、この本を購入しました。褥瘡治療の際にどういった状態であればどういった塗布薬が良いのかと

先日呼吸不全で往診して救急搬送となった患者さんが無事に元気になり本日退院されました。さっそく診察に行きましたがずいぶん元気そうで、もしかしたらもう自宅には帰れないかもしれないとも思っていただけに感慨深かったです。ところで今年は花粉が早くたくさん飛んでいるようで、私もかなり目が痒いです。鼻水はまあ鼻をかめばいいので何とかなるのですが、目が痒いのはなんともなりません。目をかきすぎると角膜が傷ついたり網膜剥離するので耐えなければいけません。内服は私はものすごく眠たくなるので飲めないですし、抗ヒスタミ

最近思うのですが、物事がうまく行って成功する方が良いのでしょうが、それと同じくらい失敗する事も大切なのではないかと。うまくいく時はもちろん頑張りが報われてという事も多いのでしょうが、ただ運が良かったりするだけの事もあります。一方失敗する時には必ずその理由がはっきりあるはずです。むしろ失敗した時にいかにリカバーして持ち直すかや、失敗を生かして次にうまくいくように持っていけるかが大切だと感じます。外科医として手術をたくさんしていた時も、合併症を起こさないようにするのはもちろん、合併症が起きた時に

私は元外科医なのですが、専門医制度上は今も一応外科専門医です。といっても在宅診療をしているので手術をすることはないのですけどね。外科医になって4年ほどで外科学会認定医をとり、その後専門医となってからは5年おきに専門医の更新してきました。5年間で執刀医もしくは助手として手術に100件以上関わった実績と学会総会の参加実績を一定点数以上満たすと更新することができます。あ、もちろん申請料と認定料に数万円取られますが。ちょうど今年の1月から専門医の更新となったので、あと5年は外科専門医と名乗ることが出

おかん！一体どこから、🦠拾って来た？それにしても、デカい！喉詰まらせるかと思いきや、軽々とw在宅医から、酸素飽和度93%息苦しいと言われたらすぐに連絡して下さいと。咳止めは市中には足りず、出せないらしい！マスク離すなよ！こっちまで、悪寒がw甘く見るとやばい！⚠️⚠️

にのさかクリニック公式ブログ、略して「にのログ」院長二ノ坂建史です。「在宅医療における鎮痛」をテーマにした講演の機会を頂きました。2024年2月13日(火)19時～20時『在宅における鎮痛～最良のQOLをさいごまで諦めない～』WEB開催です。こちらからお申込み頂けます。https://crmjapan.terumo.co.jp/l/972173/2023-12-05/chfttこれまでに当院で関わった患者さんから学んできたことを、多くの医療者の

在宅医療で介入する患者さんには寝たきりの方がかなりの割合を占めます。そんな方だと褥瘡、いわゆる床ずれは必発の課題となります。軽いものであればフィルム保護や軟膏処置で改善する場合もありますが、皮下組織や筋肉・骨に達するような重度の褥瘡だと外科的に壊死した組織を綺麗に取り除くデブリードメントが必要になることも多いです。褥瘡治療は病院では皮膚科や形成外科の先生が主に対応されるので、在宅医になる前はさほど多くの褥瘡患者さんをみてきたわけではありません。しかし在宅医になってからは元々の外科医としての傷を

３年前の今頃慌ただしく過ごしてたような？夫を退院させて、自宅で看取るとことになりまして。在宅医、訪問ナース、ケアマネージャーを、決めることに。町内の在宅医には、断られまして、車で３０分以上かかると近隣の町から、来ていただくことに、訪問ナースさんは、町内で決まり、ケアマネージャーは、次男の小学生時代のクラスメイトのとこが、経営してるとこに決めて。レンタルするものは、DUSKINさんに、決めて。エアコンの掃除も、無理をお願いしてDUSKINさんに。病院の担当の方からの指示で訳わからぬま

母の余命告知がされてから、人の臨終までの過程がどうなっていくのかYoutube動画で真剣に学ぶようになりました。母はまだ存命なのに、不謹慎と思われるかも知れません。しかし、居宅介護になり、身近で見守っている母が毎日衰弱していく姿を見るにつれ、どんな過程をたどりながら最期を迎えるのか、心の準備をしておきたいという気持ちが大きかったのです。Youtubeで検索すると、私が知りたいと思っている動画チャンネルがたくさんありました。その多くは、多くの人の看取りをしている在宅医や緩和ケア医の方たち

にのさかクリニック公式ブログ、略して「にのログ」院長二ノ坂建史です。当院は、12月28日で通常診療を終了しました。年末年始は、非常勤医師とも提携しながら、臨時の往診に対応します。患者さん・ご家族が、できるだけ良い時間をおうちで過ごせますように。仕事納めの日には、いつものお店のケーキで打ち上げました。スタッフ皆へ、一年間お疲れ様！研修医の2人へ、1ヶ月間お疲れ様！今年もたくさんの研修医が来てくれましたが、今月の男性研修医2人は特に、楽しそうに過ごしていました。

今日でクリスマスも過ぎてお正月を迎えるわけですが、よく医者に盆暮正月はないと言われます。私は昨年まで勤務医であったのですが、自分の担当する患者さんの中にはお正月でも退院出来ず病院で年を越す方もいました。いくら状態が落ち着いていてもお正月休みずっと回診に行かないわけにもいかないので、元日以外は病院に様子を見に行っていました。在宅医として開業した今年からはさらにそれに輪をかけて自分が訪問診療を担当している方は全て私が責任を持って盆暮正月も対処しなければいけません。なので予定の診察はさすがにないです

ここのところ当院が新規に担当させていただく患者さんの中でがんの末期の方が増えて来ました。このブログでもがん末期の緩和医療に関して何度かお話をして来たのですが、私は20年以上消化器外科に携わり胃がんや大腸がんなど多くのがん末期の患者さんの緩和ケアを行って来ました。在宅医となってからは様々な状態の患者さんを広く診察しているのですが、得意としている分野だとやはりより経験が生かせると思います。緩和医療では例えば麻薬の管理にしても教科書的に行ってうまくいくことは少なく、その患者さんごとにうまく合わせて行

父の膀胱炎は、泌尿器の専門病院を受診し、抗生剤と前立腺肥大の薬が出ました。1週間後のフォローアップ受診が昨日でした。兄が付き添ってくれたのですが、膀胱炎は治ったとのことです。尿検査の結果、白血球が＜－＞になっていました。良かったです。『長引く膀胱炎』高齢の父は、心臓カテーテル検査で入院した際、尿道カテーテルをしたのですが、挿管がかなり痛かったそうです。２泊３日の検査入院から退院後すぐに頻尿になり、排尿の際…ameblo.jp先週、在宅医から、11/15時点の採血結果を頂きま

にのさかクリニック公式ブログ、略して「にのログ」院長二ノ坂建史です。先日の小学6年生への授業の話の続きです。『がんと命の授業～病む人を支えるということ～』にのさかクリニック公式ブログ、略して「にのログ」院長二ノ坂建史です。またもやブログ久々ですね・・・「にのログ」を楽しみにしてくれている500万人くらいの…ameblo.jp僕の話の後には、子どもたちからの質問コーナーになったのですが、色々な質問を出してくれました。「おにぎりの具は何が好きですか！？」

にのさかクリニック公式ブログ、略して「にのログ」院長二ノ坂建史です。またもやブログ久々ですね・・・「にのログ」を楽しみにしてくれている500万人くらいの皆様、お久しぶりです。福岡市南区の西長住小学校で、6年生に向けて「がん教育」の授業をする機会を頂きました。子どもに向けて医療の話をするのは初めてです。何を伝えようかな・・・？どういう言葉・表現だと伝わりやすいかな・・・？と考えながら、小中学生の息子たちにも助言をもらって、準備しました。このような