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星の指輪入れが完成しました。成城学園前にあるアンティークショップ「attic」さんからのご注文で制作しました。箱義桐箱店製のアクリルガラス入り指輪ケースに、いつものように古典技法で水箔(14K金箔)を貼り磨き、星の模様を点打ちで散らしています。▲加工前の指輪ケース、桐の木地です。18の小部屋があって、それぞれに黒い別珍のクッションが入っています。指輪はもちろんですが、こぶりのピアスも入れられます。お店で使っていただく箱ですので、頻繁に開け閉めするこ
ご注文で制作したイニシャル小箱ふたつ、ご紹介させてください。サイズはいちばん小さな豆小箱、指輪がひとつ斜めに入る程度のものです。左は純金箔にKとMのモノグラム、右は水箔(14金)にMのイニシャルです。装飾方法はそれぞれ違うのですが純金の方はベースに蔦模様を線彫りし、KとMを黒でペイント。すこしの磨り出しをしてアンティーク調に仕上げました。中は紺色の別珍張り。シックな雰囲気です。水箔のMは、ベースの蔦模様は金と同様ですが、Mと蓋側面の点々をパスティリアで盛上げ
現在フィレンツェに滞在中の友人が、美しい写真を送ってくれました。EREDIPAPERONEBottegad'Arteのショーウィンドウに並ぶKANESEI小箱です。写真のセンスと技術があると、こうも違うのですな…!彼女の配偶者の方はフォトグラファーなので、やはりそんな所もお二人は通じているのかもしれません。あれ、こんなにカッコいい雰囲気に展示されていたっけ?おや、こんな美しい陰影が見えていたかな??実物より良く見えている!?この小箱た
以前に展覧会用などに作って、そのまま自宅の片隅で眠っている額縁がいくつもあります。本当は展覧会時に販売できれば良かったのだけど、そう上手く行くことも無く・・・長らく冬眠していた額縁たちを、オンラインショップで販売しています。サイズは規格サイズではありませんが、鏡を入れていただくことも可能ですし、もちろん作品の額装として、またお店の展示や什器として、色々と使っていただけると思います。▲piatto-franceseフランスの古いお皿をイメージしたデザイン。▲金焼金箔を貼り
先日お話したように、ノロウィルスに大打撃を受けた我が一家、おかげ様でそれぞれ快復いたしました。わたしもどうにかパジャマを脱ぎ捨てて作業部屋に入った日、納期間近の額縁制作を再開したは良いけれど、あわや大失敗!という瞬間がありまして、いやもう、こんな日は急がば回れ、落ち着いて違うことをした方が良いのです。かと言って気は焦りますし本を読んだりする気分でもない。何かしていないと落ち着かない。「そういう時」のために、制作途中のマイクロ点々打ち小箱がいくつかあります。石膏や金箔が乾く
2023年にペルージャの国立ウンブリア美術館に行った時、誰もいないとても静かな空間で、思う存分に黄金背景テンペラ画を堪能できました。その時に見た数々の作品に登場する聖人や司教など、聖書を持って佇む様子が沢山あるのでした。その人物が誰であるとか、持っているのが本当に聖書なのかどうか等々はさておき、その本の装飾に見とれました。大抵描かれているのはは赤とか青とかハッキリした色の本に金で模様が入って、そうして金具で閉じられているのです。それら絵の「金具で閉じられた聖書」のイメージで作
イタリア滞在から帰国してオンラインショップも再開するのを機会に、新しい商品も載せることにいたしました。新作ばかりではなくて旧作もいろいろと。純金箔と純銀箔の双子額縁、かれこれ・・・大変大昔に作ったものです。その頃はエージェント事務所に所属しておりまして、マネージメントを担当してくださっていた方のアイディアでアンティークの布を入れました。な、なつかしい・・・天使の模様が織り込んであるシルクをクッションになるようにして(キルト芯を入れて)ふかふかにしてあります。帰宅後に外し
さて、今回のイタリア・フィレンツェ滞在の目的1はマッシモのお墓参りでしたが、もうひとつの目的は小箱販売継続に向けての諸々でした。昨年2月の滞在時に友人Lに手伝ってもらってようやく辿り着いた「KANESEI小箱販売店代理店」のEREDIPAPERONEへ、納品小箱を担いで行って参りました。フィレンツェ特産工芸品のマーブル紙や革を使った高級文具店の奥の一角にあるガラスケース、そこに我が娘たち(小箱)が並んでおりました。Lが写真に撮って送ってくれていましたが、自分の目で見ると喜
イタリア語を少しご存じで古典技法の経験がある方ならば、またはイタリア料理を勉強なさった方ならきっとご存じのイタリア語単語、それは「bagnomaria」、湯煎という意味です。古典技法で欠かせない石膏地はニカワ液に溶いてありますから、必ず湯煎で温めて液状にして(冷えるとゼリー状になる)使います。▲右上のガラス瓶に石膏液が入っています。普段は冷蔵庫に入れておいて、使う時に湯煎で温めています。下に敷いた紙がびしょ濡れなのは、湯煎して瓶を拭かなかったから・・・。キャンバスや板絵の下
すっかり小箱制作ばっかりね、と思われているかもしれない・・・ですが、こちら額縁も忘れておりません。隙間時間にガサゴソと制作。1700年代イタリアの額縁風のデザインにしました。外側には果物と葉。この果物のリース模様はぜひ一度作ってみたかったデザインなのです。中央にはリボン巻き巻き、端先は・・・これ何と呼ぶデザインでしょう、変形「lumb'stongue」のような。次はボローニャ石膏を塗り磨き、ボーロを塗り、金箔を貼ってメノウで磨いて、ちょいと古色を付けたら完成です。なぁ
シンプルな小箱・・・いや、KANESEI小箱としては、シンプルな小箱が出来ました。こちらも星のような模様を入れてありますが、いつもの青ベースに金の星ではなくて、パスティリアで小さな点々をで集めて盛上げて、その周囲をマイクロ点々を打ってキラキラとさせてみました。蓋の縁はひと回りぐるりとベルト状に一段高くして、格子のようなウロコのような模様が細かく入っています。この写真だと暗くて見えませんが・・・ちなみに箱の下の本は、2023年フィレンツェ滞在時に書店で立ち読みして、時
ウルトラマリンの青をベースに金の星を並べるデザインは、それこそジォットのフレスコ画の頃から(それ以前からかも)ある不朽のデザインでして、わたしも小箱になんども繰り返し入れています。今回は平たい正方形の箱に紋章風に入れてみました。金の部分はすべて純金。いつもの純金箔水押と、星模様と細い線模様は純金泥です。この写真では分かりにくいのですけれど、やはり金泥で描くと絵の具の「金色」とは全く違うのです。輝きが奥深く繊細といいましょうか。描いていて楽しいのはもちろん金泥です。
額縁の修理をしています。作業部屋では天井の蛍光灯の明かりに加えて、手元のライトも使っています。斜光ですと凹凸や傷がより見分けやすくなります。欠けてしまった部分を再形成した時など、特に斜光でいろいろな角度から見る必要があるのです。手の意見をでも最終的な良し悪しを判断するのは、目視ではなくて触覚です。目は疲れた夕方や気分(恥ずかしながら。)で「まぁ良いんじゃないかな」と判断してしまうことがあるけれど、指先の感覚はぶれません。嘘が付けないというか。ここで目の判断に流されてし
以前に「『小箱の同じデザインは二度と作らない』というのはやめた」、つまり同じデザインを再度作ることを宣言(大げさ)しました。今回の小箱も以前に作った模様を技法違いで作ったものです。上の写真が新作。石膏地に模様の輪郭を線彫りして箔を貼り磨き、模様の内側を点々打ちしました。今回の点々はマイクロサイズではないので、よりクラシカルというかルネッサンス風味になったような気がしています。ちなみに以前作った時はこの模様をパスティリア(石膏盛上げ装飾)で入れました。同じサイズの箱
わたしは古典技法額縁制作・修復を自称しておりますけれど、最近は古典技法小箱制作が増えています。まぁそれも時期によるでしょうし、バランスと言いますか、今は小箱のターン、また額縁のターンが来るでしょうし、全く新しいことが始まるかも知れないし、と思っております。小箱についてお話するとき、「ひとつ作るのにどのくらい時間がかかるのですか」というご質問は度々お受けします。もちろんデザインやサイズにも寄るのですが、実は「ひとつだけ集中して作る」と言うことが無いので、ひとつ作る必要時間はわたしにも
最近ようやく完成した小箱は、外側を削った変形型です。いつもの通り箱義桐箱店製の美しい桐小箱を、ガリガリとヤスリで削りました。▲まだ削り途中。箱木の厚さや強度を考慮して、でもギリギリ削れるところまで攻めてみました。この箱は石膏下地を磨き終えて、あとは装飾!という段階でず~~~っと放置、いえ「お昼寝」させていました。なかなか気に入るデザインが思い浮かばない。本当は昨年秋の小箱展に出したかったのですが間に合いませんでした。適当に落書きのようにデザインを考えていて、ある
昨年暮の大晦日間近の日、とつぜんポカッと時間が出来たので、ガサゴソ小箱制作をしていました。純金箔を貼ってさて、メノウ棒で磨きましょう・・・と思った時、手から滑り落ちて折れてしまったのでした。細くてすこしカーブしているので、落とせば折れやすい形ではあるのです。だけど、これと同じメノウ棒を折るのは2回目・・・1本目は留学時に買って、数年後に落として折った。今回のは2011年にようやくフィレンツェに行って買って、また折った・・・。何ということでしょう。古典技法の道具は日本では手に入り
俺は白い熊だ。おう、俺の自慢の家を見てくれ。ゴールド&ブラック、ゴージャスだろ?まさに俺にピッタリだ、そう思わないか?中を見せるぜ・・・絨毯は黄色だぜ!どうよ、俺の硬い尻(!)も痛まないぜ。ちなみに俺の座高は4.5センチだぜ・・・どうだい俺の家、気に入ってくれたかい?外側寸法:55×55×25mm桐小箱にボローニャ石膏下地、赤色ボーロに純金箔水押、メノウ磨き。黒アクリルガッシュで彩色、ワックスによる古色仕上げ。
2023年12月の終わりに鎌倉へ行きました。毎年我が家の恒例行事、鶴岡八幡宮へのお参りと由比ガ浜での深呼吸へ。昨年は正面からお参りせず慌ただしいお参りでしたが、今年はやっぱり正面から伺わなくちゃね!と言うことで、鳥居をくぐってテクテクと歩きます。▲中央の舞殿、お正月準備で美しい締め縄が飾られていました。とにかくもう、人が多い。毎年増えているのでは?と思うほどです。老若男女、そして外国からの方が沢山。聞こえてきたのは英語と中国語が多かったようです。▲幸せそうなご家族
クリスマスの月曜日でございます。皆様いかがな年末をお迎えですか。海外のこの時期のご挨拶として「Season'sGreetings」(イタリア語だと「buonefeste良い祝日を」になると思います)がずいぶんと増えましたね。クリスマスはキリスト教の大切な祝日ですから、クリスチャン以外の人には、冬至前後に「これから日が長くなって、春が近づいてくるよ。新しい季節を迎えよう」と言う意味を込めて挨拶する方が良いのでしょうね。日本ではあまり深く考えることなく楽しいイメージのクリスマ
最近つくづく、ブログやインスタグラムにはとにかく「美しくて目を惹く写真」が必要と痛感します。大量に流れるSNSや情報を携帯電話で見るとき、流し見していることもありますが、その中で手を止めて見てもらうには、まず写真。いつ、どこで、誰が見て下さるか分かりませんから、発表するからにはより沢山の方に「おや」と思って頂きたいのです。それにしても小箱や額縁の金箔・水箔(銀色)を撮影することも難しさと言ったらありません。ギラギラしすぎず、自分の影が映り込まず、色も美しく、背景から浮かず、そして
いままではオーダーのご依頼といえばほとんど額縁だったのですが、最近ようやく小箱のオーダーも頂けるようになりました。谷中の箱義桐箱店での展示会でも、いくつもご注文を頂くことが出来ました。お客様は皆さん「いつでも良いですよ、気長に楽しみに待っています」と仰ってくださるのです。なんとも有難いお言葉で恐縮です。とは言え、やっぱり出来るだけ早くお届けしたい。まずはともあれ、着手します。上の写真の大きな箱(とはいえB5より一回り小さい)は、指輪ケースです。蓋に透明なアクリル板が入
今年もまたこの時期になりました。「小さい小さい絵」展です。秋に完成させましたギルランダイオ作「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」部分模写を出品します。展示即売会、でございます。第29回小さい小さい絵展12月21日(木)~27日(水)最終日は17時閉場池袋東武百貨店6階1番地アートギャラリー03-5951-5742池袋東武百貨店名刺大の板にボローニャ石膏地を作り、卵黄テンペラで模写しました。この絵「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」をギルランダイオが描いた当
完成した小箱は家族に見てもらうのですが、その度に感想が面白いと言うか、それってどういう意味・・・と訊ねたくなります。今日の小箱は最小サイズの豆小箱、黒と赤と金の装飾です。側面にも模様を入れてみました。これを見た家族の一言は「なんかぁ・・・ちょっと・・・・いわくありげな箱だけどぉ・・・」???いわくありげ(曰く有り気)って、どんないわく?「だけどぉ」の続きが気になるんだけど??結局この小箱に対する感想はそれでお終いで、わたしも追及しませんでした。おどろおど
「禅の友」12月号です。2023年の1年間、毎月の表紙に使っていただいた「禅の友」の最後の号。有終の美(自分で言っちゃう!)を飾るのは、この額縁です。▲乱視かな。いいえ、サイズが近いだけです。背景は緑を感じるグレー、タイトル文字は濃い緑と白、12月の表記は抑えた赤。そしてニヤニヤと嬉しそうに笑う額縁・・・派手なようなシックなような、とても素敵な表紙です。毎号ながら額縁と色の組み合わせ、バランスには編集の方のセンスに唸らされております。それもこの12月号でお終い。
谷中の箱義桐箱店での展示会が成功裏に終わって、気づけばもう何日も経っています。だけどまだ心身ともにボォォ~ッと気が抜けたままです。いやはや。そんなに精根詰めた自覚は無かったのですけれど、根が引き籠りの低空飛行なので、それなりに頑張ったのでした。やるべきことは山積み。世の中皆さん同じように日々忙しさに追われている。わたしだけじゃない、やるべきことはさっさとやった方が良い。「そんなこたーわかっておる!それが出来れば苦労は無いのじゃ!」と駄々をこねくりまわす自分をどうにかなだめつつ、家族
11月9日から始まりました「秘密の小箱」展は、昨日19日に無事終了することが出来ました。お忙しい中お越しくださりありがとうございました。またお買い上げを頂きありがとうございました。いよいよ本格的な晩秋に入り、寒かったりお天気の悪い日もあったのですが、遠くから来てくださった方、そしてインスタグラム広告を見てお越しくださった方、そしてお客様の投稿(エックスやインスタグラム)をご覧になって来たと話してくださる方、「禅の友」のお知らせを見てきたよ、という方々など・・・本当に沢山の皆様が
フィレンツェはローマやミラノに比べればとてもとても小さな街で、主要な場所は歩いて回ることができます。その小さな街に美術館と教会がぎゅっと詰まっていて、おまけにウフィツィ美術館は一日で見切れないほどのボリュームがあります。だけど、毎度訪れるのは同じ美術館と同じ教会。いつものところを回るだけで時間切れになります。わたしの「いつものところ」とは・ウフィツィ美術館(言わずと知れた)▲例の絵のあの部分・・・・サン・マルコ美術館(フラ・アンジェリコ)▲ここはフィレンツェ滞在の始ま
ふり返ってみれば、豆小箱に錫箔を使ったことが無かったな、と気づきました。じゃぁ作ってみよう!と思い立ちました。錫箔は銀箔やホワイトゴールド箔より落ち着きがあって力強いイメージです。同じデザインでたとえば金箔で作ったら、もっと華やかで派手な印象になったはず。錫箔のこの落ち着き感にホッと安心したりもします。パスティリアでレリーフ模様を入れて箔を貼り磨き、レリーフのアウトラインに点々を打ってみました。ぎゅっと詰め込んだ感じです。なんだか少し、武具や西洋の鎧のような雰囲気に。
先日完成しましたギルランダイオ「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」卵黄テンペラの部分模写の額縁を作りました。この絵は毎年暮に開催されます「小さい小さい絵」展に出品する予定です。▲先日完成した部分模写この「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」オリジナル作品は黒と金の額縁に納められておりまして、じゃぁシンプルながら同じ色の額縁にしましょう、と決めました。木を組んで下ニカワを塗り、ボローニャ石膏を塗り重ねまして。さて、いつもならここから石膏地を紙やすりで磨いて整えるのですが、今