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巻第四飲茶ならびに煙草60煙草の害たばこは天正・慶長年間の近年になって、他国から渡ってきた。淡婆姑は日本語ではなく、外国語である。近世の支那の書に多く書いてある。また烟草ともいう。朝鮮では南草という。日本ではこれを莨とうとするのは誤りである。煙草と莨とうとは別のものである。煙草の性は毒である。煙を飲んで目がまわり倒れることがある。習慣になるとそれほどの害はなく、少しは益もあるといわれるが、損失が多い。病気になることもある。また火災の心配もある。習慣になると癖づき、むさぼ
巻第四飲茶ならびに煙草59奈良茶粥大和の国では、みな奈良茶粥を毎日食べている。飯に煎茶を注いだものである。小豆、ささげ、そら豆、緑豆、陣皮(みかんの皮)、栗子、零余子などをくわえて用いる。食欲を増進させ、胸のとおりをよくするのである。零余子(むかご)葉の付け根にできる、多肉で球状の芽。地上に落ちると根を出して、新しい個体となる。ヤマノイモでは茎、オニユリでは鱗片葉が変化してできる。鱗芽。珠芽。肉芽。ぬかご。
巻第四飲茶ならびに煙草58茶の煎じ方茶を煎じる方法は、弱い火で炒って強い火で煎じる。煎じるときは、堅い炭のよく燃えたものを盛んにおこして煎じる。沸騰したときに冷水をさす。このようにすると茶の味がよい。強い火で炒ってはいけない。弱く、やわらかな火で煎じてはいけない。以上はみな中国の『茶経』に書いてある。湯がわくときによく苡(じゅつだま)の生葉を加えて煎じると香もよく味もよい。性もよくなる。『本草綱目』に「暑月煎じてのめば、胃を暖め、気血をます」と記してある。『茶経』(ちゃきょう
巻第四飲茶ならびに煙草57茶と水と薬と茶とを煎ずるには水を選ばなければならない。清らかで味の甘いのがよい。雨水を使っても味がよい。雨の中に清潔な器を庭においてとる。地下から汲んだ水よりもよい。が、長くたもつことができない。雪水はもっともよいのである。
巻第四飲茶ならびに煙草56湯茶は多く飲むな吸物も湯茶もともに多く飲んではいけない。多く飲むと脾胃に湿ができる。脾胃は湿を嫌う。湯茶や吸物などを少なく飲めば、脾胃の陽気が盛んに発生して顔色がよくなり美しくなる。
巻第四飲茶ならびに煙草55茶の冷と酒の温茶の性は冷である。酒の性は温である。だから酒は気をのぼらせるが茶は気をさげる。酒に酔えば眠り、茶を飲めば眠気がとれる。その性が正反対であるからである。
巻第四飲茶ならびに煙草54薬の効用茶は上古にはなかった。中世になって中国から渡ってきた。そののち、人びとが賞味して日用欠くことのできない大切なものとなった。茶はもともと性が冷であって気を下し、眠気をさますのである。陳蔵器(唐代の医者『本草拾遺』十巻がある)は、長く飲むとやせてあぶらをもらすといった。また母けい、蘇東坡、李時珍らも、茶の性がよくないといっている。しかし今日では、人びとは朝から晩まで茶を多く飲んでいる。飲むことが習慣になると、身体を痛めないのだろうか。だが茶はもともと冷物
巻第四飲酒53焼酎の飲み方焼酎は大毒があるので多く飲んではいけない。火をつけると燃えやすいのをみても、ひどく熱をもっていることがわかるであろう。夏期は伏陰(陰気)が身体の中にあり、服装も薄物であるし、酒毒が早く肌にもれてしまうゆえに、少量ならば飲んでも害はない。夏以外は飲んではいけない。焼酎を原料として造った薬酒は多く飲んではいけない。毒に当てられる。薩摩(鹿児島県西部)のあわもり、肥前(佐賀県)の火の酒などは、焼酎よりも辛く、きつく、熱い。外国からきた酒は飲んではならぬ。酒性
巻第四飲酒52酒と甘味酒を飲むときに甘いものを食べてはいけない。また飲酒のあとに辛いものもいけない。ひとの筋骨をゆるめるからである。酒を飲んだあとにさらに焼酎を飲んではいけない。あるいは両者をともに飲むと、同じく筋骨ををゆるめるし、くるしくなる。
巻第四飲酒51酒と命『五湖漫聞』という書物に、多くの長寿者の姓名と年齢をのせて、「その人の老に至りて衰えず。これを問うにみな酒を飲まず」と書いてある。いま自分の土地の人びとを観察してみると、とくに長命のひとは十人中九人まではたしかに酒を飲まないひとである。多飲するひとが長生きなのは珍しい。酒はほろ酔い程度に飲めば長生きの薬になるであろう。五湖漫聞(ごこまんぶん)
巻第四飲酒50濁酒と醴酒と市販している酒で灰汁を入れたものがあるが、それには毒がある。また酸味があるものも飲んではいけない。長いあいだ保存した酒で味の変化したものも毒がある。飲んではならぬ。濁酒は濃いものは脾胃にとどこおって気をふさぐので、飲んではいけない。混じり気なく芳醇な酒を、朝夕の食後に少しのんで微酔するのがよい。醴酒は清潔に造ったものならば、少し熱くして飲めば胃を温める。製法のわるいものを冷たいまま飲んではいけない。
巻第四飲酒49酒のすすめ方酒をひとにすすめるのに、とくに多く飲むひとでもそのひとの程度をこすと苦しませる。もしそのひとの酒量を知らなかったならば、少しすすめて飲ませてみるがよい。そのひとが辞退して飲まなければ、そのひとに任せて無理じいしないがよい。量が不足で機嫌がわるくなったとしても身体に害はない。飲みすぎてはかならず害になる。客に馳走をするときも、むやみに酒をすすめて苦しませるのは思いやりがない。深酔いさせるのは禁物である。客は主人がすすめなくても、日頃よりは多く飲んで酔うも
巻第四飲酒48温めなおした酒酒を温めすぎてその美味を失ったもの、あるいは温めたものが冷えたもの、温めなおしたものなどはみな脾胃をそこなう。飲んではいけない。
巻第四飲酒47酒の温度およそ酒は、夏冬ともに冷酒でも熱すぎてもよくない。ほどよく温かい酒を飲むのがよい。熱い酒を飲むと気がのぼり、冷たい酒は痰を集めて胃をそこなう。丹渓は「酒は、冷飲に宣し」という。しかし、多く飲むひとが冷飲するとかならず脾胃を痛める。少し飲むひとでも冷たい酒を飲むと、食気をとどこおらせて消化をわるくする。とにかく酒を飲むのは、その温気をもって陽気をたすけ、食物の消化を促進するためである。冷飲はこの二つの働きがないので利益にならない。温かい酒は陽をたすけて気
巻第四飲酒46食後の酒だいたい酒は、朝夕の食後に飲むならば害はない。昼と夜とのあいだの空腹時に飲んではいけない。みな害になる。朝の空腹時に飲むのは、ことに脾胃をわるくする。
巻第四飲酒45多飲の戒め酒は各人にそれぞれの適量がある。ほどよく飲めば益が多く、多飲すれば損失が多い。生来謹厳なひとも多く飲めば、欲深くなってみぐるしく、平常心を失い乱れてしまう。言行ともども狂ったようで日頃とは似ても似つかぬものとなる。身をかえりみて反省して慎まなければならない。青年時代から反省して自分を戒め、父兄も早く子弟を戒めることが必要である。長いあいだには性になってしまう。癖になってしまえば生涯改まらないものだ。生来あまり飲まないひとは、一、二杯で酔い気持よく楽し
巻第四飲酒44酒は天の美禄酒は天から与えられた美禄である。ほどよく飲めば陽気を助け、血気をやわらげて食物の消化をよくし、心配ごとをとり去り、興を生じてたいそう利益になる。ところが、多く飲むとひとを害する。酒ほどひとを害するものはないのである。たとえば水や火は人間をよく助けるが、同時に災をもたらすようなものである。邵堯夫(邵雍、北宋の学者)の詩に、「美酒飲んで微酔せしめて後」と書いてあるが、これは酒を飲むの妙をいいえていると時珍がいう。少し飲み、ほどよく酔うことは、酒の禍もなく、酒
●今日(2/1)の、朝日新聞・朝刊の記事で、貝原益軒の「養生訓」を紹介したものの中に、日頃思っていることと、同じようなことが記されていて、うれしくなりました。・「身を慎み、生を養ふは、これ、人間第一の重くすべき事の至り也。」・「薬を飲まずして、おのずから癒(い)ゆる病、多し。」・「飲食を、よき程にして、過ごさず。」・「およそ、薬と鍼灸(しんきゅう)を用いるは、やむ事を得ざる下策なり。飲食・色慾を慎み、起臥を時にして、養生をよくすれば、病なし。」・
巻第四飲食下43肥料と食物すべての食物のうちで、畠に栽培された菜がもっとも汚れている。その根や葉に長くしみこんだ人糞の肥料はすぐにはとれないからだ。食べるためには、まず水桶をきめておき、それにたっぷり水をいれて菜をひたし、その上からおもりをおいて、一夜もしくは一日ののちにとり出し、刷毛でその根、葉、茎を十分にこすって洗い、きれいにして食べるがよい。これは、近年、李笠翁の『閑情寓奇』に書いてあることを知った。中国では神を祭るのに畠でとれた菜を用いないで、山や川辺にできた自然の
巻第四飲食下42薬と食物黄耆(マメ科の植物、強壮剤)を服用したひとは酒を多く飲んではいけない。甘草(同じくマメ科の植物、鎮咳、解毒剤)を飲んだひとは菘菜を食べてはいけない。地黄(薬草)を服用するには、大根とにんにくと葱の三つの白いものをさけること。菘は食べてもよい。荊芥(シンケイ科の植物、発汗剤)を飲むときには生の魚をさける。土茯苓(ユリ科の植物、利尿剤)を飲むには茶がわるい。おおかたこれらのことはかたく禁じなければならない。薬と食物とは、ともに恐れ忌むのは自然の理であ
巻第四飲食下41同食の禁いわゆる食い合わせてわるいものが多いので、ここに記して注意したい。豚肉に、生姜・そば・胡すい・いり豆・梅・牛肉・鹿の肉・すっぽん・鶴・鶉などがわるい。牛肉に、黍・にら・生姜・栗などかいけない。兎肉に、生姜・橘の皮・芥子・鶏・鹿・かわうそなどがいけない。鹿に、生の菜・鶏・雉・蝦などがいけない。鶏肉と卵に、芥子・にんにく・生葱・糯米・すもも・魚汁・鯉・兎・かわうそ・すっぽん・雉などがいけない。雉肉に、そば・きくらげ・胡桃・鮒・なまずなどがいけない。
巻第四飲食下40食医の官古代、中国に食医という官があった。食事療法によって百病を治すという。いまでも食事の養生がなくてよいはずはない。とくに老人は脾胃が弱いので、食養生がもっともよいことになる。薬の使用はやむえないときだけに限るがよい。
さて本日は昨年暮れまで書いていた私のブログ「チェンマイ楽々日記」を思い起こさせるような内容です。ハラハラ・ドキドキのアクションドラマや、まったく逆の、お寺・仏教がらみの静かな話題とは根本的にテイストが異なりますのでご容赦ください。いきなりですが、Yとの「合体」が1月13日から連続17日となりました。付き合い始めて4か月半。去る12月は1か月近いブランクがありましたが、初めて出会った9月のある日から、二人が会えばほぼ毎日「合体」しています。以前のブログでは「お勤め」という言葉を使っていました
ハイジャン男は、昨日、思い切り、福岡県那珂川市にある裂田の溝(さくたのうなで)に出かけてみた。日本で最古の農業用水路とされている。裂田の溝-Wikipediaja.m.wikipedia.org裂田の溝は、日本書記に神功皇后が三韓征伐の前に、現人神社の神田を灌漑するために作ったという記述がある。この農業用水路は今でも使われているので、学術調査ができないということもあり、詳しいことは分からないことも多い。先ず、この裂田の溝の全水路を地図で案内しよう。これが裂田の溝の全コースの地図であ
巻第四飲食下39食べてはいけないもの誰でも食べてはいけないもの。それは生の冷たいもの、堅いもの、熟していないもの、ねばっこいもの、古くなって味の変化したもの、製法が疑問なるもの、塩からいもの、酢の多すぎたもの、煮たての味を失ったもの、臭いのわるいもの、色のわるいもの、味の変化したもの、魚肉の古いもの、肉の腐敗したもの、豆腐の古いもの、味のわるいものや煮たての味を失ったもの、冷たいもの、素麺に油のはいったもの、すべての半煮えのもの、灰汁の混じっている酒、酸味のある酒、
巻第四飲食下38老人・虚弱者の食べてはいけないもの老人や虚弱なひとが食べてはいけない食物。それは次のとうりである。いっさいの冷たい生もの、堅いもの、ねばっこいもの、脂肪の多いもの、ひやむぎ、冷たくて堅い餠、だんご、ちまき、冷えたまんじゅう、その皮、堅い飯、生の味噌、甘酒のつくりのよくないものと冷たい甘酒、鯨、いわし、しび(まぐろ)、かます、いろいろな果物などで、それらはすべて脾胃に生ずる気をそこなうものである。
巻第四飲食下37多食してはいけない食物多く食べてはいけない食物は、次のようなものである。餠の類、だんご、ちまき、干菓子、ひやむぎ、麺類、まんじゅう、そば、砂糖、甘酒、焼酎、小豆、酢、醤油、鮒、どじょう、はまぐり、うなぎ、えび、たこ、いか、さば、ぶり、塩から、鯨、生大根、人参、山芋、菘根、かぶら、脂肪の多いもの、味の濃いもの。
巻第四飲食下36病人の望みをかなえる法病人がひどく欲する食物がある。食べて害になるものや、冷水などは、どんなに欲しても与えてはならない。が、病人が強く食べたがるものを、のどに入れて飲みこまないで、口の中で味わわせてその願望をみたしてやることも、病人の志をききいれての養生の方法である。いったん飲食を味わうのは舌である。のどではない。口の中で噛み、しばらくそのままにして舌で味わってからは、飲みこんでも吐き出しても味を知るということでは同じであろう。穀物、肉、吸物、酒は腹に入っ
巻第四飲食下35多飲、多食の患い『古今医統』(明代の医者徐春甫の著書)には「百病の横夭(早死)は、多く飲食による。飲食の患いは、色欲に過ぎたり」と書いてある。色欲は絶つことができるが、飲食は半日でも絶てない。それゆえに飲食によって身体をわるくすることが多い。食物が多いと腹にたまり、飲食が多いと痰癖(痰がよくたまること)になりやすい。古今医統徐春甫(生没年不詳)の著した『古今医統大全』百巻は,明の嘉靖35年(1556)に成立した医学書。
巻第四飲食下34労働と多食労働しすぎて疲労しているときに多食すると、かならず横になって眠りたくなる。食べてすぐに眠ると、食気がふさがって身体全体に循環せず、消化しにくくなって病気になる。それゆえに労働してひどく疲れたときは、すぐに食べてはいけない。疲労がとれてから食べるのがよい。それは食べてすぐに眠らないためでもある。