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「眠い……。」庭に足を出したまま、コテッと体を横に倒す。横向きで見る虎次郎は、いつもよりビヨ~ンと横に伸びて大きく見える。一生懸命煮干しを食べてる前足が可愛い。ちょっと……腰もダルい。腰を動かす気力が無くて、床と体に挟まった腕を無理矢理抜く。ショウ君が、「ご主人様」なんて言うから!もっと、もっとって何度も言わせるから、朝起きた時は声も出なかったし……。おいら達、どんだけH好きなんだよ!「虎次郎~、Hってしすぎて病気になったりする~?」虎次郎が一瞬、煮干しを食べながらおいらを見
櫻井家から離れた場所で車を降りた。早朝の住宅街は寒さのと明けきらない暗さのせいかもの悲しいくらいの静寂を纏っていた。自宅が見えてきてホッとする。こんな気分は初めてだった。ここ数日コンビニ弁当で済ませたが、さすがにもう限界だった。既製品もあるが、タミさんが用意してくれる冷食が何より美味しい。俺は財布を手に朝食を買いにでたまま、その足でタクシーに乗って自宅に向かった。門は何とかなったが、家の方は中から開けてもらわないと無理だ。《えっ、智さん。》
問題集を閉じて時計を確認する。時間通りだ。ピッタリ予定をこなせた事には満足を覚えていたが、実際にはこんなものでは全く足りない事も分かっていた。勉強の習熟度が落ちているんだ。成績が落ち始めるのも時間の問題だろう。あからさまになってくると、さすがに親父に何か言われるかも知れない外泊禁止とか…冗談じゃない。それだけは避けたかった。どうにかしないとな…智くんもアトリエに缶詰めだし、一旦帰るか。バンッ…バンッ…ガサッ…テキスト一式をカバンにしまっ
ListeningTogether……。昔はずっとかけっぱなしだった音。聞いてないと息ができないんじゃないかってほど聞いてた頃もあったね。一緒に聞いて、一緒に成長した曲たち。リンキン・パークもブルーノ・マーズも。あの頃ほどかけることはなくなったけど、今でも時々かけるあなた。ヒョイと俺の部屋のドアから顔を覗かせ、「ちょっと何かかけていい?」って小首を傾げれば、俺に断る権利はなくなる。「いいよ、何かけるの?」「ん~、上がるやつ?」尻上がりの語尾でまた首を傾げてクスッと笑う。
どう言って誤魔化したらいいか考えていた。今の状況で、叔母さんまで敵に回せない。智くんの父親の件は他の機会に聞く事にしよう。『智の事では之啓さんを信じてはダメよ。』芳野叔母さんが言い出したのは思いもよらない事だった。信じてはダメ…?「どういう事…?」『あなたのお父さんは変に情にもろいところのある人だから…。』「情…?」『情け深いのよ。智を引き取ったのだってそうでしょ。苦労するって分かってるのにあんな…あっ…。』「苦労するってど
今晩は🌙高砂市の行政書士翔(かける)事務所、藤井です。ブログ村参加しています。皆様の暖かいポチお待ちしております。にほんブログ村おはようございます。少しずついつもの日常に戻りつつはありますが、やはりまだ手放しで喜べないのが現実で、小学校も今日から始まりサッカーも今週末より練習再開で、来月からはリーグ戦も始まります。子供には家庭教師代とスクール代だと言って仕事を減らしながら勉強とサッカーをみてやっていましたが、果たして効果はあったのでしょうか?行政書士という仕事は多岐に渡りまして作成
新年早々、案内されたお店は落ち着いた雰囲気の中華のお店だった。個室があって、ゆったりとした時間を過ごせる。『翔くんはお肉の方がよかったかしら…?』「いえ…さんざん飲み食いしたのでちょっと…。」『そうでしょ…?きっとそうだと思ったからここにしたのよ。』叔母さんはご満悦だった。『和くんは元気だった…?』「はい、彼方があってるみたいです。」『そう、良かったわ。これから何があるか分からないし、アメリカで勉強した事で強みになるかもしれない
親父に言われたあの嫌な言葉が頭に蘇っていた。:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-お前は櫻井家の跡取りだ。親族だけじゃない、世間のヤツらだってみんなが御曹司として傅くさ。中には諂う者だっているだろう。:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:-:+:-:+:-:+:-:+:-:
あっという間に時間が過ぎていった。だが、それでいいのかもしれない。これ以上はキツイものがあった。何より弟が元気に過ごしていると分かって安心できたんだ。それで良しとしよう。『ねえ、本当に何にもない…?』「え…?」『確かに大学の事で大変だったと思うけど、もう進学決まってるんだよね。』まだ智くんの話だった。「だから…小学生じゃないんだから、兄弟だからてベタベタするのもおかしいだろ…?」『ふ~ん。』全然納得のいっていない
火曜日(6月2日)やっと退院が決まりました!昨日の時点で言われ素直に喜びました治療はこれから当分続きますが脳下垂体の腫れが腫瘍じゃなくて膿瘍(水疱)だと言われほっとした気持ちですが水疱がこれは以上大きくならないか定期的にMRIなどで経過を見るそうです水疱が破裂したりするリスクもちょっとあるそうですがそのままで大丈夫の人もいるみたいです不安半分といったところですが退院出来るのは一安心です^^ステロイドを毎朝飲みます「ステロイド」で検索するとあまりの副作用の多さ
ロスで特に大きな町にたどり着くと、案内された観覧席にみんなで並んで座っていた。俺は睡魔と戦いながらパレードが始まるのを待っていた。8時ジャストに爆音が轟いて飛行機が低空飛行を見せる。始まりの合図だ。『おーっ!』大勢の観覧客と一緒に翔ちゃんが歓声を上げる。コースとなっている車道を警察のバイクが先導する。車が次々に装飾を施されて入ってくる。スポーツカーだ。カッコいい来るまから、不可思議な乗りまで次から次へと音楽に合わせてやってくる。やがて大
「で、許してやったのか?」「もう二度と大野さんと二人では飲みに行かないと確約させました。」「確約?」「一筆書かせました。」櫻井君……。そんなことしなくても、もう二人で飲みに行ったりできないと思うぞ?「そこまでしても、まだ安心できません。」櫻井君!笑って櫻井君の顔を覗き込む。「そんなに心配?」「心配って言うか……。」おいらに見つめられた櫻井君が、恥ずかしそうに顔を背ける。「釘を刺してるんです。好きになってしまったら……誰にもその気持ちは止められないから。」ああ、そうだ
大きな空港に圧倒される。時差ボケで意識がもうろうとしていると、スーツ姿の男性が目の前に立ちはだかていた。見覚えがあるけど…ええっと…そう言えばSPの人だと思い出しそうになったところで、体が思いっきり引っ張られる。腕を掴まれて翔くんに引きずられていた。前を向いたままこちらを一向に見ない。そのまま腕を引っ張られて、ドンドン進んで行くのに付いて行くしかない。『ここは日本じゃないから…。』そんな呟きが聞こえた。そうだ…ここはアメリカで銃社会で
年の瀬を迎えて、東京はすっかり冷え込んでいた。雪は降らない様子にホッとする。飛行機が飛ばなくなったら大変だった。<忘れ物ないかしら…。>タミさんが先ほどから、何度目かの呟きを漏らしていた。『大丈夫だよ。それに、あっちで買えばいいんだから…。』<それにしても旦那様、遅いですね。>そんなやり取りをしていると、よけるように人の流れが変わる。数人の秘書を従えて国分さんが現れた。≪おはようございます。≫翔くんの近
みなさんおはようございます心のTANEの翔ですすっごく個人的な話ですが6/1からバイトが復活しますでもこれは勝手な想像なのですが前みたいなシフトにはなかなか戻らないんだろうな~っと思ってますだってバイト先飲食だから…もしかしたら休業補償の方が給料いい可能性も…まぁこっから3ヶ月くらいは飲食は忙しくないほうが正解だとは思いますが…わがままだけどまだ電車乗りたくないでもバイト行かないと生活できない店が営業再開するって事は休業補償はなくなるから労働者の立
商談ルームに入ると、小瀧君が立ち上がって頭を下げる。「すみませんでした!先日は大変失礼なことを致しまして!」綺麗に直角に体を折る小瀧君に溜め息をつく。「大丈夫。気にしてないから。」小瀧君の肩を起こし、正面に見据えると……。首に巻かれた白いプラスチック!「小瀧君……。」まさか、本当にむち打ち!?「あ、いえ、これは俺が悪いんで……気にしないでください。」そう言われたって気にするよ。「すまない。手加減できなくて。」「貞操の危機だったんですから、仕方ありません。」貞操って、おおげ
イベント終了後、俺達は近くの古民家の個室で夕食を取っていた。『どうだったかい…?』「圧倒されちゃった…。」迫力がすごくて…『凹凸のある壁に投影するのは難しい技術なんだよ。』それで…今まで見たこともなかった。『わざわざ大掛かりなセットを用意しなくても、映像で事足りるようになるんだろうな…。』「そう…ですね…。」『あんまり好きじゃなさそうだね…?』「え…。」『映像技術だよ。』「…。」お金もかかってるだろ
仕事を終え、そのBarを訪れていた。高級というわけではないが、スッキリとしたまとめられた店内は居心地のいいモノだった。<久しぶり出すね。>「ああ…時間が出来たんでね。」<え…何にする…?ボトルもあるけど…。>「ジンフィズで…。」<好きだねぇ…。>「ダメかな…?」<はは、まさか…。>大きめのグラスを取り出すと、めい一杯氷を入れていく。手際よく調合をしてシェイカーで振る姿は手慣れたものだった。最後にレモンスライス。<どうぞ。>
之啓(アトリエにて…)相変わらず翔は相葉家にお世話になっているようだったが、ずいぶんと落ち着いた様子になっていた。智くんの事も、努めて「にいさん」と呼ぶことにしているらしい。そんな姿に智くんとの関係を兄弟のものとして受け入れようとしているんだと感じる。*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。『いろんな遊びがあ
「大丈夫?」シャワーを浴び、シャツを羽織った櫻井君が、おいらの隣でコーヒーを淹れながら腰を擦る。「大丈夫です。ちょっとダルいだけで。」おいらはフライパンの蓋を取り、ジューっと音を立てる目玉焼きを皿に乗せる。「すまん……。」「大丈夫ですよ。でもちょっと……昨日の大野さんはすごかったかも。」思い出したように頬を赤らめ、はにかむ顔が可愛い。おいらがすごかったと言うなら、それは櫻井君がいつにも増して可愛かったせいだ。何度もおいらを求める櫻井君は、おっさんの性欲を限界まで引き出してくれた。
彼女は荷物を抱えていた。「買い物…?」『ええ、だから大丈夫なんですよ。タミさんから私は夕方頃に戻ってほしいって頼まれていたんですけど、混んでいてこんな時間に…。』「にいさんも出かけてるのかな…?」『智さんですか…?さあ…そこまでは。』タミさん以外では一番長く働いてる人になる。一応、ブザーを鳴らしてみたが反応はない。彼女が預かっているカギをさして暗証番号を入れると裏扉が開いた。物音ひとつしない。リビングに向かうと確かに誰もいなかった。
デザートが終わると、タミさんが化粧直しにと席を立つ。大野さんも一緒に行くと言って立ち上がっていた。『どこかな…?』<ほら、あっちみたいですよ。>大野さんがエスコートしてるようで、実はタミさんがえスコートしている。しっかりしたその女性に母親のような姿が重なった。そんな事を考えていると、いつの間にかじっとこちらを見ていた櫻井氏目が合った。思わず緊張する。〔遊ぶ方でも智がお世話になってるようだね。〕「あ…はい。」きっと、クラブ
最後に、ケーキを載せたワゴンがテーブルのやってくる。目の前で綺麗に四等分されるのを眺めていた。派手な飾りが上手くのっかったのを俺に渡そうとしてくれたが遠慮しておいた。チョコレートが甘そうだ。「タミさん、どうぞ。」<まあ、いいのかしら。ありがとうございます。>甘いケーキは意外に美味しいモノだった。決めつけるのもよくないんだな…と納得する。〔松本くんは、来年、高等部かな…?〕「はい。」大野さんと入れ違いだ。大学は敷地の場
「櫻井君……本当にいいの?」この期に及んでまだビビってるおいら。それだけいろんな経験をしてきたってことだ。櫻井君に出会うまで、何もなかったわけじゃない。とってる歳の数だけ、おっさんは、臆病で心配症になるんだよ。目の前の櫻井君の唇がフッと笑う。「おもしろいですね。大野さん、仕事だと大胆なとこもあるのに。」「それは……。」仕事で櫻井君に嫌われることなんかないじゃないか。例えプレゼンで他社を選んだとしても、それで拗ねるような男じゃない。綿密に練り直して、次回に活かす。だから、大胆
「引っ越しを……しようと思ってる。」「引っ越し……?」櫻井君もプラスチックのスプーンを取り出し、プリンの蓋を開ける。「今年で家賃補助が終わるんだよ。ウチは30代までしか家賃補助が出ないんだ。」「そうなんですか。40代になれば十分生活できるだろってことなんでしょうね。」櫻井君が、嬉しそうにプリンを掬う。うん、いい顔だ。「それもあるが、それまでにお金を溜めて家を買えってことなんだろ。大抵は結婚してるしね。」「大野さん……。」プリンを口に入れようとした櫻井君の手が止まる。「
「何をばかなことを……。」おいらの言葉に、櫻井君が首を振る。「なら、言ってください。何を隠しているんですか?僕に嘘をついていないなら、目を見て言ってください。」櫻井君の大きな目が、おいらを凝視する。黒い瞳がおどおどするおいらを映す。サッと視線を逸らすおいらの両手を、櫻井君が掴む。「僕を見れないんですか?」嘘をついてるのは事実……。その真っ直ぐな目には、嘘なんか全部透けて見えてしまいそうで怖い。「大野さん……知り合いって誰だったんですか?その前に会ってたのは……同じ人です
↓前回はコチラまーちゃんvol.13。。。。。ひとしきり翔ちゃんにキスされて、ポーッとしてた頭が急に我に返った。ちょ、ココって大学じゃん!奥まってるっつっても大学じゃん!でも、人いなかったし……いいのかな?智たちも気を利かせてくれたのかな?いつの間にかいないし…………………って、いるじゃん!!「うわっ!」翔ちゃんから少し離れて振り返るとニヤニヤしてる3人の姿が。「いやぁ、イイもん見してもらったなぁ」「翔くん、言う時は言うんだなぁ」「まーちゃんも素直になってるしねぇ」
が、案の定……。小瀧君の連れて来てくれた居酒屋は、個室のように別れていて他の客の声は聞こえるが、姿は見えない。寛げるような空間になっている。ピッチの早い小瀧君が、鼻にかかった声で話し続ける。「だっからぁ、女はぁ、嫌なんでっすっ!」どうやら最近彼女と別れたらしい。個室空間にリラックスした小瀧君が、片足を抱えて小さくなりながらレモンサワーをがぶ飲みする。もう一人で3杯目。おいらは1杯目を飲み終えたところだ。「そうかそうか、大変だったな。」「はい……大野さん、慰めてくれますかぁ
↓前回はコチラまーちゃんvol.12。。。。。「翔ちゃん……?」「勝手にコクっといて、勝手にどっか行くんじゃねーっつーの!」「でも……」「でももクソもあるか!いいからどこにも行くんじゃねーよ!」「翔ちゃん……」「マジで心配したんだからな……どこに行ったかわかんねーし、連絡も取れねーし……」「あ、ごめ……」また自己嫌悪に陥って思わず下を向く。「あれだけ毎日のようにオマエの顔見てて、急に見なくなったら淋しーんだよ!」「…………え?」「確かに、オマエはそういう面はいい加
人だかりが出来たことで、大野さんが踊り始めた事がわかった。まったく、あの人は…目立つのが嫌いなくせに目立つんだ。店員には恐らく何かお達しがあったんだろう。大野さんに目をかけているのがまるわかりだった。店内の端で眠ることが許されるなんて異常だったし、そのための長椅子が用意さるなんてありえない。ついでにそんな事をして何も被害がないなんて考えられない。全身はブランドで揃えられ、身だしなみも所作も綺麗。よそ行きの言葉遣いも優しい。明らかに子どもがアルコールを持っ