岩場に綺麗な黄色の花を咲かすアゼトウナ。海岸に生息する海岸植物の一つであり、漢字では畦唐菜と書く。海岸に棲むのにも関わらず、田圃を意味する畦と名が付き、矛盾を背負った植物である。一説によれば、アゼは古い言葉で崩れた海岸の崖を意味するアザが転じたものであるらしい。太平洋の強い潮風に晒されながら、栄養の低い岩場にしがみつくように根を張り、誰に見せるというわけでもなく、懸命に綺麗な花を咲かすその姿には感動を覚える。のうのうと生きている田圃育ちの花にはない、愛しさと切なさと心強さをアゼトウナに私は感じる