古い言葉に「岷江[1]はじめは盃をうかめ、楚に入っては底なき大河となり」という。家族がいる人も、気を抜かずに毎日十文ずつ倹約して貯めていけば、一年で三貫七百四十四文になる。僅かな小銭であっても毎日ついつい使い果たしてしまっているだろう。これで大富豪の台所に目を向けると、炭薪油酒醤油野菜の類まで注意すれば1年間で大きな違いが出るだろう。必ず大きな家には死に損ないの婆がいて、よぼよぼしていながらも耳喧しく飯が焦げ付く匂いを嗅ぎつけ、釜の下から薪を引き出し、用もないところの灯りの油を消させ、燈心を使い