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「あなたが、私を、躾けるの。あなた好みに。シンプルで簡単な話でしょ?私を躾けなさい。これは、私の」命令よ-そう命じる恋人、吉乃夏美の-ほんの少し前とは豹変した-凛とした冷静かつ、落ち着き払った姿を見つめながら。圭樹春海は、一つの詞を思い出し。⑪“…見ているだけでは話しているだけでは抱き合っているだけでは物足りない満足出来ない-到底、納得出来ないただ一緒に過ごしたい”思い出しながら。そして、同時に。…あんたはバカだよ、I先輩?と心の中で。せせら笑う。一緒に過ご
“確固たる壁がある、って事?”“俺のためだけに、その壁を乗り越えてくれ、って言うのは、そんなに無理な話?”“恐怖と嫌悪の壁を”“俺のためだけに”“たった一度でいい。俺を”『愛してくれてるのなら』それは。呪詛。心を縛り、思考を凍結させる言葉。-“断れるハズがない”。心から、好きだからこそ。愛しているのなら、合わせてやらなくては。どちらかが一方的に耐え忍びガマンする関係は、いずれ必ず破綻する。愛しているのなら、譲歩してやらねば。そう。愛して、いるの、なら…。たった一度のハズだっ
⑨本当は。私は、今、この部屋に戻るべきなんだろうか-?『…なっちゃん、ホントに帰っちゃうの?今帰ったら、また圭樹さんにネチネチ責められちゃうよ。大丈夫なの?うちでゆっくりしてったら?』『う~ん…、多分、大丈夫。圭樹くんの頭も、もう冷えてると思うし。洗い物も大量にあるし。今日はこのまま帰る。またゆっくり遊びに来させてもらうから。その時はよろしく』『時間を空けて、彼氏の頭を冷やさせておとなしくさせる作戦だね。確かに、それが一番いいかも。忘れてくれて…、…なっちゃん?どしたの?ボン
⑦「それじゃ、ヒナ帰るね。今日は来てくれてありがとう。ワザワザ来てもらってバタバタさせちゃったけど…。また遊びに来てね。圭樹くん達、残してきてるから、帰るね」山下ヒナは。自室のあるマンション駐車場に車を停め、降車して運転席の傍に立って二三会話を交わしていた彼女に、手を振りながら元来た道を-なぜかためらっているような様子で-戻って行った吉乃夏美を、その姿が見えなくなるまで、見送ると。たどり着いた自室の中。携帯電話の時計を眺める。午後四時四十分。もう、誰に連絡してもつかまらないなあ。う~
「-ヒナ!夕方から用事があるって言ってなかった!?言ってたよね?もう帰る時間だよね?私、車で家まで送ってってあげる!だから、早く帰る用意して…、洗い物?そんなのいいから!私がまた、帰って洗うから。ほら、早くプリン、食べて…、ああ、もう私のパイも持って帰って食べなよ。ほら、早く…、もう帰るよ!?」と。山下ヒナの腕を引いて。玄関近くのキー置き場にある車の鍵を取ると。逃げるように、自室の玄関を開け、外へと飛び出して行った。⑤『-だよ…』一方。二人の女が去って、急激な静寂
④『…けて』「…なっちゃん、大学の時の知り合い-、サークルのI先輩、覚えてる?私達が何度か顔をのぞかせた事のあるサークルの、スポーツが得意で。よくフリーマーケットとかにお店出してた-…」食後。全員、クリームシチューとサラダを全て平らげ。さて、別腹にチャレンジしようか、とデザートの-山下ヒナが持ってきてくれた-スイーツを箱から出しながら。あっ、スゴい。イチジクのコンフィチュールって書かれたケーキがある。私、イチジク大好きっ、と喜色ばんだ声を出しつつ、吉乃夏美は。質問主の山下ヒナの顔をの
-ああ、一緒にいるコイツは誰なのか?って。えっとね、俺の会社の同僚だよ~。…ほら、吉乃さんの友達の山下さんだ。挨拶しろよ、広峰?」③『…早く…』広峰、と呼ばれた、圭樹春海の会社の同僚は。一瞬、圭樹春海と見間違えるような縦に細長いスタイルと、大概見とれるような良いスーツ姿の立ち姿勢、小ぎれいに短くまとめられた薄茶の髪色が映える優男のような風貌で、山下ヒナを振り返りながら立ち上がると。何か一言二言、とにかく、人懐っこい-大多数の女ならば多かれ少なかれ、必ず興味を持つだろう-優男の魅力に
コンフィチュール:メーウィ・マダム①…見ているだけでは話しているだけでは抱き合っているだけでは物足りない満足出来ない-到底、納得出来ないただ一緒に過ごしたい一緒に歩きたい一緒にいたいそう、キミとふたり、いつまでも…いつ、いつまでも②『…、…話でしょ?』東京。週末の土曜日。慌ただしい年の瀬、新年、年始三が日が過ぎ。春の七草粥もどうにかこなした、一月のとある住宅街、とある社宅マンションのエントランスで。中肉中背-と言うより少々小柄、けれどバランスの良い小さなまあ
「…ゴメン」「-」「-怖がらせるつもりはなかったんだ。犬になって、なんて無茶な注文して…、ゴメン」「い…い、いいの。圭樹くん。分かってくれれば…、別にそんな深刻に謝らなくても」「そう、犬になるべきは、あんたじゃなかったのに…」「そうそう、私じゃない…、えっ、って…?」「犬になる…、鎖をつけてもらうべきは、俺だったね」「…さっきから、何言ってるの、圭樹くん…?何だかおかしいよ?いつもと違う…」「-つけてみてよ、吉乃さん?」全く予想だにしていなかった展開で。会話が最初に戻り。次
『なんにせよ、自分以外の気持ちなんて―、人でも犬でも、分からない。これっばかりは、真実が分からない、永遠のミステリーよ。気持ち―心理が一番、この世の謎…』『謎…、ミステリー…』『いなくなってしまったら、何もしてあげられない。永遠に声を―、聞く事が出来ない答と謎を抱えて、解決出来なくて、後悔して、もがいて、苦しんで。それでも遺された者は生きていくしかないから…。頑張るしかない、から。そう思えば、人生そのものがミステリー小説なのかも。そんな事を粋に考えて楽しむのも、気が紛れて心が安らいでい
『…春海くんは、本当に罪な男の子なのよ。私との話も終わって、その翌朝、さあ、また上京しようって家を出かけた時-』送りに門まで出て来てくれてた“ナツミ”ちゃんに、こう言ったんだってね、と。現在。吉乃夏美が微笑む。「また、近い内に帰ってくるから。それまで元気でいてよ。-愛してるよ。また、あの公園まで散歩に行こう。俺がおぶって連れてってあげる。大好きだから、俺が帰ってくるまで長生きして一緒に遊ぼうな-」⑧その時の記憶を揺り起こしながら。圭樹春海は、現在。膝の上辺りにいる吉乃夏美の頭-髪
『ワンコのママ、ですね。スゴい…。見てみたかったなあ…。あの、圭樹くんは、それには気づいて…?』『気づいてなかった、と思うわ。全く。ただ、好意を持たれている、嫌われてはいない、ぐらいの認識はあったでしょうけどね。子供なんて、そんなモノよ。それ(愛情)に気づくのは、それがいなくなる直前か、いなくなった後ーどれだけ認めたくなくても、拒否したくても、イヤでも延々と続いちゃう、その存在が消えた事後ーしかないんだから。親孝行したい時には親は無し。言い得て妙よね。あらゆる意味で。でも、それでいいの
ーだから、さっき、駅であなたを見かけた時、すぐに分かったの。ああ、このコは、春海くんの部屋の写真のコだ。確か、名前は―。』ーあなた、もしかして、吉乃、夏美、さん?…そうですけれど…やっぱりー。すぐ分かった。だって、…と同じ…。もうすっかり、覚えてしまった…だって、春海くんのお部屋に飾られている、あのキレイな女の子と同じ顔。何度も眺めて、もうすっかり、覚えてしまった顔ー。『だからね。さっき、ためらう事なくあなたに声をかけたの。春海くんのお部屋の壁に飾られてた写真の女の子とバッタリ逢えた
④親戚、と言う単語に。圭樹春海のそれまでどこかふざけていた顔つきが一変し。彼はただ無言で、彼女ー彼にとって初耳の、衝撃的な事実を告げたー吉乃夏美を見つめ。けれど、一方の吉乃夏美は。マスクで顔半分をすっぽり覆われた圭樹春海の表情が全く読めなかったため。変わらぬー学生時代の記憶の中をたどっているように視線を斜め上に上げたままのー調子で。淡々と続ける。⑤『…ケーキ、圭樹くんの親戚の、方…?』『はい。いやあ、奇遇。びっくりだわ~。こんな時にこんな所で、逢えるなんてー。あのコのお導きかしら
その坂の上に立って、見えた久しぶりに。ゆったりした時間を過ごして。リラックスしきっていたせいか、柄にもなく、ブラブラその辺りを散策してみたい気分になった。足元はフラフラしてないし。大丈夫。とりあえず靴をキッチリはいて。その辺りを当てもなく、ほっつき歩いてみようかな。朝の空気。…寒い。でも、澄んでるみたいに感じる。凛としてる。キレイだなあ。…ああ、とそこで気づいた。車が走ってないから、かあ。こんなご時世だから。街に出ている人は帰ってこられない。世間がお休みだから。休日に出かけられる人
日常に存在する金田一ワールド2013.6.15投稿加筆Ⅷ(画像は、お借りしました。ありがとうございます)こんにちは✋現在、2020.1.11いやあ~…、ついにやってまいりましたね~、トュウェンティートュウェンティー、オリンピックイヤー、熱い2020年が~っ🙌ワ~イ。ちょっと同じページに並べさせていただくのは、(かなり、いや、絶対、あ~、図々しいにもほどがあるぐらい)おこがましいと思いつつ。アボカリン☆、この金田一耕助さんシリーズの記事が、なんと!なんと❕な~んと❕❕(←…しつ
追記私、アボカリン☆にとっても、良い年になりますように~…
日常に存在する金田一ワールド2013.6.15投稿加筆Ⅶこんにちは✋2019.12.9気がつけば12月が過ぎて早1週間…。早イ、本当ニ早イ…😓このシリーズの記事も七回目…。早いわあ。これも金田一耕助さん、それに、金田一俳優のみなさまのおかげです。書くのが楽しくて仕方ありません🙌バンザ~イ。感謝します。さて。やはり今年もやってまいりました~、気忙しい年末ー、お歳暮、サンタクロースに年賀状、おうちの整理整頓に追われる日々が~😵…ハア、モウ、ヘトヘト~💦ダメダワ、コノマ
日常に存在する金田一ワールド2013.6.15投稿加筆Ⅵこんにちは😆ただ今、2019.11.7。早いもので、この記事も六回目に…。ウ~ン、本当ニ早イ。さて。鮮やかな紅葉の彩りにウットリ見とれてばかりのアボカリン☆でございます~😆。お久しぶりです。すっかり秋の深まる気配となった今日この頃、みなさま、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?アボカリン☆ハ、ゴ飯ガ美味シイ季節ニナッテクレテ嬉シイバカリデス☆健ちゃん~💕伊野尾さん~💕(画像の使い回し、お許しを☆この画像
日常に存在する金田一ワールド2013・6・15投稿加筆Ⅴこんにちは👋😃2019・9・23三連休の最終日、みなさまにおかれましては、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?😊ウキッ。台風…、熱帯、じゃなくて、温帯低気圧に変わったのかしら?強風や雨には、くれぐれもお気をつけください😢💦さてさて。本日午前中にアップした前回の記事、『日常に存在する金田一ワールド2013・6・15投稿加筆Ⅳ』の続きを書かせていただこうかなあ、と…😃ワクワク。この時の古谷金田一…、本当に素敵💓💓💓💓
こんばんは😃🌃201926の夜。節分も過ぎ、あとはバレンタインデーとお雛様の季節を待つぱかりの冬と春の最中、みなさま、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?アボカリン☆は、ゆるゆると過ごさせていただいておりますが。寒かったり暑かったり、気温のアップダウンがスゴ過ぎて体調がついて行かないです~。おかげでチョコ食べ過ぎて鼻血出しちゃうし~。ブツブツ…。←それは気温と何の関係もないモノだと思われます。ただの食べ過ぎです。食い意地張りすぎっ。by天の声。と。こんな感じで。まったりゆ
アイスケーキミージャム?圭樹くんと吉乃さんとあと一人☆、とのコバナシ編~『ライオンな悪魔様』・『ノットヘブンジャム?』・『アフター・セルフ・ジャム?』~東京。とある住宅街に建つマンションの一室。とある部屋。『遅いねえ、アボカリン☆さん。まだ来ない…。今日お邪魔させて~、ってさっき電話があったから、急いでお掃除してお菓子買ってきて、鏡開きのおぜんざいの用意もして、いつ来ても大丈夫よ、いらっしゃ~い状態で待ってるって言うのに…』「―吉乃さん、だまされたんじゃね?」『えっ?どう言
…あんな幸せな気分を味わえるのなら、また早くそんな状況になっても悪くないかもしれない、と。吉乃夏美は思う。一方、圭樹春海は。手を繋いで、とても楽しそうに指を絡めてくる吉乃夏美の横顔を見つめながら。―告白しそこなった、とほぞをかむ。『…あのね、吉乃さん。その前に、俺、あんたに話す事が―』告白、したい真実があるんだ―。⑨『…吉乃さん、真夜中でも電気ついてる明るい部屋でグースカ寝るし』『明るい部屋で寝るのは、私の長年の癖―習性だから仕方ないじゃない。暗闇が嫌いな私のトラウマのせいだって
⑧東京。平日の夕方六時前。圭樹春海は、再び車上で吉乃夏美を待っていた。彼女の勤務する会社事務所が入るビル近くの駐車場で待っていると。やがての事に仕事を終えた吉乃夏美が相変わらず青白い―けれど、朝よりは幾分気分の良さそうな―面持ちで現れ。圭樹春海の待つ車のドアを軽くノックし。開かれた助手席のドアから、体をシートに滑り込ませる。「待った?」「うん、三時間」「…えっ?」「って、嘘ォ。今、着いたとこ」…ケーキくん?と吉乃夏美が苦笑する。「分かりにくい、セコい嘘つくの、やめて。どう
日常に存在する金田一ワールド2013.6.15投稿加筆Ⅲ20181027こんにちは2018年10月の秋の朝。朝晩めっきり涼しくなり…、と言うより冷え込んできた現在の日々。みなさま、いかがお過ごしですか?お元気でいらっしゃいますか?私事で申し訳ありませんが。今年の夏が異常に暑かったのと、少しばかり、いろいろありましたので、体力一番、とばかりモリモリ食べて食べて食べ続けて。それでも現状維持が出来ているまだまだ大丈夫大丈夫と油断し、秋口もそのままの勢いで食べ続けていたら。あっ、と言
…相手が誰だったか分からなくて、当然。そんな相手は最初(はじめ)からいなかったんだから。いない者は見つけようがありませんよ』不意に。青年の一重の目が大きく見開かれ。けれど、何も言わないので。圭樹春海は、さらに話し続ける。『それは、あまりにも一人の人間…、いや、女性にとってショックの大きすぎる出来事だった。だから、誰にも相談出来なかった、としたら?とりあえず、―もう何を言われても―釈明出来ない立場になったあんたの奥さんには、申し訳ないんだけれど。許しがたい―見ず知らずの男からの―犯行、と
⑥青年の言葉に。圭樹春海はすっかり冷めてソースが固まったカルボナーラパスタを―話を聞いている内に食欲が失せた事も手伝い―脇に下げ。それでもスイーツのストロベリージャムだけは、舐め続け。合間で、―隣に座る男の話に飽きてきたのか―携帯電話を再び操作し始める。絶え間ない囁き声と酒を酌み交わす人間独特の笑い声が交錯する、薄暗い店の中。携帯電話のディスプレイの光だけが、圭樹春海の手元と首の辺りを浮かび上がらせ。青年はふと。隣に座る、この年下とおぼしき男の顔を眺める。ゆるやかなウェーブの真っ黒な
…病院で詳しく検査―調べたら、嘘―、ただの気のせい―"想像"だった、で終わるだろう。もし、"想像"―気のせい―だったのなら、奥さんをそんな状態―子供を心から欲しがっているのに気づかず放置し続けて、追い詰めた僕にも責任がある―。どうする?奥さんに本当の事を言うべきか?種無し西瓜だって事実を話して―僕といる以上子供を持つ事は永遠に叶わないのだから―別れてやるべきか?愛する奥さんはまだまだ若い。僕じゃない、違う人間―男となら、子供を持って暖かい家庭が築けるかもしれない―。明るくて屈託ない朗ら
僕は奥さんに促されるまま、一緒に病院に行く事にした。結果はやっぱり妊娠してて、三ヶ月目だって言われた。奥さんは医者や看護師が並んで見守る中で。喜んで僕に抱きついて。何だかドラマのワンシーンみたいだね、って誰かが囁いて。僕と奥さんは手を繋いで病院を出て帰宅の途についた。その道中で―、僕は奥さんを殺したんだ。#⑤ここで。ちょっと待ってくんない?と、圭樹春海が物憂げに―そして、呆れたように―口を挟む。『ワケ分かんねえんだけど。何で子供が出来て抱き合って喜んでたくせに、その帰り道に殺し
『子供―、腹の子は?』『死んだよ。奥さんと一緒に。三、四ヶ月ぐらいじゃなかったのかな?』『…、なかったのかな?って…、あんた―、本当に?知ってて殺った?それとも、殺った後知ったのか…、』どっち?圭樹春海の質問に。名無しの青年は何も答えず。ただグラス側面に流れる水滴を拭い、その指先を舐めながら。淡々と話し続けた。⑤…僕の実家は片親の家庭でね。僕が小さい時に、父親と母親は離婚。よそで―他の女と―暮らし始めた父親からは見向きもされない母親と二人っきりで暮らしてたんだ。母親は優しか