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平字の二字詩語仄字の二字詩語ことしは気候不順で猛暑の次は台風襲来と、本当にたいへんでした。ようやく秋を迎えましたが、関東地方は塩害で木々が枯れてきたとニュースで報じていました。どうやら暴風が海の塩を運んできたそうです。風が当たった方の葉が枯れ落ちていました。でも来年以降に影響は無いとの専門家の意見でホッと救われました。ところで秋は詩語が豊富なため、漢詩を作るときはたくさんの言葉が使えて本当に便利です。しかし、二字の詩語は平
七言絶句の平仄式押韻の説明七言絶句の漢詩は起承転結の各句をつなげた四行詩ですが、その内容には細かい規則が適用されているのです。まず七言絶句の漢詩がどの平仄式で作られているかの確認を行って、押韻の使われている文字を調べていきます。この場合、同じ韻目(韻字のグループ)から選ばれていることが必須条件となります。さらに公式による平仄が各々適合しているかを見ていくのです。そのような手順の説明はテキスト本のみでは、かなり分かりづらい
手作り本「漢詩創作の手引」本の中身・作詩の方法本の中身・有名漢詩の分解漢詩を作るのは難しいとか、煩わしいとか思われているようですが、そういった先入観を払拭させるためにはどうすればいいかと常々考えていました。それには分かりやすい教本作りが必要との結論に達し、手作りで本作りに取りかかったのです。平成平成26年の正月のことでした。やっとできあがったのが同年8月でこれを初版としました。その後、もっとわかりやすくという思いが募り、大
漢詩の絶句は次の形式を持ちます。五言絶句は一行が五字で四行。文字区切りは二字と三字。七言絶句は一行が七文字で四行。文字区切りは二字と二字と三字。これらの三字のところをさらに一字と二字、あるいは二字と一字のように分解することができるのです。その際に文字の種類、平字か仄字か、それをどう配置するかが問われる訳です。また、決められた位置の文字がが押韻されているかなどの決まり事が問われます。このような規則はたいへん煩わしいと思うのですが、どの世界にもルールがあること
仄起こり式の七言絶句の公式漢詩の言葉の句切りは二字、二字、三字という単位で意味を考えます。まず、公式をみると、起句の二字目が仄字(●)なので、これは仄起こり七言絶句の漢詩ということになります。この式での記号は、平字を○、仄字を●、変えることが許されるのが△▲で表しています。平字のうち韻を踏む(押韻)ところは、便宜上◎で平字しているのです。このように、言葉の区切りごとに平字と仄字を順番に組み合わせて公式が作られていることが分かります。
ライム(Rhyme)て聞いたことがありますか?英語では歌や詩でよく現れるものでいわゆる「韻」のことです。以下、"SuperstarSongs2"(mpi松香フォニックスp.59)より引用します。ライミング(Rhyming=押韻)『2つ以上の単語を比べた時最後の強勢(アクセント)のある母音以降の響きが全く同じものを「韻を踏んでいる」といいます。綴りは同じとは限りません。(例bed-head-saidstar-ja
漢詩「城山」の押韻と平仄起句の二字目「軍」は平字ですから、この詩は平起こり七言絶句の漢詩ということになります。押韻を確認してみましょう。韻目は上平声十五「刪」(サン)で、その中から「還、間、山」の字が韻字として使われているのです。押韻は起句、承句、結句の末尾に置かれています。では、平仄はどうでしょうか。各句の区切りは原則二字,二字,三字となっています。この漢詩「城山」の平仄を調べて記号を並べてみたのが、上に示したものです。この中で
七言絶句「城山」西道仙孤軍奮闘破囲還(こぐんふんとうかこみをやぶってかえる)一百里程塁壁間(いっぴゃくのりているいへきのあいだ)吾剣既折吾馬斃(わがけんはすでにおれわがうまはたおる)秋風埋骨故郷山(しゅうふうほねをうずむこきょうのやま)(訳)孤立して闘った我が軍は、漸く血路をひらき鹿児島まで辿り着いた。幾山河を越えて城山まで帰還したのだった。しかし、すでに剣は折れ、馬も斃れてしまった。もはや我が志も尽き、これまでと覚悟はでき
押韻の確認西郷隆盛の漢詩の押韻を確認してみましょう。韻を踏む(押韻)個所は、第一、二、四句の最後の七文字目となるのです。第三句の転句は押韻せず、最後の文字は必ず仄字と決まっているのです。この詩では、起句の三文字「後先無し」の「先」、承句の三文字「再生の縁」の「縁」、そして結句の三文字「墓前に哭す」の「前」という文字が韻字ということになります。
「月照墓前作」の平仄(意訳)「月照と隆盛が二人で相約して海中に身を投じたのは、同時であって後先はなかった。しかるに自分のみ再び生き残るとは思いもよらぬことであった。振り返れば十有余年の夢となってしまった。今は只、空しくあの世とこの世を隔てている墓前で慟哭するのみである。」西郷南洲の漢詩「月照墓前作」の押韻と平仄の検討この詩は起句の二字目「約」が仄字ですから、仄起こり七言絶句ということになります。押韻は起句、承句、結句の末尾に配置され
漢詩が完成すればそれぞれの規則の当てはまっているかを検証しなければなりません。いわゆる推敲ですね。規則の間違いがないかを確認することと、併せて、詩の内容が意図したようになっているかの点検を兼ねることになります。そこで、標題「一天鶴鳴」の押韻と平仄を検討します。起句の二字目「脈」が仄字であるので、この詩は仄起こり七言絶句ということになるのです。その公式は次のとおり。○は平字、●は仄字、△▲は平仄はどちらでもいいもの、◎は押韻個所の平字で表します
「鶴の恩返し」の転句漢詩の導入部といえる起句では、命を助けて貰ったところに嫁いで過去を回想するシーンを句にしました。それを受けた承句で、深夜まで機織りして恩人の為に尽くす場面を句にしたのです。さて、転句は大きな場面転換が必要です。そこで、始めの二字を「動容」(どうよう・●○)とし、次の二字は「露顕」(ろけん・●●)としました。そして、終りの三字はいくつかの候補がありました。まず、「凄寒日」(せいかんのひ・○○●)、次に「相思杳」(そうしは
「鶴の恩返し」の承句起句の続き!起承転結の第二句目の承句を作ります。命を助けられた恩義のある与ひょうの嫁いだつうは、与ひょうのために価値ある織物を作ることにしました。織っている姿を絶対見ないように頼んで、機織り(はたおり)を続けました。実はつうは自分の羽を抜いてきれいな布を作っていたのです。もちろん、与ひょうはそんなことは露ほども知りません。以上の内容を承句に当てることにしました。承句の平仄は次のとおりです。○は平字、●は仄字、◎は押
鶴の恩返しの漢詩創作オペラ「夕鶴」のストーリーに基づいて漢詩を作ります。先ず第一句である起句を検討していきます。過去に命を助けられたことがある鶴は、人の姿になって恩人の与ひょうの妻となりました。それは大雪の日に傷を負って動けないところを与ひょうが見つけ、手当てをして山に返してくれたからです。起句は命を助けられたことを、つうが回想する場面としました。この漢詩は仄起こり七言絶句の公式を使います。文字の区切りは原則、二字、二字、三字で考えます。
完成した後半の浦島伝説の漢詩・押韻最も重要な規則の押韻の文字は、下平声七陽の韻目の中から選びました。・平仄二四不同は完璧でした。二六対に外れた転句は、「挟み平」の特例により二六対より優先されるのでこれも許されました。・挟み平この詩は挟み平の特例を用いた漢詩となりました。・孤平の禁七言絶句の漢詩では四字目の平字が仄字に挟まれることは許されないので、変更方法を考えました。「戻」は仄字●なので、平字の「帰」を使って、孤平の禁をクリアしたのです。・書き下し文
通常の転句(右)と挟み平の転句(左)仄起こり七言絶句の漢詩には特殊な変化技があるのです。それは三行目の転句の下三文字のところです。普通の転句の三字は、右のように平仄仄(○●●)なのですが、左の「破深契」のように仄平仄(●○●)の形に替えることができるのです。それを「挟み平」といい、特別なルールとして認められています。挟み平を使うと、二六対という平仄のルールが崩れてしまいます。すなわち二六対にならず二六不同になってしまいますが、それでいいのです。
漢詩の詳細な検証一応、漢詩としての体裁は整いましたが、ここでさらに詳しく検証して完全な形にしたいと思います。・押韻漢詩で最も重要視される規則である押韻を調べましょう。一,二,四行目の文字を音読みすると、ショウ、キョウ、コウとなり、漢和辞典を引くと、下平声七陽の韻目です。すべて、その韻目の中の文字が用いられていることから、押韻は正しいことが確認されました。・平仄二四不同、二六対を確認します。二四不同とは各行の二字目と四字目の平仄は違ってなければならないとい
おとぎ話・浦島伝説後半の漢詩ができました。太郎は遊興にも飽き、故郷が恋しくなって竜宮城に別れを告げます。しかし、年月が経ちすぎて見慣れた古里はなく、人々も見知らぬ人ばかりです。諸説ありますが、滞在3年で帰還したら300年が経過していたとか?おどろいた太郎は約束を破り玉手箱を開けるのです。すると、白煙とともに瞬時に老人となり独りさまようという悲しい結末を迎えてしまうのです。押韻や平仄の確認は省きますが、漢詩の諸規則に合っているためOKということになるのです。
×○でたらめ漢詩→修正→仄起こり七言絶句浦島伝説の前半部分、すなわち亀を助けて竜宮城へ行くまでを漢詩にしましたが、文字の羅列だけでは漢詩とは言えないことが分かりました。左がでたらめ漢詩ですが、漢字を見た限りでは何となく意味は分かりますよね。しかし、駄目なんです。まず、この詩をみて、一句、二句、四句の末尾の文字に注目します。「有」、「受」、「年」の文字を音読みするのです。すると、「ユウ」、「ジュ」、「ネン」と響きが違いま
○平仄間違い○韻目間違いこの詩の起句に注目して、二字目「遊」の平仄を調べると平字であることが分かりました。したがって、この詩は平起こり七言絶句の公式を用います。その公式に照らし合わせて平仄を検討したところ、赤丸の処の文字の平仄が違っているのです。すなわち、平字で指定された個所が仄字になり、仄字で指定された個所が平字になっているのです。次に押韻を調べてみましょう。起句、承句、結句の末尾の文字「情」、「契」、「成」の韻目が同じグループの文字を使う必要があるのです
綺花碧空に映ゆ(きかへきくうにはゆ)きかへきくうにはゆりょうしょうかようりょくいんのうちつちをこがすえんいへききゅうをあおぐようえいするせんしかぜかげをもてあそぶしつらいしゅううてんこうにかなふ平起七言絶句韻=東(中、穹、工)○○○●●○◎○●○○●●◎
漢詩?と文字の平仄の確認おとぎ話の漢詩【浦島太郎伝説】・何がでたらめか?浦島太郎の物語の後半です。竜宮の歓待にも飽きた太郎は故郷が恋しくなり、乙姫様にいとま乞いをしました。そのときに渡されたのが玉手箱ですね。ただし、「けっして開けてはいけません」との約束付きだったのです。しかし、故郷に帰った太郎は見知らぬ人ばかりで、数百年が経ったと初めて知るのです。そのショックのため禁断の箱を開けたところ、太郎はたちまちおじいさんになってしまいました。この、おとぎ
浦島伝説(二)「でたらめ漢詩」宴遊漸飽帰心情(えんゆうようやくあくきしんのじょう)手箱享受戻故郷(てばこきょうじゅしこきょうにもどる)変貌驚愕破深契(へんぼうにきょうがくししんけいをやぶる)忽上白煙漁翁成(たちまちはくえんのぼりぎょおうとなれり)以前の浦島伝説の漢詩では、亀を助けて竜宮城へ行くまでを語りましたが、その続きを考えてみました。この作成方法は本筋の手法とは異なり異端なやり方かも知れませんが、ある意味分かりやすいかも?
必ず押韻個所を確認漢詩を作るときのポイント漢詩を作るときに最も大事なことは、決められた個所に押韻(赤丸のところ)を施しているかどうかが問われます。すなわち、押韻がしていない漢文は漢詩とは呼べないのです。押韻するところとは、五言絶句では偶数句の末尾の文字、七言絶句では偶数句と第一句の末尾の文字です。これは重要です。二四不同、二六対、一三五不論などの決まりがあります。また孤平の禁、下三連の禁などがありますが、これらは推敲時に詳しく検討する
■表現技巧①反復法…同じことばをくり返すことによって、強く訴えようとするものの印象を強める。(例)みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる②倒置法…ことばの順序を逆にして、感動を強く表現する。(例)金色のちひさき鳥のかたちして銀杏(いちょう)散るなり、夕日の岡に③体言止め…短歌の終わりを体言で止めることによって、余韻・余情を残す。(例)ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なるひとひらの雲④比喩法…物事の説明に他の物事を借りて表現
漢詩の完成版自分でいろいろと推敲を重ね、気に入った作品にしていきます。検討の経過は省きますが、何日かの間を空けると良い案も浮かぶようです。この詩は仄起こり七言絶句という形式で、押韻は「下平声一先」の中から「辺、憐、縁」の文字を使っています。書き下し文(日本語での読み方)は次のとおりです。原則、旧仮名遣い文を用います。浦島伝説●●〇〇●●◎往昔漁夫歩海辺おうせきのぎょふかいへんをあゆむ〇〇●●●〇◎童児幾度有苛憐どうじいくたびかさいなみある
この漢詩(?)で起句の二字目は「昔日」の「日」ですね。ここの個所の文字の平仄によって、七言絶句の漢詩の公式が決まるのです。二字目が仄字ですから、この公式は仄起こり七言絶句ということになり、次の公式により文字を当てはめて行く訳です。〇は平字、●は仄字、△▲はどちらでもかまわないということですから、それにより検討してみます。赤印部分の文字の平仄が誤っていることが分かりました。その個所の言葉を探し、平仄を公式に合致させる必要が生じました。次に青印の部分、
まず、次の漢文を見て下さい。漢詩の創作を分かりやすくするために、おとぎ話を例にしてお伝えしたいと思います。浦島太郎伝説を取り上げたいと思います。起句、承句は太郎が通りがかりに亀を助けるところ、転句、結句は竜宮城へ行き、遊興にふけるまでを表しています。とりあえず平仄や押韻を考慮せず、意味が通る漢字を当てはめていきます。文字だけ見ればほぼ意味が分かりますね。でも、これは漢詩とは言えないのです。なぜでしょうか?漢詩の規則で検証していきます
漢詩では同じ韻目内にある文字は押韻以外には使ってはいけない漢詩を作る場合、押韻(もしくは韻を踏むという)する文字は、同じ韻目(韻のグループ)の中から選ぶことが大事なのです。漢字を音読みしたときの響きが同じだからといって、むやみには用いることができないのです。韻目の分類はあくまで中国語の発音によって決められたものだからなのです。七言絶句の場合、第一句、第二句および第四句の末尾に押韻するということでした。ここで使った韻目(韻のグループ)の文字は、漢詩を詠むときのリズム感を考慮して配