三十三年という短い生涯の中で、生み出された二編の中編と十数編の短編の中からの名作四編。その中でも山月記がものすごく良かった。あらすじは主人公の李徴が詩人になる夢を諦め、虎に変身してしまい変わり果てた姿を友人の袁傪に打ち明ける。私は、ある一節にギクリとした。〝人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ。〟どんな言い訳をしても、自分だけは知っているん