商人は世の中の人を知ることが重要である。今の人は日々利益に目がくらみ、気短になりやすく買うものを手回しを考えて、先を選ばず後のことも言わない。例えば、醤油を得意とする担い売り[1]を見ると、まず自分が醤油の入れ物をすすいで古い沈殿物を洗い捨てて新しい醤油を入れるとき、かび臭いことがなく風味がよく感じる。だから先ほどの売り手よりは優れていると思える。その他身を引き下げて自らこのように振舞っていれば、醤油の味がよく造りもよく、人より安く売るために、得意先が多くなり、すぐに金を持てるようになる。あらゆ