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久しぶりの大作家が世に出てきた。わかりやすく例えれば、作風の点から、五木寛之、浅田次郎、高樹のぶ子を合体したかのような作家の登場といえよう。加えてこれら大作家と比べても優位と思われるのは、我が国戦後史に関するリアリズム、権力構造分析のリアリズムの取り入れであろう。沖縄の戦後、1952年〜1972年を描く。3人の若者の苦闘、苦悩をカラー糸、米軍・日本政府・権力と追従者を黒糸、史実(ガマの人骨、宮森小学校米軍機墜落事故、毒ガス、コザ暴動など)・実在した人物(瀬長亀次郎、屋良朝苗、キャラウェ
梅原さんが1月12日亡くなった。93歳だった。私は若い頃には、梅原さんという理論家をえらく右寄りのイデオローグとして警戒していた。しかし、90年代以降、梅原さんが、有事法制に反対し、諫早干拓に反対し、イラク戦争勃発時、日本ペンクラブ会長として開戦に賛成した日本政府を激しく批判し、教育基本法改悪に反対し、「九条の会」の共同呼びかけ人に、井上ひさし、大江健三郎、小田実、奥平康弘、加藤周一、澤地久枝、鶴見俊輔、三木睦子各氏とともになったことなどから、すっかり好きになっていた。私が梅
天皇は今年(2018年)の85歳の誕生日にあたり、例年のように「お言葉」を記者会見で述べられた。自身の天皇の時代である平成を終わりにする生前退位を実現し、象徴としてのつとめを果たせたかを自問し、戦争の時代と平和な時代を対比し、太平洋戦争の世界の犠牲者を悼み、平和を希求し、災害からの国民の復旧を願い、伴侶に感謝する感銘深いものであった。私が、オヤッと思ったのは、去年までの「お言葉」では、国民への呼びかけは「皆」であったのに対し、今年のそれでは「皆さん」に変わっていたことであった。
天皇の退位、新天皇の即位の関係で来年だけに実現する10連休。朝日の12月18日の報道によると、次のような世論調査結果が出たという。奇しくも、我が国の労働実態、雇用実態、中高齢者の生活感覚が、如実に反映する結果となった。15、16日に実施した全国世論調査で、ゴールデンウイークが10連休になることについて尋ねると、「うれしい」は35%で、「うれしくない」の45%の方が多かった。男性は「うれしい」43%が、「うれしくない」40%より少し多かった。一方、女性は51%が「うれしくない」と
大河ドラマ「西郷どん(せごどん)」が12月16日に最終回を迎えた。その一回前の週に、大山綱良(北村有起哉好演)が久しぶりに画面に登場した。牢の中だった。西郷の生涯は多かれ少なかれ日本人は知っているが、その周辺の人々の生涯はほとんど知られない。明治維新後、初代県令(知事)になった大山は、若き時代は西郷や大久保利通と行動を共にし、戊辰戦争、維新と頭角を現した。西郷との関係は紆余曲折あるが、明治6年(1873年)に征韓論争から発展した政変で西郷らが新政府を辞職して鹿児島へ帰郷すると、西郷の私
ITTFワールドツアー・グランドファイナルで早田ひなと組んだダブルスで圧勝して凱旋した美誠は、12月17日の報道ステーションで、松岡修造のインタビューに次のように答えていた。1月の全日本選手権で優勝した後、スランプが続き、シングルスで負け続けた時、3日間!卓球をやめて実家に帰り、その後基本からやり直し復活したという。勝った時よりも負けて得るものの方が多いと思うんです。負けて、次に勝てた時、負けてこれだけ成長したんだと思えます。いま勝つことによってまたお互いにレベルアップで
秋篠宮は、11月22日の記者会見で、次のように述べた(各紙)。即位の礼は、これは国事行為で行われる。大嘗祭は、これは皇室の行事として行われ、宗教色が強いものになるので、国費で賄うことは適当でなく、内廷会計で行うべきだ。身の丈にあった儀式にするのが本来の姿だ。誠に時宜を得てかつもうすぐ皇嗣になる立場での堂々たる発言である。象徴天皇制を基本とする皇室にとっても頼もしいものといえよう。1989(平成元)年12月21日の政府見解によると,即位の礼の儀式のあり方は「憲法の趣旨に沿
マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画である。トランプが勝利宣言をした2016年11月9日にちなみ、大ヒット作「華氏911」をかけた作品名である。トランプの勝利を予言したムーアの基礎資料が映画となっている。それを使って2018年11月の中間選挙での共和党への打撃を狙った。その成果が出たのかどうか、上院は共和党が引き続き多数を占拠し、下院は民主党がひっくり返して多数を占めた。この作品は、トランプが勝利した原因の分析である。それは第一に産業構造が変化し、ラストベルトと呼
『防災減災復旧復興Q&A』ここ20年あまり、地震や水害の被害救済に取り組んで来た「近畿災害対策まちづくり支援機構」という公的な団体があります。経験を踏まえて、この度、私が編集責任者として、下の写真(左が東京の弁護士会ブックセンター、右が大阪高裁ブックセンター)の本『防災減災復旧復興Q&A』を発行しました。10名の学者、52名の専門実務家(弁護士、技術士、建築士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、社会保険労務士、司法書士、行政書士
今まで明文の規定がなかった「国際裁判管轄」について新たな規定を設けるために、人事訴訟法・家事事件手続法の一部改正が国会で審議されています。外国にいる配偶者を被告として離婚裁判をしたい場合、日本で裁判を起こせるか?という「国際裁判管轄」の問題が避けて通れませんが、日本の法律には明文の規定がありません。なので、日本に管轄が認められるかの判断については、判例に依拠するほかなく、大昔の判例(最高裁判所昭和39年3月25日判決)の「原則は被告が住んでいる国で裁判を起こさなければならないが、例外
70期の新任判事補65名が1月16日、内閣によって任命された。法曹界ではその少なさが話題となっている。100名を優に超えていた時代を知っている者にとっては、司法試験合格者が増えているのに、判事補が増えないことに不信感が広がっている。最高裁当局の説明では、複雑な事件が増えているから判事補よりも判事を増員する努力をしているとか、裁判所が欲しい人材と渉外弁護士事務所等との採用の競合で優秀な人材が確保できないとかと言われている。しかしこの説明は何重にもおかしい。第一の理
平成29年11月23日に大阪大学豊中キャンパスで開催されたシンポジウム「来たれ、リーガル女子!~女性の裁判官・検察官・弁護士の仕事と働き方ってどんなんかな~」の医療・福祉グループセッションで、恥ずかしながら医療分野に携わる若手女性弁護士として、女子中高生(一人男子学生も)とお話ししてきました。「来たれ、リーガル女子」は、内閣府、弁護士会、大阪大学等が共催で開催したシンポジウムで、女性法律家(裁判官、検察官、弁護士)の仕事について、学生さんたちにお伝えすることをテーマに実施されました。内閣
是非見たいと思っていた「運慶展」に、終了まぢかの朝、行きました。東京国立博物館平成館。9時半の開門前から長蛇の列。約1時間待った甲斐はありました。不肖私、ルーブル、メトロポリタンなどにもなんども通い、また国内で催されたかなりの展覧会、美術展を若い時から見てきましたが、迫力は随一に感じます。所蔵が多い興福寺ばかりでなく、関東、中部、近畿の主要な作品が集められていました。有名どころで来ていないのは、東大寺南大門の金剛力士立像くらいでしょうか。運慶の仏像の凄さはリアルな肉体、服装の描写にあ
最高裁判事もつとめた、法曹界で著名な千葉氏が、随筆にしては長大な中島みゆき論を書いている(「法曹」2017年10月号)。題して「中島みゆきの歌の世界と司法との交差点」。みゆき論としては力作であるが違和感がある。司法論としてはきれいごとをいっているようで、私の中では二つは交差しない。さて、ここでは千葉氏のみゆき論だけを少し論じる。力作なのは、みゆきの曲とDVDをほぼ全部視野に入れて、総合的な評論となっているからである。私はみゆきの「夜会」を部分的にしか観ていないの
再びハルカスの「奈良西大寺展叡尊と一門の名宝展」を訪れた。今度は、秘仏愛染明王坐像(善円作)を拝観するため。女性説もあるが一目見てこのお姿を女性とみる観察者は少ないであろう。私は、前述の吉祥天女立像につづき、美女に会いに行ったつもりである。チベット仏教の流れを引く密教では女像も十分成り立つ。明王は諸悪魔を降伏させるために憤怒の相をもつ、知識、学問の仏尊。明王はまた陀羅尼ともいい、長句の梵語で、その短いものを真言という。密教の奥義のような概念だと理解する。明王を体現する
おでこのテレパシー、自分の写真(こんど出すぞ~)予告!どうしても、写真を出さないで、オクレ、と引き留めるおっさんがいて、(おっさんと呼ぶと、逆に、喜びそうなので、そう、呼ぶ)まあ、あるいみ、おっさんと、おっさんの、男同士のつきあいと、わたしは、思っているのだが、(わたし自身は、外見はおんなのこ、中身は、おっさん)名探偵コナンみたいじゃない~?そのおっさんは、本当に、わたしのおと~さん、になりきってる。おっさんのお父さんなので、おっさんの進化形。おやぢ。そのことを
このブログに、7月3日私が書き、7月28日に斎藤ともよ弁護士が書いていることの関連です。佐藤幸冶・泉徳治編「滝井繁男先生追悼論集行政訴訟の活発化と国民の権利重視の行政へ」(日本評論社)が刊行されました。私は編集事務局を担当し、原稿も書きました。その出版記念会を開きました。全国から、元最高裁判事、研究者、弁護士など多くの方々が参加してくださいました。主要な内容は次の通りでした。期日場所7月24日15時から19時大阪弁護士会館司会斎藤浩弁護士主催
7月24日に開催された元最高裁判事の滝井繁男先生の追悼論集出版記念会で、同じく元最高裁判事で、滝井先生の学生時代からのご友人である泉徳治先生が乾杯のご挨拶でお話しくださったことについて、ブログに寄稿してみることにしました。私が長年、かかわってきた東住吉放火殺人事件という冤罪事件があります。大阪の東住吉区の密集住宅地で1995年7月に発生した火災で、11歳の長女を放火して逃げ遅らせて死亡させ、保険金を取得ようとしたとして、逮捕・起訴されました。私は、逮捕翌日に当番弁護で接見して以降、弁護
実の親は遺言を残さなかったが、2015年2月28日に逝去された滝井繁男先生は私に二つの遺言をされた。ひとつは2007年4月26日付の遺言で、つぎのように書かれている。「まず、相続財産のうち、5000万円を基金とし、これを行政訴訟を活性化させ、国民の権利重視の行政に向わしめる諸動に寄与せしめるため有意義に使うこととし、その具体策を水野武夫、斎藤浩両弁護士に委ねる」。ふたつは阿部泰隆・斎藤浩編「行政訴訟第2次改革の論点」(信山社)を謹呈した時の2013年12月の礼状で、つぎのよう
森友問題、加計問題で混乱を極める日本の政治、トランプの登場により混乱の極にあるアメリカの政治。パリ協定からの離脱を表明したトランプに対し、麻生太郎大臣が「その程度の国」と批判したのには同感しつつ驚いたが、冷静に見ると民主主義制度の奥深さは比べるも悲惨なほどに差がある。圧倒的にアメリカが健全だ。森友問題でも加計問題でも、多数を頼んで安倍政権は安倍昭恵や前川喜平前文部事務次官の国会証言をしようとしない。重要文書も国会に提出しない。東京地裁は森友の国有地売却経緯記録文書証拠保全を5月19日却下
4月12日、ドイツのケルン大学のハンス・プリュティング教授の「ドイツ法における医師責任訴訟」という講演のために、斎藤ともよ弁護士と立命館大学に行ってきました。ドイツの医療責任訴訟は、日本の医療過誤訴訟の実態と大きく異なっており、勉強になりました。まず、ドイツも日本も民事訴訟においては、弁論主義という、「訴訟資料の提出は当事者の責任」という原則に従っており、裁判所は当事者の責任によって提出された訴訟資料にのみ基づき裁判することになっていますが、ドイツでは、医師責任訴訟の場合、患者側が最低限の
3月31日、世間はプレミアムフライデー、ということで...当事務所も今回便乗してみました^^少し早めの16時に事務所を閉めさせていただき、残念な雨の中でしたが...車でいざ!向かう先は「鳥取県の大山」まず、皆生温泉「オーシャン」で、日帰り入浴を楽しみます。次に、皆生温泉街にある日本料理の「なる美」さんでお寿司を作ってもらい、大山の山小屋へ。浩弁護士が持ってきてくれた、きれいでおいしい日本酒と共に楽しみました。晩餐セット翌日は昨日の雨が一転してぽかぽか陽気のいいお天気でした。雪化
先日、ある医療事故のケースで、相手方医師の診療行為の過失について調査する必要があり、当該診療科目の専門家である第三者医師の意見を聴取するため、石川県へ、ともよ弁護士と出張しました。ともよ弁護士と大阪駅のホームで待ち合わせ中、「サンダーバードでは車内販売は行っておりません。」のアナウンスを聞いた私は車内でお昼ご飯を食べるため、ホームの弁当屋で自分の分だけ柿の葉寿司とお茶を買いました。買い終わって振り返ると丁度、ともよ弁護士がお弁当二つを持ち上げて、ニコニコとこちらに向かって歩いてくる姿が目に
松森です。体と目の運動不足解消のためにテニス始めました🎾目の運動不足解消というのは、毎日、パソコン打ったり、準備書面読んだり、本を読んだりで、近い位置にしか目の焦点を合わせていない生活のため、テニスボールを目で追うことで、目を遠距離・近距離に動かし、目を運動させられるとの考えです。今は初心者コースで先生にラケットの持ち方を教わりながら、隣の上級者コートでスパンスパン、テニスボールを打ち合っている人々を、指をくわえ見ている日々ですが、それでもテニスが楽しくて仕方ありません。テニス
この5年ほどで、ベトナム2回、中国1回、イラン1回の訪問団に、日弁連推薦で講義をおこなっている。訪問団のメンバーはいずれも国家を代表しての高い地位の方々ばかりである。しかし、逆に担当すればするほど矛盾を感じることも多い。一番最近の中国全人代常務委員会法制工作委員会のメンバーに対する行政手続法の講義を例にとれば、感じる疑問は次のようなことだ。行政手続法とは行政の公正性・透明性確保と国民の権利利益の保護を目的とする、行政の自己規律の法律といっていいであろう。しかし、これ
2月8日に開催された法曹養成制度改革連絡協議会(第6回)に出された資料によると、日本でも徐々に、弁護士は裁判の時に頼む職業という決まりきったイメージから脱却する動きが出ている。平成18年と平成28年とを比べると・・・・国の本省等にいる弁護士は47人から364人地方公共団体にいる常勤弁護士等は1人から51人企業内弁護士は146人から1707人これは司法改革により法曹人口を増やした結果である(法科大学院を出て、司法試験に合格し、司法修習を終えた人数は平成18年1477人から平
泉徳治先生から「一歩前へ出る司法」をいただいた。この本は、早稲田の渡辺康行さんら3人の憲法学者が泉先生にインタビューしたもので、事実を積み重ねて本質を語るという手法を徹底している。多くの最高裁長官、判事、裁判官のことをリアルに分析し、裁判所組織を解明し、その限界を提示している。裁判所を現実に動かしてきたこの人の、本書のように淡々とした語り口に驚くとともに深い感銘が訪れる名著である。前著「私の最高裁判所論」と本書を縦糸、横糸として裁判所=司法を眺めれば、ブレなく我が国のこ
ヒット上映中の映画「この世界の片隅に」は、ほんとうにいいので、ぜひ観てください。ところで、映画パンフにも明示されていませんが、作品の冒頭の場面で静かに小さく、賛美歌111番「神の御子は今宵しも」が流れます。おそらく作品を劇場で観たかたも多くは気づいておられないでしょう。私は小学校から高校まで両親の影響でキリスト教会に通っていたので、すぐ認識できました。調べますと、大阪生まれ在ニューヨークの歌手、コトリンゴが歌っています。この映画の挿入歌はすべて彼女です。主題歌は「みぎてのうた」
松森です。事務所の忘年会でSMAPを熱唱し、年始に「SMAPロスが…」とぼやいていたら、浩弁護士から、SMAPについてブログを書いてもよろしいとの許可が下りました。私は、解散報道以来、毎日「SMAP」と検索ワードを入れて、SMAPニュースをチェックしていましたが、解散の経緯ははっきりわかりません。それで、様々な週刊誌、スポーツ新聞、テレビ、ネット情報の信用性を法律実務家の観点から評価し、可能な限りの事実認定をしてみようと意気込んだ時期もありましたが、さすがに、そのような時間の余裕はありませ