わたしが演出する舞台の劇場ロビーや客席でいつも必ず見かける男性がいる。先日もサンモールスタジオで上演した「私に会いに来て」でも、その男性を見かけた。年齢は四十代から五十代。身長は170センチくらい。小太りで、眼鏡をかけていて、頭髪は薄い。高校の先生風の風体である。何度も見かけるから、その人を見かける度に「あ、また来てる!」と思う。しかし、いつもわたしが見かけるだけで、先方は決してわたしを見ない。知り合いなら、挨拶くらいしそうなものだが、そうでもなさそうである。つまり、その人はわたしが作る舞台の純