『バーフバリ』2部作のS・S・ラージャマウリ監督の新作は、こんどもすごかった。全編スペクタクルエンターテインメントのたたみかけという体裁のなかに、当時の政治背景や人種差別などを織り込み、何気ないシーンにまで伏線を張っている。確かに唸らされる場面が多いのだ。しかしながら、どうしても『バーフバリ』と比べてしまっている自分に気づくのもまた事実である。何かが違う。その何かとは、主に2点であり、明白だ。インドのマサラ映画に求める2点に欠けている。ひとつはダンスシーン。序盤で展開されるミュージカルな場面は一