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僕は生まれてから今までに、たった一度だけ死ぬほど怖いと思ったことがあった。それは僕が5歳で皇太子になり、東宮殿で一人で眠らなければならなくなった初めての夜のことだ。それまでは当たり前のように母上や姉さんといつも寄り添っていられたのに、その日を境に母を母と呼ぶことも許されず、母の子守唄で眠りに就くことすら許されなくなったのだ。まだ5歳の幼子には広すぎる部屋、大きすぎるベッドを目の前にし、途方に暮れたあの晩を今でもよく覚えている。まるで世界にたった一人取り残されたように寂しくて苦しくてどうし
「どの服と靴、持って行こう」チェギョンの自室は色とりどりの服で埋め尽くされていた。床が見えなくなっていて、足の踏み場もない。「これ、自分で片付けろよ」「分かってるっ!」ドア枠を掴んで呆れた顔で覗きこんでいる兄のテギョンを、彼女は睨みつけた。「だいたい、大騒ぎする必要なんてないだろう?必要なものは連絡してくれたら、持って行くさ」兄は分かってない。折角シンと二人きりで過ごすクリスマスの夜―――とは言っても、イブとクリスマスは家族と過ごすから、その2日ほど前の事だけど―――なのだ。外部の者
『アンティーク』な世界を存分に堪能した後は、地下鉄を乗り継いで江南方面へ向かいました。(ここの地下鉄の乗り継ぎをメモしておくのを忘れました^^;)そして地下鉄を降りてからタクシーに乗り、島山公園近くで降ろしてもらうとそこは懐かしい場所でした。そう…この辺りは3月にも訪れたのですが、ジフニ縁のスポットがたくさんあるんですよ♪まずは島山公園の真正面の通りを公園へ向かってぶらぶら歩きます。この通りの両側にはエルメスやイッセイ・ミヤケなどの高級ブティックが立ち並び、東京で言うと青山辺り
「お母さん、僕に説明してください。誤魔化しは無しです」テギョンは母のスンレの前に立ちはだかった。「私、これからお友達と約束してるって、あなたに言わなかったかしら」「聞きましたよ。ですから、今ここで話してください」スンレは大袈裟なため息をついた。「別の機会ではダメかしら」「ダメです」テギョンはきっぱりと答えた。「でも、今、家を出ないと、お友達との約束に間に合わないのよ」ピクリと眉を上げただけの息子に、母はまたため息をついた。彼は彼女が説明をしなければ、1ミリたりとも動かないだろう
タクシーで向かった先は、慶熙宮です。3月の旅でもここを訪れていたのですが、その時は中へは入れなかったんです。てっきりお休みだったと思っていたら土日祝日は観覧時間が朝10時からで、あの時は10時前に行ってしまったために入れなかったのでした(^_^;)なので、今回はぜひとも見たかったんです。受付で日本語の入ったパンフレットを受け取り、入場料を払おうとしたら何とタダでした♪中へ入ると…またまた『宮ワールド』が広がっていました。↑チェギョンが打毬でホールインワンを決めた、あ
「クリスマスかぁ」チェギョンは窓の外の雪を見た。昨晩急に冷え込んだと思っていたら、朝からちらほらと雪が降り出した。「まだ、クリスマスまで随分あるぞ。気が早いな」兄のテギョンがチェギョンの背後に立ち、外を見た。「―――僕は出かけるから、チェギョンは…そうだな、シンの車に乗せてもらえ」「テギョン、どこへ行くつもり?」チェギョンが声を掛けても、兄は返事もせずセカセカと部屋を横切って行った。玄関前のロータリ―を走り抜けていく兄の車。「お兄様、こんな雪なのに、どこへ行くつもりなのかなぁ」ず
11月27日(金)ゆうべ夜更かししたわりには目覚めも良く(単にテンション高くなっているだけ?)、8時にホテルを出て朝ご飯を食べに行きました。ホテルから歩いてもすぐ…おススメの定食があるというそのお店はこちらです↓出勤前に朝ご飯を食べに来る地元の人たちで賑わうこのお店、名前は『ムギョドンプゴグッチッ』です。私たちが入った時はちょうど待たずに座れましたが、食べて出てくる時はこの混みようでした。でもメニューが1種類で、黙っていても運ばれてくるので回転は速いです。これが
いよいよ待望の2館へ入ります。でも、ここの入口ちょっと目立たなくて解り辛いです。1館と2館が分かれているって知らないと、解らずに1館だけ見て帰っちゃいそう…でもダメですよ。ここからが肝心なんだから(^^)bワクワクしながら進んで行くと…きゃ~~~♪大きなシンチェベアです。チョ~可愛い(≧▽≦)思わずシン君ベアにしがみつき、とびきりの笑顔で記念撮影しちゃいました♪さらに奥へ進んで行くと、またまた大きなシンチェベアが…↑このシン君の横にチェギョンベアもい
ホテル前からタクシーに乗りソウルタワーへと向かいます。ソウルタワーは海抜243メートルの南山にあるので、タクシーに乗っていてもずいぶん急な坂を上っていく感じです。途中、図書館の前を通りましたが、確かここはキム・レウォンさんが勤務しているのでは?ジフニがいるならテンションも↑ですが、「ふ~ん…」とスルーして終わっちゃいました(爆)タクシーの運転手さんにタワーまでのつもりで行き先を告げたはずが、何故かケーブルカー乗り場前に連れて行かれちゃったので仕方なく降りて…でも、ケーブルカーに待た
ホテル前からタクシーに乗り、地下鉄の安国駅で降ります。3月にはホテルの傍の駅から地下鉄を乗り継いで行きましたが、タクシーも初乗りが2400W(200円弱)なので3~4人で乗ればおトクです♪4番出口の階段を上りそのまま真っ直ぐ進むと、すぐに雲峴宮が見えてきます。わぁ~~またここに来れるなんて…♪これから始まる『宮』な世界に興奮が抑えられません。でも、ちょっと待って…雲峴宮の入口を通り過ぎ、塀の角まで来ると駐車場になっていて、そこを左折して目の前に見える門をくぐり抜けゆっくりと
昼、12時15分から、のど自慢がある。楽しみだ。ゲストは誰だろう。夜は寿司。まぐろの握りといなり寿司。今日、寿司食べるから、15日のイモ天はまたサイゼリヤでいいか〜今日の気持ちだと、お酒、飲みたくないけど。セブンに行った次の日の具合の悪さったらない。飲み屋は休み。飲み屋、やる気あるのかな。今日は日曜日だから休みなのはわかるけど。早く開けてもらって、Bluetoothの設定してもらわなくちゃ。やっぱり動物園のふれあい、行けないな。「雲が描いた月明かり」なかなか見られない。
チェギョンはスキップしながら、宮殿の廊下を歩いた。「シン殿下はどこかしら?」顔なじみの侍従を見つけ声を掛けた。「殿下はご自分の居間においでです」「そう、ありがとう」黒いタートルニットにダークブラウンのスカート。ニットをウエストインしてスカートと共地のベルトを締めた。緩やかなAラインの膝丈のスカートは、センターにボックスプリーツが入っていて動きやすい。フワフワのファーの丸いポシェットを揺らしながら、チェギョンは彼の居間へ向かった。黒いバレエシューズにしてよかった。つるつるに磨かれた宮殿
滑走路を行き交う航空機が真正面に見える眺めの良い貴賓室のソファーに深く腰を沈め、僕は逸る心を抑えて静かにその時を待っていた。ここ金浦空港は国内線がメインであるが、アジアのハブ空港である仁川には遠く及ばないものの、近頃では国際線の発着便数もかなり増えてきている。我が韓国を訪れる観光客の数が急増しているのがその原因だ。何でも、世界中で韓国ドラマやK-POPが大人気なのだそうだ。それでドラマのロケ地を訪れるため、またK-POPのライブ観たさに、世界各地から観光客が押し寄せているというのだか
「さて、聞かせて。何があった?」「…言わなきゃ、ダメ?」チェギョンが睫毛の下から甘えるように見つめてきた。シンは頷いた。公園のベンチに並んで座り、彼は背もたれに腕を伸ばした。「うぅぅっ、だって、言いたくないもん」チェギョンがマフラーに顔を埋めた。「チェギョン、言って」シンはもう一度同じ言葉を繰り返した。どう考えても、フェンスの抜け道を通り、自分たちの学校へやって来た彼女が、『何もないわけ』がない。「―――言いたくないの」頑固な彼女にシンはため息を漏らした。「もぅっ、シン君って、
口さがない人々は、年齢や階級とは関係がないらしい。チェギョンは一人、校舎の廊下で窓の外を見ていた。友人のガンヒョンは欠席している。何でも一族の重要な集まりがあると言っていた。旧家の出身のガンヒョンもまた、チェギョンのように伝統という名の古めかしいしきたりに縛られているのだろう。「そんなこと言ったら、シン君が一番そうね」毎年1回行われる公式な行事で、彼は彼の両親の国王夫妻や王族たちと一緒に、宮殿のバルコニーで人々に手を振っていた。正式に婚約をしたことで、チェギョンの顔と名前がメディア記事に載
「なんだ、浮かない顔してるな」「テギョンからそう見えるなら、そうなんでしょ、きっと」チェギョンが答えると、兄が眼を瞬いた。ドスンと反動をつけてテギョンがソファに座ったから、既にそこへ腰かけていたチェギョンの体が揺れる。「テギョン、静かに座ってよ。もうっ、お茶を零したらどうするの?」「相当機嫌が悪いな」呆れたように言うと、兄が背もたれに腕を伸ばした。「もぉぉ、テギョン、やめて!腕が邪魔よ」チェギョンはブンブンと頭を振った。テギョンは器用に彼女の毛先が飛んでくるのをよけている。「怒
チェギョンと一緒にいたのは、誰あろう俺の親友の一人…カン・インだった。何故インが…?頭の中は疑問符でいっぱいになったが、それもほんの一瞬のこと。インの手がチェギョンの手を握り締めているという許し難い光景を目の当たりにした俺は、次の瞬間インの胸倉を掴みその頬を殴り飛ばしていた。「きゃ~~~っ!シン君、何するの?止めてっ!」「煩い!お前は黙ってろ。イン、これは一体何の真似だ?」「何って、見ての通りさ。シンがチェギョンを大事にしないから、僕が守ってあげる…そう言って、今チ
「ふぅーん」チェギョンは振り返ってドアを見た。「テギョン。なぁに?その顔」兄のテギョンが腕を組んでドアの枠にもたれていた。宮殿の若い女官たちが頬を染めて、兄をチラチラと見ていた。白いシャツにデニムのパンツ。何気な無さを装っているけれども、スタイルの良さが際立っている。「きちんとした格好をすると、なかなか見栄えがするなって感心してるだけだ」「テギョンっ」チェギョンは兄を睨らみつけた。「お前の目がおかしいんだよ、テギョン」シンが姿を現した。ハイティーンには思えないほど大人びた姿に、
あれから…チェギョンに『大嫌い』と言われてから、ほとんど会話らしい会話をしていなかった。ちゃんと話さなくちゃいけないと解っていながら、どう切り出していいのかそのタイミングさえ掴めず、ただ無駄に時間を過ごしていた。チェギョンのことが気になって仕方ないのに、あいつの俺を見る以前とは違う冷めた瞳が、どうしても素直な言葉を躊躇わせる。なぜこんなことになってしまったんだろう…いや、本当はもう答えなどとっくに解っている。全ては不甲斐ない俺自身のせい…あいつに好きだと言う代わりに、
「また賞を取ったんですって」「貴婦人のお手本みたいな仕草…憧れるわ」チェギョンは風に乗って漂ってくる―――そう思うことにしていた。噂話をしている子たちが、自分の方を意識しているのは知っているけれど―――ミン・ヒョリンを賞賛する声を聞き流した。大きな窓枠に肘をつき、ぼんやりと外を見つめた。うっそうとした森の奥には、伝承のとおり魔女が住んでいそうだ。ヒョリンは確かに美しい。長い手足と人を寄せ付けないツンとした冷たい美女。白い歯を見せて笑ったところなど、チェギョンは一度も見たことが無かった。
「シン、話があるの。ちょっと来て。」例によってチェギョンにヒョリンと親密そうにしているのを見せ付け、不機嫌になったあいつを見送って内心悦に入っていたら、ヒョリンに急に腕を引っ張られた。少し怒った様子で無言のままの彼女に連れて来られたのは、人気の無い音楽科のレッスン室の一角だった。「何だよ?こんなところにわざわざ…」「シン…あなたいい加減にしたら?」ヒョリンはくるりと向き直ると腕組みをして、真っ直ぐな瞳で睨んでくる。けれど俺には、彼女に睨まれるようなことなど身に覚えがな
それからというもの、学校で休み時間にチェギョンを目の端に捉える度に、俺はある行動に出た。あいつに気づかれるより先にヒョリンの傍へ行き、必要以上に体を寄せて親密さを装うんだ。「何なの、シン?」「いいから…」そしてチェギョンが俺を見つけると、必ずと言っていいほど頬を膨らませて俺を睨んだ後、ふん!とばかりに顔を背けて行ってしまうのを眺めるのが楽しくて仕方なかった。あいつ…また妬いているんだな…膨らんだほっぺたが河豚みたいだぞ。すぐ顔に出るんだから…可愛い奴…怪訝そうなヒ
「ドキドキしてる」チェギョンは鏡の前で制服姿の自分を見た。紺色のボレロに丸襟の白いブラウス。袖口の周りはフリルが付いている。紺と緑のチェック柄のワンピースに、紺色のリボンがウエストマークされたこの制服は、留学生だった母の時代からまるっきり変わっていない。「チェギョン、早くしなさい」「はぁぁい」母に呼ばれ、チェギョンはもう一度だけ鏡に映った自分を見つめた。昨日、シンとキスをしてしまった。ずっとずっと好きだった彼が、自分のことを好きだと言ってくれたのは、彼の帝王学が終わった後のお茶の時間だ
いざ自分の気持ちに気づいてしまったら、想いが一気に加速したのか、公務の最中もあいつの顔が浮かんできて、会いたくて仕方なかった。だから、出来るだけ早く切り上げて東宮殿へ戻ってきた。なのに…俺を迎えたのは妻の笑顔じゃなくて、あろうことか妻が他の男に抱かれる姿。「何をしている?」瞬間頭に血が上り、気づいた時にはユルの腕を捩じ上げていた。「妃宮に触るな!俺の妻だ。」「シン、誤解だよ。」「煩い!とっとと出て行け。」ユルの腕をそのまま引っ張り、テラスへと引き摺ってい
「うぅぅん」シン・チェギョンは思い切り首を伸ばし、爪先立ちになり中を覗こうとした。部屋の中からは小難しい古語を読む講師の声が聞こえてきた。「うぅぅん」額までは覗いているはず。もう少しだけ伸びれば、大好きな彼の姿を見れるはず。「うぅぅぅんっ―――きゃあっ」がたがたと音を立てて、踏み台にしていた石が転がり、それに乗っていた彼女も当然、転げ落ちた。「チェギョン?何してるんだっ」許婚の彼の声が聞こえてきたけれども、彼女は答えることができなかった。落ちた拍子に背中をゴツンとぶつけ、うめき声し
チェギョンは頬を膨らませ、プリプリ怒りながら戻ってきた。まるでシンの不機嫌がチェギョンに伝染したみたいだ。「シン、すごく機嫌が悪かったみたいだけど、何の用だったの?」「全く…どうもこうもないわよ。あの横暴王子ったら何て言ったと思う?『お前は皇太子妃なんだぞ。俺以外の男とベタベタ馴れ馴れしくするな!二人きりになるな!』だって。」「本当にシンがそう言ったの?」まさか…嘘だろ?あの能面みたいな奴がそんなこと…「そうよ。馬っ鹿みたい…だって俺以外ってユル君だよ?
俺はイ・シン、王立大学付属高校映像科に在籍する高校3年生だ。そして、何を隠そうこの国の皇太子でもある。自分で言うのも何だが眉目秀麗にして頭脳明晰…これは決して自惚れでも何でもなく、国民が俺を『完璧王子』と呼ぶのだから周知の事実だ。なのに…その完璧王子であるこの俺が、何の因果かまだ高校生だというのに無理矢理結婚させられたんだ。それも、相手はお祖父様である聖祖皇帝陛下が生前にお決めになった許婚とやらで、およそ才色兼備とは程遠い一般庶民の女だ。何故お祖父様はこんな女を選ばれたのか首を傾
俺はキスをするのが好きだ。誤解のないように断っておくが、キスの相手は無論最愛の妻チェギョンに限定されるのであって、決して誰彼構わずキスしまくるのが好きな訳ではない。チェギョンとのキスは甘くて熱い。俺たちが初めてキスを交わしたのは、あの義愛合での合房の儀の夜だった。離婚した後道端で俺と出会ったらと考えただけで胸が痛いというチェギョンが無性に愛しくて堪らなくなり、気づいた時にはそのプルンとした魅惑的な唇を強引に奪っていた。あの時はファーストキスなのに台無しだとチェギョンに散々罵
例えばどんなに疲れて公務から帰ってきても…例えばどれほど頭の痛い決裁を迫られた後でも…僕が東宮殿のパビリオンに足を踏み入れると、この世で一番愛しい人が満面の笑顔で僕の胸に飛び込んでくる。それはいつも変わらぬ出来事。そして僕は最愛の妻を抱き締め、彼女が発する甘い香りに包まれる。皇太子イ・シンがただのイ・シンに戻る瞬間。そのまましばらく至福の時を過ごすと、僕はそっと妻の唇にキスを落とす。すると柔らかな唇の味わいが彼女の香りと相まって、より一層心地良く僕を癒してくれるんだ。
今年もどうにか公務に形をつけて、何とか一週間の夏休みが取れた。海に行きたいとせがむ子供たちを連れて、例年通り夏の離宮へとやって来た。お前と初めて二人きりで訪れて以来僕たちには特別な場所となったこの海で、皇族としてでなくごく普通の家族として穏やかな日常を送れることに、この上ない幸せを感じる。皇族は肌を見せてはならない。でもこのセキュリティの万全なプライベートビーチでなら、僕たちは水入らずで海水浴を楽しむことも出来る。「おとうさまぁ~~そんなところでねないで!いっしょにあそんでく