ブログ記事926件
ヒョリンとの迷惑この上ないスキャンダルのことなど、チェギョンと会って彼女をこの腕に抱き締め、熱いキスを交わした時点ですっかり記憶の彼方へと飛んでしまっていた。チェギョンがやっと首を縦に振ってくれたから、俺の中ではもう彼女との結婚が決定事項としてインプットされいて、何の心配もしていなかった。だから相変わらず騒がしいヒョリンとの熱愛報道も全く気にも留めず、誰に何と言われようと俺は正式な婚約発表がなされるまで逃げも隠れもせず堂々としていよう…そう思っていた。それから2日間、登校も出来ずに公務
シン君からの突然の愛の告白とキス、そしてプロポーズと信じられない怒涛の攻撃に戸惑いながらも、私は完全に浮かれて舞い上がっていた。熱を出して寝込んでからもシン君は毎晩メールをくれるから、その度に電話するといつも彼は優しく私を包んでくれる。つい何日か前までは、私も皇太子殿下にちょっと憧れているだけのただの女の子だったのに、そんな私がシン君の恋人になっちゃったなんて本当に夢みたい。でも良いのかな…王子様が私みたいな一般庶民となんて、どう考えても釣り合わないに決まってる。それに、シン君は『俺の
皇太子イ・シンの恋人…その称号は私のものだと、当たり前のように思っていた。そう信じて今までずっと、何の疑いも抱いたことはなかった。だって、シンの傍に常に寄り添うことを許されていた女の子は、この私を置いて他にはいなかったから。特に告白された訳でも将来を語り合った訳でもないけれど、何も言わずともただ傍に寄り添っていられるという現実は、心が通じ合っていると感じさせてくれるのに充分すぎるものだった。なのに…シンは私の知らない女の子を宮へと連れ帰ってしまった。それも、まるで『俺の女』と言わ
「あら、シンったら、それ」久しぶりにジェラード家の実家へ戻ったシンは、母が口元を押させて笑う姿に眉を上げた。母に笑われる理由が分からない。「ハンカチに刺繍がしてあるのね」シンが口元を拭ったハンカチを指さした。それでやっと母の笑みの理由が分かった。「ああ、これか」彼は掴んだままのハンカチを母に渡すと、「チェギョンが『どうしても刺繍をしたい』って言い張るからね」幸せそうに白い歯を見せた。「うまく出来てるわ。私が刺繍したのと、全く同じようにしてあるのね」ジェラード夫人は息子の愛する“
彼女…チェギョンとやっと想いが通じ合って、俺は有頂天になっていた。お祖母様に言いつけられたタイムリミットは刻一刻と迫っているが、きっと彼女は「イエス」と言ってくれるに決まっている…そう信じて疑いもしていなかった。だから俺は毎日でも彼女の笑顔が見たいのに、結局彼女はあれから後2日間学校を休んだ。心配で毎晩メールを入れると、その度にベッドの中から電話をくれる彼女…そんな彼女が愛しくて仕方なかった。今夜は漸く熱も下がったようで来週から登校出来ると話す彼女の声は弾んでいて、やっと会えると思うと嬉
赤いスポーツカーの助手席で流れる景色を見ながら、チェギョンは考えていた。ここ最近、彼女の頭の中はそればかりだった。恋人のシンがそんな自分のことを苦笑をしながらも、優しく見守っていることさえ気づかない。―――私がやりたいことって何だろう。「チェギョン、そろそろ着くぞ」運転席のシンが声を掛けてくれなかったら、車が停車したことも気づかなかっただろう。「え?ああ、ごめんなさい。もう着いたの?」チェギョンはシンの顔を見て首を傾げた。彼はそんな彼女に微笑み、長い手を伸ばしてきた。大きな手がチェギョ
私の人生にあり得ないことが起こったその夜、宮の車で家に送り届けられた私は、待ち構えていたパパとママから質問攻めに遭った。「チェギョン、宮ってどんなところだった?」「皇帝陛下や皇后様にもお目にかかったの?」「殿下はお前にどんなことを仰ったんだ?」「ねえねえ、氷の王子様はあんたには優しくしてくれたの?」宮ではシン君にこれでもかと言うほど熱い攻撃を仕掛けられて、やっと家に帰ってきてホッと出来ると思ったら宮でのことを根掘り葉掘り問い詰められ、疲れがどっと押し寄せてきた。私が今日宮へ急
「ちょっとシン!」義姉のリズから電話がかかり、シンはいつものようにやや受話器を耳から離しつつ、トークの音量を下げた。「なんだ?」相変らずリズの声は騒がしい。大抵、兄のアレックスとケンカしたときにかかってくるため、興奮気味だからだ。「あなた、チェギョンに何を言ったの?」「チェギョンがどうした?」大事な恋人の名前が飛び出し、彼は端末を無意識に耳に近づけた。「どうしたもこうしたもないわ。あの子、私の会社にやってきて、一日中ピッタリ張り付いて離れないのよ。今日は一日仕事にならなかったわ」
「チェギョンはどの仕事に就くつもり?モデルの仕事を続けるの?」大学の友人に話しかけられてチェギョンは振り返った。ボンヤリと窓の外を見ていた彼女は突然の会話に首を傾げた。そんな彼女に友人が「この先の事よ」もう一度説明をしてくれた。「仕事…」「やだ、チェギョン、何も考えてなかったの?」友人たちがあれこれと夢と現実を手繰り合わせようと盛り上がっている間、彼女はじっと聞き耳を立てていた。*****いつものようにシンを待つ。大学構内の大きな木の下でチェギョン・リンジーが恋人のブラッドを待
その時、突然教室の扉が勢いよく開いた。驚いて振り返ると、扉の前には髪の長い眼鏡をかけた女生徒が仁王立ちしており、その後ろにおどおどした二人を従えていた。「イ・シン殿下はいますか?」「シン、お前だってよ。」「何だ?またシンにラブレターでも持ってきたのか?」「どうもあの様子じゃ違うみたいだぜ。」心なしか俺を睨みつけているようにも見える彼女に、何故睨まれなくてはいけないのかと思考を廻らせているうちに、彼女はつかつかと傍までやって来て言い放った。「イ・シン殿下、チェギョンに一
「ねぇ、シン君?」チェギョンが突然話し出した。運転席のシン・ジェラードは「うん?」いつものように優しく返事を返した。義姉のリズ・ジェラードは彼がこうして甘い声で恋人に返事をする姿を見るたびに、彼の口真似をして笑うのだ。リズ曰く、「年配の患者さんにだってそんなに優しく返事をしないでしょ?」とシンをからかう。「あのね、私たちって、ベビーがいつできるの?」キキキーっとけたたましい音を立てて、赤いスポーツカーが路肩に止まった。ここが郊外ののどかな田舎道で良かった。「なん…何って言った?」
「シン君がね、私を見てくれる目が好きなの」「目?」ティナはチェギョンの大きな目を見つめた。「『チェギョンだけだよ』って言ってくれてる気がして」「そうね、そう言ってるわよ、確かに」ティナは大きく同意した。チェギョンがスカートの端をちょこんとつまんで広げている。「そう?それなら、嬉しい」チェギョンは無邪気に笑うと、急に真剣な顔になり鏡の中の彼女自身を見つめ始めた。「私、ずっとシン君だけを見つめてきたの。ずぅぅぅっと、よ。―――彼の周りにいる女の子の一人になりたいって思った。いつも」
「それで?何故彼女を大胆にも『お持ち帰り』しちゃったのか…その訳を聞かせてもらおうじゃないか?」「そうだよ。何で俺があの子にボールぶつけたくらいでシンに殺されなきゃならないんだ?」彼女と宮で過ごした夢のようなひとときから一夜明けて翌日の昼休み、俺はイン、ギョン、ファンに囲まれまるで尋問を受ける容疑者にさせられていた。「何で…って、別に。」「はあ?別にって何だそれ?俺はシンにすごく恐ろしい顔で『ぶっ殺す!』って言われたんだぞ。なあ~どうして俺はぶっ殺されなきゃならないんだ
結局…プロポーズの返事も聞かせてくれないまま腕の中で意識を失った君。いや、俺が唇を塞いだから答えられなかったのかもしれないが。今はそんなことはどうだっていい。とにかく急いで君をベッドに寝かせ、慌ててコン内官を呼んだ。君が心配でオロオロする俺は、彼に何か刺激を与えるようなことはなかったかと聞かれ、「別に…」と言いつつも今しがたの濃厚なキスを思い浮かべる。初めて触れた君の唇の柔らかさに酔いしれ、夢中で何度も口づけてしまった。それが君には刺激が強すぎた?でも仕方ないだろう?こ
「やっぱり、ここに居て。シンくぅぅん、いいでしょ」シンは散々歯科医の受診を渋っていたチェギョンを、知り合いの『女性』歯科医に連れてきた。この場合、歯科医の性別は大変重要なポイントになっている。もちろん彼に男性の歯科医の知り合いは居る。けれどもそんな男たちに大事な妻の歯を診せるなど出来るわけがない。―――チェギョンの可憐な顔にあいつらが近づくなど、許さない。シンはぎゅっと奥歯を噛みしめた。「シ、シン君は待合室で待ってて」最初こそそんなふうに強がっていた妻だったけれども、結局、診察
「ウーン…その額だけど、もう少し上にしてちょうだい。ああ、そこよ」ティナは店舗のレイアウトを変更した。短い婚約期間―――スキャンダルが大事になる前にサッサと結婚したほうがいい、との判断から―――に、すっかりダンの父親に気に入られてしまった彼女は、本店に次ぐ大きな店舗の担当を任されてしまった。マーケティングを主に仕事にしてきたとはいえ、これほどまでに大きな店舗を請け負ったことはない。「もう少し小さな店舗から始めたい」と答えた時、ダンの父から鋭い視線が飛んできた。「おやおや、これは意外な反応
「今日はここに泊まった方がいいと思うよ」シンは3日ぶりに会う愛しい妻の肩を抱き寄せて、心配そうに尋ねた。自分が医師であることは、すっかり頭の中から抜け落ちているらしい。「大丈夫…。シン君は車で来てるんでしょ?だったら、帰るもん」サラサラと長い髪が肩から落ちていく様を見るのは、シンの大好きな瞬間だ。それに見とれていたため、妻の問いかけに一瞬遅れた。「あ?ああ。そうだよ」再び、大きな瞳を見つめると優しく答えた。全くこの妻ほど『妖精』という言葉が似合う女性はいないだろう。見た目の美しさもそう
えっ!?今何が起こったの?も、もしかして…キス…されてる!?嘘!?あぁ~ん、どうしよう…無理無理!心臓爆発しちゃうよぉ~~!!はぁ~~苦しい!シン君…息が出来ないよ…もうダメ…いきなりの激しいキスに全身の力が抜けて崩れ落ちそうになった瞬間、私はシン君にきつく抱き締められていた。「チェギョン…もう離さない。ずっと俺の傍にいてくれ。」耳元で低く囁かれたシン君の甘い声とたった今交わした熱いキスのせいで、頭の中がぼーっとして何も考えられないの。抱き締められた腕が
「行ってくるよ」軽く10回は同じ言葉を口にした思われるが、シン・ジェラードは未だにグズグズと最愛の妻チェギョンを抱きしめていた。妻の信じられないぐらい長い睫毛に、そっと唇を寄せるとフワフワと生まれたばかりの雛のような柔らかな感触が心地いい。真っ白で小さな妻の顔を、もう一度じっくりと見ようとまじまじと覗き見ると、大きな瞳が一心に自分を見つめてくる。―――あと、10回は出かけの言葉を口にする羽目になるだろうな。シンは、心で呟いた。「いいね。ジュディのホテルに泊まるんだよ」医
「思ってたのと、違ったかもぉぉ」シンの胸に背を預けチェギョンは呟いた。目の前の柵の向こうに、羊がのんびりと草を食んでいる。「何が違った?」シンの声が頭の上から降ってきた。チェギョンは一層甘えるように彼に体重を預け―――逞しい彼女の恋人は、恋人の体重ごときでふらついたりしない―――青空を見上げた。「内緒っ」チェギョンは微笑んだ。自分の心の内を彼に知られるのは照れ臭い。それに『シン・ジェラードを信じている』と言いながらも、彼に抱かれることが不安でならなかったことは、自分だけの秘密にしておき
「チェギョン」優しく自分の名を呼ぶ声でチェギョンは顔を横に向けた。シンの瞳がとても愛おしそうに見つめてくれているような気がする。「もう泣かないで」そう言うとシンは二人の体にシーツをかけ、腕の中に彼女を引き寄せた。☆☆☆続きはこちらからどうぞ。→『大人の妖精になりたい11』ここから飛べます。
眠っている君の頬を掌で包んでいるうちに愛しさがこみ上げ、思わずその白く柔らかな頬にキスを落としてしまった。君が傍にいる…ただそれだけなのに、こんなにも胸が高鳴る。はにかむ君の何気ない仕草にさえ、抱き締めたくなるほどに心奪われてしまう。いつも素直になれない俺の唇が「ごめん」の一言をいとも簡単に紡ぎ出すのには、我ながら驚きを通り越して呆れてしまうほどだ。君の持つ柔らかさ、温かさがそうさせるのか。なのに…殿下と呼ばれて、君が急に遠ざかってしまうような感覚に襲われた。そんなの嫌だ
何だかすごくあったかくて…それにとってもいい匂いがする。まるで誰かにフワッと抱き締められているみたいに安心出来るのは何故?あぁ~いい気持ち…「…う…ん…」あれ?私眠っちゃってた?そっと目を開けてみると…ん!?ここはどこ?知らない場所だわ…えーと、私は何故こんなところにいるのかしら?「!!!」嘘!もっ、もしかして目の前にいるのは…皇太子殿下!?まさか…見間違いだよね?そうそう…きっと見間違いよ。パチパチと瞬きして一旦目を閉じ、もう一度ゆっくり開けて
こちらは最初から、多分、Amebaに弾かれると思うので…。『大人の妖精になりたい10シンチェversion』はここから飛べます。タップまたはクリックしてくださいね。
彼女にもしものことがあったら…目の前で倒れて気を失った彼女に動転して夢中で宮へと連れ帰ってしまった俺は、車が東宮殿の車寄せに到着すると、近寄る翊衛司たちを制して自ら彼女を抱き上げた。迎えに出ていたコン内官に先程電話で指示しておいた医師の手配はどうなっているか確認しながら、パビリオンへと進んで来ると何の迷いもなく自分の部屋の向かい側の部屋へ入ろうとした。「殿下、恐れながらそちらのお部屋は、まだ充分にお使いになれるような準備が整っておりません。」そうだった。申し訳なさそうなコン内官
10月31日APRIL公式Twitterにはチェギョンとジンソルの画像がUP!official.april[#チェギョン#ジンソル]暫くして‘ケシッピュティララリビュ’ライブ放送が始まります💕👉ユンブルリチェギョン@yunvely_0824👉トゥルソルジンソル@truesol__0824の代わりに@official.april#エープリル#APRIL#ケシッピュティ2019#ララリビュhttps://www.instagram.com/p/B4R925hgEhf
どうやって東宮殿まで帰って来たかも、よく覚えてはいない。気づいてみれば、俺は読んでもいない小説を手にソファーに座ったまま、ただぼ~っとしていた。今さら何を考えたって、昼間の彼女との最悪な出会いを覆せるはずもないのに…今の俺には、自嘲気味に笑ってみせる他に為す術もない。そして、そんな状況であるにもかかわらず、あの時彼女が見せた怒った表情にさえ愛しさが募り、最早つける薬もないほど『恋』に翻弄される自分自身にただ呆れ返るばかりだ。「魂が抜けたような王子の顔を拝みに来たよ。」ユルが突然や
珍しく公務も帝王学の講義もない放課後、俺は用もないのに校内に留まっていた。こんな時間に自由に校内を歩き回れるのが、単純に嬉しかったんだ。なのに…ふと思い立って中庭に行ってみようと昇降口まで来た時、事件は起こった。気分良く校内を散策していたはずの俺は、突然あろうことか上履きに汚いバケツの水をかけられた。おい!ふざけるなっ!カッとなった俺は、瞬時に叫んでいた。「この馬鹿女っ!」相手の女生徒は慌てふためいた様子で、すぐさま俺の足元に跪いた。「すっ、すみません!す
翌日の休み時間、俺は逸る心を氷の仮面で覆い美術科へと向かった。いよいよ彼女と話せる…そう思っただけで心拍数が次第に上がっていくのを止めることも出来ないまま…俺にもまだ、こんなに馬鹿みたいに素直なところが残っていたんだ…我ながらちょっと呆れつつも、足は自然と先を急いでいる。滅多にA棟に足を踏み入れることがないせいだろうか、俺が廊下を歩いただけですれ違う生徒が皆何となく騒がしい気がする。そんなに皇太子が物珍しいか?俺だって一応普通の人間なのだが。いつもはインやギョン、ファンと連れ立って
威勢よく「プロポーズする」と言ったものの、当てなど全くなかった。何しろまだ言葉を交わしたことすらないのに、一体どうやってプロポーズまで漕ぎ着けるんだ?僅か1ヶ月しか猶予もないのに、知り合うチャンスを待っていたらそれだけでタイムオーバーだ。こうなったら、とにかく1日でも早く俺の存在を彼女に知って貰わなくては。いや、俺のことは存在くらいは知っているだろう。これでも一応この国の皇太子だから。ただ、如何に彼女に威圧感を与えずに親しみを持って貰うかだ。ここはやはりユルに頼るしかないか…この