1980年に名古屋で身代金目的の誘拐事件が起こる。犯人は寿司職人のK、被害者は地元の女子大に通う22歳の女子大生である。「名古屋女子大生誘拐殺人事件」として知られるこの事件の犯人Kは、黒澤明監督の「天国と地獄」(1963年)を見て誘拐による身代金強奪を思い立ったらしい。ものの本によれば、「吉展ちゃん誘拐殺人事件」(1963年)の犯人も、「新潟デザイナー誘拐殺人事件」(1965年)の犯人も同作に影響されて誘拐事件を起こしているという意味では、この映画はそれだけ大きな影響力があったということである。