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長年培った自分の中の常識が、いとも簡単に突き崩されるとしたら、少なくとも人は動揺するのではないだろうか。たとえば学校教育で教わった史実は、それが試験にも出てくる項目でもあるわけで、習ったことを素直に信じてしまうのは無理のないところかもしれない。なぜその史実が正しいか理由を述べよと言われても、そのように信じている以上、そのように憶えたとしか応えられない。大正十一年に重版刊行された芥川龍之介の作品集「芋粥」の所収に「西郷隆盛」という一篇がある。ところで、この風情ある表紙、どうも本の
ブタの臓器を移植された少女、吸血鬼を屠らんとする少年、読むと狂気に憑かれる呪いの本。デビュー作『玩具修理者』の後に上梓されたというこの短篇集。おぞましくも愛おしい、魔的の三篇が収録されています。読み進めるだに、己の記憶やアイデンティティが覚束なくなり、そして現実と妄想の境界が曖昧になる。そんな縁起の悪さが遺憾なく味わえます。内容人獣細工吸血狩り本人獣細工夕霞は生まれつき、あらゆる臓器に疾患があった。生きていくには臓器移植が必要な身体であり、生まれて以来ずっ
今回ご紹介するのは染井為人さんが芸能界の裏側を描いた短編小説になります。染井さんは芸能マネージャー、舞台演劇・ミュージカルプロデューサーを経て作家デビューをした異色の経歴の持ち主。本書にはその経験を生かした様々な物語が収録されています。芸能界に憧れている人、興味がある人にぜひオススメしたい一冊!さっそくですが、<あらすじ>と簡単な感想をご覧ください↓<あらすじ>黒い噂で業界から見放され、長年在籍したプロダクションを退所しようとしている俳優。人気女優を10年かけて育て上げ、今度