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つづきです「あのさ…今日は兄さんのところに泊まったことにしといてくれる?」「え?…あ〜うん、わかった」「よろしく」「あ!かず」じゃあねと手を上げたオレに反対方向に乗るなよ、とか乗り換えの駅を間違えないように、とか挙げ句の果てには、知らない人について行くなよなんて。小学生じゃないっつーの。笑…それでも、なんだか胸の奥がほんのりと温かくて。熱くなっている耳を手で隠した。「もう。わかったから////」「それと…」改札に入ろうとしたオレに、紙袋を握らせた。「…何よ、これ
木目調の落ち着いた、銀座のバーちょっと高そうな……少し落ち着きのない相葉に、チラっと目をやる。俺は、松岡先輩が苦手だった。前もバーに居た仲間が、未成年の智くんに酒を飲ませた事がある。支えられて、やっと歩けるほど酔った彼を、松岡くんのホテルに連れていった、苦い過去を思い出していた。あの時は、まだ駆け出しで松岡くんのホテルを間借りしちゃったけど、今なら少々高いホテルでも、彼を連れていけるのに。「はぁ……」二人でいてもつまらない。「悪いけど、今日は帰るわ」相葉にそう言って、立ち上が
うぇっ!(;゜∇゜)気がついたら、すっかり昼近くになっていた。思わず飛び出したら、店は開店の準備をしていた。「(*゚∀゚)っおはよ!」相葉がすっきりした顔で「もう店が始まっちゃうから、裏口から出よう」と言った。慌てて貰った歯ブラシを掴み、簡単に洗面を済ませて表に出た。駅前のバーガーSHOPに入ってから……「昨日は、迷惑かけたね。智くんは帰っちゃったのか。」って呟いたら「オレも知らないうちに帰っちゃったんだよ。かぁちゃんには挨拶したんだって。おーちゃんってさぁ、そういうところ
つづきです「はい、どうぞ」「あ」黄色赤緑テーブルに置かれた色鮮やかな皿の上はまるで絵本を広げたようだった。「相葉さん、これ…」「え、もしかして嫌いだった?」ごめん、と慌てて皿を下げようとするからオレも慌てて頭を横に振った。「違うの。オレも…ね、好きだよ」ケチャップのかかったオムライス添えられたブロッコリー…久しぶりに、兄さんの好きなものを思い出した。母さんが『今日何が食べたい?』って聞くと、必ずオムライスをリクエストしていた兄さん。小さな頃はほっぺたにケチャッ
つづきです兄さんにとって、大切な人。そして、相葉さんにとっても…そんな相手と巡り合えた二人を、素直に羨ましいと思えた。…悩み、苦しんだことを決して無駄だとは思わない。オレにとって、必要な時間だったんだ。自分と兄さんと向き合ってやっと…余計なものを脱ぎ捨て、真っ白になれた気がする。オレはどうしたい?……会いたい。会いたい、よ。「…兄さん、相葉さん。ありがとう。オレ…帰るわ」「は?え、ちょ…かず?!」またね、と2人に微笑みを残し、小さなカバンを肩にかけた。「あ!そうだ
2001年のコンサートは、嵐が春の嵐を呼ぶコンサートから始まる。社長が遊び心満載でつけた題名。智くんのソロは「OpenArms」スタッフさんに勧められたという。歌唱力が求められる難しい楽曲。智くんの実力ををこれでもかと、見せつけられる。ジャニーズのコンサートで、歌だけで勝負するというチャレンジだ。。ファンのために、次の松本のソロを繋ぐダンスも少し盛り込んだ。衣装は、ファン待望の白い王子仕様。彼の熱唱は、広い会場に響き渡り、聞いてる者の胸を打つ。水を打ったように静まりかえる会場
つづきですブブ…震えたスマホの画面。表示された名前に、固まった。でもすぐに通話のマークに触れる。聞こえてきたのは…『…もしもし、かず?お前どこにいるんだ?』「え、アパートにいるけど」『アパートって。そんな、風邪ひくと大変だから、どこか…駅まで戻ってマックでも入ってろよ!』「いや、腹いっぱいだし、べつに寒くないよ。兄さんが帰ってくるまでここで待ってるから」『じゃ、じゃあ、もう少ししたら帰れるから待ってろ』プツっと一方的に通話が切れた。相葉さんと二人顔を見合わせる。「めっちゃ
気がついたら、俺は楽屋に一人で缶コーヒーを持ったまま、ボンヤリと佇んでいた。この、缶コーヒーは大野くんが買ってきたもの。俺のために?まさかね。後から二宮が教えてくれたのは、智くんは紅茶派なんだと。自分のために買ったものを、不要になったから、くれたのかと思っていた俺は、事実を知った時にえ(;゜0゜)っとなった。あれは、嵐になったばかりのことだった。社長に呼ばれた俺たちは、少年隊の番組中で、公式な嵐のリーダーを決めるから、先輩のおーちゃんを推薦するように。っていうお達しがあったんだ。
忙しい、忙しい。大阪ぐらいでは、泊りじゃなかった。学校はまだ春休みだったから、てっきり、宿泊だと勘違いしていた。反省会どころじゃない。俺たちは、その日のうちに東京へ戻った。初めての嵐だけのコンサート!大満足だったさとしくんの、実力を発揮させた社長提案のミュージカル無理だと思ったけど、やって良かったな。心配だった恋人の挨拶も及第いよいよフィナーレダンスの上手いさとしくんは、飛ぶ姿も美しかった下から見ていた俺も感無量だったな松潤とガッカリ握手その直後に相葉が駆け寄って智
思わず、怒りに任せて飛び出しちゃったけど、しまった!って思った。もう少し冷静でいたら、智くんと俺の絡みとかもあったかも知れないのに。(なかったよ)せめて、自分の誕生日月だけでも、どんな仕上がりか、見ておけば良かった。しかもさぁ飛び出して来た俺を誰も追いかけてくれないのな。なんだよ!このグループ!戻るに戻れない……困っていたら、智くんが部屋から出てきた。『翔くん!どうしたの?あれから面白かったよ。俺も相葉のを撮らせてもらったんだ。ほら1月の翔くん。見たかったでしょ?イケメンに撮れて
東京駅から、三時間。俺とマネジャーは、直接会場の下見に行ってメンバーと合流できた。楽屋でコーヒーを貰って以来、大野くんとは一言も口をきいてなかったから、自分の中には、そんな小さなお礼の言葉をきっかけに、仲が悪いイメージを払拭したいと思っている気持ちがあった。だけど、大阪で会った大野くんは寡黙でいつもより更にテンションが低い。その上に、彼の隣には二宮がベッタリで不自然に近寄ることも出来ない。仕方なくホテルの夕食でそのチャンスを待つことにした。絶対彼の隣の席につく!そんな小さな望みも僕に
もうすぐ日本空港へ着けば、嵐としての俺になる。これで良かったのかな?帰るのが少し怖い眼下には、どこまでも続く海が広がっていた。それは、海色というより果てしなく美しく透き通るブルーだった。社長たちと事務所に行った。案の定スポーツ新聞各社に、大きく載った嵐をみせられた。壁には、ハワイの俺たちの写真が沢山張ってあった。ジュニア時代から、写真はあったけれど、問題にならないほどの数だ。あ、最初の大野くん。全身から不安と緊張が表れてる……このときは、全く彼に目がいかなかった。もう少し
ニノに声を掛けられて、ずっと聞きたかったことを思い出した。「あのさぁ。ニノ?嵐になる前、辞めたがっていたでしょ?それこそ、俺と社長に直談判に行くらい。それなのに、船酔しか心配してなかったよね?ハワイからずっと気になっていたんだけど、今はどう思っているの?」『翔さんはどう思っているの?』逆に聞かれてしまった。「俺は…実はまだ引っ掛かっているんだよね。」きっと、ニノも同じ考えだろう。何なら悩みも聞いて欲しかった。それなのに、彼の口から出た言葉は……「そうですか。俺はもう嵐の二宮でやっ
ホテルが一緒だったのにもかかわらず、智くんと全然打ち解けられなかった。そもそも、彼と同室が面倒くさいと思っていたくらいなのに、帰りはどうだ。もう、飛行機の隣席を希望している自分がいた。しかし、そんな偶然は二度もなく、俺は窓側で、通路を隔てて、相葉、大野、二宮と並んでいた。どうせ帰りも、寝ているだけのことなのに、何だか羨ましい。やがてマネジャーから、帰国してからのスケジュールを聞いているうちに、機内食が運ばれて来た。メンバーは寝ているかと思いきや、ゲームに夢中だ。特に相葉。やたらキヤッ