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「ちょっと、公園寄っていこっか?」先程までの雰囲気とは打って変わったかの様に、梨加ちゃんは柔らかく優しい雰囲気を醸し出していた。あんな梨加ちゃんは見た事がなかったけど、梨加ちゃんの由依を大切に想う気持ちが犇々と伝わってきた。陽が落ちた公園には、備え付けられた灯だけが灯っていた。夜の公園は、不気味な感じしかしなかったけど、如何してか、梨加ちゃんと居るとそんな事は全く感じられなかった。「久し振りに、あんな大きな声を出したから、まだ動悸がしてるよ」「…あんな梨加ちゃん、初めて見た」「ふふ
由依が眠りに就いてから、二十分程が経った頃に、家の呼び鈴が鳴り響いた。鳴り響くとは言っても、然程大きな音でもなかったので、由依が目を覚ます事はなかった。玄関へと向かい、鍵を解錠して扉を開けば、そこには梨加ちゃんの姿があった。「遅くなってごめんね。車停められる場所が中々見つからなくて…」「ううん、大丈夫。来てくれて、ありがとう」「…由依ちゃんは……?」「上がって?今、私の部屋で寝てるから」梨加ちゃんの荷物を受け取って、自室へと案内する。「今寝た所だから、あんまり大きな声は出さないで
KEYAROOMも第12夜で最終回になります。今回は最終回という事でメンバー8人が登場!まずはKEYABINGO!本編の話題ほんとそうだよね(^-^)あれはかなり欅の事が好きだよ!りさは走高跳びでこれをしようと一瞬考えたらしい笑そして次はパジャマお披露目まずはねる!そうそう!ねるはこうした感じのパジャマが似合うね(^-^)次はゆいぽん!大人っぽいね!ゆいぽんは何歳だったっけ!?笑みんなに足が綺麗と言われて隠す笑3番手はてち!白に統一したパジャマ凄く似合っとう
あれから、梨加ちゃんは持って来てくれた薬の用法や用量を説明してくれた。薬を飲む為には、少量であっても何か胃に入れなくてはならない。あれだけの咳が出ていて、声が枯れてるとなると喉は腫れているに違いない。それに、体力も落ちていて、胃腸も弱っているとなると、消化にいい物を作る必要がある。そう思って、少しでも栄養が摂れる様にと卵粥を作っていた時、一日ぶりにお父さんが帰宅した。お父さんに大まかに現状を伝えれば、由依の事と知ってすぐに納得してくれた。それでも、私が卵粥を作っている間に、梨加ちゃん
由依が両親と離れて暮らす様になってから、早いもので三ヶ月が経過した。以前は、この程度の期間で一緒に暮らせる様になったはずだけど、今回は土生さんからの連絡はまだないらしい…。その連絡を待つ間に、年が明けて、柔らかな日差しが降り注ぐ日が増えて来ていた。もうすぐ春休みに入る事もあって、クラスは遊ぶ予定やクラス替えの話題で持ち切りだ。「ねぇ、理佐。偶には一緒に遊ばない?」そう誘ってもらえるのは有難いけど、返答するよりも先に私の視線は由依へと向かってしまう。そうすれば、勿論、誘ってくれた子の視
「梨加ちゃん、由依居る?」保健室の扉を開けば、カーテンの締められたベッドが一つ。梨加ちゃんが人差し指を唇に添える事で、眠りに就いている事を教えてくれる。二年生に進級して、早いもので三ヶ月が経過していた。由依は始業式の日を境に、もう一度御両親と暮らす事になったのだが、淡い期待等あまりに呆気なく崩されてしまった。それでも、父親は薬には手を出してはいない様で、以前と比べれば暴力の頻度が少しだけ減ったくらいだそうだ。そっとカーテンを開けて、ベッドサイドに寄れば、春休み以前には考えられない程の
「ゲホッ…ゲホッ……」咳き込む由依の背中を摩ってあげれば、その身体は小刻みに震えていた。でも、それもそのはず…。だって、由依が今まで身体を張って守り通して来た秘密が、どんどん溢れ出してしまったのだから。「っ……理佐……」「…ん?」「…私……、また、…離れ離れなの……?」「……そう、なるかも知れない…」「…何で、親と離れ離れにならなきゃいけないの…?」「…由依……」「周りから見たら犯罪者でも、私にとっては…大切な親なんだよっ……」理解してあげられなかった。由依が、どうしてあ
『理佐。今から会える?』春休みの最終日、由依から一つのメッセージが送られてきた。私からメッセージを送る事はあっても、由依から送られてくる事は滅多にない為、少しばかり驚いてしまった。断る理由がなかったので、『会えるよ』と返信をして、すぐに身支度を済ませて梨加ちゃんの住むマンションへと向かった。由依が話してくれる事は、きっとあの事だろう…。由依の中でどういった決心がついたのかは分からないけど、私の気持ちが変わる事はない。ただ、由依を変わらずに支えるだけ。マンションの共有の正面玄関には、
「由依、体温測ってね」あれから三日が過ぎた。制服に着替え終えた由依に、体温計を渡す。ものの一分足らずで測り終えれば、わざわざ私に目盛りを見せてくれた。体温計には『36.4℃』と示されていた。由依の平熱を知らないので何とも言えないが、一般的にはこれ位の体温であれば平熱と判断出来る。「熱はないみたいだけど、具合はどう?」「もう大丈夫」そう答えた由依の表情は、その言葉通り顔色も良く、少し前の由依と何ら変わりなかった。「由依ちゃん」身支度を整えて、家を出ようとした時、お父さんが由依を
冬場は陽が落ちるのが早いと、つくづく感じる。それと同時に、時間が経つのも早く感じてしまう。由依が眠りに就いたのが、お昼前で、外から射し込んでくる陽が減ってきて、西陽が強くなってきたと感じた時には、時刻は十六時を過ぎた所だった。由依は相変わらず眠り続けている。偶に聞こえてくる寝息には、まだ苦しさがある様に感じられた。こんな状態で父親に合わせたら、命の危険に晒される可能性は十二分に考えられる。そもそも、これだけ熱が高いとなるとまともに歩く事さえ困難なはず。それに、こんな長い時間眠ってい
始業式が終わり、SHRもすぐに終わって、下校の時間となった。土田先生との約束通り、職員室へと伺えば、待ってましたと言わんばかりに土田先生が紙袋を手にこちらへと歩み寄って来た。「悪かったな、時間を取らせて」「いえ、大丈夫です」「これ。小林に渡してくれないか?」「…由依にですか?」「小林にって言うか…、まぁ、二人で分けてくれ」中身をチラリと覗き見れば、旅行先の土産品の様だった。土田先生なりに、由依に気を遣っているのだろうか…。ただ、由依が素直に受け取ってくれるかは分かったものではな
『今日、休む』由依からメッセージが届いたのは、知ってか知らずか私が家を出る直前だった。あんな事があったのだから、当たり前か…。仕方なく、一人で学校へ行こうと気を持ち直した時、今度は梨加ちゃんからメッセージが届いた。『おはよう。朝からごめんね?今日、出来れば由依ちゃんの傍に居てあげて欲しいんだけど…』『勿論、大丈夫だよ。今から向かっていい?』『うん。由依ちゃんには伝えておくから。私は学校があるから、由依ちゃんの事、よろしくね』梨加ちゃんだって養護教諭の立場でなければ、由依に付き添って
――真新しい制服は袖が長くて着心地が悪い。そんな私をよそに、お父さんは張り切って車を走らせ、お母さんは上機嫌で話をしている。今日は高校の入学式だ。校長や来賓の長い話を想像しただけでもよおしてくる眠気。朝早くから起こされたのもあって、あくびも止まらない。「由依、もうすぐ着くわよ。入学式楽しみね。高校生活も頑張るのよ」「……ん」正直、高校生活に期待はしていない。進学先にこの高校を選んだのも制服が可愛いとか、評判がいいとか
由依を保健室へと運び込めば、梨加ちゃんがすぐに手当てを始めてくれた。手当てをしてもらっている由依の表情を覗き込めば、無表情に近かった。まるで、何も感じていないと言った様子。「小林、大丈夫か…?」手当てをし終えた頃に、土田先生が来た。由依の容態を心配する土田先生とは対照的に、由依の表情は冷め切っていた。由依は、暫く土田先生と視線を交わらせる。その間に口を開く事はなかった。普通の人なら怯んでしまうのではないかと思う程の冷たい視線に、土田先生は動揺する事もなく、由依に近付いたかと思えば
スーパーで一通りの買い物を済ませて、帰路に就くと、再びあの猫と遭遇した。先程と同様に、私の目の前で立ち止まると、ジッとこちらを見てきた。その目は、やっぱり由依に似ていた。雨脚は弱まる事を知らずか、強まる一方で、地面に叩きつけられては跳ねる飛沫が足元を濡らす。でも、そんなの気にならない程に、その猫の視線に射られている気がした。「…どうしたの?」話し掛けるつもりはなかったのに、気が付けば口を開いていた。そうすれば、猫は小さく鳴いて、先程の路地裏へとゆっくりと歩き出す。相変わらず、路地
あれから、由依の容態は特に変化する事もなく、二日後に無事に退院する事が出来た。退院の日、学校には行かずに由依を迎えに行けば、ロビーには既に由依の姿があった。その隣には、何と梨加さんも居た。「由依、梨加さん」「…理佐?」「理佐ちゃん。学校は?」「由依が退院するって聞いてたので、休みました」「そっか…。ごめんね、わざわざ来てもらっちゃって…」申し訳なさそうに謝る由依の頭を、梨加さんが優しく撫でる。由依は何か言いた気な感じだったけど、口を堅く噤んでしまった。そんな由依に、何て言葉を
由依が帰ってから、先程由依に手渡された紙切れを開く。そこには、小さく可愛らしい字で、短くも由依らしさを感じる文章が綴られていた。【今日はありがとう。理佐と理佐のお父さんは、あたたかくて、すごく嬉しかった。】由依は私と似ている所がある。こういった事を口で言うのは、私も恥ずかしい。由依も手紙にするくらいだから、きっと苦手なのだろう。お父さんの部屋に、由依の手紙を見せに行けば、お父さんも優しい表情でその文章を読んでいた。「あの子は少し不器用な子なんだな」「うん、多分ね」「理佐と似てる
二年生に進級して、一週間が過ぎた。由依は、花粉症がつらいのとものもらいの痛みが引かないという理由で欠席していた。ただ、明日には校外研修がある為、その話し合いや班作りには来て欲しかった。そんな思いを抱きながら、待ち合わせ場所に向かえば、由依の姿があった。「由依、おはよう」「おはよ、理佐」まだマスクはしているものの、眼帯は外れていた。でも、瞼はまだ少しだけ腫れていた。それに、どう見てもものもらいの腫れには見えなかった。由依の事は信じたい。でも、これは明らかにおかしい。だって、由
「理佐ちゃん、上がる前に食器だけ洗っておいてもらってもいいかな?」「はい、分かりました」主人に指示されて、洗い場に溜まった食器類を洗う。水切り籠の上にどんどんと置いていき、拭くだけの状態にした時に、一度店内を見渡せば、もんたと志田さんが席を立つ所だった。あぁ、帰るんだな。そんな事を思いながら、食器を拭いて、棚に戻していく。作業を全て終えて時刻を確認すれば、丁度十八時になる所だった。主人も気付いてか、「お疲れ様」と声を掛けてくれた。そんな主人と奥さんに声を掛けてから、更衣室へと向か
それから、一ヶ月程が経った。由依の家庭環境は相変わらずな様。それでも、学校を休む事は減っていたので、まだマシな方なのだと何処か楽観的に考えてしまっていた部分はある。その日は、朝のHRで修学旅行についての話があった。旅行先は沖縄県らしい。勿論、行った事はないので、知らず識らずの内に僅かに心が躍っている事に気が付いた。でも、それと同時に浮かんでくるのは、やっぱり由依の顔だった。ポツンと空いている席に目を向ける。今日は、朝から学校には来ている。それでも、前日に受けた暴力による疲労から
それから、他愛のない話をしながら三人でカレーを食べ進めた。でも、お父さんは食べ切るのがすごく早かった。「ごちそうさま。理佐、いつもありがとな。ご飯作ってくれて」食べ終わって何を言うのかと思えば、そんな事を言うものだから、恥ずかしくなる。そして、ふと隣の由依を見れば、まだ半分以上カレーが残っていた。私の視線を追って、お父さんも由依を見る。勿論の事だけど、私達二人からの視線を浴びた由依は食べる手を止めて、目を丸くする。「あぁ、ごめんな。由依ちゃんは食べるのがゆっくりなんだと思ってな」
「梨加ちゃん、由依居る?」高校に入学して、早いもので三ヶ月が経過していた。梨加ちゃんとも、タメ口で普通に話す事に慣れてきた。梨加ちゃんは、何やら書類を書いていて、ある程度の所まで書き終えれば、椅子を回転させてカーテンの締め切られたベッドを見る。そちらに視線を移し、よくよく耳を澄ませば、小さな寝息が聞こえてきた。「理佐ちゃん」由依を起こさない様にと、梨加ちゃんは小さく声を掛けてくる。視線を梨加ちゃんへと移せば、梨加ちゃんの眉は少し下がっていた。「どうしたの?」「……今日の怪我、結
まさか、渡辺さんに出会すだなんて思いもしなかった。「こんばんは」「こ、こんばんは…」渡辺さんは優しく微笑んでくれた。でも、渡辺さんはすぐに家へと向かおうとするものだから、急いで引き留めてしまった。「あ、あのっ…」「ん?」「その……、由依とは、どういった関係なんですか?」「?…従姉妹だよ?」「あ…そ、そうですか…」私の問い掛けに、渡辺さんはクスリと笑うと、変わらず優しい目で答えてくれた。由依に予め聞いていたにも関わらず同じ事を聞いてしまったのは、どうしてなのか、この時の私には
「あの…梨加ちゃん…、私、お金ないんだけど…」何ともスラスラと事が進んでしまい、由依の手には真新しい携帯電話の入った箱やら充電器の箱が入った袋が提げられていた。梨加さんは今年から教員として働き始めたらしい。この地域では女子生徒に人気の欅坂女学園の養護教諭をしているそうだ。養護教諭って、結構歳の多い女の人のイメージだったけど、梨加さんみたいに若い人も採用されるんだな。「お金は要らないよ」「え…でも……」「それは、私から由依ちゃんへのプレゼントなんだから」「……」梨加さんは満足気な
「じゃあ、私一旦学校に戻るから、何かあったら連絡して?」「うん、分かった。梨加ちゃん、ありがとう」梨加ちゃんを見送ってから自室へと戻れば、由依がベッドに腰掛けていた。顔はガーゼで覆われ、腕や足は包帯が巻かれていて、見るからに痛々しい容姿となってしまった。「由依、お腹…空いてない?」「あ……うん、たぶん、空いてる…」曖昧な返答には触れずに、お粥をミニテーブルの上に置けば、少しだけその目に輝きが戻った気がした。レンゲを渡せば、ゆっくりとお粥を口に運ぶ。何を言うでもなく、ゆっくりと噛ん
「理佐ちゃん、入学おめでとう!」梨加さんが渡り廊下で擦れ違った際に、笑顔で声を掛けてくれた。すぐにお礼の言葉を返せば、梨加さんは周囲の様子を窺っていた。いや、正しくは誰かを探していた。勿論、誰を探しているのかは分かっている。だって、その人物は私も探している人だから。「理佐ちゃん、由依ちゃんは…?」「それが…私も探してるんですけど、見当たらないんですよね…」春休みに入るや否や、由依は梨加さんの元を離れ、両親と暮らす様になった。それ以来、由依に連絡を入れてもほとんど返ってくる事がな
理佐の温もりを、いつも感じていたいと思った。でも、それはワガママな事だと分かっている。それでも、いつも、理佐の温もりを求めていた。だけど、口に出来ない。伝えたい事は、いつも呑み込んでしまっていた。だって、理佐に迷惑を掛けたくないから。でも、私は理佐に迷惑を掛ける事しか出来ない。理佐だけじゃない。梨加ちゃんにも。梨加ちゃんには、金銭面でも凄く助けられている。あの時だって、梨加ちゃんがお金を払ってくれたお陰で、知らない男の人達に何度も抱かれずに済んだ。だから、そんな二人の事を頼
由依が梨加さんの家に居候し始めてから、早いもので二週間が経過した。朝ご飯と晩ご飯は、梨加さんと食べている様だけど、お昼ご飯は給食を食べる様子は一切なかった。四時限目が終われば、すぐに教室を出て屋上へと行ってしまう。今日だってそうだ。私はお弁当を持って、由依の後を追った。屋上へと着けば、由依は決まった場所に座って、空を見上げていた。「ゆーい」「…理佐」「今日もお昼食べないの?」「…好きな献立じゃなかったから…」視線を逸らしてそう言うものだから、それが嘘なんだとすぐに分かった。
それから段々と、受験の事でいっぱいいっぱいになってきて、由依と過ごす時間も少しばかり減ってしまった。それでも、登下校は一緒にしていた。そして、その日は何だか由依の表情が暗く見えた。「…由依?」「……」「由依?どうしたの?」「え、…あ、ごめん。何?」朝からずっとこの調子で、相変わらずお昼は給食を食べる事もなく、屋上で過ごしている。以前、何故給食を食べないのか追及した事があった。でも、あの時は由依が精神的に安定していなくて、結局答えは見つからないままだった。その事を、梨加さんとメ
ぽん吉第2話ー、少し長めなので時間がある時に読んでいただけると嬉しいです。今日の一コマはいつも通りやろうと思っているので待っててください最後に大事なお話をしようと思っていますm(__)mでは、スタート⊂('ω'⊂)))Σ≡GO!!ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー平手side5人と解散した後一人で自室で待っていたひかる「失礼します」平手「いらっしゃい、入る時はノック3回しな」ひかる「すみません」平手「そんな謝る事じゃないから大丈夫だよ、私は気にしてないんだけど