奈良県上川村、その山あいのダムの奥の集落。昔は林業で栄え、登山客なども多く、映画館さえあったこの地も、今は住む人も疎らである。ここに今でも営業を続ける老舗旅館がある。そこの一人娘のイチカは、母・咲、祖父・シゲと暮らしていて、シゲの息子である父・良治は旅館を継ぐ気はないらしく、更には咲とも上手く行っておらず別居しているが何かにつけて顔は出している。旅館を切り盛りしているのは咲とシゲ。イチカは小学校を卒業して春からは中学生になる、その春休みの数日間の物語。淡々と過ぎる日々の中、ある日何の前触れもなく