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2021.3.17一日一季語連翹(れんぎょう《れんげう》)【春―植物―仲春】光太郎の詩碑の連翹明かりかな田中臥石4月2日。高村光太郎の忌日のことを、連翹忌というそうです。生前、連翹の花を好んだことからだという。この句は、その光太朗の詩碑、連翹明かりという季語だけで一句が成立している。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2021.3.16狭庭にて【傍題季語】いたちぐさいたちはぜ、連翹明かり(れんげうあかり)【季語の説
2018.05.26一日一季語植田(うえた《うゑた》)【夏―地理―仲夏】象潟の島を残せる植田かな五十嵐義知*2018.05.20あずさ号の車内からみた田植えの風景五十嵐義知一九七五年(昭和五〇年)八月二二日、秋田県横手市(旧平鹿郡雄物川町)生まれ高知大学理学部地学科卒業後、日本郵便(旧郵政省)入社、現在に至る一九九九年(平成一一年)「金浦吟社」入会二〇〇一年(平成一三年)「天為」入会二〇〇八年(平成二〇年)「にかほ俳句
2020.5.16一日一季語植田(うえた《うゑた》)【夏―地理―仲夏】雨注ぐ植田千枚見下せり大内恵*2020.5.14静岡県御殿場付近にて米は国民の主食であり、食文化の基礎です。江戸時代の各藩はコメの生産量で表され(石高制)、税もコメ(年貢)。より多くの米作りのため、日本中に田が作られました。傾斜地ではより多くの田を作るために、棚田がつくられ弓形の不整形耕地ができました。急傾斜になるほど1筆は小さくなり,いわゆる千枚田となります。作者は、こ
2020.3.26一日一季語麗か(うららか)【春―時候―三春】靴みがきうららかに眠りゐたりけり室生犀星ガード下で、うつらうつらしている、そんなくつみがきの姿を想像しました。1955年、レコード大賞作詞家・宮川哲夫の手による『ガード下の靴みがき』は、先日他界した、宮城まり子の大ヒット曲。おいら貧しい靴みがきああ夜になっても帰れない(セリフ)「ネ、小父さん、みがかせておくれよ、ホラ、まだ、これっぽちさ、てんでし
2020.3.18一日一季語鷹化して鳩と為る(たかかしてはととなる《たかくわしてはととなる》)【春―時候―仲春】鷹化して鳩となる日の見合いかな夏井いつき*2018年1月浜離宮にて愛媛県松山市在住の著者の「絶滅寸前季語辞典」にも掲載しているという、今回の季語。死にかけた季語の再生・保存を呼びかけているという作者。“俳句にはやってはいけないことは何もない”といつも言っている作者。俳句一本で食っていくことを決意した作者。2回目の結婚の相手がCMデ
2019.02.17一日一季語馬酔木の花(あしびのはな)【春―植物―晩春】馬酔木咲く金堂の扉(と)にわが触れぬ水原秋櫻子*2019.2.16六本木ヒルズにて主宰誌「馬酔木(あしび)」で虚子の写生観を批判,新興俳句運動の口火をきった秋桜子。俳句に、みずみずしい抒情世界、短歌的抒情を導入,感動を調べで表現する清新典雅な自然諷詠に新風を樹立しました。夜行列車を利用し、たびたび奈良・京都へ吟行に出かけたそうです。この句は、大和の秋篠寺での句ということになっています。
2020.5.5一日一季語こどもの日(こどものひ)【夏―行事―初夏】竹細工教室混みぬ子供の日都筑智子こどもの日の遊びでは、紙兜をかぶった子がみんなを追いかける役。誰かにタッチしたら頭の兜を渡して交代する。鬼ごっこのような遊び、新聞紙を縦に丸めて筒状にしたのを刀にみたててのチャンバラごっこなど、書かれているものがあります。元気な成長を祈る。もともとは、男の子が強く育つように祈りを込める日なので、こうした遊びが似合います。この句の竹細工については、こうした子供
2020.3.25一日一季語海棠(かいどう《かいだう》)【春―植物―晩春】問ふ人に花海棠と又答へ稲畑汀子*2020.3.21板橋区赤塚公園にて野や山への吟行では、植物の名前を知っている方は、これは経験があると頷くと思う句です。先日は植物園への吟行だったので、ほとんどの植物には名札がつけられているため。改めてこれがあの花か、などと納得しました。とりわけ、海棠の花の美しさには目を見張りました。【傍題季語】花海棠(はなかいどう《はなかいだう》
2020.4.28一日一季語燕の巣(つばめのす)【春―動物―晩春】今つけし泥濡れてをり燕の巣棚山波朗*2020.4.20栃木にて写生の目の確かな一句だと思います。日本のツバメは地表から木の枝や泥を材料に巣をつくるので、その巣は茶色っぽい色をしています。先日私も雨の中、泥を咥えて一生懸命巣を造っている燕を見つけました。【傍題季語】巣燕(すつばめ)【季語の説明】三~五月に飛来した燕は泥・藁などで人家の梁や軒先などに椀形の巣を営む。
2020.3.17一日一季語牡丹の芽(ぼたんのめ)【春―植物―初春】すでにして大器の気配牡丹の芽飯田久美子*2020.3.8板橋区赤塚公園にてこの牡丹の芽は、擬人化のようにも感じます。或いは、牡丹そのものの立派な姿なのか。すべては、詠み手の受け止め方次第なのでしょうね。【季語の説明】牡丹は寒気に強いために、他の植物に比べ芽吹くのが早い。枝の先の燃えるような赤い芽には力強さを感じる。関連季語→牡丹(夏)【例句】
2018.04.23一日一季語藤(ふじ《ふぢ》)【春―植物―晩春】明治慶応此の茂る藤の老木なり荻原井泉水*2018年4月21日赤塚公園にて荻原井泉水(おぎわらせいせんすい、1884年(明治17年)6月16日-1976年(昭和51年)5月20日)尾崎放哉や種田山頭火らを育てた。麻布中学の頃より俳句を作り始める。1911年(明治44年)新傾向俳句機関誌「層雲」を主宰。河東碧梧桐もこれに加わる。この年、谷桂子と結婚。1914年(大正
2019.5.1一日一季語柏餅(かしわもち《かしはもち》)【夏―生活―初夏】男の子あり並に育ちて柏餅ふけとしこカシワの葉は新芽が出るまで古い葉が落ちません。そこで家計が途絶えないというところとかけているそうです。家計を継ぐのは代々、男の子であり、端午の節句は、男の子のための行事でした。この句でも、そんな男の子への期待をこめているからこそ、並、という表現ができるのでしょうね。【季語の説明】粳米の粉で作った皮の間に餡(あん)を入れ、柏の葉で包
2018.04.17一日一季語松の緑摘む(まつのみどりつむ)【春―生活―晩春】緑摘む池の中より梯子立て青柳志解樹青柳志解樹(あおやぎしげき、1929年1月24日-)は、長野県出身の俳人。。1953年、林邦彦を知り、加藤楸邨の「寒雷」に投句。1957年「鹿火屋」に入会、原コウ子に師事。1979年「山暦」を創刊・主宰。1992年、句集『松は松』で第32回俳人協会賞、2014年『里山』で第3回与謝蕪村賞を受賞。2018年『冬木の桜』で第5
2020.6.18一日一季語亀の子(かめのこ)【夏―動物―三夏】亀の子の泳ぐといふは流さるる辻美奈子*2020.6.15横浜公園にて子供の頃の縁日では、銭亀を売っている夜店があった。形が硬貨に似ているので銭亀と呼ばれるのだそうだが、水槽の中で泳ぐ姿は、この句のように、小さな手足でバタバタしていても、思うような方向へ泳いでいる感じはしなかった。小さな命を尊く歌いあげるのは、助産婦という志度とをしている、この句の作者ならではではないでしょうか。
2019.4.19一日一季語楤の芽(たらのめ)【春―植物―仲春】山刀伐(なたぎり)の太き楤の芽朝日出づ池田義弘*2019.4.18山梨桔梗屋さんにて鉈切り(なたぎり)とは、料理で、野菜の切り方の一種。大根などをなたで削るように回しながら薄めの乱切りにする。本来はなたで切る方法で、粗い切り口になるため、味がよくしみ込み、煮物や漬物に向くとされる。ということです。この句では、山刀伐という勇ましい字による、視覚的な効果が著しいと思います。
2019.7.11一日一季語夏薊(なつあざみ)【夏―植物―仲夏】山姥の通ひし道や夏薊堀江恵子昨日見事に咲いている夏薊を見つけたのは、埼玉県は熊谷の山近くの遊休地。人が入ることの無い、敷地内には、雑草が生い茂り、虻や蜂も飛んでいました。この句の、山姥の通ひし道。やはり、人里離れたところなのでしょう。【季語の説明】「夏-植物」の季語薊はキク科アザミ属の総称。薊は種類が多く春から秋にかけて花が咲いているが、夏に咲く薊を夏薊と呼んでい
2020.5.15一日一季語鉄線花(てっせんか《てつせんくわ》)【夏―植物―初夏】白衿にとほす生涯鉄線花岡本差知子「留袖・振袖・訪問着」などのフォーマルの着物では白半衿が正式となるのだという。句に出てくる白襟は、格式や、外見をキチンと正している作者の生き方が表現されているようにも感じます。鉄線花は、室町時代には日本に中国から渡来したとされています。洋風な見た目から感じにくいですが、約400年もの長い間、たくさんの人々に親しまれてきた植物です。この句の芯の太い生き方、伝統
2021.1.24一日一季語水仙(すいせん)【冬―植物―晩冬】水仙の群や電車にふれさうに杉本貞我が家の狭庭にも、水仙が咲き始めた。水仙は季語の説明にもあるように、群生するようです。この句では、その群生を、群れという擬人化で表現し、電車の通る度に揺れて、電車に触れそうになっている景。関東では、静岡県下田市の須崎半島の景勝地「爪木崎」の野水仙の群落地が有名です。伊豆急電車の沿線などもこのような景を見ることができるかもしれません。⇒画像をクリックするとブログ記事が
2019.3.9一日一季語鷹化して鳩と為る(たかかしてはととなる)【春―時候―仲春】鷹鳩と化して横綱稀勢の里今瀬剛一*2019.3.2横濱にて「対岸」2017年4月号今瀬剛一氏は、自他共に認める「水戸っぽ」江戸の昔より、力士の番付には出身地が書いてあり、場内放送で高らかに出身地、所属の部屋名が詠み上げられる幕の内はTV画面でもおなじみとなっている。怪我を押して新横綱として優勝決定戦を制した直後の句でしょうね。土俵では鬼、鋭い視線だ
2018.04.10一日一季語雛罌粟(ひなげし)【夏―植物―初夏】雛罌粟に日波風波あそびゐし館岡沙緻舘岡沙緻(たておか・さち)昭和5年5月10日、東京都江東区生まれ。42年「春嶺」入門。45年第9回春嶺賞受賞。63年春嶺功労者賞受賞。平成4年「朝」入会。10年2月「花暦」創刊主宰。*2015年の昭和記念公園です。【傍題季語】虞美人草(ぐびじんそう《ぐびじんさう》)美人草/ポピー*4月7日の大宮にて【季語の説
2020.4.16一日一季語二輪草(にりんそう)【春―植物―晩春】一輪の揺れを伝へて二輪草角川照子*2020.4.15板橋区赤塚公園近くにて演歌歌手・川中美幸のヒット曲でも知られる二輪草(ニリンソウ)。板橋区の群生地でも白い花を咲かせています。ニリンソウは、まず1輪咲き、遅れてもう1輪咲くそうです。唄の歌詞にもある、夫唱婦随そのものですね。句のように、一輪の揺れをお互いに感じる。擬人化に近い表現のようにも思います。【傍題季語】鵝掌草(
2019.6.28一日一季語葉柳(はやなぎ)【夏―植物―三夏】幇間の向う鉢巻夏柳広渡敬雄夏柳の美しく葉の茂った景。風に靡く姿が目に浮かびます。このようななびく姿を、幇間に投影し、お客さんのご機嫌を取る姿を想像させてくれます、幇間HOUKANとは太鼓持ち。お座敷において間を取り持つのが主な仕事。職業としての幇間は、江戸初期1650年代あたりでは、歌舞伎役者が兼ねていたということです。昭和10年頃には全国に470人近く幇間がいた
2019.4.4一日一季語花疲れ(はなづかれ)【春―生活―晩春】膝に来る猫もうとまし花疲本谷尚子花見の時期、花を見上げ、缶ビールなど片手にそぞろ歩きをするのも楽しい。しかし、都内では、上野、目黒川など、多くの人出で、歩くのもままならぬほどです。今年の都内での桜の開花日は3月21日。しかし、花冷が続いていて、今週末は、花筏になってしまうかもしれませんが、まだ満開の桜を楽しめるところが多いようです。この句の作者は、愛猫家。花見から帰ってきた主に甘えたいの
2020.4.18一日一季語春キャベツ(はるきやべつ)【春―植物―仲春】奈良井宿雪に届いて春キヤベツ小澤實*2020.2月居酒屋にてトンカツなど、洋食につき物の生キャベツは「日本の洋食」の現象らしい。西欧では生のキャベツはもっぱらウサギの餌だという(ちくま文庫『身近な野菜のなるほど観察録』)。句にある、奈良井宿は、中山道六十九次の中で、東海道と共有する草津・大津宿を抜いた純粋な中山道六十七宿中(板橋から守山まで)、奈良井宿は江戸側の板橋宿から数え
2019.3.15一日一季語龍天に登る(りゆうてんにのぼる)【春―時候―仲春】竜天に登るはなしを二度三度宇多喜代子*2018年三峯神社にて出典は、山本健吉氏のことに、話は始まるのでしょう。俳句をする者が集まれば、この季語の歴史などを皆それぞれに語る。こんな光景が見えてくるようです。*浅草寺雷門にて【季語の説明】龍は想像上の動物で春分の頃に天に登り雲を起こし雨を降らせる。中国の古代伝説から季語になった。ヨーロッパでは、
2020.5.12一日一季語新樹(しんじゅ《しんじゆ》)【夏―植物―初夏】新樹の夜猫の集会あるらしき清水基吉猫の集会というと、ミュージカル、キャッツを想像しました。就職した80年代に就職先の先輩に誘われてみたのと、昨年の二回観たことがあります。昨年観たのが5月だったので、正に新樹の夜でした。『CATS(キャッツ)』は、世界で興行的に最も成功したミュージカルのひとつ。初演はイギリス・ウエストエンド。その後、アメリカ・ブロードウェイにて公演。人間が一切出
2021.3.27一日一季語山吹(やまぶき)【春―植物―晩春】道灌にゆかりの小江戸濃山吹佐々木新蓑ひとつなき貧しさを山吹に例えた少女の差し出す濃山吹。この話で山吹は一層有名になった。八重山吹の特に黄色が鮮やかなものを「濃山吹(こやまぶき)」と言うそうです。山吹と太田道灌の逸話を取り合わせた句だが、小江戸濃山吹という言葉に深さを感じました。⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。*2021.3.26新宿御苑にて【傍題季語】面影草(お
2018.04.20一日一季語楓の花(かえでのはな《かへでのはな》)【春―植物―晩春】一切経堂開け放たれて花楓稲富義明(稲富義明)(いなとみよしあき)(1932~1998)佐賀県出身。第二十八回角川俳句賞受賞作品「かささぎ」【傍題季語】花楓(はなかえで《はなかへで》)【季語の説明】楓類は新葉が開きかかる頃、暗紅色の花をひっそりとつける。*楓の種です【例句】仏足
2020.4.15一日一季語満天星の花(どうだんのはな)【春―植物―晩春】朝森に点き満天星の豆ラムプ楠本憲吉*20204.12板橋区赤塚公園にて壷形の花の形。この形を豆ランプと見立てたのは写生。別名の灯台(どうだん)との取り合わせ的にも面白いと思います。春の朝、森に朝日がさして、明けてくる様子を、朝森という省略した言葉で表現していることも良いと感じます。杜の中に小さな満天星の花の白さが浮かび上がってきます。【傍題季語】満天星躑躅(どうだん
2020.3.9一日一季語木蓮(もくれん)【春―植物―仲春】もくれんの開ききりたるやや淫ら辻田克巳*2020年3月6日熱海にて中国では紫玉蘭と表記するが木蘭、辛夷、木筆、望春、女郎花とも呼ばれることもあるそうです。葉に先立って暗紅紫色で細長い六弁の大形の花を開きます。花は同一方向に向く習性があるそうです。花の形が蓮の花に似ている木であることから、「木蓮」と表記することになったそうです。清楚な雰囲気のある開きはじめと違い、花が開ききった姿は、淫ら