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PCOSと鉄:フェリチンから読み解く代謝と妊孕性のヒント多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、月経不順、排卵障害、そして代謝異常など、さまざまな症状を引き起こすことが知られています。これまで、血糖やホルモンの数値などがPCOSの指標として注目されてきましたが、近年、「フェリチン」という鉄を貯蔵するたんぱく質にも重要な意味があることがわかってきました。フェリチンとは?フェリチンは体内の鉄の状態を示すマーカーで、一般的には鉄過剰や炎症の指標として使われます。しかし、PCOSの女性では、月経が少
人工授精や体外受精で精液をご提出いただく際、冬の寒い時期は精子が冷えすぎることで運動性が大きく低下してしまうことがあります。治療の質を守るためにも、採取後は25〜34℃(人肌程度)を保ってご持参いただくことが大切です。ここでは、寒い季節に精液をお持ちいただく際の注意点とおすすめの方法をまとめました。❌避けていただきたいこと外気にそのまま触れる状態で持ち歩くこと(バッグの外ポケット・車内に放置など)カイロを直接容器に貼ること(温度が高くなりすぎて精子の生存性が低下します)
「子宮腺筋症(アデノミオーシス)」という病気を聞いたことはありますか?これは、子宮の筋肉の中に本来子宮の内側にあるはずの子宮内膜組織が入り込んでしまう病気で、子宮が肥大したり変形を起こします。実はこの病気、なかなか気づかれず、見逃されがちなのです。子宮腺筋症って、どんな病気?かつては「40歳以上の多産婦に多い」と考えられていましたが、今では若い女性、特に生理痛がひどい方、不妊で悩んでいる方にも多く見つかっています。症状はさまざまですが、よく見られるのは下記などです。強い生理痛性交時
「採卵って痛いの?」「麻酔が心配…」そんな声をよく耳にします。とくに自然周期や刺激を抑えた治療で卵胞が少ない場合、採卵時の痛みや麻酔の有無は気になるポイントです。最近、ドイツとスイスの7施設が参加した大規模研究で、「卵胞が少ない採卵は麻酔なしでも大丈夫」という結果が示されました。その内容をわかりやすくご紹介します。採卵時の痛み、どのくらい?この研究では、2290周期・1039人の患者さんを対象に、麻酔も鎮痛剤も使わずに採卵を実施。採卵後すぐに痛みを自己評価してもらいました。その結果、痛
【医療安全ニュース】精液検体の持参について精液検体ご持参のご協力ありがとうございます。正しい検査結果のためにいくつかご注意いただきたいことがあります。①採取から持参までの時間は2時間以内採取からの時間経過で運動率は低下していきます。例えば前日の夜に採取した検体では運動率は大幅に下がっていることが予想されます。2時間以内に持参が難しいこともあるかもしれませんが、なるべく早めにご持参ください。②保管温度は室温程度保管温度が低すぎても高すぎても運動率は低下しま
子宮内膜ポリープは、超音波検査で子宮内膜を確認するとき、竹の葉状に観察される子宮内膜に通常認められない画像譲渡して確認されます。多くの女性にとって気になる健康問題の一つですが、必ずしもすぐに治療が必要なわけではありません。当院の治療方針は、子宮内膜ポリープの状態などにより対応が異なります。不正出血が見られる場合や、定期的な超音波検査でポリープの変化が確認された場合は、子宮体がんの可能性を否定するためにも、より詳細な検査が推奨されます。子宮内膜ポリープは、その原因が完全には明ら