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果報は寝て待てとある人の指示に任せ、枕紙[1]をとってみても夢かうつつか去年か今年か。大みそかの夜明け前と思う頃だが、いらっしゃった。当年の恵方から福の神がいらっしゃった。一つは家を富ませようとし、二つに二冊の本を持ち、三にさらさら読み聞かせ、この本をお前にやろう。早く目を開けてみたいと、この本を読んでみたいなと、鶯の鳴き声に驚いて起いた。新たな日の出を尊く拝んでいると、まさしく蓬莱山[2]。三宝の上に「福神教えのこづち」という本が一冊置いてある。さては夢に出てきた神がお告げになった
「あれを見て。今風が吹いて落ちない花はどんなに風が誘っても、きっと枝にしっかりとついて辛抱している花は、みな落ちずに後に誠の実を結び、めでたく栄えるだろう。人もこのように、欲や酒色事、短気、奢り、非義や非道の雨風や嵐が誘ってきて連れていかれようとしても、ただ堪忍して辛抱して戦々恐々として慎んで、道という枝にしがみ付いて、堪えていれば、遂にはめでたく誠という実を結び、ご先祖様の名を上げ子孫が長く続くことになる。全ては見た目に関わらず、名聞という花を咲かせず、心に誠の実を結びなさい。」特に娘の
「私もこの家にいて、この家を守ります。一年の計は早春にあります。」賢女の梅の花は実に尊い心得ではないか。世の中の亭主たるもの、男子たるものが心得る事、身持ちは言うに及ばない。また、それぞれの女房を町方では、ご内宝、ご内室と呼んでいる。家の中の宝であり家を富ませて、子孫によく道を教え、長続きさせるべきである。妻が妻である内宝で、多くは内の宝を減らし、あるいは驕り派手を好んで、出しゃばって喋りすぎて、嫉妬やケチ、仕舞には夫を尻に敷いて、父母に不忠・不孝をしたり、あるいは酷い悪戯や讒言、人
盥の水の法則...たらいに入った水を手で自分の方にかき寄せるとたらいの淵を伝って外側に逃げてしまう。水を前に押し出すと自分の方に返ってくる。寄せたつもり反対側に流れていく。押した水が反対に戻ってくる。お金も幸せも自分の方に集めれば集めるほど逃げてしまい出せば出すほど自分に返って来るという法則です。二宮尊徳(二宮金治郎)の像が昔は小学校にはありましたね。薪を背負いながら本を読んで勉強する像を見て説明して下さる先生は少なかったかもしれません。僅か10代前半で両親と家・
最近のことではあるが、上京に一人賢い女がいた。若くして死に別れたが、姑に孝行していた。二人の子供に教えていたので、この家は大いに栄えた。ある年の正月元旦に。庭に咲き始めた梅の花を、男も女も家中の人を呼び集めて「あれを見て。今年の春は、この庭の梅の花がいつもより多く咲いている。お前たちはこの梅の花を見てどう思う。」ときいた。家の人はみんな揃って「例年より多く咲いているのは、お家の繁栄になると思います。」と言った。しかし、この賢女は首を振って言った。「巧言令色少なきに仁
大黒天はうなずいて、「心得た」と小槌を振り上げた。娘の低い鼻の上に光り輝く象牙のような鼻がこつ然と現れた娘は顔をしかめて手でなでて言った。「さっそく、御利生[1]で鼻を高くなれば嬉しいことではありますが、顔が引っ張られて頭痛がします。その上鼻の上に鼻ができたようで、今までよりみっともなく思えます。今一度押し戻していただけませんか。」大黒天は笑って言った。「今いくらやったところで同じことです。これ以上は、私でもできない事。すでにお前を作った父母の力でもうまくいかない事ではないか