南紀・伊勢志摩のとある一流旅館を取り仕切る女将・生駒菊千代(坂口良子)は元芸者。それも東京は神楽坂の売れっ子で、見事な芸といい、気風のよさといい、菊千代の右に出る芸者はいなかった。断わり続ける菊千代に土下座して女将の座に納まってもらったのは、その旅館の社長・四条春男(北村総一朗)だった。春男は女将だった妻を亡くし、跡取として期待していた一人娘の夏生(菊池麻衣子)にはダンスで身を立てるとニューヨークに行かれ、途方に暮れていた。そんな時出会ったのが亡き妻に瓜二つの菊千代だった。春男の熱意にほだされて