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緩和ケアでは、その時の不調を訴えてそれに見合った治療や方法を考えてくれます。当時、とにかく「声を戻したい」と何度も訴えていました。肺や心臓のほうが命に関わるので、声に関してはいつも後回しにされていました。声が出ないことは、単にコミュニケーションがとりづらく不便なだけでなく、QOLがかなり下がります。気持ちも凹みます。誰かとおしゃべりすればストレス解消できますが、それもできないのです。喉から出てくる声が本来のものではないもどかしさも、本人でないと分からないのです。ある日のこと
これは40歳代の女性の声帯です。あまりきれいな画像ではありませんが、ご了承ください。「これが声帯です」の記事と同様、この画像は鼻から細いファイバースコープを挿入して撮影したものです。向かって左側が、患者さんの右側になります(向かい合って撮影するのでこのような向きになります)。声を出したときにはこのようになります。声帯が閉じて、その隙間から空気が流れて、声になります。一見すると以前の記事と同じ感じですが...息を吸ったときに撮影したのがこの画像です。中央付近にあるV字型の
手術で摘出した甲状腺は、病理組織検査が行われます。病理組織検査によって、どのような種類の腫瘍なのか、リンパ節に転移があったのかなどを診断します。周囲組織に浸潤するような悪性腫瘍の場合、どの程度浸潤しているのかも診断できます。例えば気管への浸潤の場合、表面だけの浸潤なのか、内腔まで浸潤しているのかが分かります。術前は声帯麻痺はなかったのに、腫瘍が明らかに反回神経に浸潤し、反回神経合併切除が行われたとします。それを病理組織検査に出します。そしてその結果、反回神経への浸潤は認めません、となる
高速で片道2時間の街に住む母のところへ行ってきました。声は出なくても最小限、母の様子も見ないとなぁ。手術から10日で退院。担当医と看護師と話をしたのは「緊急時にどうやって救急車を呼ぶか?」おひとりさまで声出ないんです1人のときは救急車呼べないでしょう結局、家にいるときはマンションの緊急ボタンを押す、外では周囲の人に頼むということにしました。今の時代、スマホアプリくらいあろうだろうと調べてみたのですが、ありませんでした。じゃ、無いものは作ってしまえ!と知人のプログ
本日のウォーキング4km風が強く体調も良くないので控えめ神社でお参り苦しい時は何でも頼る今日は現在の体調の話を少し食べ物が気管へ流れる(誤嚥)ことはほとんどなくなりましたが空気を一緒に飲み込んでいます。ゲップが出ないときは炭酸飲んでますむせます喉の奥に敏感な部分がある感じで呼吸した空気がそこに当たるとむせる感覚です。声は相変わらず声帯を震わせて出す事ができません。反回神経麻痺の典型的症状誤嚥(ごえん)、むせる、声がれの状況です半年は経
皆様、いいね、コメントありがとうございます!無事です安静が地獄過ぎて、何もできませんでした蓄膿気味だったこともあり、息が…点滴を打つと、鼻から点滴出てきて、飲み続けなけりゃならず…必死でした…手術の結果に関しては、自分では説明受けてませんが、反回神経無事です。喉痛いけど声出てます!今、首を起こしたところであり、喉痛すぎます唇も殴られたみたいに傷だらけで凄く晴れてて…今日は色々厳しそうです…
医師から電話(反回神経の再建)先ほど、病院から電話かかってきた。もはや、速報レベルの対応だと思う。術前検査結果を踏まえたカンファレンスを実施した結果として…反回神経に湿潤があるため、手術日程を変更しないと対応ができない(手術時間が足りない)反回神経を削ったり、切除しないといけない可能性があるから神経吻合の説明を受けてもらう声に関しては、高い声が出なくなるのは理解していたが…、普通の声、反回神経については問題ないと思っていた。反回神経の再建については、リスクとか注意とか医師に何を確認
甲状腺疾患診療マニュアル改訂第2版(診断と治療社内分泌シリーズ)より前回再掲載した図をもう一度。甲状腺、副甲状腺、反回神経、動脈など、その分布がよく分かる図ですね。しかし...実際にこんなふうに見えたら苦労しません。甲状腺外科の専門医なんか不要です。外科医なら誰だって簡単に手術できてしまいます。この図には脂肪組織が書かれていません。血管や神経、副甲状腺などは脂肪組織に埋もれているので、一見しただけでは脂肪しか見えません。脂肪の量が多ければ、神経などを探すのが難しくなり
プロフィールに書いたとおり、甲状腺悪性腫瘍の手術をした後、声が出なくなりました反回神経が麻痺して声帯が動いていません現在は仕事を休み静養中です伝えたいことを伝えられないのは想像以上のストレスですが、これまで気づかなかったこと、見えていなかったことがたくさんあるはずです。※声が出なくなり61日目。動け声帯
間違って反回神経を切ってしまったらどうするか。手術中にすべきことは、反回神経の再建術です。これは後日記事にします。そして術後には、患者さんへの謝罪です。もう謝るしかありません。間違って切ってしまうことはどうしても起こります。以前も書いたとおり、私たちも人間ですから、「私、失敗しないので」ということは絶対にありえません。手術中の出来事は、患者さんには分かりません。間違って切ってしまったことを、「腫瘍がくっついていて切らざるを得なかった」、と言ってしまえばそれまでです。こん
反回神経に腫瘍が浸潤している場合、私たちはどのように対処しているのでしょうか。術前からすでに声帯麻痺があり、反回神経への浸潤が強く疑われているとします。実際の手術でも、やはり神経が完全に腫瘍内に埋もれていれば、反回神経を合併切除します。そして可能な限り神経再建術を行います。再建術については後日記事にします。術前には声帯麻痺がないのにもかかわらず、反回神経への浸潤を認めることも多いです。腫瘍が神経に触れている程度であれば、ほとんどの場合は神経を温存することができます。一方で、神経
前回、反回神経の太さは1mmくらいと書きました。色は白色です。甲状腺周囲には血管が走行しています。血管は甲状腺に流入する動脈と、甲状腺から出ていく静脈に分かれます。静脈の壁は薄く、中を流れる血液が透けて見えるため、静脈は赤黒(または青?、表現が難しい)っぽく見えることが多いです。一方、動脈の壁は厚く、中は透けて見えません。動脈壁は白っぽく見えます。甲状腺を養う血管の一つに下甲状腺動脈という血管があります。これは外側から甲状腺に流入する動脈です。この動脈は反回神経と交差します。動
腫瘍、特に悪性においては、周囲を虫食む性質があれば、反回神経をダメにしてしまうことがあります。反回神経への浸潤です。反回神経浸潤のため、声がかすれてしまい、それで初めて甲状腺がんが見つかった、という患者さんもいらっしゃいます。このような患者さんの手術を行った経験でのお話です。腫瘍の浸潤によって反回神経が麻痺しているような場合、神経は完全に腫瘍に巻き込まれています。つまり腫瘍に対して神経が串刺し状態になっています。神経が腫瘍の表面に少しくっついているような状態、つまり腫瘍が神経に触れてい