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ピアニストのアレクサンダー・ガジェヴ(AlexanderGadjiev)氏のリサイタルに出かけてきました。ピアノ5台弾き比べという取り組みが功を奏したか、満員御礼に近い盛況ぶりでした。ファツィオリの深さとベーゼンドルファーの端正さを味わいましたが、私が一番感動したのは、カワイで弾かれた〈喜びの島〉(ドビュッシー)でした。音の色を細かく分けて、パッセージの細部を肥大化させない演奏ぶりが自分にはとても響いたのです。プレイエルではショパンの小品(ノクターンなど)を弾いておられましたが、やはり、
あるオペラの録音が2つ立て続けに出ることになり、片方の解説を書かせてもらった後、偶然にも、もう片方の録音評をさせて頂くことになりました。すると、両方の盤において、ある役柄を、同じ人がやっていました。私は、公演評や録音評のときには、指揮者やオーケストラ名、歌手の名前などを調べずに、楽譜だけを頼りにまずは聴いてみることにしています。例えば、以前に新国立劇場の《フィガロの結婚》を批評させてもらった時など、「スザンナ役の人、東洋人なのに物凄い馬力だな・・・」と感嘆しながら眺めていたら、批評を書く際
新国立劇場の『水のほとりの女』を拝見して、「ああ、昔ながらの言葉遣いや、それにふさわしい音調というか声音を聴くのも、演劇の楽しみなのだ」と気づきました。一時間もかからない短編戯曲で、出てくる人も3人だけでしたが、世界観に心地よく浸ることが出来ました。劇作家の田中澄江(1908-2000)といえば、「山が好きな人」という、薄っすらとしたイメージだけを持っていたのですが、非常に流れの良いセリフを書く人なのだと思いを新たにしました。あと、こうやって書いていて、いま、気づいたのですが、「カタカナ英
手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』に、外科の名医でありながら、目立たない椎茸先生と言う人が出てきたと覚えています。ブラック・ジャックが、椎茸先生が注射をする際の技の素晴らしさに驚き、自分から声をかけた人でした。奥さんと慎ましやかに暮らしていて、大学の医局勤めでありながら、出世コースに縁のない、また、欲も無い人で、周囲からは腕前もあまり認められていなかったようです。でも、結果、椎茸先生の腕とお人柄が認められる日がやってくる・・・そんな内容でした。子供の頃に読んだ話ですが、非常に強烈な印象
この前、心臓発作で突然亡くなってしまったアメリカのソプラノ、ロバータ・アレグザンダー。バーバーを歌っている映像を見つけました。アレグザンダーといえば、まずはグラインドボーンの《イエヌーファ》かなと思います。個人的には。このアレグザンダーが近年、大歌劇場の脇役で活躍するようになっていました。METライブビューイングにも《エレクトラ》の侍女の一人で出ていました。さっき、仕事の資料として眺めたロンドンの《運命の力》では侍女クーラ役でした。アレグザンダーは顔が締まって見えるので表情が際立ち、焦
小説『カルメン』でレメンダードといえば、まだ青年ぐらいの盗賊で、敵に銃撃された際に、自分のボスのガルシアによって、いきなりとどめを刺されてしまうという可哀そうな人物です。オペラではもうちょっと彼は幸せで、5重唱やアンサンブルなどで活躍の場面があります。知られざる出番としては、第2幕フィナーレの大合唱の中で、彼の声がしっかり響き渡るパッセージがあるのです。しかし・・・演出家によってはレメンダードを後ろの方に並ばせることがあり、その結果、作曲家ビゼーが書いたせっかくのパートが聴こえなくなるとい
新国立劇場で上演中のバレエ《マノン》(初演は1974年、ロンドンにて)。音楽は全編マスネのものなのですが、オペラの《マノン》は一音も使われていません。ただ、第1幕で一か所、《マノン》譲りの長い音があったのですが、マスネがしばしば使う音型なので、《マノン》だけではないなとも思い直しました。客席についてまずオケピットを眺めると、下手側にハープ2台。コントラバスも下手。「ハープ2台使うオペラって、マスネでは、ええと・・・」バレエを見に行くのなら、踊りを心から楽しむべきですが、職業柄どうしても