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来年早々にNHK-FMの『オペラ・ファンタスティカ』で珍しい古典派オペラを紹介することになりました。先日、放送収録を終えましたが、とても楽しい演奏であり、時間があればもっと詳しく説明したかったぐらいです。ただ、放送は「音楽を聴いて頂く」ことが主なので、あまり長い説明文は書けないのですね。かいつまんでかいつまんでという感じでやっています。そして、その次の私の出演回では、私が長年とても愛しているオペラを紹介することになりました。なので、そのことをクリスマス・プレゼントのように嬉しく思っていま
新国立劇場の演劇公演、『スリー・キングダムズ』最初から最後まで分からないことだらけなのに、非常に面白かったのでした。役者さんとキャラクターが、良く合っていたのかなと思います。演出家の上村聡史さんという方が、なるべく客席をほぐそうと努めて居られることもよく伝わってきました。「分からなくても楽しい」という境地、自分の専門分野では味わいにくいので(理解しなければと頑張ってしまうから)、専門外のジャンルに触れる重要性や有り難さも感じました。かなりどぎつい言葉が飛び交うステージですが、題材が厳し
1979年5月から聴いているNHK-FMのオペラ番組。以前は『海外オペラアワー』といっていたと思います。案内役として初めて出演したのが2006年のことです。その時、「かいがい」のアクセントを注意された覚えがあるので、当時もその番組名でした。解説した中で印象的であったのが、リュリの《アティス》とチャイコフスキーの《スペードの女王》、それからアーノンクール指揮の《フィガロの結婚》。ワーグナーの《ワルキューレ》のときは、あらすじを30秒ぐらいしか読み上げる時間が無かったと思います。きちきちで。
先日の朝日カルチャーセンター新宿教室の『《カルメン》のぶっ飛んだ世界』を御受講頂いた皆様、有難うございました。改めて、厚く御礼申し上げます。講演会終了後も続々とご質問頂き、講師の側としても非常にやり甲斐のある一回となりました。有難うございました。たくさんの方にお越し頂けたことで、スタッフの皆さんも喜ばれたようです。さて、その中で、一瞬紹介しただけなのですが、下のCD全曲盤についての詳しいご質問を受けました。主にはテンポのことでした。このCDは横にあるエーザー版(アルコーア社版)の音符を全部
新国立劇場のダンス公演に類するステージングとして『ロボット、私の永遠の愛』(Robot,l'amouréternel)という1時間ほどの公演に出かけてきました。主演の伊藤郁女さんのことを初めて知りましたが、ダンスに類するステージながら、客席との生の対話があったりで、非常に不思議な時間を過ごさせてもらいました。しかしながら、不思議なだけに、いろんなシーンがとても強く記憶に遺っています。途中で突然、伊藤さんが喋り出したときは結構な衝撃でした。「ダンサーは口を開かない」という私の先入観があ
新国立劇場小劇場で公演中の芝居『焼肉ドラゴン』を拝見しました。テーマが余りに重く、途中で何度か逃げ出したくなるほどでした。とても面白いのに、テーマの重さには耐えかねたのです。素晴らしい舞台から得られる「苦しみ」というものを味わいました。感動が傷跡のように心に刻まれています。兵庫県立芸術文化センターでオペラがあると、帰京の際には飛行機を使うことが多いです。その際は、阪急線の伊丹駅から伊丹市バスに乗って大阪空港に向かいます。途中の車窓の光景の淋しく、ガランとした感が、いつも気になっていまし
新しい仕事のご依頼があり、上演中のミュージカル《バグダッド・カフェ》を観劇してきました。ミュージカルを拝見するのは久しぶりのことでした。何よりもまず感じたのが、「いろんな味があるな・・・」ということです。味とは、すなわち声音のことです。オペラの場合、マイクなしで大空間に届かせるという前提があるので、基本的には大きく太く豊かに、滑らかに・・・となります。響きの理想郷が。しかし、ミュージカルの場合は、声音の色合いや味わいに、より規模の大きな「幅広さ」があると思えたのです。小西遼生さんという
細かい説明を省きますが、19世紀のオペラの見どころの一つです。代表的なのはやはりドニゼッティの《ランメルモールのルチア》。本当にいろんな人がやっていますね。ところで、《ランメルモールのルチア》は、ベルカント・オペラの典型例であると同時に「オカルト色のオペラ」のイタリアでの代表例でもあるのです。ドイツだとウェーバーの《魔弾の射手》やマルシュナーの《吸血鬼》などがありますが、《ルチア》も幽霊がらみのオペラです。ところで、私は《ルチア》の解説を書く回数が多かったのですが、いつも必ず言及するのが
講演会でサン=サーンスの2番目のヒット作《ヘンリー8世》を紹介したところ、皆様からとても面白がっていただけました。史実に則っていて、筋立てに無理が無いのかなと思います。ヘンリー8世のお妃アン・ブーリンAnneBouleyn(1536年刑死)については、オペラが好きな皆さんは、ドニゼッティの《アンナ・ボレーナ》のイメージが強いですね。史実のアン・ブーリンは、性格に少し難があり、他人をあざ笑うことが多かったといいます。《ヘンリー8世》では、彼女のそのような一面をかなり拾っていたと思います