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昨日、翔さんが泣いている潤を抱きしめてやることもなく、すぐに向かった場所があった。両親の所だ。潤と翔さんの両親はすでに顔見知りで、潤のことも大層気に入っていたらしい。しかし、結婚となれば話は違う。有能な息子は今後結婚することもなく、孫を見せることもない。それでも潤を選ぶと。潤には翔さんしかいないように、翔さんにも潤しかいないのだ。それを伝えに行き、説得をして、次の日の朝にウチに来た。こういうわけ。そして、今日翔さんがプロポーズをした。抱き合うふたりと棒立ちのニノミヤ一家。「
「おーい、じゅーん。朝だぞー!起き…うぉい!!」朝の弱い天使を起こすのは俺の役目。なんてったって天使の寝顔を拝める至福のとき。今日もそのつもりでいつも通りノックをして部屋に入った。そう、いつも通り…なはずと思ったら、すでに天使はぱっちりと目を開けて天井を見つめていた。「おー、おはよっ!は、早いじゃん。」いつもと違う天使の行動に思考が追いつかない。「………潤?」「あ…、カズ兄、おはょ…。」なんだか様子がおかしい。いつもホワホワしてるけど、いつにも増してぼんやりしてる。「
オレを見る天使の視線。それは小さい頃からずっと変わらない。オレが見る天使への視線。それも変わらない。けれどそれが少しづつ変わってきたのは翔さんと天使が出会ってからだ。「兄ちゃんが弟を愛してるだなんて、オレのこと気持ち悪いか?」「う、…ううん。」兄弟の枠を超えて好きだという言葉を理解したのか、どう返したらいいのかわからないのか、天使は俯き、だけどオレを拒絶するような事はしなかった。「まぁ、オレの話はさておき…潤の思う翔さんの幸せってなに?」まだ目尻に滲む涙をそっと拭った。「…
店内に入って辺りを見渡す。潤はどこだ?「おふたり様ですか?」「いや、ツレが来てて…、大学生の集まりなんですけど…。」「あ、あちらの奥の方達でしょうか?」バイトであろう同じくらいの歳の女のコが視線を送った先には5~6人の集団。「ありがとう。」店の中でも走り寄りたい気持ちを抑えて、その子ににっこりとスペシャルな笑顔でお礼を言う。ワイワイと一際騒がしい集団。「王様ゲーム!イェーイ!!」野郎同士で王様ゲーム?バカバカしい。「王様だーれだ?」「あー、王様、潤だよー。もうふにゃ
連絡の数はおびただしいけど、こっちが夜中ならあっちは真っ昼間。仕事中だとしたらLINEの方がいいだろう。「うーん…と。」【潤は預かっている。】ちょっと意味深な返答を送ってやろう。翔さんの焦ってる姿を想像するとなんか可笑しくなるんだよな。「送信!」送る、既読、着信!?はっ?早すぎるわ!「おい、早すぎ…」「どういうことだよ!潤は?元気か?無事なのか?なんで俺の連絡無視すんだよー!」電話に出るなり怒涛のような勢いで叫んでくる。「ちょ、翔さん仕事中じゃないの?」「仕
呼び出された店に入ると、その相手はすぐにわかった。オーラがな、あるんだよな…。昔から…。「カズ!おつかれ!」俺を見つけると途端に爽やかな笑顔を向ける。「待った?」「俺も今来たとこ。」デートじゃあるまいし、何だこの会話。翔さんと外で会うことがなかったわけじゃない。ほとんどは天使も一緒に三人で仲良く食事をしたりが多い。が、最後には天使が酔っ払って翔さんに甘え出すから、こちらとしては見ちゃいられない。天使がいなくて会う時も決まって翔さんは早く帰っちまうんだ。仕事終わりの天使を
週末。「カズ兄♪」ひょこっとドアの隙間から顔を覗かせる天使の笑顔。今日来ることは天使からと、あとこっちはどうでもよかったけど翔さんからも報告済み。「潤!来たか!元気か!?」潤の声にオンラインゲームを放り投げる。N、回線落ち。に画面の向こう側では形勢逆転。オレのいたチームはどうやらボッコボコにやられてるっぽい。そんなことより、天使の登場で急に部屋の中が明るくなった気がする!やっぱり天使の笑顔は最高だ。「やだなぁ、元気に決まってるじゃん。昨日LINEしたでしょ。」天使がニ
「ハァっ…ハァっ…!」くっそー!なんで今日に限って、こんなことに。「待ってろ、潤!今兄ちゃんが行くからな…っ」オレはひた走る。誕生日だというのに、ひとつ歳を食ったというのに、走ることは嫌いだというのにっ! ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「カズ兄、お誕生日おめでとう♡」離れていても一番で連絡をくれる天使。「カズ♡おめでとっ!」ここ最近は二人でだけど。「おぉ…、ありがとな。」「カズ兄、今日来れそう?ごめんね、お誕生日だし予定なかった?」「あるか、そんなもん。」翔さんが用意した天使との
コンコンっとノックすれば、「…はい」と控えめな返事がする。中に入れば風呂に入り、まだ頭からタオルを被ったままの天使がベッドの端に座り、こちらを向いた。「母さんは?」「先に休ませたよ。あとはオレが居るから寝ていいよって。」天使の部屋は出ていってもそのままになっていて、いつでも寝泊まりできる状態。そう、いつでも帰ってきてもいいよと言わんばかりに。「心配かけちゃったかな…。」「ま、しょうがないじゃん。駅着いたら雨だったんだろ?コンビニで傘くらい買えばよかったのに。」「大丈夫だと思
早朝、天使は始発で翔さんとの愛の巣へ帰っていった。「体調大丈夫か?」朝弱いのにわざわざ早くにアラームをセットしてあって…。まぁ、オレも起こされたから結果オレが起こしたんだけど。寝付いたのが遅かったから寝不足なはずだし、眠い目をこすりながら無理矢理起きる必要はないと思うのに。ケータイを早く確認したいって言って。しょおくんに早く自分から連絡したいと言って。「送る。」「大丈夫だよ、カズ兄だって仕事なんだから往復してたら時間かかるよ。」「じゃ、駅まで!」「もー、わかった。お願いします。
月曜日。翔さんの出発日。「潤?おはよ、起きてた?」「おはよう、カズ兄。起きてるに決まってるでしょ。」「……翔さん、朝早く出発だったから、二度寝でもしてないかなって思ったんだよ。見送ったか?」「もちろんだよ。しょおくん、困っちゃう。早く行かないといけないのに熱烈なキスして僕のこと離してくれないの。」「それだけお前のこと心配なんだよ。」「ふふっ、キスのことには触れないの?……心配か。そんな僕のことなんか……、あっ!カズ兄、もう僕支度していかなきゃ、じゃあね!」プツっと切
ニノ、お誕生日おめでとう💛去年で完結したはずが……やはりこの日になると書きたくなるニノブラ(*´∀`*)天使を溺愛する兄。天使の幸せがオレの幸せと疑わない兄。今年遂に本気の本当の完結です!☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆はじめましての方↓ニノミヤブラザーズのはじまり『ニノミヤブラザーズ【はじめて天使が恋したら】』ニノハピバ企画、スタートです(.゚ー゚)このお話は弟を天使と溺愛する兄が弟離れができるのかできないのかどっちなの?的な実兄弟のお話。☆.。.:*・
「言うと思った。」「聞くだけムダムダ。オレに相談した翔さんが悪い。」「相談じゃないぞ。」「はっ?」「報告だ。」「はい?」「カズの言うことなんて聞きませーん。」「……てめぇ。」こ、こっちだってそんなことだろうと思ったもんね!どうせオレが反対するのだってわかってたはずだし!「カズの意見はともかく…」「ともかくって言うな。ちゃんとお兄様の意見だって聞きなさいよ。」「潤はついてきてくれるかな…。」「それこそオレに聞くなよ。まぁ、潤が翔さんと離れるなんてできっこないと思
ニノハピバ企画、スタートです(.゚ー゚)このお話は弟を天使と溺愛する兄が弟離れができるのかできないのかどっちなの?的な実兄弟のお話。☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..オレが二歳の時、我が家に天使が舞い降りた。それまでの俺の地位をあっさりとかっさらったアイツ。ふん!俺よりかわいいだなんて、どんな顔して…。納得……。負けた……。クリックリの目にバサバサなまつ毛。プニプニなほっぺにうるうるな唇。すべすべな肌に温かい手。俺が差し出した指をぎゅっ
とにもかくにも…翔さんに恋していた天使が交際を断るはずもなく、二人のお付き合いはスタートしてしまった。いつの間にやら天使は翔さんのことを「しょおくん♡」て呼んでるし。いちいち呼び方が語尾にハートマークが見えるくらいに甘いし。なにより…二人でいると絵になるし。この世のものとは思えねぇくらい眩いし。あー、言い出したらキリがないってくらいにお似合いだし!その辺にあるクッションをぼふぼふと殴りつける。言ってて虚しいぜ…。「あ、おかーさん。今日帰りに映画観に行くから、ごはんいらない
「こいっ!?」「うん、恋♡」キラキラと瞳を輝かせるその目は明らかに恋する乙女で。池にいる鯉か?なんてボケは意味をなさないだろう。いや、待て!落ち着け、和也。天使だって18歳だ。恋のひとつやふたつする年齢。どこぞのお嬢さんか知らないが、天使のお眼鏡にかなったんだ、そりゃ、とんでもない美少女なんだろう。「で、一体どんな子なんだ?そもそも潤は恋ってなんなのかわかってる?」「恋?そんなの何かなんてわかんないよー。でもさ、なんていうの?胸がドキドキして、きゅうってなってさ。
ニノside「カズぅ?」「ん〜、どうした〜?」体調不良から一時的に復活した潤はこの梅雨の長雨で暇だとオレの部屋にまたも入り浸っている。雨だから暇って…理由もどうなんだと思うけど、潤にそれを求めてはいけない。ただ一緒にいる相手がほしいだけ。一人っ子のくせに…一人っ子だから?一人でいるのが好きじゃない。オレらは兄弟みたいに育ってるから、今さら一緒にいる理由なんて本来はいらないんだけどね。「あのさぁ、昨日家族会議したんだよね。」「家族会議?」「うん、今後の僕の生き方について?」