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電車を乗り継ぎ西へ西へ、昭子の姉とその娘の爽子は車窓の景色を見るでもなく、思い出話に長い旅を忘れていた。「お盆に、昭子姉ちゃんと安来節を踊ったよね。私は初めてだったけど、みんな大喜びしてくれて嬉しかったよ」「あれは面白かったねえ。昭子は朗らかだから、いつも人を笑わせようとしていたよ」「それから、チームを作って風船バレーをした時、他に強いチームがいたのに、昭子姉ちゃん
昭子を襲ったとんでもない災害とは、広島県の高台を押し流した大水害だった。元々、平地の少ない広島市は山を切り開いて造成し、どんどん家を建てていた。昭子の家は旧くからの家で、新興住宅ではなかったが、何日も降り続いた雨は濁流となり、何軒もの家を飲み込んで山崩れを起こした。昭子の家からすぐ近くの家も、住民ごと押し流し生死すらわからない。ライフラインは途切れ、何とか押し流されずに済ん
✳️数日前に撮した八重桜駐車場に咲いています今日は、6年ぶりに故郷で同窓会が開かれるので、参加してきます30年以上前に、市内に住むクラスメートと3人で幹事を引き受け、全体の集いと有志に依る集いを十数回開いて来ました。特に最近では、有志会を毎年秋に開催し、それが当たり前になっていたのに、6年前の西日本豪雨から、台風、コロナに阻まれ続けて、こんなに間隔が空いてしまいました。
昭子の毎日は、とんでもなく忙しく、人の何倍も働いている間に過ぎて行く。昭子を認めて、ずっと協力してくれた舅と姑も高齢になり、それぞれ旅立っていった。昭子に苦労を掛け通しだった夫の忍は、大量の飲酒が祟ったのか、57歳の時すい臓がんで世を去った。奔放な性格のように見えたが、実は気が小さく、昭子を心の底から大切に思っていた。ある時、実家に泊まりに行った昭子が帰る時間になっても到着しない。
2014年6月。秘境はお茶摘みの日を迎えていた。たった1日で全ての新茶を刈り取り、布袋に詰めてお茶の加工場に持って行く。この作業に必要なのは、大ベテランよりむしろ人数である。昭子も遠くから、軽トラックに乗って手伝いに駆け付けた。刈り取られた茶葉をコンテナに入れて、手際よく軽トラに積み納屋の前の青いテントに広げる。いつものように昭子も張り切って動いていたが、どことなく怠そうに見える。「いつ
十年前に旅経った叔母昭子姉ちゃんのことを綴っていますが、今日はもう1人の叔母(父の妹)のことを書きます。4月2日、92歳の叔母はデイサービスで卓球をしていて転び、頭を打って救急搬送されました。幸い頭は何ともなかったのに、腰椎圧迫骨折で2週間の入院を余儀なくされました。何しろ高齢だから、入院をきっかけに気力体力が落ちてしまわないか、心配していたところ、今日「無事に退院したよ