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2.誰も味方をしてくれない海がリビングに入ると、空が待ち構えていて、「まじで兄ちゃん鬼だったんだぞ。何回も携帯見て、ブチブチ文句言ったり舌打ちしたり。おまけにオレまで怒鳴りつけられて。」「ごめんね、空。でも今日は怒られないと思う。私たちすごくいいことしたから、お兄ちゃん褒めてくれると思うよ。」「何したんだよ?」答えを聞く前に玄関のドアがバタンと閉まる音が聞こえたので、空は慌てて2階に上がった。海は「正座してろ!」と言われたのを思い出して、その場にペタンと座り込んだ。悠一が入っ
7.おしおき“オレ、何を動揺してるんだ・・・。”悠一は海がやけに大人っぽく見えて、少し戸惑ったが、「バカか、おまえは。これからオレにケツ丸出しにして叩かれるっていうのに、何恥ずかしがってんだよ。」「フンだ。」「はあ?強気でいられるのも今のうちだぞ。さっさと来い。」海の腕を引っ張りひざの上に押し倒して、ズボンとパンツを下ろした。海のお尻を見て、「昨日叩かれたのか?」「ううん、さっき。」「恒、ずいぶんと手加減したんだな。」「そんなことないよ。」「何発叩かれた?」「・
4.悠一への報告〈土曜日:6日目〉土曜日、久藤整形外科は午前中で診察終了となる。空は午後からの部活を終えて、いつもと同じぐらいの時間に病院を訪れた。ドアを開けて中に入ろうとすると、背後からトントンと肩を叩かれた。振り向くと、走って追いかけて来たようで、ハアハアと息を切らしながら部活帰りの海が立っていた。「空、今日私も一緒に勉強見てもらう。」「えー、ダメだろ。」「何で?いいじゃん。」「恒先生、きっとダメって言うぞ。」「私、頼んでみる。」中からドアが開き、恒が顔を出した。「
1.お尻に注射6月の第1日曜日、あおいろ中学の運動会が行われた。空も海も運動会大好きっ子で、今日は目一杯、汗を流した。そして中学生の運動会のもう一つの楽しみと言えば、終わった後の打ち上げ。途中で急に、どしゃ降りの雨が降ってきたけれど、興奮している彼らにはまったく関係がなかった。普段やや冷めている空だが、今日はハメを外してクラス男子全員でバカ騒ぎをしていた。夜ごはんのとき、「運動会どうだった?盛り上がったか?」と悠一に聞かれ、海は、「うん、すごく楽しかったよ。」と元気に答えたが
1.反省の色なし3月に入り、少し春の気配が感じられるようになってきた、のどかな日曜の昼下がりのこと。恒は愛犬ゴールデンの女の子チャオと、少し離れた公園に立ち寄った。ベンチに座って、チャオに水を飲ませ日向ぼっこをしていると、公園の隅にある公衆トイレから、学生服を着た男の子が出て来た。部活帰りか、これから向かうのか、大きなスポーツバッグを持っている。その子はチラッと恒の方を見たような気がしたが、そのまま公園から出て行ってしまった。“ん?何だ、空じゃないか?”空の家と学校を結ぶ行程
6.いよいよ最終日<3日目>いよいよ最終日。午前中は京都の伝統工芸のひとつである『くみひも制作体験』で、ストラップやブレスレットを作った。各自2つ作れるので、海は自分用のブレスレットと、もう1つは悠一にストラップを作ることにした。花憐はおそろいのブレスレットを作って、彼にプレゼントするという。紗也はお母さんにお土産を作った。海が空の所に見に行くと、ブルーとピンクのストラップを作っていた。“えっ?ピンク?海にくれるの?・・・そんなはずないよね。”「空、それ誰にあげるの?」「えっ
次男くん。さっそく友だちとトラブル担任の先生から“Aちゃんとトラブルになった”と電話がありました。保育園が同じAちゃん。その時も何度も喧嘩になっていた子。入学前、クラスを離してもらえるように学校にお願いしました。理由も伝えてあります先生にお友だちとトラブルがあったら教えてほしいと伝えておいたけど、まさかまたAちゃんとは先生が見た時にはつかみ合いになってお互いひっかいてしまう形になったそうで、首に引っ掻き傷がありました。今回の落とし所として“これからAちゃんとはお話をしない”と約束をした
2.スパルタ指導…月・火〈月曜日:1日目〉先週で学年末の試験も終了し、中学2年生の学校生活も残りわずかとなってきた。学校は午前中で下校となり、その後、空たち陸上部はpm1:00~4:00までグランドで練習が行われる。部活終了後は昨日の約束通り、家に帰らずそのまま久藤整形外科を訪れた。待合室のイスに座っていると、「空くん、こっちから入って。」受付のお姉さんが、スタッフ専用と書いてあるドアを開けてくれた。「ちょっとこの部屋で待っててね。」医局に通され、優しそうな笑顔でイスを勧め
1.やめられない先日たかやんから叱咤激励された海は、少しずつではあるがキャプテンとしての自覚を持ち始め、日々の部活動に真剣に取り組んでいた。それなのに、海に与えられた試練はまだ終わらず、更なる問題が発生した。朝起きて体を動かそうとすると、右肩に鋭い痛みを感じた。昨日の部活中にシュート練習をしているときから、何か違和感があった。そのときは大して気にもせず、すぐに治るだろうとやり過ごしてしまったが、こんなに痛くなるのだったら、昨日の夜、湿布でも貼って寝ればよかった。放課後、部活が始
3.おしおき体験今までずっと黙って入口近くのイスに座っていた芳崎が、眞木野の「しっかりと反省しましょう!」という言葉を聞いて、スッと立ち上がった。“そういえばこの人、トレーニング中もこの部屋に入ってからも、ひとこともしゃべってなかった。まるで関心がないみたいで、ただボーッと見ているだけだったけど。”月美は不思議そうに芳崎の方を見た。「南も最後まで一緒にいてくれ。」部屋から出て行こうとする芳崎に向かって、眞木野が引き止めるように声をかけると、「叩かれるところ見ても、しょうが
1.新キャプテン空と海は中学3年生となり、1、2年生とはクラスも変わり、新たな気持ちで新学期をスタートした。空と海のツインズは、小・中学校を通して初めて同じクラスになった。3年生では三者面談や入試説明会など保護者が出席する機会が多くなるため、忙しい悠一のことを考え、2人いっぺんに済むようにと学校側が配慮してくれたようだ。3年4組、担任二谷強士先生、通称よわし。空は初めて受け持たれるが、海は去年に続き2年目となる。相変わらず、見た目は細くて頼りない感じがするが、生徒の気持ちをよく理解し
5.和解電話からきっちり20分後、玄関の鍵がガチャリと開く音がした。右手で引いているキャリーバッグがなければ、普段の仕事帰りと何ら変わらぬ様子で、悠一はリビングに現われた。「恒、悪かったな、迷惑かけて。」明るく振る舞う悠一に、「おまえ、いい年していい加減にしろよ!オレに連絡ぐらい入れろ!」渾身の力を込めた足蹴りが、悠一のお尻に1発入った。「痛っ!」「オレからの説教は後回しにして、空と海ちゃんとしっかり話をしろよ。」と言うと、恒はソファの方へ行ってテレビをつけた。残さ
2.おしおきVS注射星はバスを見送ると、急に焦りを感じた。“えっと・・・今、何時だろう?ひょっとして僕、大変なことしちゃったかも・・・。”時間を確認しようとしたけれど、時計は持っていないし、まわりを見回しても分かるものは何もなかった。星は大急ぎで病院へ向かって走り出した。赤信号をじれったく感じながらも、決して信号無視することはなく、その間に頭の中を整理した。お弁当を食べ終わってトイレに行き、外へ出た時点ですでに集合時間の10分前だったので、それから30~40分経っているのは確かだ
4.空に助けられて空が部活を終えてpm2:00ごろ帰宅すると、海はリビングのソファで眠っていた。“昨日ちゃんと寝れなかったんだろうな。”起こさないように、そっとタオルケットをかけた。海の頬には、涙の流れた跡がツーっと光っていた。“海、相当こたえてるんだろうな。自分のせいで、兄ちゃんが出て行ったって思うもんな。”空は少し遅い昼ごはんに、わかめのおにぎりを作って食べた。海の分も3つ握って、『ちゃんと食べろよ』とメモを添えて、テーブルの上にラップをかけて置いた。それから、部活で汚れた
2.今までで一番厳しいおしおき空と海はトボトボと階段を下りてリビングに行くと、悠一の目の前に正座させられた。「何か言い訳があるなら聞いてやるぞ。」悠一が鋭い目つきで2人の顔を交互に見ると、海が口を開いた。「お兄ちゃん、ごめんなさい。つい、ちょっとだけ吸ってみたくて。タバコってどんな味なのかなって。」まるで夜ごはんの前にお菓子をつまみ食いして、「ちょっとだけ。」と言っている感じにしか聞こえない。タバコ=お菓子の感覚で話している海に対して、悠一の怒りは爆発寸前にまで達していた。「
3.空と海の反省会涙をポロポロ流し、やるせない気分で落ち込んでいる海の傍らで、空は足がしびれて立ち上がれずにカメみたいにひっくり返ってもがいていた。それを見て海は、思わず「プッ」と吹き出してしまい、空の足をツンツンとつついた。「海、バカ、やめろ!」床を転がり、のたうち回っている空に、「お兄ちゃんに、お灸やめてって言ってくれてありがとね。」「ああ。」「お尻、熱かった?」「あれは、まじでヤバイ。海には絶対に無理だ。」「今日のお兄ちゃん、今までで一番怖かった・・・。」「ああ。
5.先生それぞれの叱り方海と綾のお尻を目一杯叩いた後、たかやんは男子の所に行った。「おまえら、あいつらに誘われて仕方なく着いて行ったんだろ?被害を受けた側だよな?とんだ災難だったな。もう部屋に戻っていいぞ。」たかやんは拓斗と環太に背を向けた。2人はポカーンと口を開けて、たかやんの言葉を疑った。「オレたち一緒に悪いことしたんで、同じように・・・。」環太が言葉を濁しながら言うと、「同じように何だ?」「・・・同じように・・・ケツ叩いてください。」拓斗もそれに続いて、「オレも・
3.悠一の反逆部活でどっと疲れて、海は家に帰るのが億劫だった。“お兄ちゃん、朝のこと忘れてたらいいのに・・・。空には自分から白状した方がいいって言われたんだよな・・・。そうだよね、どっちみち怒られるんなら、追い詰められてから言うよりも、その方がいいよね。”歩きながら自分なりに考えをまとめた。家に着きリビングとキッチンに悠一がいないことを確認すると、ホッとしていったん自分の部屋に入った。しばらくして悠一の部屋のドアがガタンと開き、「海、風呂入ってさっぱりしてからな。」ドア越しに
3.2日目の失敗…ゲーセン<2日目>今日はグループに分かれて1日中自由行動で、pm5:00までに旅館に集合することになっている。4組3班は、空と航希の男子2人と女子3人の5人グループ。京都の観光スポットを3か所回り、夕方お土産を買うために、商店街で男女別々に行動することになった。女子はいくらでも土産売り場を見ていられるというが、空たち男子は目的の物をさっさと買ってしまうと、そこには興味がなくなり、時間を持て余すことになる。退屈しのぎに2人でブラブラと通りを歩いていると、賑わっている
2.このままじゃダメ!土曜日、空も海も部活が終わってpm6:30ごろ帰宅した。リビングには恒がいて、悠一と何かを真剣に相談しているようだった。キッチンのガスコンロには、大きなお鍋におでんの具材がコトコト煮えていた。大根、ちくわ、はんぺん、さつまあげ、こんにゃく、しらたき、ジャガイモ、たまご・・・。だしの香りが部屋中に漂い、食欲をそそられる。空と海が着替えて部屋から下りて来ると、すぐに夜ごはんの時間になった。いつもなら日本酒を熱燗でグイッといきたい大人2人だったが、今日はこの後の大事な
3.スパルタ指導…水・木・金〈水曜日:3日目〉“せっかく部活が早く終わって、本当なら夕方家でのんびりできるのに、何で毎日毎日、恒先生の所へ行って、変な課題を出されて、おまけにケツ叩かれなきゃいけないんだ・・・。”空はだんだんとこの与えられた使命をうっとうしく感じ、何とか理由をつけてサボることばかり考えていたが、結局いい案が浮かばず、今日も仕方なく久藤整形外科のドアを開けた。珍しく患者さんは1人もいなくて、恒が待合室のソファに座って雑誌を読んでいた。「何だ、空。ずいぶん不満そうな
2.おしおきトレーニングが終了しヒーリングルームに移動すると、芳崎と月美はソファに向かい合って座った。「何か話すことあるか?」芳崎が面倒くさそうに月美に問いかけた。“眞木野さんはあんなに丁寧な言葉遣いをするのに、どうしてこの人はこんな乱暴な言い方しかできないのだろう?”「なければ終わりにする。」“私もできればこの人と話をするよりも、早く終わらせてくれた方がありがたい。”まだ20分も時間が残っていたけれど、月美は帰ろうと思いソファから立ち上がった。そこにタイミングよく、
1.憂うつな気持ち6月・・・海が大嫌いな時期がやってきた。毎年このころに学校での身体測定や検診が行われる。今年は3年生だけ制度が変わって、土曜日に医師が集まり、一度に各種の検診が実施されることになった。昨日の夜、悠一から、「明日、学校行くからな。」と言われ、海はますます憂うつな気分になった。去年は違う先生だったが、1年生のときの内科検診は悠一が担当で、散々な目に遭った記憶がある。まわりの友達はまだ悠一と海との関係を知らない子も多く、「あの先生、かっこいいね。」という声があちこ
⭐ハル👧(6年生)⭐スイミングの選手コースの話R3年12月~担当コーチ→(五コーチ)(コーチ:壱➡弐➡参➡五コーチ←今ここ)ハルやユウが通うスクールは、ユウのレッスン時間に育成コースの練習もあっています。この日は進級テストの日で、皆プールサイドで待機して、順番にテストを受けていました(育成の子達はタイム測定日)今の育成の子達ははっきり言ってふざける子が多くて、この日もプールサイドで待機している時にふざけていて、その現場を五コーチが目撃して、そこからプチお説教タイムでも、テスト中だ
1.屋上騒動4月に入り、空と海は中学2年生に進級した。1年から2年へはクラス替えはなく、担任だけが変わるシステムで、海たち2組は藤重高也先生から二谷強士(にたにつよし)先生に引き継がれることになった。二谷先生は去年、2組の副担任をしていて、海と怜伊がケンカをしたときに止めに入った先生だ。24才、独身、教師2年目、初めてのクラス担任、担当教科は理科、身長170㎝、細身、色白、メガネ男子、か弱そうでどこか頼りない印象。あだ名は『よわし』。名前が『つよし』なのに、全然当たってないか
2.怒り爆発!何も知らない海はお風呂から出ると、呑気に鼻歌なんて歌いながらリビングにやって来た。“お兄ちゃん、誰と話してるのかと思ったら、恒先生だぁ。”「こんばんは。」いつものように笑顔であいさつをすると、恒は「こんばんは。」と言い返したものの、今までに見たことがないような険しい顔をしていた。“ん?”海が首をかしげていると、ツカツカと海の方へ近づいて来て、「ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」178㎝の長身から見下ろされた156㎝。海は背筋がゾッとするのを感じた。「先
5.悠一の想いと海の想いピンポーン、ピンポーンガチャ。玄関のドアが開いた。「おっ、恒、どうした?」「どうした?はこっちのセリフだ。海ちゃん入れていいか?」「・・・ああ。」恒はもじもじしている海の腕を引っ張って、家の中に入れた。3人でダイニングテーブルのイスに座った。悠一の目の前に海が、海の隣に恒が座ったが、海は顔を上げることができずにずっと下を向いていた。「悠一、ごめんな。オレが口出すことじゃないんだけど、海ちゃんの話、聞いてやれよ。」と言って、促すように海の背
1.もう二度とやりません。冬休みに入る前ぐらいから、クラスの女子の間で『いけない遊び』が流行っていた。それは、スリル満点で、冒険心をくすぐられ、なおかつ達成感を味わうことができる『万引き』。文房具やアクセサリー、本やバッグ、手袋、マフラー、洋服まで、様々な品物が対象となった。「私、昨日、時計やったよ。すごくない?」「いいなあ。私もこの間、リップ、超かわいいのゲットしたよ。」休み時間の教室や廊下では、常識では考えられないような会話が普通に交わされ盛り上がっている。みんな罪悪感な
2.月美風守月美(かざもりつきみ)先生。今回の物語のもう一人の主人公だ。星の父親が大学時代にお世話になった教授の娘さんで、現在大学2年生。社会勉強を兼ねて家庭教師のアルバイトをしている。人づてに聞いた話では、子供を見てもらっている保護者の間でかなり定評があるらしい。星の父親はその恩師に絶対的な信頼を寄せていて、まだ見ず知らずの娘さんに対しても「教授のお嬢さんなら間違いない。」と太鼓判を押していた。まずは顔合わせということで、3日後の土曜日の午後に予定を調整した。その日が近づくに
2.よわしのおしおきスタイル学校に着くと、海たち3人はそのまま生徒指導室に連れて行かれた。海、拓斗、環太が並んで座り、テーブルを挟んで向かい側に、よわし、たかやん、3組担任の小春先生が座った。「おまえら、またずいぶんと大胆なことをしてくれたな。」怒るというよりは、呆れ返った顔をしてたかやんが言った。「拓斗、どういうことか説明しろ。」拓斗は成績優秀だし、リーダーシップをとるタイプなので、この3人の中ではどう見ても教師からの信頼が一番厚い。それでもガチガチの優等生というのではなく、