ブログ記事6,507件
桜の記憶tempest59『……』類と楓の間に、暫し無言の時間が流れる。唇を閉ざしたまま、類は楓を見詰め続け。…しかし類の此の沈黙は、戸惑いから来るモノでは無かった。楓の咆哮を聴いた瞬間、何故か違和を感じた。其れが一体何であるのか…其の疑問を、黙考していたのだ。庭先から薔薇の芳香を微かに含んだ風光が、類と楓の元へ、爽やかに吹き込んでくる。そして此の緊迫の場を、安らぎの空間へと刹那的に誘う…。なんなんだ…?此の…妙な感覚は?しかも、心地よくも感じる…不思議な
桜の記憶difficulty56どうして類の前では…素直になれるのだろう?道明寺には、なかなか見せることが出来なかった…あたしの「本当の姿」。何時も、傍に居て欲しくて…。…声を聴いていたくて。誰にも知られたくない、あたしの「弱点」。彼は其の透明な薄茶の瞳で、そんなあたしの秘め事さえも、見透かしていく。…彼には、嘘もつけない。どんなに隠そうとしても、全てを見抜かれてしまう。だけどそんなあたしの、ズルい所も醜い所も弱い所も意地っ張りな所も…全てを知った上で。…
桜の記憶tempest56『…い、さま』『……』『…類さま、着きましたよ』『!!…あ…』『類さま?お目覚めになりましたか?間も無く到着です。御身回りのご準備を…』『……』田村に肩を揺すられ、眼を覚ます。ミラノからNY…9時間にわたる飛行移動。ミラノ空港を飛び立った際の記憶はあるから、どうやら離陸後直ぐ、眠りに落ちたらしい。「瞬く間」と感じる、此処までの時間…久し振りの熟睡。田村に声をかけられるまで、時間の経過を全く感じなかった。…爽快な目
ジュンピョと付き合い始めたジャンディをジュンピョが強引に連れ出します。他のF3にカウルちゃんまで巻き込んで、神話(シンファ)のプライベート・ジェットを飛ばし、着いた先は…天国に一番近い島『ニューカレドニア』日本も暑ーい夏がやってきました。ニューカレドニアの景色でバカンス気分をお楽しみください。題して『F4と行くサマーリゾート!ニューカレドニア』(ニューカレドニアは南半球だから冬じゃないかというそこの貴方、細かいことは気にしないで気分で楽しんでください。温ーい目で見てや
桜の記憶tempest45『ふぅ…』…ベッドの上。仰向けに寝転んだ状態で、つくしは小さな溜め息を吐く。先程のアルコールが残っているのか…カラダが重く、動く気になれない。同じくベッドの上に投げておいた携帯電話へ手を伸ばし、のそのそと画面を開いた。『あ、そうか…イタリア…』つくしは此処で改めて、自分がミラノに来ているコトを再認識する。時刻をミラノ時間に切り替え、着信の履歴を確認した。考えてみると此処数日、島が通信圏外だったコトもあり、携帯電話を使用するコトが全く無
桜の記憶tempest37『う、わあ…!』思わずつくしは、感嘆の声を上げる。頬を染め幸せそうに微笑むナタリーから、今度こそ素直に、喜びの想いを享受した。そして…。『其れから?ウィリアム様がいらして…其の後はどうなされたのですか?』…と、不作法だとは承知しながらも、話の先を求める。すると、ナタリーも…。『ふふふ、つくしさん?此の先をお話するには、更に口元を滑らかにしなくては。もう一杯「お茶」を、頂かなくちゃね?』…と、にこやかに笑い、空になっているカップ
Rain11【総二郎】…ふと、予告無しに、牧野の腕が俺に向かい、静かに伸ばされる。その指先を、俺の髪に絡めつつ…徐に梳き遊び始める、彼女。『……。…何?』「理由」を訊ねると…俺の下。上気させた頬…其処に淡い微笑を浮かべながら、穏やかに「応え」を囁き。『髪…濡れてる。乾かさなかったのかな…って。雨に濡れないようにって、此処…来たのに』『……』…「濡れてる」理由も「此処に来た」
桜の記憶difficulty10その後アパルトマンに帰宅した類は、即座ベッドに身体を投げ出し、仰向けになりながらつくしに電話をかける。数回の呼び出し音の後、通信が繋がるが…。…応答が無い。『…牧野?…牧野だよね?』類の呼びかけに衣擦れのような音が聞こえてくるが、答えは無く。しかし間も無く、掠れ気味な「つくしの声」がボソボソと入って来た。『ん…なぁに?類…?』『……』時間はミラノで、深夜11時を過ぎたばかり。…日本は朝か…。…こいつ、寝惚けてるな…。
桜の記憶tempest34『…うわぁ…』其処から見える夕景は、今まさに、太陽と海とが融け合う瞬間を迎えていて。つくしとナタリーの視線を、其の景色に釘付けにさせた。『すご…綺麗…』『…えぇ…』思わず感嘆の言葉が、ふたりの口をつく。此の世のモノとは思えぬほどの「朱」の色が、水平線を境に、海の濃紺と融けあい…天空、空間にまでも滲み渡って。ふたりの身体も、同じ色彩に融け…まるで自然と同化したような感覚…。其の中で…人間の「個」というモノは、大自然の中にあっては「
桜の記憶tempest22『外…出よ?』『……』類は改めてつくしの掌を握り、屋外へと誘う。…瞬間、夜の冷涼な風気に晒されたことで、つくしの身体が小さな震えを魅せた。『寒い?』微かに首を傾げ、つくしの顔を覗き込むようにして尋ねる。…其の瞳の煌めきに魅せられ、熱を持つ、つくしの頬。つくしは紅潮を隠そうと、俯き加減に頚を振り、応えを返した。『ううん…平気。ね…?此処も非常階段なんだね?』風の通り道を目線で辿り、下階への階段を見止め呟く。すると類は、徐に視線を景
Rain39【総二郎】あきらとの通話を切り、俺は安堵の伸びをしながら宮様との食事の席へと戻る。「見合い阻止行動」の第一段階。「おひいさま」への、心理揺さぶり作戦。これはあきらのカラダを張った演技により、無事成功したと言える。続く第二段…中継ぎを請け負ってくれたのは「道明寺司」。言わずと知れた、日本一の大富豪「道明寺財閥」の御曹子。財閥の仕事を、少しずつではあるがこなし始め、多少なりとも世間の常識…
桜の記憶tempest43柔らかなソファー…並んで座る二人の両掌が、ゆっくりと重ねられる。ナタリーに向けられる、つくしの、真っ直ぐな眼差し。ナタリーは其の「瞳」を魅せるつくしに、此の先もブレるコトのない意志を感じ、安堵した。『勿論よ。私達は親友…立場が変わろうと、離れ離れになろうと、此の先一生、其の関係は変わらない。…私は貴女を、見詰めて行く。そして私も貴女の友として、恥じない生き方をして行くわ』『ナタリー様…』『幸せ…其処に辿り着くまでには、そんな…思
桜の記憶difficulty25『其の思いは、きっと正しい。初めて牧野に会ったのが、其の頃だから。俺は、牧野に会えて…関わって。…変われた』『…類…』『…彼女に会って、笑顔を取り戻せた。彼女に触れて、人との繋がりが大事だって…知った』『……』『今こうして、父さんと母さんの前に立てているのも…あいつのおかげだって思ってる。牧野の笑顔が、今まで俺を…支えてくれていたんだ』…葡萄畑から丘の上へ吹きあげてくる風に、テラスへ抜ける扉のレースカーテンが揺れ
桜の記憶tempest39『つくしさん!?』つくしの涙に気付いたナタリーが、驚きの声をあげる。…と、同時。『ナタリー様…海風が強まってまいりました。お身体を冷やすといけませんので、一度お部屋にお戻りを…』ナタリーの侍女が、突如ふたりの傍らに現れ、ナタリーの耳元に向けティータイムの終了を呟いた。…つくしは慌てて、涙を拭う。瞬間、今のつくしの状況を敏感に察知したナタリーは、困惑の表情を浮かべながら、つくしに声をかけた。『つくし様…大丈夫?とりあえず、部屋に戻り
桜の記憶tempest40幻視感…ナタリーが纏う「香り」に触れた途端、つくしの中に湧き起こる、昂揚。爽やかで、柔らかで、優しい…愛しい「香り」。つくしの記憶に、深く摺り込まれている…淡い匂い。あぁ…間違い無い。此の香り、は…。『……。…「類」?』「彼」と同じ…「彼」の「香り」だ…。「其れ」を認識した…瞬間。つくしは其の場で、泣き崩れていた。『大丈夫?落ち着いた?』コテージに付随するデッキテラスに案内されたつくしは、間も無く落ち着きを取り戻した。…
見終わったーーー2gether!とにかくたいした事は起きないんだけどね。二人がただただ幸せでいることのみを愛でるドラマでした。終盤の見どころこれまでどちらかと言うとサラワットに始終押され気味…というか押し倒され気味で、サラワットへの気持ちの強さがイマイチ見えなかったタインなんだけど、サラワットの初恋の女が図々しくも自分の男を取り返すべく大学へ乗り込んできてからは、その関係が一変。誤解だけど、二人が抱き合ってる現場を目撃しちゃったからもう大変。泣くわ、傷つくわ、倒れるわ拗ねるわ、怒
沈月シェン・ユエ【2018/10/08UP】沈月(ShenYue)シェン・ユエNationality:中国生年月日:February27,1997年齢:26(2023.02.27現在)NetflixにUPされている『流星花園2018-MeteorGarden-』で初めて見たシェン・ユエ(沈月)。綺麗!というよりも可愛らしくて惹きつけられる魅力のある女優さん。好きになりました。流星花園2018の最後の結婚式シーン、ウェディングドレス姿素敵でした。ツンデレ王子のシン
桜の記憶tempest35『其処で…読書?』『そう。本を読むのが、私…幼い頃から大好きで。知識を得るためというのも勿論だけど、自分が全く経験したコトのない世界を、本の中では自由に旅すること出来る…そんな所に、一番の魅力を感じていたわ。其れに何よりも、其処に共に居てくれたマイクが、本当に驚くほどの博識人だったから。彼のお陰で私は、様々な知識…常識を、更に得ることが出来た。…でも』『?』話の途中、ナタリーの表情が突然曇りを帯びたコトに、つくしは気付き、彼
桜の記憶tempest42『皆の…幸せに…』つくしの瞳から、涙が一筋…つっと零れ落ちた。そして其の雫は留まるコトを知らず溢れ続け、つくしの頬を瞬く間、しっとりと濡らしていく。…どうして此の人は、初めて会ったあたしを、此処まで理解してくれるの?そして、どうしてあたしも…初対面の彼女に、此処まで心を曝け出せるのだろう?彼女の言葉…こんなにも素直に、受け入れられて。…息が苦しい。涙が止まらない。でも、此の涙はあたたかい。何時までも流し続けていたくなるよ
桜の記憶difficulty26刹那。母は軽やかに立ち上がり、テラスに続く硝子扉へと向かう。類も…そして父も、不意を突かれたかのように咄嗟に顔を上げ、其の姿を瞳で追った。…母さん?…先の読めない母の行動を、類は訝しげに見詰める。母は、葡萄畑から吹き上げてくる風を身体全体に受けながら、テラスへと下りて行った。外の空気に触れると同時に腕を伸ばし、其の場で大きな深呼吸をして魅せる。母の薄茶色の髪が、朝の光に透け…煌めきながら、風に揺れる。深呼吸を終え身体を戻すと、肩にかけ
桜の記憶difficulty16シャワーを浴び終え、バスローブを羽織りリビングに戻る。タオルで髪を拭きながら、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し口にした。…支社には午後から出社すれば大丈夫だ。もう少し此処(いえ)で、ゆっくりしていられる。類は窓際に歩み寄り、外を眺めた。リビングの窓から見えるミラノの街は、週の始まりを表し示す様に人々が忙しく行き交っている。古い建造物を残す此の街並みを、類は幼い頃からとても気に入っていた。…此の景色をつくしと眺めるのは、何時になるのだ
桜の記憶prayer29類の、溜息を混ぜた、重い呟き。総二郎は其の心の負担を少しでも軽くさせようと、直ぐに応えを返す。『…今朝のコトに関して言えば、牧野は道明寺の家には戻っていない。まっすぐ優紀ちゃんの家に行って、今は休んでいるはずだ。今朝、彼女から…そうメールが入ったから』類はじっと総二郎を見詰め、言葉を聞き終えると安堵の表情を浮かべた。『…そう…よかった…』『……』…優しい目元、蕩けるような瞳。類の此の様な表情を見るのは、総二郎にとって初めてのことで。
Rain45【つくし】正直なあたしの想いを、花沢類は無表情のまま、じっとあたしを見詰め聴いていたけど。間も無くして突然、彼を留めていたあたしの掌を、シャツから解きつつキュッと握り締め。『え?』そして、その掌をそのまま、自身の口元へと運び。『……』『…類…っ?!」…その柔らかな唇を、這わせる。あたしの、掌の甲、指先…間(はざま)…掌から手首へと。…優しく、淡く…。…まるで「恋人」へ
再会~11~=Rui=牧野の瞳が思いきり見開かれて、俺を見つめる。『え?今?もう一回?』『うん。だって俺、まだあんたのこと抱き足りない。』悪戯っぽく唇にキスしながら呟けば、彼女の頬はみるみるうちに、真っ赤になっていく。『それに未だ俺たち、繋がったままだし。』『え…?』…今度は、呆然って感じに青くなって。おもしろい。相変わらず。事実、俺はまだ牧野の中に、その時
まずは、今回ご紹介するドラマと、全然関係ない(ように見える)ことですが実は今、密かに、「私の解放日誌」に沼落ちしておりまして~ブログを書くパワーも良い意味で持っていかれ気味なんですが完走済のドラマの感想は書きたい~というわけで、共通する心性があるのかなぁと選んだのが、今回のご紹介するドラマなんです。つまり、「どうやって、今の境遇から抜け出せるのだろう」というテーマですね。あ、でも、「解放」大人のやるせなさ「ハル」若者の破天荒さなので、180
名残雪番外編俺の胸元にしっかりと収まる、牧野の身体。俺はその細い肩をきつく抱き締め、これ以上は無いと言う程に、彼女の身体と己の身体を密着させる。…腕の中に香りたつ、牧野の匂い。彼女を抱いて眠った、最高に幸せだった夜を思い出させる…。……。…ぜってー、忘れねぇ…。…この、幸福な想いに誘う香りも、折れそうに華奢な身体も…。…指に絡む黒髪、柔らかな頬。…そして、触れる唇に伝わる「肌」の温もり…。…牧野の…「全て」…。……。…俺の肩に、牧野の顔があたる。俺
再会~6~=Tsukushi=外部に面する壁が総ガラスになってるこの部屋は、広さが30坪くらいあって、あたしが住んでるアパートの敷地が、丸々入りそうな感じ。部屋には、花沢類と田村さんのデスク、応接の為のソファとテーブルがあるくらい、至ってシンプルで。…花沢類の自宅の部屋を、思い出させた。窓からは東京湾が見え、陽が陰り始めた、この時間、オレンジから紫紺への、グラデーションとなった空が、壁紙のように、部屋と一体化している。
なんとなーく流し見てたミュージックジェネレーション。学園ドラマの名曲でプラネタリウムが流れた✨✨もうね、この曲聴くだけで胸がギュンと締め付けられて。どーみょーじー😎ってなります💕で、そのあとすぐ立て続けにラブソーが流れましたしかも、5x20のアンコール映像!!!!!レコメモ映像はよく見かけるけれど、これは珍しいのでは?家に居てもディスク入れないと観られないから中々チャンスが無くって。なんだか久々に見た気がする。あの日の5人…楽しそうだなぁ(*´∀`*)そしてキラキラのアイドルだった
桜の記憶truth11「其の病院」につくしが入院をしているという事実は、花沢の関係者、及び、病院の医療関係者の中でも、ごく一部の者にしか知らされていない。また、つくしの病室がある病院最上階のフロアには、其の関係者の中でも少数…特別に許可を受けた者のみだけが入場を許され。其の守秘義務についても各自徹底指導されており、其処から外部に情報が漏れるコトは、まず有り得無かった。今回、西田は…さすが道明寺の幹部職と云うべきか…情報漏洩に対す
timeaftertime来てみらんしょin福島~5/5その⑤~【Rui】『つくし』『類!…ん?えーっ!?』露天風呂で再会したつくしは、俺を見止めた途端、突如、顔色を豹変させて。慌てた様子で、俺の元へ走って来る。『?』「どうした?」…そんな疑問より、俺はつくしが滑ったりしないか…そちらの方が気になって。思わず両腕を広げ、彼女が来るのを待ち構えた。『ひゃうっ!』案の定つくしは俺の目の前で石に滑り、胸元にぶつかるようにして倒れ込ん