とにかく人の道は五常を守ることで、充分である。これは学者のかたもよく仰っていることであり、有難い道である。これを守らないのは野獣のようなものだ。また自分を映し出す鏡がなければ何事も分からないものである。心をよく研ぎ澄ますとき、自分の行いの悪さは、自分ではわからないものだ。その曇りが出ないようにするために、普段から行いの善悪を他人に尋ねる以外はない。悪を聞いて喜んでいるとき、悪を改めさせて善を勧める者には褒美として相応のものを与えて使えば、次第に鏡は光るようになって、自分の善悪を居ながらにして分か