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日の落ちた東宮殿は女官や内官が慌ただしく行き交う。『いたか?』厳しい口調で女官の一人を呼び止め、女官は思わず肩を竦めた。『いえ…殿下申し訳ありません…』女官は深々と頭を下げる。『……』自室を右往左往し、更に思いついた様に突然チェギョンの部屋へ向かうシン。大きな音を立て扉を開く『…何処に行った!』シンは立ち止まるとチェギョンのベッドへ腰を下ろす。天井、カーテン、部屋の様子を見渡すと溜息を漏らした。彼女が帰還した途端に色彩を取り戻した妃宮の部屋に改めて妻の存在感を知る。『…チ
チェギョンは頬を膨らませ、プリプリ怒りながら戻ってきた。まるでシンの不機嫌がチェギョンに伝染したみたいだ。「シン、すごく機嫌が悪かったみたいだけど、何の用だったの?」「全く…どうもこうもないわよ。あの横暴王子ったら何て言ったと思う?『お前は皇太子妃なんだぞ。俺以外の男とベタベタ馴れ馴れしくするな!二人きりになるな!』だって。」「本当にシンがそう言ったの?」まさか…嘘だろ?あの能面みたいな奴がそんなこと…「そうよ。馬っ鹿みたい…だって俺以外ってユル君だよ?
『ウッティレート医師、チェギョンが妊娠とは確かなんですか?確かだとしても何か他に病気があるわけではないのですか?頻繁に倒れるのは何か』『いえ、妊娠初期は様々な症状がでます。妃宮様の場合は典型的と言えば典型的ですが数値も著しく悪い訳ではありません、、食事が摂取出来ない事が何より心配ですがでは、殿下見てみますか?』『見てって…見れるのか?だったら是非』『妃宮様先程は見られるのはお嫌だと言われましたがどうされますか?』『だって恥ずかしいし』『何が恥ずかしいんだ!』『だって』『先生お願いし
この物語は、こちらではなくFC2でやっている表ブログで2012年末から書き始めた宮Loveinpalaceのその後物語を全て加筆修正し移しました。かなり時間経っていたので再度ドラマを見直してヤバいくらい宮沼に再どハマりましたねあちらFC2で書いていたその後は宮を見てすぐに勢いで書いていたのでかなり修正が必要でした。仕事や家事育児で離れて途中でかかなくなりましたがようやくゆっくりと書き終えることができました^_^ありがとう😊最近の一言宮のリメイク話…どうですかねー。本当ウネジフニだ
診察の時間外、静かな待合でヒョリンの落ち着いたトーンの声が響いた。『…順を追って説明するわね。シン、いまの貴方は呆れるくらいに理性的ではないわ。。チェギョンの事だから仕方ないのかもしれないけれど』一瞬見せた寂し気な表情を今度は深呼吸とともに切り替え、凛とした目を向けた。『まず、今日の正午頃、私はインを迎えに行った空港で、すれ違い様に倒れた人がいて助けたの…それがチェギョンだった…』『倒れた?』なんの報告もなかったと無言で鋭い視線を尚宮へ投げるシン『…えぇ』『…尚宮、お前の仕事は何だ
宮は薄暗い雲に包囲されているようだった。現に後日ある一定の時間、宮の上空の雲が渦を巻いていたと世間を騒がせた。チェギョンはシンや慌ただしく消えたヨナを思い不安を覚えていた。『お前はここにいろですって。。。何よ…ヨナは私の友人よ!』意を決すると立ち上がる。シンはヨンジンなる青年に対峙していた。コン内官も然り。『君は何処からきたんだ?』『どこから…って…まぁマカオに住む前はこの辺りだけど』『先程、姉上からの連絡で分かったことだが、防犯カメラを解析した。この東宮殿へは正門からの訪問では
ある教室の前に着くと、ジノンがノックをして入って行く。その後ろから、シンとチェギョンが手を繋いだまま入った。部屋に既にいた全員が立ち上がり、頭を下げる。校長「殿下と妃殿下におかれましては、この度の件で大変なご心痛をお掛けしてしまい、大変申し訳ございませんでした。この校内で妃殿下に対するイジメが行われていたとは、決して許せることではございません。皇室からは、今回はお咎めなしとするので、学校側に対応を任せると仰って頂きました。つきましては、彼らの処分を話し合いたいと思います。」シン「私から
ここはソウル芸術高校、芝生の広がるゆったりとした中庭の端に位置する金木犀の生垣、その手前には桜の木があり、生垣と木の間の僅かばかりの空間は校舎から視界を遮られる格好の息抜きの場所だ。いつも行動を共にしている気の置けない友人である御曹司たちからも解放されたくて、シンは昼休みだけはよくここへやって来て、足を無造作に投げ出して桜の木に寄り掛かり、そっと目を閉じて一息吐くと漸く少しだけ緊張を解く。そのシャープな横顔はゾクッとするほど端正で、悩ましげに寄せられた眉間の皴が、高校3年生らしからぬ男の色気
『改めまして本日は、この様な茶会に招いて頂き、ありがとうございます。妻、チェギョンです。この様な登場に皆様は大変驚かれたと思いますが、次代のこの国を担う子を授かり体調優れぬ中、私が一人にならぬ様に皆様に認めてもらいたい一心で参じた様です。これからも皆様の一員として宜しくお願いいたします。』シンはチェギョンを呼び寄せると、並び立つ。先程の厳しい表情とは打って変わって参加している人々が驚くほど柔らかな表情を見せた。『皆様。紹介いただきましたチェギョンです。民間から嫁ぎ、躾も乏しくそぐわぬ私を長い
公務を終え帰路に着いたシンは静かな筈の東宮の奥から聞こえる不自然な音に不審を感じながら更に歩みを進めた。この広い宮殿の中でも二人の新居となった東宮は珍しく洋風に造られている。周辺は父が帝位についたと同時に入宮し、幼き頃より慣れ親しんだ景色。当然ながら建造物はどれも歴史的な価値がある。丹青の彩と白い砂、赤松、柳、ハンノキ…深き緑に普段なら癒される。妃宮との安らぎの場所でもある。中央のパティオから左右に夫妻のそれぞれの部屋がある。一先ずは原因を突き止めようと妻の部屋に向かう。『!!』入り
『陛下…申し訳ございません。今少し宜しいですか?』束の間、机上の家族写真を眺めながらシンは一息ついていた。コン内官が声を掛ける寸前迄脳裏に影が蠢くのを何の予感だろうかと考えあぐねいていた。コレはチェギョンの危機の際に起きるサインの様なもので、神の啓示にも思える。【嫌な予感】はこれまで大抵当たってきた。陰謀に巻き込まれそうな時、現代から彼女の存在が一時的に消える前。脳裏に黒い霞がかかるのだ。『ん、なんだ内官。一息ついていたから大丈夫だ。私からも聞きたい事がある』『はっ、何かございましたか
むせるような花の香りと水気を帯びた熱い空気が辺りを包んでいた。観衆の見守る中、専用機のタラップを静かに下りる。近付いてきた一人の少女が小さな花の束を差し出す。受け取ると感謝の挨拶をする。少女ははにかみながら笑顔で手を振った。いつか見た光景と重なる。眩しく輝く太陽の下、シンは目を細めた。『殿下、この後歓迎の儀が行われ、パレード、それからホテルへと参ります』コン内官は簡単なスケジュールを伝えた。『あぁ、分かった・・』人々は大きく手を振りシンを歓迎していた。かつては皇太子としてこの国
++++「ダメだ」「どうして?」「ルイを裏切ることはできない」「あなたとルイは兄弟よ。構わないわ」「ヒョリン…君の狙いはそれだったのか…?」++++「シン、見て」色とりどりの花を腕一杯に抱えて、幸せそうな笑みを浮かべたチェギョンが部屋へ入ってきた。シンは頭を軽く振り物思いを追いやると、妻の姿を目をすがめて見つめた。「…さながら、春の花の精か、あるいは花のプリンセスというところか」小さく呟くと、妻の腕から零れ落ちそうになっている花に手を伸ばそうと、彼女に近づいた。「さっき、
無事に7年とちょっと越しのその後物語を書き終える事ができ、非常にスッキリした気持ちです。思えば、宮を見終えてからが始まりでした。2周、3周する内に、続きが見たいと願うようになりました。その後物語はラストだけが頭に浮かんでいてそこに向かって書き出したわけです。最終的な終着はここに。。それだけを念頭に書き始めておいて気付けばあちこちのドラマにうつつを抜かし、寄り道しまくりでなかなか進めなくなり、そうこうしている内に内容を忘れてしまったという救いようがないパボな私が悪い訳ですが…今思えば必
「それで?何故彼女を大胆にも『お持ち帰り』しちゃったのか…その訳を聞かせてもらおうじゃないか?」「そうだよ。何で俺があの子にボールぶつけたくらいでシンに殺されなきゃならないんだ?」彼女と宮で過ごした夢のようなひとときから一夜明けて翌日の昼休み、俺はイン、ギョン、ファンに囲まれまるで尋問を受ける容疑者にさせられていた。「何で…って、別に。」「はあ?別にって何だそれ?俺はシンにすごく恐ろしい顔で『ぶっ殺す!』って言われたんだぞ。なあ~どうして俺はぶっ殺されなきゃならないんだ
『昼寝』をしようと、確かに彼女はそう言った。しかし、その言葉の通りになるとは思ってもみなかった。シンは二人の大きなベッドでぐっすりと眠り込んでいるチェギョンの愛らしい顔を上から見下ろした。二人でベッドに潜り込み、妻の耳元でいつものように甘く囁きながら、1枚ずつその衣を脱がせる楽しみを味わっていたら、チェギョンの息が上がるどころか、深く胸が上下してることに気づいた。「まさか…?」妻の顔を見ると、小さく口をあけてスヤスヤと眠っているではないか。今日の仕事は彼女にとって、とても緊張を強いられ
それは思い返せば奇妙な出来事だった。いつもの朝、いつもの風景ではあったが何処か空気が違う。シンは目覚めて感じた胸騒ぎにすぐ傍で安らかに眠るチェギョンの手を握りしめた。『…ん…シン君?どうしたの?』『いや、、何となく…寒くないか?』『大丈夫…もう少し…このままで』?『ん?』『だから、もう少しこのまんまでいたいなって…離れたくないの…』チェギョンは腰に腕を回すと顔を隠すようにシンの胸に丸くなった。『…尚宮から聞いたか?今日の午後は国立博物館の竣工パーティーがあるが…来れそうか?』
チェギョンは震える体をぎゅっと抱きしめた。ここから逃げ出すことが出来たら、どんなにかいいだろう。結婚式の日の夜もそうだった。でも、あの時のほうが実際は良かったのかもしれない。夫のことを何も知らなかったから。この1か月でチェギョンはシンのことを沢山知った。今まで兄のユルの陰に隠れていたシンが、実はジャックに負けず劣らず賢い王太子であると分かった。本当の彼は、ユルより数段優秀なのではないだろういか。ユルがどこか人を見下したような態度をそこはかとなく漂わせていたのに比べて、シンはどこまでも
各親子は、正殿を後にし家に帰って行った。子供達は明日の学校での処分に不安を感じ、親達はサムスンからの会社への影響を恐れ、帰ってからも落ち着かなかった。ミン家は家政婦親子と早く縁を切りたくて、帰るとすぐに出て行く様に言い渡し、新しい家政婦の手配を済ませ、引っ越しに明日1日の猶予しか与えなかった。ミン・ヒョリンは、まだ足掻こうとしていた。自分の才能を認め今まで援助をしてくれていた、バレエ教室の先生であるナム・ジュヨンに連絡をとる。しかし、すでにジノンが手を回し、韓国バレエ協会会長より今後ヒ
まだ幼稚園に入る前、父親と母親と一緒にお出掛けした。普段忙しくてあまり会えない父親が一緒で、すごく嬉しかった。着いた先はとっても大きな家で、お城みたいだとビックリしたことを今でも覚えてる。玄関にいた人(バトラーって呼ばれていた。外国の人なのかな?)に案内されて入った部屋で、私と同じぐらいの大きさの人形がちょこんと椅子に座っていた。可愛い。思わず近づいてみる。真っ白のドレスみたいなワンピース、服に負けないぐらいの白い肌、少し茶色のふわふわ柔らかそうな髪、黒くて大きなクリクリとした目、ママの口
夜風がタイの街を駆ける。街路には国花でもあるゴールデンシャワーがひしめき咲いている。透けそうな白い茉莉花は風に揺れ夜露が香りを幾分薄め鼻腔を擽る。辺りは水気を帯びた土の香りを漂わせ、一層不可解な夜を創造する。タイ訪問の公務の最中、シンは母国を追われた従兄、ユルと再会を果たした。ホテルの一室、広いリビングに置かれた長いソファに腰かけ、窓辺に立つ従兄を静かに見つめた。『皇太后様が体調を崩されたとは…容態は大丈夫なのか?』本気で心配しているユルをシンは不思議に思う。何故、彼が叔父や叔母で
チェギョンが幼稚舎に入園して困ったことが起こる。ジファンとスンミが姫の行事を見に行きたいと駄々を捏ねるのだ。スンレやナムギルがビデオを回し、カメラで撮影し、それを持ってきて見せてくれるのだが、どうしても自分の目で見たいと聞かないのだ。しかし梨花女子大附属も一流企業の社長クラスが父兄に多く、姫を守るためには、ジファンの存在が、サムスンのことがバレるわけにはいかなかったのだ。どうしても諦め切れなかったジファンは、自社のグループ子会社である映画会社のサムスンピクチャーズに、ハリウッドから凄腕の
ファン「シンは策士だね。既成事実でまわりから固めようとしてるでしょ。あんまりチェギョン本人には伝わってないみたいだけどさ(笑)」シン「あれは無意識だ。つい手が出てしまった。まあ、あれでまわりに伝わればいい。他の男への牽制にもなっただろう?」ギョン「シンはいいよなー。俺もあのガンヒョンの綺麗な髪に指を絡ませて、顔をうずめたいよ。いい香りがするんだろうな。なんだよ、一人でいい思いしやがって」ギョンがシンを小突くが、シンはチェギョンの髪に触れた手をジッと見ている。柔らかさや滑らかな感触や香りがま
シンの後に続いてヒョリンは会場に入った。誰もが感嘆の声を上げて自分を見ている・・・。ヒョリンは誇らしげであった。顔ぶれの中にはいつものメンバーもいた。すぐそばにユルの顔を見つけたが、その横にいるチェギョンたちの姿を見ると途端にヒョリンの表情は曇った。「どうしてあの人たちが来ているの?」出迎えの人たちにあいさつが終わった後、ヒョリンはシンに尋ねた。「あの人たちって?」「シン・チェギョンさんたちよ。皇室関係者でもなく、友人関係でもないのに・・・」「おばあさまが招待したんだ。」「皇太后
―――これで良かったの…?閉められた窓の外から聞こえる歓声のざわめきを感じながら、チェギョンはその小さな胸にもう何千回と問いかけた事柄を、再び取り出し、繰り返した。例え、答えが『NO』だとしても、引き戻すことなど不可能だと彼女には分かっていたけれども。「用意はできたかな?」男らしい声が聞こえ、チェギョンは振り返った。チェギョンが考えていたよりずっと近くに、シン王子が花婿らしい黒と白の完璧な装いで立っていた。「ええ、殿下」長く豊かな睫毛が、チェギョンの美しい薄茶色の瞳を覆い隠してしま
『明日ね…』『あぁ、明日…』シンとの電話を切った直後からチェギョンは言い知れぬ不安に襲われていた。『妃宮様?』無言のまま携帯を耳に付け静止した妃宮にチェ尚宮は声をかけた。『妃宮様、どうかなさいましたか?何か心配事でも…』尚宮の声に気付く気配もなくゆるやかに長い髪を不安に揺らしながら主は携帯を見つめる。それから気を取り直したように顔を上げると再び携帯を耳に当てた。『あ…もしもし…お久しぶりです・・コン内官?チェギョンです…。はい。私も尚宮も元気ですよ。え?シン君が画像を?・・ありが
24話(最終話)宇宙征服の日まで『シン君に釣り合う人になりたかったのになかなかうまくいかないね』『そうだなお前とは釣り合わない見つめられないくらい眩しかったよそれにお前のおかげで本当の世界を知った』『宇宙征服おめでとう』『何だそれ?』『自分の星を脱出して他の星も見るようになったからきっとすぐに宇宙征服出来るわ宇宙征服を目指してアジャ!』映画E.T.のように人差し指をくっつけ合う仲睦まじい2人そこへ放火犯が捕まったと侍従長が報告する晴
ギョンは美術科までガンヒョンを送って行きたいのだが、許可がおりたことは一度もない。名残惜しいが、下駄箱でいつものように別校舎へと別れる。チェギョン達がA棟の階段を上がっていると、上からもの凄い形相をしたミン・ヒョリンが降りてきた。シャワーも浴びず、レッスン着のまま走ってきたのだ。すれ違いざま、わざとチェギョンの肩にぶつかる。チェギョン「あっごめんなさい。大丈夫ですか?」ヒョリン「…ふん…偽善者…いい子ぶらないで…泥棒猫…私の後釜に座って嬉しい?あんたみたいに下品な女がシンに相応しいと
さてさて、、その後物語を進めるために鬼リピする日々の中で新しい気付きがあるんですよね、、物語でそれを語らせるようにはしてるけども、でもこれだけはどうしても検証したいという部分があります。対比と言いましょうか。例えばシンとユル。もうこれは言わずもがなだし、チェギョンとヒョリン。そして宮廷内の人々の対比。ミンVSファヨンなかなかの対比ですし、物語もそうなってます。始まりはチェギョンは宮に入り、最後には出ちゃいましたんでね。そういう意味で非常に奥深いです。物語の箸休め的な感じで検証し
シンが学校に到着し、車を降りるといつものメンバーが迎えてくれる。前は御曹司達だけだったのだが、最近はギョンが無理やり引っ張って来る形で、ガンヒョン達も一緒にいる様になった。朝からチェギョンに会い挨拶をすると、今日一日のヤル気が湧いて来るので、シンはとても楽しみにしているのだが、チェギョンは寝坊して遅れて来ることも多かった。そういう時は無意識になのだが、チェギョンが来るまで雑談をしながらも、その場を離れない。仲間もわかっているので何も言わずに付き合ってくれる。今日もそんな一日の始まりだっ